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弁護士コラム

2021年07月29日
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刑罰の種類には何がある? 執行猶予や前科回避に向けた弁護士の役割とは

刑罰の種類には何がある? 執行猶予や前科回避に向けた弁護士の役割とは
刑罰の種類には何がある? 執行猶予や前科回避に向けた弁護士の役割とは

罪を犯した人やその家族にとって、「有罪になるとどのような刑罰を受けるのか?」は、非常に気になるところでしょう。日本の司法における起訴後の有罪率は99%以上なので、もし起訴されて有罪判決を受ければ、刑罰を受けることになります。

刑罰といえば、死刑や懲役、罰金は聞いたことがある方も多いはずですが、このほかに禁錮や拘留、科料といった刑罰も存在します。しかし、それぞれの刑罰について、具体的にどのような内容なのかまでご存知の方は多くないと思います。

本コラムでは刑罰の種類について解説するとともに、執行猶予付き判決や前科が付くことの回避に向けて弁護士が担う役割についても見ていきます。

1、刑罰とは? どんな種類がある?

刑罰とは、刑事裁判で有罪判決を受けたことにより罪を犯したと認定された人に与える制裁のことです。刑罰は、何に対して不利益を与えるのかによって、「生命刑」「自由刑」「財産刑」に分類されます。

  1. (1)生命刑

    人の生命を奪う刑罰を「生命刑」といいます。生命刑は「死刑」のみです(刑法第11条)。日本の死刑は絞首の方法で執行されます。死刑は法務大臣の命令により執行され、命令から5日以内に執行しなければなりません(刑事訴訟法第475条、第476条)。

  2. (2)自由刑

    受刑者を拘禁して自由を大きく奪う刑を「自由刑」といいます。自由刑には「懲役」「禁錮」「拘留」があります

    懲役とは、刑事施設に拘置して刑務作業に従事させる刑のことです(刑法第12条)。期間の定めのない無期懲役と、1か月以上20年以下の範囲で期間を定める有期懲役があります。ただし、死刑または無期懲役の刑を減軽して有期懲役にする場合や、有期懲役を加重する場合の上限は30年となります(同第14条)。

    禁錮とは、刑事施設に拘置する刑のことです(同第13条)。無期禁錮と有期禁錮があり、有期禁錮の最長が30年になるのは懲役と同じです。ただし、懲役と違い、強制的な刑務作業はありません。

    拘留とは、1日以上30日未満の期間を定め、刑事施設に拘置する刑です(同第16条)。強制の刑務作業がない点は禁錮と同じですが、懲役と禁錮には執行猶予が付く場合があるのに対し、拘留に執行猶予は付きません。

    なお、同じく「こうりゅう」と読む「勾留」がありますが、これは判決を受ける前段階にある被疑者や被告人について、逃亡や証拠隠滅を防ぐために身体を拘束する手続きを指します。勾留は刑罰ではなく、刑罰である拘留とは全く別のものです。

  3. (3)財産刑

    財産を剝奪する刑を「財産刑」といいます。財産刑は「罰金」と「科料」のほか、付加刑である「没収」も財産刑に含まれます

    罰金とは、1万円以上の金銭を徴収する刑のことです(刑法第15条)。罰金は、違反者だけでなく、違反者の所属する法人にも合わせて科すことがあります。たとえば労働基準法違反や独占禁止法違反などで定められています。

    科料とは、1000円以上1万円未満の金銭を徴収する刑のことです(同第17条)。科料と混同しやすい言葉に、同じく「かりょう」と読む「過料」がありますが、これは行政罰であって刑罰ではありません。過料を科されても前科が付きませんが、科料の場合は前科が付いてしまいます。両者を使い分けるため、科料を「とがりょう」、過料を「あやまちりょう」と便宜的にいうこともあります。

    なお、罪を犯した人が罰金や科料を納付することができない場合には、一定期間、労役場に留置されることになります(同第18条)。留置期間は、罰金が1日以上2年以内、科料は1日以上30日以内であり、刑の言渡しのときに具体的な留置の期間が定められます。

    没収とは、犯罪行為に不可欠の物や犯罪行為によって得た物など、犯罪に関係する物の所有権を剝奪して国庫に帰属させる刑罰です(同第19条)。

    なお、一定の没収すべき物が没収できない場合に、没収する代わりに一定の金銭を国庫に納付させることができ、これを追徴といいます(同第19条の2)。没収すべき物が没収できないということは、罪を犯した人にその分利益が残存しているということになりますので、一定の金銭を納付させることにより違法な利益を残さないようにしています。

    ほかの刑罰が「主刑」であるのに対し、没収は「付加刑」と呼ばれる刑です。主刑は単体で科すことができる刑罰ですが、付加刑は主刑に付加してのみ科すことができる刑罰になりますので、付加刑を単体で科すことはできません。

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2、執行猶予の獲得や前科回避に向けた弁護士の働き

罪を犯した人に対し、起訴するかどうかの判断は検察官が行い、起訴後、有罪の場合にどのような刑罰を科すのか(量刑)を裁判官が判決で下します。起訴時の判断においては検察官が、判決時の判断においては裁判官(裁判員裁判対象事件の場合には、裁判員も)が、それぞれ犯行の動機、犯行態様の悪質性や結果の重大性、被害弁済や示談の有無、再犯のおそれなどさまざまな事情をもとに総合的に判断します。

  1. (1)執行猶予の獲得を目指す

    執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予し、その間に再び罪を犯すことなく執行猶予期間が経過した場合に、刑罰権を消滅させることをいいます(刑法第25条)。

    前科は付きますが、直ちには刑務所に収監されないため、判決後早期の社会復帰ができるという特徴があります。執行猶予が付される可能性があるのは、3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金の言い渡しを受け、被告人にとって酌むべき事情が認められた場合です。

    このほかに、一部執行猶予という制度もあります。一部執行猶予とは、まず執行が猶予されなかった部分の期間を執行し、当該期間が終わった日から刑の執行を一定期間猶予し、その間に再び罪を犯すことなく執行猶予期間が経過した場合に、刑の執行を受け終わったものとされます(同第27条の2)。

  2. (2)不起訴処分を獲得して前科が付くことの回避を目指す

    不起訴処分とは、起訴しないこと、つまり刑事裁判にかけない処分を意味します。刑罰を科されることがないため、前科も付きません

    不起訴処分にはいくつかの種類がありますが、罪を犯したことが事実であれば「起訴猶予」を目指すべきです。起訴猶予とは、裁判で犯罪を証明できるだけの証拠があるが、犯罪の軽重や犯罪後の状況などを考慮し、あえて起訴しないとする不起訴処分のことです。

  3. (3)重すぎる刑罰を回避するための弁護士の活動

    十分な弁護活動ができないことによる重すぎる刑罰を回避して、早期の社会復帰に向けて、弁護士は被疑者・被告人にとってなるべく有利となる事情を主張・立証していきます。

    有利な事情には「犯罪そのものに対する事情」と「犯罪発生後の事情」があります

    犯罪そのものに対する有利な事情は、動機や犯行態様が悪質ではないこと、被害が大きくないこと、計画性がないことなどです。弁護士が事件に関する情報の収集・精査を行い、被疑者・被告人にとって有利な事情を検察官や裁判官に対して説得的に主張します。

    犯罪発生後の有利な事情としては、本人が深く反省していること、被害弁済や示談が済んでいること、家族などの周りの方のサポートが期待できるなど再犯防止策を講じていることなどが挙げられます。弁護士は被害者との示談を成立させる、家族の監督体制を強化させるなどの活動を行い、これを検察官や裁判官に示します。

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3、まとめ

日本の刑罰は死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料および没収の7種類です。どの刑罰を科されるのかは犯した罪によって異なりますが、事実に反するような重すぎる刑罰を避けるには弁護士のサポートが欠かせません。弁護士の活動によっては執行猶予付き判決や、前科が付くことを回避できる不起訴処分になることも期待できるでしょう。

罪を犯してしまい、どのような刑罰を受けるのか不安に感じている方はベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事弁護の実績豊富な弁護士が全力でサポートします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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