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弁護士コラム

2021年08月16日
  • 薬物事件
  • 大麻取締法違反

大麻取締法違反とは? 初犯でも実刑になる可能性はあるのか

大麻取締法違反とは? 初犯でも実刑になる可能性はあるのか
大麻取締法違反とは? 初犯でも実刑になる可能性はあるのか

「大麻」の所持や譲渡・譲受などは「大麻取締法」によって厳しく規制されています。令和2年版の犯罪白書によると、令和元年中に検挙された薬物犯罪のうち大麻取締法違反は、もっとも多かった覚醒剤取締法違反に次ぐ33.0%を占めて第2位となりました。

例年、大麻取締法違反は検挙人員の構成比で第2位を維持していますが、平成25年ころからは次第に増加傾向をみせており、年少者の検挙事例も増えているため、全国の警察が取り締まりを強化している状況にあるのです。

本コラムでは、大麻取締法違反として警察に逮捕されるのはどのような場合か、法律の概要から現行犯逮捕・後日逮捕がなされるそれぞれのケース、逮捕されてしまった場合のその後の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、大麻取締法違反とは

まず、「大麻取締法」という法律の概要と、どのような行為が違反にあたるのかについて解説します。

  1. (1)「大麻」とは

    大麻取締法における「大麻」とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)およびその製品」をいいます。ただし、大麻草の熟成した茎及びその製品(樹脂を除きます)や大麻草の種子及びその製品は規制対象から除かれています。
    大麻に含まれているTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分は、服用すると脳に作用して幻覚・記憶障害・学習能力の低下などを引き起こす危険なものです。とくに大麻草の葉や花穂、またはこれらを樹脂化・液体化させたものにはTHCが多く含まれており、タバコやアロマオイルと称して常用する中毒者が多数います。

    なお、大麻草の成熟した茎や種子には、THCはほとんど含まれていません。大麻取締法でも、成熟した茎や種子は、樹脂化したものを除いて規制対象外とされています。

  2. (2)「大麻取締法」に違反する行為

    大麻取締法第2条は、「大麻取扱者」と「大麻研究者」を「大麻取扱者」と定義しています。「大麻栽培者」とは都道府県知事の免許を受けて、繊維や種子を採取する目的で大麻を栽培する者をいいます。また、「大麻研究者」とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻を栽培し又は大麻を使用する者をいいます。
    そして、同法第3条では、大麻取扱者ではない者による次の行為が禁止されているのです


    • 所持
    • 栽培
    • 譲り受け
    • 譲り渡し
    • 研究のための使用


    大麻取扱者であっても、所持の目的外での使用は違法となります。

    また、同法第4条に掲げられている4つの行為は、大麻取扱者であっても違法となるのです


    • 大麻の輸入・輸出(厚生労働大臣の許可を受けた大麻研究者を除く)
    • 大麻から製造された医薬品の施用、または施用のための交付
    • 大麻から製造された医薬品の施用を受ける
    • 大麻に関する広告(医事・薬事・自然科学に関する医療関係者向けの新聞・雑誌などを除く)
  3. (3)大麻取締法違反の成立要件

    大麻取締法違反が成立するかどうかは個別の行為を検討する必要がありますが、ここでは、とくに成立件数の多い「所持」の罪が成立する要件について解説します。

    法律のうえでは、「所持」とは、「法律上・事実上の実力支配関係を有すること」を指します。直接手にもっているだけでなく、自宅や車に保管する、知人に預けているケースなども「所持」に含まれるのです

    また、「所持」による罪が成立するためには、大麻取締法違反の行為をする認識(故意)も必要とされます。「自分が知らない間に、車や荷物のなかに大麻を入れられていた」といったケースでは故意が存在しないので、大麻取締法違反は成立しないのです。

  4. (4)「使用」が処罰の対象になっていない理由

    大麻取締法では、ほかの規制薬物では禁止されている「使用」が禁止行為に掲げられていません。規制対象となっている葉や花穂だけでなく、規制対象外の成熟した茎・種子にも微量のTHCが含有されているために、香辛料などとして摂取したとしても判別できないことが理由ともいわれています。

    つまり、法律上で大麻の使用が禁止されていないからといって、「大麻は使用しても有毒ではない」「使用は合法だから問題ない」ということにはならないのです。また、使用するためには所持や譲り受けが前提となることが多いため、使用が発覚すれば厳しい追及を受けることになり、結局は「所持」などの理由で検挙される可能性が高いでしょう。

    さらに、令和3年6月には、厚生労働省の検討会で大麻取締法に「使用罪」を創設することが議論され、報告書が取りまとめられたとも報じられています。今後は、大麻取締法が改正されて使用も処罰の対象となる可能性もあるので、注意が必要です。

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2、大麻取締法違反で逮捕のケース

大麻取締法違反が発覚すると、刑事事件の被疑者として逮捕されるおそれがあります。
逮捕されるパターンとしては、おもに「現行犯逮捕」と「通常逮捕(後日逮捕)」の二つが考えられます。

  1. (1)現行犯逮捕されるケース

    「現行犯逮捕」とは、現に罪を行い、または行い終わった者の身柄を拘束する逮捕のことを指します。現行犯逮捕は、「まさに犯行を目撃している」という状況で行われるため、逮捕状の発付を必要としません。さらには、警察に限らず、目撃者や被害者といった私人でも、現行犯逮捕をおこなうことが認められているのです。

    大麻取締法違反で現行犯逮捕されるもっとも典型的なケースは、「所持」です。街頭で警察官による職務質問を受けて、所持品や車内を検索された際に大麻を発見されてしまい、簡易検査によって大麻と判別されると、現行犯逮捕されることになるでしょう。
    同様に、譲渡・譲受の現場を取り押さえられた、幻覚症状で動けなくなっているところを警察官に保護されたといった状況でも、やはり、現行犯逮捕をされる危険性は高いのです。

  2. (2)通常逮捕(後日逮捕)されるケース

    「通常逮捕」とは、あらかじめ裁判官から発付を受けた逮捕状に基づいて身柄を拘束する逮捕のことを指します。犯行の後日に逮捕されることから、「後日逮捕」と呼ばれることもあります。

    通常逮捕は、日本国憲法が定める令状主義にしたがった、原則的な逮捕です。事前に裁判官から逮捕の理由や必要性の審査を受けたうえで許可を得る厳格な手続きが必要とされるため、警察官・検察官・検察事務官といった捜査機関の捜査員でなければ執行することができません

    「すでに大麻所持で逮捕された被疑者からの情報で譲渡・売却した人物が判明した」「大麻を販売しているグループが判明して栽培が疑われるアジトも突き止められた」といったケースでは、逮捕状を携えた捜査員が自宅などに訪ねてきて、通常逮捕されることになるでしょう。

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3、逮捕後の流れ

もし大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまった場合の、逮捕後の刑事手続きの流れについて解説します。

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束

    警察に逮捕されると、ただちに身柄を拘束されて自由な行動や連絡が制限されます。警察署の留置場に身柄を置かれながら、取調官によって厳しく事実を追及されることになるでしょう。
    逮捕から48時間が経過するまでに、被疑者の身柄は検察官へと引き継がれます。この手続きを「送致」といいますが、テレビニュースなどでは「送検」と表現されることが一般的です。

    送致を受けた検察官は、さらに被疑者を取り調べたうえで、24時間以内に勾留を請求するか、起訴するか、または釈放しなければなりません。裁判官が勾留を認めた場合には、原則10日間、延長によってさらに10日間、合計で20日間までの勾留がつづくのです

  2. (2)起訴・不起訴の判断

    検察官は、これまでの捜査結果をふまえて勾留が満期を迎える日までに被疑者を起訴するか、不起訴とするかを判断します。刑事裁判で罪を問うべきと判断すれば起訴がされて、刑事裁判へと移行します。起訴された段階から、被疑者は被告人となり、保釈が認められない限りはさらに勾留が続くのです。

    一方で、検察官が不起訴とした場合には、刑事裁判は開かれません。不起訴処分が下されると被疑者はただちに釈放されます

  3. (3)刑事裁判

    刑事裁判では、検察官・弁護人がそれぞれ提出した証拠を裁判官が取り調べたうえで、被告人や証人への尋問を経て、有罪・無罪の判決が下されます。有罪となった場合は、さらに法律が定める範囲内で量刑が言い渡されて、期限内に控訴しなければ刑が確定するのです。

  4. (4)未成年が逮捕された場合の流れ

    事件を起こした当事者が未成年者の場合には、年齢が14歳未満か、14歳以上かで扱いが異なります。

    14歳未満の未成年者は法律上では「触法少年」として扱われて、刑事責任を問われません。刑法第41条の規定により「14歳に満たない者の行為は罰しない」とされているため逮捕されることもなく、原則として、少年に関する調査がなされたうえで児童福祉法に基づく処置がおこなわれます。

    14歳以上で、逃亡・証拠隠滅を図るおそれがあるといった逮捕の必要性が認められる場合は、成人と同様に逮捕されます。逮捕・送致・勾留までの流れは成人と同じですが、検察官に起訴・不起訴といった処分を下す権限はないために、すべて家庭裁判所へと送致されることになります。

    家庭裁判所は調査・審判を経て少年の処遇を決定します。その後、「少年院送致」・「児童自立支援施設または児童養護施設送致」・「保護観察」・「都道府県知事または児童相談所長送致」といった処分が下されることになります

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4、大麻取締法違反の刑罰

大麻取締法に違反した場合、どのような刑罰が下されるのでしょうか?

  1. (1)大麻取締法違反の法定刑

    大麻取締法違反の法定刑は、禁止されている行為の形態や目的によって区別されます。


    • 所持・譲り受け・譲り渡しの場合
      5年以下の懲役(第24条の2第1項)

    • 営利目的での所持・譲り受け・譲り渡しの場合
      7年以下の懲役または7年以下の懲役および200万円以下の罰金の併科(第24条の2第2項)

    • 栽培・輸入・輸出した場合
      7年以下の懲役(第24条1項)

    • 営利目的で栽培・輸入・輸出した場合
      10年以下の懲役または10年以下の懲役および300万円以下の罰金を併科(第24条2項)


    大麻取締法に違反して有罪になると必ず懲役となり、さらに営利目的で情状面に不利な点がある場合には、懲役と罰金の両方が科せられます。
    どの罰条が適用された場合でも「罰金のみ」で済まされることはないため、厳しい刑罰が規定されている犯罪なのです

    なお、いずれの違反形態であっても、「未遂」も罰せられます。

  2. (2)実際に下される量刑の判断基準

    大麻取締法違反の被告人として刑事裁判で罪を問われた場合には、法定刑の範囲内で刑罰が言い渡されます。ここで言い渡される実際の刑罰を「量刑」といい、さまざまな事情や要素を考慮して裁判官が決定するのです。

    大麻取締法違反における量刑判断で考慮されるのは、次のような点になります。


    • 扱った大麻の量
    • 本人の反省の深さ
    • 禁止行為に至った経緯や背景
    • 大麻との親和性の高さ
    • 薬物犯罪の前科・前歴の有無
    • 営利目的の有無、あればこれまでの収益の多さ
    • 他人を大麻に誘引した事実の有無
    • カウンセリングの受診など、再犯防止への取り組み
    • 家族の監督体制


    とくに実際の刑事裁判で重視されるのが、「大麻との親和性」です。大麻との親和性とは、大麻使用に抵抗がない、大麻使用が常態化している環境下にあるといった事情を指します。大麻との親和性が高いと、裁判官に「再犯の危険が高い」と判断されやすくなります

    厳しい刑罰を避けるためには、大麻そのものや大麻使用を好む仲間との決別のほか、薬物依存を断ち切るためのカウンセリング受診や自助グループへの参加、家族による監督体制の強化といった有利な情状を整えることも必要となるでしょう。

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5、初犯でも実刑になる?

大麻取締法違反の容疑をかけられている立場の方であれば、「どの程度の量刑が言い渡されるのか」が気になるところでしょう。とくに、これまでに刑罰を受けたことのない初犯の方であれば、「刑務所に収監されてしまうだろうか?」と強い不安を感じるはずです。

  1. (1)初犯で実刑になる割合は高くない

    裁判所の司法統計によると、令和元(平成31)年中に大麻取締法違反で懲役刑を受けたのは1778人でした。懲役刑となった1778人のうち、実刑判決が下されたのは250人で、残り1528人には執行猶予つきの判決が下されています。実刑判決が下された人の割合は約14.0%で、大多数の被告人には執行猶予が付されているということになります。

    この割合は、大麻取締法違反で有罪判決を受けて懲役が言い渡された人の総数であり、初犯の方だけを対象としたものではありません。あくまでも参考的な数値ではありますが、初犯であることは刑事裁判において有利な情状として評価されるため、実刑判決が言い渡されるおそれは低いと判断できるでしょう。

  2. (2)不起訴になりやすいケース

    検察官が不起訴と判断すれば、刑事裁判には発展しないため、刑罰を受けることも前科がつくこともありません。検察官が不起訴を下す理由にはさまざまな理由がありますが、おおむね次の3つのうちのいずれかに当てはまります。


    • 嫌疑なし
      明らかに犯人ではない、または犯罪を認定する証拠が存在しない場合

    • 嫌疑不十分
      犯人である容疑は残るものの、有罪判決を得るだけの証拠が足りない場合

    • 起訴猶予
      犯人であることは明白で、有罪判決を得るだけの証拠がそろっているものの、さまざまな事情からあえて起訴を見送る場合


    たとえば、捜査の結果から「荷物のなかに何者かが無断で大麻をしのばせた」といった事実が明らかになれば「嫌疑なし」となり、大麻所持の疑いがあるものの故意を証明する証拠が足りなければ「嫌疑不十分」となる可能性が高いでしょう。
    また、所持していた大麻がごく微量で、悪質性も認められない場合は、本人の深い反省や再犯防止対策の徹底などが認められて「起訴猶予」となる可能性があります。

  3. (3)実刑になりやすいケース

    たとえ初犯でも、「営利目的で大麻を大量に所持していた」「すでに多数の人物に大麻を売却・譲渡しており、大麻のまん延に重大な影響を与えた」といった事情があれば、実刑判決を受けるおそれが高まります。

    大麻取締法違反に問われるのが初めてでも、以前に覚醒剤取締法や薬機法(正しくは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)違反の前科がある場合には、違法薬物との親和性が高く再犯のおそれが高いと判断され、厳しい判決が予想されます

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6、まとめ

法律によって免許を受けている者以外が大麻を所持・栽培・譲り受け・譲り渡しなどをはたらくと、大麻取締法違反の容疑で逮捕されてしまうおそれがあります。大麻取締法違反の罰則は懲役または懲役と罰金の併科であり、罰金だけで済まされることはありません。
初犯の場合には実刑判決が言い渡される割合は決して高くないものの、営利目的などのケースでは悪質性が高いと判断されて、初犯でも実刑判決を受けてしまう危険性が高まります。

大麻取締法違反で厳しい刑罰を回避するためには、深い反省を表明して、再犯防止対策の徹底を尽くすことが必要になります。家族が大麻の所持などで逮捕されてしまったら、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。薬物事犯を含めた刑事事件の豊富な解決実績をもつ弁護士が、厳しい刑罰の回避に向けて、全力でサポートいたします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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