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弁護士コラム

2019年09月24日
  • 財産事件
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誤認による窃盗容疑をかけられた! 逮捕される? 最善の対処法とは

誤認による窃盗容疑をかけられた! 逮捕される? 最善の対処法とは
誤認による窃盗容疑をかけられた! 逮捕される? 最善の対処法とは

犯罪白書によれば、平成29年における窃盗罪の認知件数は65万件以上と、窃盗は数ある刑法犯の中でも飛び抜けて多い犯罪です。身近な場所で起こり得る犯罪なだけに、やってもいない窃盗の容疑をかけられてしまう可能性はゼロではありません。

身内が窃盗の容疑をかけられてしまったとき、家族として何をするべきか、本人がこれからどのような捜査を受けるのか、不安でたまらない気持ちになるでしょう。本人が事実を否定していても、厳しい取り調べを受けて罪を認めてしまう可能性があります。

今回は、身内が誤認による窃盗の容疑をかけられてしまった方へ、今後どのように事情聴取や家宅捜索が行われるのか、どのような対策を講じるべきかについて解説します。

1、窃盗罪とはどういった犯罪なのか

刑法第235条によれば、窃盗とは「他人の財物を窃取」する行為をいいます。「他人の財物を窃取」とは簡単にいうと、他人が占有している財産的価値がある物を、自分の物にして自由に利用・処分してやろうという意志をもって盗みとることです。犯行内容によって、空き巣や万引き、自転車盗、車上荒らしなどさまざまな呼び方がありますが、いずれも「窃盗」となり得ます。

窃盗罪で逮捕・起訴され有罪になると、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。量刑の軽重は、この法定刑の範囲内において、窃盗事件における被害の大きさ、行為の悪質性などに左右されます。

たとえば、数百円のお菓子を盗むよりも数百万円の貴金属を盗んだというケースのほうが、盗まれた人の損害は大きくなると考えられます。したがって、より重い罰を科される可能性が高まるといえるでしょう。また、被害額が少なかったとしても、計画性が高く共犯者がいる場合、同様の犯行を複数行っていた場合などには、悪質性が高いとみなされやすくなります。

なお、窃盗罪の公訴時効は犯罪行為が終わったときから7年です(刑事訴訟法第250条2項4号)。容疑をかけられている事件から7年が経過していないのなら、時効を主張することはできません。

身内が窃盗犯として容疑をかけられているということは、今後、取り調べや家宅捜索を受け、逮捕されるおそれが生じていることを意味します。窃盗容疑が誤認の可能性があり、本人が否定しているのであれば、ご家族としてはそれを信じたいと考えることは自然なことです。しかし、事実ではないのだからといって放置してしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。たとえ窃盗容疑が誤認であっても、しかるべき対策を講じる必要があります。

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2、窃盗容疑者に対して行われる取り調べとは

窃盗容疑をかけられると、次のいずれかのパターンで取り調べを受けます。

  • 現行犯逮捕、緊急逮捕や逮捕令状による通常逮捕の後、取り調べを受ける
  • 任意の事情聴取を求められ、警察署へ出向いて取り調べを受ける
  • 在宅事件として扱われ、捜査機関の求めに応じてその都度取り調べを受ける


任意の取り調べであっても、取り調べの後に逮捕されることはありますし、逮捕後に否認を続けることで身柄拘束期間が長引くおそれもあります。また在宅事件の場合、身柄を拘束されない点は利点ですが、長い間捜査対象となってしまい、心身の負担が大きくなりやすいという難点があります。

いずれのパターンでも、取り調べがなされる以上は、本人は窃盗の犯人だと疑われているということを覚えておく必要があります。

取り調べに際してやってもいないことを自白してしまえば、その供述が証拠として採用され、起訴されてしまう可能性は否定できません。

起訴されると無罪になる確率は極めて低いものです。厳しい取り調べに対する精神的なストレスが原因だったとしても、根拠のない自白はなんとしても避けなければなりません。窃盗するつもりはなく単に荷物を預かっていた、窃盗品だと知らずに人から購入したなど、窃盗の故意がなかったことを示す事情があれば、その旨をしっかりと主張するべきです。

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3、窃盗容疑者に対して行われる家宅捜索とは

犯罪の容疑がかけられると、捜査の一環として家宅捜索が行われる場合があります。

窃盗事件においては、窃盗を犯した証拠となり得る物を捜索し、それを差し押さえるために行われます。これらの証拠が見つかれば、容疑をかけられた本人は逮捕されてしまう可能性があるでしょう。

窃盗事件の証拠とは、たとえば、被害品、事件現場の下調べを行っていた履歴、窃盗に使用されたと思われる道具などが挙げられます。

自宅を捜索される場合には容疑をかけられた本人の部屋のみならず、ご家族の部屋やたまたま訪れていた友人の手荷物なども捜索される可能性があります。家宅捜索が行われる時間は、実施にあたって住居主などの立ち会いが必要ですので、容疑者本人やご家族が自宅にいる時間に行われることが多くなります。

ただし、本人やご家族に対する事前連絡はありません。事前に知らせれば証拠になりそうな物を破棄、隠匿される可能性が高いからです。

家宅捜索を行うためには「捜索差押許可状」という、裁判官が発付する令状が必要です。原則として令状がなければ家宅捜索をされる根拠はありませんが、令状がある以上は窃盗の容疑者として疑いをかけられていることを意味しています。

家宅捜索は令状による強制処分なのでこれを拒否することはできず、拒否や妨害をすれば公務執行妨害罪に問われてしまうおそれがあります。

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4、誤認でも窃盗容疑がかけられるとどうなるのか

窃盗を犯した事実があれば罪を認めて反省することが大切ですが、本人が否認している以上、ご家族としても誤った容疑に違いないと考えるでしょう。しかし、捜査機関は何らかの根拠によって窃盗の容疑をかけています。したがって、これを覆すことは簡単ではありません。

たとえ誤認であっても、犯罪の容疑をかけられているという事実は、本人やご家族にとって多数のデメリットが存在します。まず、本人やご家族は逮捕のリスクに不安を感じながら生活しなければなりません。証拠の押収のために家宅捜索されれば、部屋や持ち物を捜索され、不快な思いをしたり、ご近所の目が気になったりするでしょう。

また、万が一逮捕されるようなことがあれば、仕事や学校に行くことができず、日常生活に多大な影響をおよぼします。逮捕から身柄の拘束を受ければ、起訴か不起訴かが決定するまでは最長で23日も帰宅できないという事態に陥ります。その間に何の対策も講じなければ、解雇や退学、減給処分など、厳しい処分を受けてしまうおそれも生じるでしょう。

逮捕後の取り調べに際して窃盗を認めるような供述をすれば、起訴され有罪判決が下される可能性すらあります。このような事態を回避するためには、窃盗の容疑を一貫して否認するとともに、刑事弁護の経験が豊富な弁護士のサポートを受けることが、もっとも望ましい方法です。

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5、窃盗の容疑がかかったときにはいち早く弁護士に相談を

窃盗の容疑をかけられたときに弁護士へ相談するタイミングとしては、できるだけ早く、取り調べや家宅捜索が行われる前の段階がよいでしょう。

そのうえで事件に関する事実について弁護士と情報を共有しておくと、次のようなメリットがあります。

  1. (1)取り調べや家宅捜索の対応について

    弁護士に相談することで、取り調べにどのように対応するべきか、専門的な知見からアドバイスを受けられます。これによって、本人が自分に不利になる供述をすることを回避できます。

    任意の事情聴取にも弁護士が同行し、本人をフォローしてもらうこともできますので、同じく不利な供述による逮捕を防ぐことが可能となります。また、家宅捜索の際、弁護士に住居主の代理人として立ち会ってもらい、行き過ぎた捜査があれば異議を唱えてもらうことも可能です。

    家宅捜索をむやみに妨害して逮捕されないように、適切な対応についてアドバイスをしてもらうことも可能です。

  2. (2)長期勾留を回避し日常生活を守る

    弁護士は捜査機関に対し、容疑における矛盾を追及し、捜査や勾留の違法性を主張します。これによって長期勾留を回避し、また会社や学校への連絡をしないようにはたらきかけることで、日常生活への影響が最小限に抑えられます。

    会社や学校に事件の事実が知られたとしても、弁護士が事件の見通しを説明するなど、不当な処分をしないよう説得することもできるので、会社や学校からの厳しい処分の回避が期待できます。

    万が一起訴されてしまっても、弁護士は無罪の証拠を示すなどし、不当な有罪判決を防ぐために最後まで弁護活動を行います。

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6、まとめ

今回は、身内が窃盗の誤った容疑をかけられてしまった方へ向けて、窃盗罪の概要や今後行われる取り調べ、家宅捜索などについて解説しました。

やってもいない犯罪の容疑をかけられることは、本人やご家族にとって耐え難い苦痛であるはずです。しかし、たとえ捜査機関の誤認によるものだったとしても、しっかりと対処しなければ日常生活への影響は免れず、また窃盗の罪で罰を受けてしまうおそれもあります。容疑をかけられてしまったのであれば、速やかに弁護士へ相談し、適切な対応を求めましょう。

ベリーベスト法律事務所でもご相談をお受けします。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が全力でサポートいたしますので、できる限り早い段階でご連絡ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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