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弁護士コラム

2021年01月14日
  • 性・風俗事件
  • スカート盗撮
  • 示談

スカート内を盗撮した容疑で取り調べを受けたらどうすべき? 適切な示談の進め方とは

スカート内を盗撮した容疑で取り調べを受けたらどうすべき? 適切な示談の進め方とは
スカート内を盗撮した容疑で取り調べを受けたらどうすべき? 適切な示談の進め方とは

もし自分や家族が盗撮をしてしまい、警察に通報された場合、その後に待ち受けているであろう厳しい処罰を避けるために「示談をするべきか」と悩むことでしょう。

しかし示談といっても何から始めればよいのか、示談が成立するとどのような効果があるのかなど、よく分からない点が多いのではないでしょうか。

そこで本コラムでは盗撮をして問われ得る罪を説明したうえで、盗撮事件における示談の意味や進め方について弁護士が解説します。

盗撮行為は令和5年7月13日に新設された「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」によって処罰の対象となります。

目次

  1. 1、スカートの中を盗撮したらどのような罪で逮捕される?
    1. (1)迷惑防止条例違反
    2. (2)そのほかの罪名
  2. 2、スカート盗撮で重すぎる罰を科されないためにすべきこと
  3. 3、示談とは具体的にはどういうこと?
  4. 4、盗撮事件における示談の進め方
    1. (1)まずは十分な謝罪が必要
    2. (2)示談交渉を開始するタイミング
    3. (3)示談交渉の流れ
  5. 5、被害者との示談成立を目指すなら弁護士へ相談を
    1. (1)示談交渉を委任できる
    2. (2)弁護士だけが行える弁護活動
  6. 6、まとめ

1、スカートの中を盗撮したらどのような罪で逮捕される?

実は、「盗撮罪」という罪名はありません。
しかし、当然「盗撮」が許されるわけではなく、盗撮行為を取り締まる法令は複数存在します。

  1. (1)迷惑防止条例違反

    公共の場において盗撮をした場合、迷惑防止条例違反に問われるケースが多いでしょう。ただし迷惑防止条例は都道府県によって規制場所や規制行為、刑罰などに違いがありますので注意が必要です。

    東京都を例にとると、規制場所は公共の場所・乗り物以外にも、カラオケボックスの個室やタクシーなどのいわば私的な場所も含まれています。また撮影した場合はもちろん、撮影機器を差し向けた場合も処罰の対象となっていますので、実際には撮影しなかったとしても罪に問われます(第5条1項2号)。
    実際に撮影を行った場合の刑罰は、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」です(第8条2項1号)。

  2. (2)そのほかの罪名

    盗撮行為の内容によっては、ほかの法令に抵触する可能性もあります。

    たとえば他人の自宅の風呂場など私的な場所で盗撮したケースは軽犯罪法違反(第1条23号)として「拘留または科料」を科されます。

    また、盗撮した画像をWeb上にアップロードしたケースはわいせつ物頒布等罪(刑法第175条)として「2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金または科料、または懲役および罰金の併科」に処せられます。

    あるいは、特定の人に対する恋愛感情から盗撮をし、その画像を送りつけたようなケースでは、ストーカー規制法違反として「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科される可能性もあるでしょう。

    このように盗撮をすると行為内容によって懲役や罰金などの刑罰を科される可能性があり、いずれのケースでも有罪になれば前科がつくことになります。

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2、スカート盗撮で重すぎる罰を科されないためにすべきこと

もしあなたや家族が盗撮行為による重い刑罰を受けて前科がつくのを回避したいのなら、被害者との示談を成立させることが極めて重要です。

検察官による起訴・不起訴の決定や裁判官による量刑の決定には、さまざまな事情が考慮されます。たとえば犯行の悪質性や計画性、前科の有無、本人の反省の度合いなどがありますが、その中のでもとりわけ重要視されていると思われるのが被害者感情です。

スカートの中を盗撮された被害者は大変つらい思いをしているでしょう。犯行現場が日常的に使う場所であれば犯行時を思い出してしまうため利用できなくなり、不便を強いられているかもしれません。
「加害者に厳罰を与えてほしい」と考えても無理はないことです。

そのため、警察はもちろん、検察官や裁判官も、被害者感情を重視します。被害者感情を緩和するには、少なくとも被害者に対して真摯に謝罪をし、被害の回復を図る(被害弁償を行う)ことが必要です

被害弁償のための示談をすることができれば、検察官が不起訴処分とする可能性や、起訴されても裁判官が執行猶予を言い渡す可能性がでてくるでしょう。

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3、示談とは具体的にはどういうこと?

示談とは、一般的にはトラブルが起きた際に、当事者が話し合いにより、このトラブルを解決することを指します。話し合う内容に決まりはありませんが、刑事事件に関する示談では次のような項目について話し合います。

  • 加害者から被害者への謝罪
  • 示談金を支払う旨の約束や金額、支払い方法
  • 示談で定めるほかに債権債務が存在しないことの確認
  • 被害者は加害者を許し、処罰を望まない旨の確認
  • 当事者は事件について口外しない旨の約束


このほか盗撮事件では「加害者は盗撮をした場所を利用しない」「偶然に被害者を見かけた場合でも近づかない」など、被害者が希望する項目を加える場合もあります

示談そのものはあくまで当事者間でトラブルを解決するものですので、示談が成立したからといって罪を犯した事実や刑罰を受ける責任がなくなるわけではありません。

しかし、示談が成立すると、刑事事件においても、加害者が被害者へ誠実な対応をしたという反省の情を示すことができ、被害者が加害者をある程度まで許したという被害者感情を示す証しとなります
そのため、話し合った内容を示談書に残し、それを検察官や裁判官に提出することで、起訴・不起訴および量刑判断に際して考慮してもらえる可能性がでてきます。

4、盗撮事件における示談の進め方

スカートの中を盗撮してしまった場合、どのように示談を進めたらよいのでしょうか。

  1. (1)まずは十分な謝罪が必要

    刑事事件における示談では、最終的には「被害者は加害者を許し、処罰を望まない」旨を記載した示談書を作成することを目的としています。
    一般的に被害回復のために適切な示談金を支払い、誠心誠意謝罪を行うことで成立するケースがほとんどです。
    とはいえ、精神的につらい思いをしている被害者にいきなり示談の話をもちかけても、誠意が伝わらずに逆効果となることもあり、その方法には細心の注意が必要です。

    加害者本人やご家族であれば「とにかく処分を軽くしてほしい」とお考えになるかもしれませんが、示談交渉を始める前に、まずは被害者の気持ちを考え、誠心誠意謝罪をする姿勢が大切です。

    なお、性犯罪に分類される盗撮事件では被害者やそのご家族に直接会って交渉することが困難なケースが多く見受けられます。
    当然ですが、警察などの捜査機関は、被害者の個人情報を加害者側に教えることはありません。たとえ被害者と顔見知りであっても、加害者本人やそのご家族が直接交渉を行おうとしても示談を拒まれるケースが多いでしょう。

    そのため、性犯罪に分類される盗撮事件では、弁護士を通じて示談を進めるケースが一般的です。必要に応じて弁護士のアドバイスを受けながら、加害者が謝罪文を作成し、弁護士を通じてこれを渡すことから始めるのがよいでしょう。

  2. (2)示談交渉を開始するタイミング

    示談成立は早ければ早いほど、事件が日常へ及ぼす影響を最小限にとどめることができます。逮捕前に示談が成立すれば、事件化そのものを防ぐこともできるかもしれません。逮捕されたあとであっても、早期に示談を成立させることは非常に重要です。たとえば、送致前であれば送致を回避できる可能性を高めることができます。たとえ送致されたとしても、起訴前に示談が成立すれば検察官が不起訴処分を下す可能性が高まります。
    不起訴になれば、前科もつかないため、社会生活への影響を最小限に抑えられるでしょう。

    しかし盗撮事件の加害者が逮捕され身柄拘束を受けている場合、起訴・不起訴の決定までには時間の余裕はありません。早ければ逮捕から72時間以内に、遅くても逮捕から23日以内に起訴される可能性があります。

    したがって、示談交渉を開始するタイミングは「可能な限り早く」行うのがよいといえるでしょう。

  3. (3)示談交渉の流れ

    示談交渉をするには被害者の連絡先を入手する必要がありますが、前述のとおり捜査機関が盗撮事件の加害者やその家族に被害者の連絡先を教えることはありません。その場合、委任された弁護士が捜査機関を通じて被害者に連絡をとり、交渉を始めるケースが一般的です。

    次に被害者へ連絡をとり、示談交渉の前提としてまずは加害者の謝罪の手紙等を渡したいという希望を伝え、被害者が承諾した場合には示談交渉を開始します。その後、被害者の宥恕(ゆうじょ:許すという意味)の意思や示談金の金額などについて話し合い、合意できればその内容を示談書にまとめることになります。

5、被害者との示談成立を目指すなら弁護士へ相談を

スカートの中を盗撮してしまったことについて被害者との示談を進めたい場合は、弁護士のサポートが不可欠です。

  1. (1)示談交渉を委任できる

    多くの盗撮事件では被害者が見ず知らずの方というケースが多いため連絡先を知る術がありません。連絡先を知っていても被害者は嫌悪感情などから加害者やその家族との直接交渉を拒む可能性が高いでしょう。

    仮に直接交渉ができたとしても、当事者同士の話し合いでは冷静さを欠き、被害者の処罰感情を増幅させてしまうことや、時には法外な示談金を求められるなどして示談が成立しないおそれがあります。

    弁護士が代理人となれば冷静な話し合いが可能となり、被害者感情にも配慮して慎重に対応することができるため、円滑な示談交渉を期待することができます。示談金についても弁護士が判例や類似案件と照らして交渉するため、適切な額の支払いに抑えられる可能性が高いでしょう。

  2. (2)弁護士だけが行える弁護活動

    盗撮事件を起こして逮捕された場合は、送致されるまでの最長72時間もの間、身柄の拘束を受け、だれにも連絡をとったり相談したりすることができません。しかし、弁護士であればこの期間中でも自由な接見が可能です。依頼を受けた弁護士は、接見を通じて、どのような対応をすべきかアドバイスを行います

    そのほかにも、加害者が重すぎる罪に問われないよう、弁護士は以下のようなサポートを行えます。


    • 謝罪方法のアドバイスや謝罪文の添削をする
    • 身柄の早期釈放に向けて検察官や裁判官にはたらきかける
    • 円滑な社会復帰のために加害者の勤務先へ解雇などの不利益扱いをしないよう交渉する
    • 性依存症の治療や家族の監督体制の整備など再犯防止に向けた活動についてアドバイスする
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6、まとめ

盗撮をして通報または逮捕されてしまった場合は、重すぎる処分を避けるためには、速やかに示談を成立させることが重要です。示談が成立すれば検察官や裁判官が評価し、不起訴処分や執行猶予つき判決が下る可能性を高められます。

とはいえ、被害者との直接の接触は困難であり、可能な場合でも安易な接触は避けたほうがよいため、示談交渉は弁護士へ一任するべきです。盗撮事件の示談交渉は刑事事件についての知見が豊富なベリーベスト法律事務所へお任せください。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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