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弁護士コラム

2021年06月15日
  • 財産事件
  • オレオレ詐欺

家族がオレオレ詐欺で逮捕! 身柄解放について弁護士に相談できる?

家族がオレオレ詐欺で逮捕! 身柄解放について弁護士に相談できる?
家族がオレオレ詐欺で逮捕! 身柄解放について弁護士に相談できる?

「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺に対する社会の目は、年々厳しくなっており、司法の判断も厳罰化傾向にあります。

たとえ、詐欺であることを明確には知らずにアルバイト感覚で詐欺に加担した受け子や出し子であっても、逮捕・起訴されて、裁判において実刑判決となれば刑務所に収容される犯罪です。未成年であっても、少年院に収容されるおそれがあります。

本コラムでは、オレオレ詐欺で逮捕されてしまった場合に、問われる罪や刑罰の重さ、量刑が判断される基準、逮捕前後の流れ、逮捕されてしまった場合に家族が取るべき対応、早期の身柄解放や刑の軽減のために弁護士ができる活動などについて、わかりやすく解説します。

1、オレオレ詐欺で成立する犯罪

まずは、オレオレ詐欺の定義とオレオレ詐欺がどのような罪に問われるのかについて説明します。

  1. (1)オレオレ詐欺とは

    オレオレ詐欺は、特殊詐欺と呼ばれる詐欺手口のひとつです。特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして信頼させ、現金の受け取りや指定した預貯金口座への振り込みなどの方法により、不特定多数の者から現金などをだまし取る犯罪をいいます。

    オレオレ詐欺は、特殊詐欺の代表的な手口で、「親族や警察官、弁護士、会社の上司などをかたり、親族が起こした事件・事故に対する示談金などを名目に現金などをだまし取る」行為です。「振り込め詐欺」と呼ばれることもあります。

    オレオレ詐欺は、組織的に行われることが多く、複数の人物がそれぞれの役割を担っています。主な役割としては、次のようなものがあります。


    • 主犯格……詐欺の方法を計画するなど、グループ全体を指揮する
    • かけ子……親族などを装って、被害者に電話かけてだます
    • 受け子……現金やキャッシュカードなどを被害者から直接受け取る
    • 出し子……金融機関のATMに行き、現金を引き出す


    オレオレ詐欺に加担して刑事事件として立件された場合は、詐欺罪や組織的詐欺罪、窃盗罪が適用されることになります。

  2. (2)詐欺罪の成立要件

    詐欺罪は刑法246条に規定されている犯罪で、「人を欺いて財物を交付させた」場合に成立します

    詐欺罪の法定刑は、「1か月以上10年以下の懲役」です。罰金刑は定められておらず、執行猶予が付かなければ、刑務所に収容されることになります。

  3. (3)組織的詐欺罪の成立要件

    組織的詐欺罪とは、刑法ではなく「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織犯罪処罰法)」3条に規定されている詐欺罪に対する加重罰です。暴力団などの団体が組織的に詐欺を行った場合に適用されます。

    オレオレ詐欺を行った組織が、組織犯罪処罰法が規定する団体(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体)であるとみなされた場合には、組織的詐欺罪が適用される可能性があります。

    組織的詐欺罪の法定刑は通常の詐欺罪よりも重く、「1年以上の有期懲役」です。有期懲役の上限は20年なので、刑法の詐欺罪が適用されたときよりも重い懲役が科せられることがあるでしょう。

  4. (4)窃盗罪の成立要件

    窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪で、「他人の財物を窃取」した場合に成立します。

    窃盗罪が成立するのは、次の3つの要件を満たす場合です。


    • 窃取した財物が他人の占有する財物である
    • 不法領得の意思(他人の権利を排除して、財物を利用処分する意思)
    • 窃取の事実がある


    現金を引き出す役目の出し子には、詐欺罪ではなく、窃盗罪が適用されることが一般的ですただし、出し子であっても、詐欺行為についての関与や認識の度合いによっては、詐欺罪に問われる可能性は否定できません

    窃盗罪の法定刑は、「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

2、オレオレ詐欺の量刑判断

オレオレ詐欺の犯人として逮捕・起訴された場合には、裁判でどのような基準で量刑が判断されるのでしょうか。ここでは、オレオレ詐欺の量刑の判断基準について説明します。

  1. (1)量刑の判断基準

    オレオレ詐欺の量刑や刑罰は、主に次のような基準により、総合的に判断されます。


    • 詐欺グループにおける役割(中位以上か末端か、かけ子・受け子・出し子のどの役割なのか)
    • 事件の悪質性(被害金額の大きさ、被害者数、手口の内容)
    • 詐欺行為に対する認識
    • 初犯か再犯か累犯か
    • 被害者との示談が成立しているか
    • 反省しているか、再犯のおそれがあるか
    • 犯罪行為に至った事情
    • 本人の年齢
    • 親や配偶者などの監督者がいるか
  2. (2)初犯の場合

    初犯の場合は、詐欺罪で有罪となっても執行猶予となって、懲役刑を免れる可能性がありますたとえば、受け子などで逮捕された若者で、深く反省しており、被害額も少なく、親などの監督者がいれば、執行猶予付き判決が言い渡される可能性もあるでしょう

    未成年者の場合は刑事裁判ではなく少年審判で処分が決定するケースがほとんどです。初犯で反省していて、被害額が大きいものでなければ、保護観察処分に付される可能性があります。

    ただし、オレオレ詐欺などの特殊犯罪に対しては厳罰化の傾向にあり、初犯であっても、被害額が大きかったり、組織への関与度が高いなど悪質性が認められたりする場合には、懲役の実刑判決や少年院送致となるおそれがあります。

  3. (3)未遂の場合

    刑法250条では詐欺罪、刑法243条では窃盗罪について、「未遂は罰する」と規定していますつまり、詐欺や窃盗行為が未遂の場合でも、結果が発生していないからといって罪を免れることはできません

    ただし、量刑が判断される際には、刑法43条の未遂減免の規定により刑が減軽される可能性があり、また、自分の意思で犯罪を中止した場合には、必要的に減軽または免除されます。

3、逮捕の流れ

ここでは、オレオレ詐欺で逮捕された場合の流れについて説明します。

  1. (1)逮捕されるまでの流れ

    オレオレ詐欺で、詐欺罪または窃盗罪で逮捕される場合は、通常逮捕または現行犯逮捕となります。

    通常逮捕は、裁判所が発付した逮捕状を示して犯行の後日逮捕する手続きです。出し子は、金融機関の防犯カメラなどで身元を特定されて通常逮捕されるケースが多いでしょう。

    現行犯逮捕は、犯罪行為をしているときや犯罪を終えたばかりのときに、逮捕状なして逮捕する手続きです。詐欺だと気付いた被害者が警察に通報し、現金を受け取りに来た受け子が現場で現行犯逮捕されるケースが考えられます。

    未成年であっても、14歳以上であれば刑事事件における逮捕手続きは成人と同じです逮捕後は、警察に身柄拘束され、警察署の留置場などに留置されます

  2. (2)捜査機関による取り調べ

    逮捕後は、警察による取り調べが始まります。警察は被疑者を取り調べたうえで、検察に送致するか釈放するかを決定し、48時間以内に送致または釈放します。送致を受けた検察官は24時間以内に裁判所に勾留請求するか釈放します。

    なお、逮捕から勾留が決定するまでの最長72時間は、たとえ身内であっても面会することはできません外部と連絡を取ることも制限されます

  3. (3)身柄が拘束される期間

    勾留が認められると10日間、さらに捜査が必要な場合には勾留が10日間延長されます。

    つまり、逮捕されて勾留延長された場合には、最大23日間も身柄拘束を受けることになるのです。また、起訴された場合には、保釈請求が認められれば身柄が解放されますが、保釈されなければ、さらに身柄拘束される期間が長くなります。

    未成年の場合には、勾留されたり、起訴されなかったりしたとしても、すべての刑事事件は原則として家庭裁判所に送致されます。観護措置の必要性があると認められる場合、少年審判での処分が決定するまでは、少年鑑別所に収容されることがあります。

  4. (4)逮捕直後は面会制限がかかる

    前述の通り、逮捕直後から勾留決定までの72時間は、たとえ家族であっても面会できません。

    勾留決定後もオレオレ詐欺のような組織的犯罪の場合には証拠隠滅や口裏合わせなどのおそれがあるため、接見禁止の命令が付されてしまうことがあります

4、家族が逮捕されたときに取るべき対応

ここでは、家族がオレオレ詐欺で逮捕されてしまったときに、取るべき対応について説明します。

  1. (1)弁護士に相談する

    弁護士は、逮捕直後など、たとえご家族が面会の制限を受けている間でも逮捕された本人と接見することができます

    もし、家族が逮捕された場合には、早急に弁護士に相談・依頼をして、適切な弁護活動を受けましょう。特に、出し子や受け子などの場合には、詐欺に対する認識がないのに警察などの誘導により取り調べで認めてしまうおそれがあります。本人が不用意な発言をしないためにも、弁護士が早期に接見することがとても重要です。

  2. (2)学校や職場に連絡をする

    逮捕は突然なので、通学や勤務している場合には、無断欠席や欠勤扱いにならないように、学校や職場に連絡することが大切です

    どのように事情を伝えてよいかわからない場合には、弁護士に相談して適切な対応方法についてアドバイスを受けたり、代理人として連絡をしてもらったりしましょう。

  3. (3)被害者との示談交渉

    被害者との間に示談が成立していることは、早期の身柄解放や刑の軽減に有利に働きます。被害者の連絡先が不明など、どのように交渉を進めればよいのかわからないときは、弁護士に相談してください。

5、オレオレ詐欺で逮捕されたときに弁護士に依頼できること

オレオレ詐欺で逮捕されたときには、弁護士は次のような弁護活動ができます。

  1. (1)逮捕直後の面会

    逮捕直後で面会が認められない期間でも、弁護士だけは接見が可能です。逮捕された事情を聴き取り、法律知識に基づいて警察や検察官の取り調べに対する適切なアドバイスを提供します。逮捕直後は、精神的に不安定な状態となるので、家族からのメッセージを伝えるなど、弁護士のサポートが必要です。

  2. (2)示談交渉を代理で対応してもらう

    刑事事件では、起訴が決まるまでに被害者との示談が成立していれば、犯罪の程度によっては、不起訴処分となる可能性がでてきます

    しかし通常、被害者は加害者に対して嫌悪感情を抱いていることが多く、加害者本人やご家族が直接示談交渉を行うのは困難です。弁護士であれば、第三者としての立場で被害者と交渉することで、被害者が示談に応じる可能性を高められます。

    また、被害者の氏名や連絡先が不明でも、弁護士なら警察などから情報を聞き、代理人として被害者と直接示談交渉を進めることができます。

  3. (3)身柄解放に向けた弁護活動

    弁護士なら、裁判所や検察に対して、情状弁護(事件の態様、動機、本人の反省の有無、示談成立、身柄解放後の監督状況など)を行って、勾留阻止や不起訴処分の獲得、保釈請求など、早期の身柄解放に向けた弁護活動をすることができます。たとえ起訴となっても、裁判で情状弁護をすることで、執行猶予付きの判決となる可能性もあるでしょう。

    また、未成年の場合には、弁護人、あるいは付添人として、観護措置決定がなされないために活動し、家庭裁判所からの検察への逆送致や少年審判での少年院送致などを防ぎ、保護観察処分となる可能性を高めます。

6、まとめ

オレオレ詐欺容疑で逮捕された場合は、組織の末端である出し子や受け子であっても、実刑判決となる可能性があります。不起訴処分や執行猶予付き判決など早期の身柄解放のためには、逮捕直後の接見をはじめ、裁判所・検察への働きかけ、被害者との示談成立など、適切な弁護活動が必要です。

もし、家族がオレオレ詐欺で逮捕されてしまったときには、早急にベリーベスト法律事務所にご相談ください。刑事事件の知見が豊富な弁護士が、1日でも早く社会へ復帰できるように、適切かつスピーディーに対応します。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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