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弁護士コラム

2022年09月20日
  • 少年事件
  • 保護観察処分とは

保護観察処分とは? 対象者や保護観察中の生活はどうなる?

保護観察処分とは? 対象者や保護観察中の生活はどうなる?
保護観察処分とは? 対象者や保護観察中の生活はどうなる?

成人が罪を犯すと懲役や罰金などの刑罰が科せられますが、未成年の少年が罪を犯した場合は成人とは異なった扱いを受けます。そのひとつが「保護観察処分」です。令和3年版の犯罪白書によると、令和2年中に処理された少年事件のうち、24.0%が保護観察処分を受けています。

保護観察処分という名称を耳にすると「保護」とあるから何らか柔和なものであるように思えるでしょう。しかし、同時に「観察」ともあるので、厳しい監視下に置かれたり、常に見張りに付きまとわれたりするのではないかと不安に感じるかもしれません。

本コラムでは少年事件における「保護観察処分」について、意味や内容、対象となる者、保護観察の期間中の生活などを解説します。

1、未成年の少年が罪を犯した場合の扱い

未成年の少年は「少年法」の適用を受けます。まずは少年が罪を犯した場合の扱いについて確認していきましょう。

  1. (1)20歳未満を「少年」として扱う

    少年法第2条1項は、20歳に満たない者を「少年」と定義しています。一般的には「少年=未成年」と解釈しておけばおおむね間違いはありません。

    ただし、令和4年4月1日の民法改正によって成年年齢が18歳に引き下げられました。これにより、少年法における「少年」の範囲のなかに18歳・19歳の成年が含まれるという問題が生じてしまいました。18歳・19歳の者を少年として扱うか、それとも成人として扱うのか、さまざまな議論が交わされましたが、18歳以上の少年を「特定少年」として扱うという新たなルールができています

  2. (2)原則として刑罰は科せられない

    少年法の主な目的は「少年の健全育成」です。そして、その目的を達成するために、性格の矯正や環境の調整などに必要な処分をおこなうとともに、少年が起こした刑事事件について「特別の措置」を講じると明記しています。

    少年の場合は、原則として成人のように懲役・罰金といった刑罰は科せられません。刑罰が科せられるのは、逆走決定が出て刑事裁判にかけられた時に限られます。また、14歳未満の少年については、刑法第41条の刑事無責任年齢にあたるため刑罰を受けません。刑罰を科せられないので「前科」もつきません。

    ただし、何ら処分がないと考えるのは間違いです。罪を犯した少年には、更生を目指した「保護処分」が施されます。

    なお、特定少年も基本的には刑罰の対象外ですが、死刑、無期または短期1年以上の懲役・禁錮にあたる罪の事件については、原則逆送していくことにもなっています。

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2、「保護観察処分」とは?

罪を犯した少年には「保護処分」が施されます。「保護観察処分」は保護処分のひとつであり、家庭裁判所が事件の内容や少年の性格・生い立ちなどを総合的に考慮して決定するものです

  1. (1)保護処分の種類

    家庭裁判所が決定する「保護処分」は、成人事件でいえば刑事裁判にあたる「少年審判」の結果として下されるものです。保護処分には、次にあげる3種類があります。


    • 保護観察処分
    • 児童自立支援施設または児童養護施設送致
    • 少年院送致


    ほかにも、少年審判の結果として処分の必要がないと判断された場合は「不処分」、少年審判を開く必要もないと判断されれば「審判不開始」となります。また、一定の重大事件を起こした場合は家庭裁判所から検察官へと送致されるのがルールです。
    そもそも、警察が調査を終えた少年事件は検察官を経て家庭裁判所へと引き継がれることから、検察官へとさらに戻すという意味でこの手続きを「逆送」と呼びます。

  2. (2)保護観察処分の内容

    保護観察とは、家庭や学校、仕事といった社会生活を通じて更生が実現できる可能性が高いと判断された場合に下される処分です。決められた約束を守りながら責任ある保護者などのもとで生活していきます。

  3. (3)保護観察処分の対象者

    保護観察処分を受ける対象は次の条件に合致する者です。


    • 少年審判において保護観察処分を受けた少年
    • 少年院に送致されて仮退院する者
    • 仮釈放を受けた者
    • 保護観察つきで執行猶予を言い渡された者


    保護観察の期間は、原則として「少年が20歳に達するまで」ですが、20歳に達するまでの期間が2年に満たない場合は2年にわたって保護観察を受けるのを原則としています

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3、保護観察中の生活はどうなる? 常に監視されるのか?

保護観察を受けている期間は、どのような生活を送ることになるのでしょうか?

  1. (1)「一般順守事項」と「特別順守事項」を守って生活を送ることになる

    保護観察の期間中は「更生保護法」という法律による制限を受けます。保護観察の対象者は、同法第50条の「一般順守事項」と、同法第51条の「特別順守事項」を守らなければなりません

    一般順守事項とは、すべての対象者が等しく守らなければならない約束ごとです。再犯をしない、保護観察官や保護司の指導・監督を誠実に受けるなどの基本事項だと考えればよいでしょう。

    特別順守事項とは、対象者の特性や事件の内容などに応じて、個別に定められる約束ごとです。たとえば、共犯者や不良グループとの接触を禁止したり、非行に結びつく可能性がある特定の場所への出入りを禁止したりといったものが考えられます。

  2. (2)定期的に保護司の面接を受けなければならない

    保護観察の期間中は、1か月に数回、保護司の面接を受けなければなりません。保護司は法務大臣の委託を受けた非常勤の公務員ですが、その多くが会社員や公務員などの有職者、あるいは定年退職した人などです。

    面接は、保護司が指定する場所を訪ねたり、あるいは保護司が自宅や勤務先などを訪問したりして、生活指導を受けるという流れが一般的です。保護司との面接では、対象者が順守事項を守っているのかという確認を受けます。

    学校や仕事には休まずに通っているのか、家族との関係は良好か、不相応な支出をしていないかなどを質問されるので、誠実に事実を述べ、保護司からの求めがあれば資料も提出しなければなりません。

  3. (3)定まった住居で生活しなければならない

    保護観察の対象者は、住居を定めて、管轄の保護観察所長に届け出をする必要があります。住居を定めて届け出をすると、期間中はその住居で生活しなくてはなりません。無断転居や事前許可を受けていない7日以上の旅行は禁止です

    事件を起こした少年のなかには、家出中で友人や知人の家を転々としていたり、有職者で独立した生活を送っていたりする人も少なくありません。定まった住居での生活は一般順守事項なので、この点がクリアできないと保護観察処分は認められないことになります。少年自身が住居を確保するのは難しいので、保護者のサポートが必須となるでしょう。

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4、少年事件で子どもが逮捕されたら弁護士に相談を

わが子が事件を起こすなど、考えたこともなければ警察からの知らせを受けても「信じられない」と驚く方が多いはずです。まずは事実を確認し、すみやかに対策を講じなければなりません。少年事件で子どもが逮捕されてしまった場合は、直ちに弁護士に相談しましょう。

  1. (1)厳しすぎる処分の回避に向けた弁護活動

    保護観察処分は、少年院などの施設への入所を避けて社会生活を続けられるという意味では軽い処分だといえます。とはいえ、住居の制限や保護司との面接など、ある程度の不自由が生じます。保護観察処分でも不相応に重いと評価できるケースなら、審判不開始や不処分といった決定を目指すべきでしょう。

    早い段階で弁護士に相談すれば、被害者との示談交渉や捜査機関・裁判所へのはたらきかけなどによる処分の軽減が期待できます

    少年事件は「全件送致主義」がとられているので、何かしらの非行行為があるのならば家庭裁判所への送致は避けられません。もし、事件が発生してごく早い段階であったり、被害者が捜査機関に届け出をする前であったりすれば、弁護士への相談によって事件化そのものが回避できる可能性があります。

  2. (2)捜査機関の不当な扱いに対する防御策をアドバイスできる

    警察・検察官の取り調べでは、少年であることの配慮はあるものの、基本的には犯罪を証明するための厳しい追及がおこなわれると覚悟しなければなりません。脅されることや、社会的な経験が乏しい子どもを誘導するような不当な取り調べがおこなわれる可能性もあるかもしれません。

    弁護士に相談すれば、捜査機関による不当な取り調べや身柄拘束における不当な処遇がないかをチェックし、状況に応じた適切な防御策をアドバイスできます

  3. (3)保護観察中の生活に向けたアドバイスやサポートが可能

    弁護士に相談すれば、家庭裁判所の手続きを進めるなかで、保護観察中の生活についてのアドバイスや諸手続きのサポートも事前に得られます。勝手な判断を下して順守事項に違反してしまうと「不良措置」となって所定の施設に留置されてしまうおそれがあるので、保護観察での生活も視野に入れて、家庭裁判所での手続きを進めていきましょう。

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5、まとめ

「保護観察処分」は、罪を犯した少年について、一定の順守事項を守ることを条件に社会生活のなかで更生を目指す処分です。少年院などの施設入所と比べれば軽い処分だといえますが、定期的な保護司との面接や無断転居の禁止など、不自由な生活を強いられるという厳しい面があることも無視してはいけません。

少年の性格や家庭環境、事件の内容などによりますが、状況次第では審判不開始や不処分といった決定のほうが適切なケースもあります。少年事件で子どもが捜査の対象として呼び出された、逮捕されたなどの状況があるなら、今すぐ弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

少年事件の解決は、ベリーベスト法律事務所におまかせください。経験豊富な弁護士が、事件化の回避や処分の軽減を目指して全力でサポートします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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