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弁護士コラム

2022年01月27日
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法定刑より刑期が短くなるケース|未決勾留日数や仮釈放について解説

法定刑より刑期が短くなるケース|未決勾留日数や仮釈放について解説
法定刑より刑期が短くなるケース|未決勾留日数や仮釈放について解説

犯罪行為をして懲役刑が確定すると、裁判官に言い渡された期間は刑務所で服役しなければなりません。刑務所内での生活は不自由を強いられるため、少しでも刑期が短くならないかと考えるのは当然でしょう。

では、刑期が短くなるケースなど存在するのでしょうか。本コラムでは、懲役の刑期が短くなる可能性があるケースについて解説します。

1、刑期が短くなるケース

刑期とは一般に、懲役、禁錮および拘留の刑に服する期間のことを指します。実刑期間と言い換えることもできます。

裁判官が被告人に懲役などの刑を科すときは、判決で「被告人を懲役○年に処する」といった決まり文句を述べますが、次のようなケースでは、刑期が短くなるケースがあります。

  • 言い渡された刑期から勾留期間が差し引かれる「未決勾留日数の算入」
  • 刑期が満了する前に刑務所から出所する「仮釈放」


また、そもそも刑期は法定刑の範囲内で決定されますが、法定刑の下限よりも軽い刑が適用される場合があります。「刑の減軽」といい、「刑の減軽」があった場合には、比較的刑期が短くなることでしょう。

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2、懲役刑とは

刑期に関係する刑罰は自由刑といわれ、「懲役」「禁錮」「拘留」の3種類があります。この中でも、特によく耳にするのは「懲役」でしょう。本コラムでは懲役の刑期を中心に解説します。

  1. (1)懲役刑とは

    懲役刑とは、罪を犯した人の身柄を刑事施設に拘置し、刑務作業に従事させる刑のことです(刑法第12条)。

    日本の刑罰は「死刑」「懲役」「禁錮」「罰金」「拘留」「科料」の6種類を主刑とし、それ単独では科されない付加刑が「没収」と定められています(同第9条)。刑の軽重は第9条記載の順序のとおりなので、懲役は刑罰の中で2番目に重い刑であることが分かります。

    また、懲役刑は罪を犯した人の自由を剝奪する「自由刑」と呼ばれる刑罰にあたります。自由刑には、ほかに禁錮と拘留があり、懲役との主な違いは次のとおりです。

    ● 禁錮
    罪を犯した人の身柄を刑事施設に拘置する刑罰です。懲役と異なり、刑務作業に従事する義務はありません。無期禁錮と有期禁錮があります。

    ● 拘留
    1日以上30日未満の期間を定めて、罪を犯した人の身柄を刑事施設に拘置する刑罰です。無期刑は存在せず、刑務作業に従事する義務もありません。
  2. (2)懲役刑の種類

    懲役刑には、無期懲役と有期懲役があります。

    無期懲役とは期間の定めのない懲役刑のことです。生涯にわたって刑務所に収監される「終身刑」と混同されがちですが、日本に終身刑は存在しません。期間の定めがないので刑務所の中で生涯を終える受刑者もいますが、仮釈放制度が存在するため、必ずしも生涯にわたり刑務所から出所できないわけではありません。

    有期懲役とは、1か月以上20年以下の期間を定めた懲役刑のことです。ただし、有期懲役を加重する場合には最長で30年を科すことができます(刑法第14条2項)。

  3. (3)刑期は法定刑の範囲内で決まる

    法定刑とは、法律の条文に定められている刑罰のことです。

    たとえば強盗罪の条文には「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」と定められています(刑法第236条1項)。
    つまり、強盗罪の法定刑は、5年以上20年以下の有期懲役です。

    実際に何年の懲役になるのかは、法定刑の範囲内で裁判官が決定します。

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3、刑の減軽|裁判で検討される

裁判官が刑期を決定する際、原則として法定刑の下限よりも短い刑期にすることはできません。強盗罪の例でいうと、法定刑の下限は5年の懲役なので、刑期が5年よりも短くなることはないわけです。

ただし、法律では「刑の減軽」が認められているため、一定のケースでは法定刑の下限より刑期が短くなる場合があります。該当すると必ず刑が減軽される必要的減軽事由と、裁判官の任意で減軽される任意的減軽事由がありますが、減軽事由として主に適用が考えられるのは次のとおりです。

  • 過剰防衛(刑法第36条2項)
  • 過剰避難(刑法第37条1項 本規定だけ減免事由とされています。)
  • 心神耗弱(刑法第39条2項)
  • 自首(刑法第42条)
  • 未遂犯(刑法第43条)
  • 従犯(刑法第63条)


また、このほかにも、法律上の減刑事由として刑法第38条3項ただし書きが存在しますが、めったに適用される法律ではないので、それほど気にする必要はないと思われます。
さらに、法律上の減軽事由にはあたらないものの、裁判官は犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに刑を減軽することができます。「酌量減軽」といい、この場合にも法定刑より刑期が短くなる可能性があります(刑法第66条)。

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4、未決勾留日数の算入|裁判所の裁量で決まる

刑事裁判の判決では裁判官が「未決勾留日数中○○日を本刑に算入する」と述べる場合があります。未決勾留日数の算入といい、これも結果的に刑期が短くなる仕組みのひとつです。

  1. (1)未決勾留とは

    未決勾留とは、犯罪の疑いをかけられた者が刑事裁判で判決が言い渡されるまでのあいだ、刑事施設に勾留されている状態をいいます。未決勾留日数とは、この状態にかかる日数のことです。

  2. (2)未決勾留日数の算入とは

    刑法第21条では「未決勾留の日数は、その全部または一部を本刑に算入することができる」と定められています。これを未決勾留日数の算入といい、起訴後の勾留期間のうち、裁判の準備のために通常必要とされる期間を超える期間が、実刑期間から差し引かれます。

    未決勾留日数のうち実際に何日が実刑期間から差し引かれるのかは、裁判官の裁量によって決定されます。また算入できるのは未決勾留日数の「全部または一部」なので、必ず全部を算入しなければならないわけではありません。

    実際に、令和3年6月に参院選を巡る買収事件の裁判では、元衆議院議員に実刑判決が言い渡されましたが、未決勾留日数の算入が認められなかったと報じられました。

    ただし、次の期間については法律で必ず差し引かれます(刑事訴訟法第495条)。

    • 上訴提起期間中の未決勾留日数
    • 上訴申立後の未決勾留日数については次のいずれかに該当する場合
      ・検察官が上訴を申し立てたとき
      ・検察官以外が上訴を申し立てた場合においてその上訴審で原判決が破棄されたとき
  3. (3)未決勾留期間が算入されると、結果的に刑期が短くなる

    未決勾留日数が算入されると、その日数分だけ刑が執行されたものとみなされるため、実質的に刑期が短くなります。たとえば懲役3年の実刑判決で未決勾留期間が90日だった場合、3か月は服役したものとみなされるため、実際に服役する期間は2年9か月となります。

    なお、未決勾留日数に算入されるのは起訴後の勾留期間のみです。起訴前の勾留期間は算入されません。起訴前の勾留期間は捜査のために必要な期間と解されるからです。

    また、起訴後には「保釈」が認められる場合がありますが、保釈期間中も算入されません。保釈は一時的とはいえ身柄が釈放されて自由な生活が許される期間であり、勾留されていたわけではないからです。

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5、仮釈放|服役時の態度が考慮される

懲役の実刑判決を受けると、言い渡された期間は刑務所で服役することになりますが、「仮釈放」が認められた場合には刑期のすべてを終える前に刑務所から出所することができます。

  1. (1)仮釈放とは

    仮釈放とは、懲役または禁錮の受刑者に改悛(かいしゅん)の情があるときに、行政官庁の処分によって『仮に』釈放することができる制度をいいます。

    服役中の態度から反省・更生が認められる受刑者については、早めに刑務所から出所させることで円滑な更生につながる場合があるため設けられている制度です。

  2. (2)仮釈放の要件

    仮釈放の要件は、刑法第28条において規定されています。

    • 受刑者に改悛の状があること
    • 有期刑については刑期の3分の1を経過したこと
    • 無期刑については10年を経過した後


    仮釈放許可の基準は、「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則」第28条で次のとおり定められています。

    • 悔悟の情および改善更生の意欲があること
    • 再び犯罪をするおそれがないこと
    • 保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められること
    • 社会の感情が仮釈放を是認すると認められること


    また、法律上の規定にはありませんが、更生のためには仮釈放後に安定した生活を送ることが不可欠なので、適切な身元引受人がいることも必要であるといわれています。また、本人に仮釈放の希望があることも前提となります。

    仮釈放を認めるかどうかを決めるのは刑務所ではなく、地方更生保護委員会です
    地方更生保護委員会は、刑事施設の長からの申し出、または自らの判断にもとづいて審理を開始し、受刑者との面接や被害者・遺族、検察官などにも意見を聞くなどして判断します。

  3. (3)仮釈放は取り消される場合がある

    仮釈放されると保護観察が付されるため、仮釈放中は保護観察官や保護司に生活状況を報告しながら、保護観察の順守事項を守って生活します。

    『仮』とあるように、条件付きでの釈放となるため、仮釈放中に犯罪行為をした場合や順守事項に違反した場合などは、仮釈放が取り消されてしまうおそれがあります(刑法第29条)。仮釈放が取り消されると、再び刑務所に収監され、残りの刑期を過ごさなければなりません。

  4. (4)仮釈放の実態

    令和元年版犯罪白書によると、平成期における『仮釈放率』はおおむね50%~60%で推移しており、平成30年の仮釈放率は58.5%でした。

    また、刑期に対して出所するまでの執行期間の比率を示す『刑の執行率』をみると、平成30年に刑の執行率が70%未満で釈放されたのは1.4%、80%未満が19.6%、90%未満が45.9%、90%以上が33.1%です。
    有期刑の場合、刑期の3分の1が経過すれば法律上は仮釈放される可能性がありますが、実際にはそのような段階で仮釈放されるケースはほぼないといえるでしょう。

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6、まとめ

刑事事件で懲役の実刑判決を受けると、刑期が満了するまで刑務所で服役することになりますが、未決勾留日数の算入や仮釈放により実際に服役する期間が短くなる場合があります。また、刑の減軽により、法定刑の下限よりも短い刑期が言い渡されることもあり得るでしょう。
しかし、いずれの場合も必ず刑期が短くなるわけではなく、弁護活動や身元引受人の準備などが必要です。

自分や家族が罪を犯してしまい、刑事罰に問われるおそれがある場合は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所へご相談ください。弁護士、スタッフが一丸となり、事件解決まで、しっかりとサポートします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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