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弁護士コラム

2022年12月26日
  • 財産事件
  • 路上強盗

路上強盗で問われる罪と刑罰|示談成立や執行猶予の可能性とは?

路上強盗で問われる罪と刑罰|示談成立や執行猶予の可能性とは?
路上強盗で問われる罪と刑罰|示談成立や執行猶予の可能性とは?

令和4年11月、深夜の路上で帰宅途中だった男性の頭部を殴ったうえで現金入りの財布や携帯電話が入ったバッグを奪い取った疑いで、計7人が逮捕されました。この事件のような犯罪を「路上強盗」と呼びます。

強盗といえば、銀行やコンビニのレジ、資産家の自宅といった「お金を保管している場所」や「お金がありそうな場所」を狙うイメージが強い犯罪です。綿密な計画にもとづいて大胆な凶行をはたらく犯罪だというイメージもあるでしょう。

当然、こういった凶悪な強盗には厳しい刑罰が予定されているわけですが、同じように「強盗」とついているので路上強盗も厳しく罰せられてしまうのでしょうか?

本コラムでは「路上強盗」で問われる罪や刑罰の重さを紹介しながら、執行猶予が得られる可能性はあるのか、処分を軽くしたいならどのような対策を講じるべきなのかといった疑問を、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解消していきます。

1、「路上強盗」とは? どのような罪に問われるのか?

まずは「路上強盗」とはどのような犯罪なのか、法律に照らすと何という犯罪にあたるのかを確認します。

  1. (1)路上強盗は「強盗罪」に問われる|恐喝・カツアゲとの違い

    路上強盗とは、街頭などでその場の通行人などをターゲットに、金品などを強奪する行為を指します。ただし、刑法をはじめとして、どの法律をみても「路上強盗罪」という犯罪は存在しません。

    路上強盗は、刑法第236条1項の「強盗罪」の一形態であり、適用されるのは強盗罪です。強盗罪の手口には、ほかにも銀行強盗や押し入り強盗、タクシー強盗などがありますが、手口の区別にかかわらず、すべて強盗罪として処罰されます。

    路上強盗と区別が難しいのが、刑法第249条1項の「恐喝罪」です。たとえば、通行人に言いがかりをつけて「金を渡さないと痛い目に遭うぞ」と脅したり、実際に暴力を加えたりしたとしても、その行為の程度によっては、相手に金品をださせた場合は恐喝罪の成立にとどまります。

    一方で、同様に暴行や脅迫を用いたのに言いなりにならない相手に腹を立て、金品などを強引に奪い取れば強盗罪です。加害者本人には、いわゆる「カツアゲ」程度の認識しかなかったとしても、状況次第では強盗罪に問われるおそれがあります。

  2. (2)強盗罪に科せられる刑罰

    強盗罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。有期懲役の上限は20年なので、最低でも5年、最長20年にわたって刑務所に収監されてしまいます。

    なお、恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。最低なら1か月、最長でも10年の服役なので、決して軽い罪とはいえないものの、強盗罪と比べると刑が各段に軽いといえるでしょう。

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2、路上強盗でも執行猶予がつく可能性はあるのか?

刑事事件に関するニュースでは、「懲役〇年、執行猶予〇年の有罪判決が言い渡された」といったフレーズを見聞きすることがあります。懲役の判決に執行猶予が付されると、懲役の執行が猶予されるうえに、その期間を何事なく過ごせば刑の言い渡しの効力が消滅するので懲役に服する必要もなくなります。では、路上強盗でも執行猶予がつく可能性はあるのでしょうか?

  1. (1)原則、強盗罪は対象外|執行猶予の条件

    執行猶予には、その刑のすべての執行を猶予する「全部執行猶予」と、一定期間は刑務所に服役したうえで残りの期間の執行を猶予する「一部執行猶予」があります。


    • 全部執行猶予(刑法第25条1項)
    • 3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金の言い渡しになる可能性がある犯罪が対象であり、かつ、法律で定められた条件に該当する者

    • 一部執行(同第27条の2第1項)
    • 3年以下の懲役、または禁錮の言い渡しになる可能性がある犯罪が対象であり、かつ、法律で定められた条件に該当する者


    たとえば、恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、懲役の上限は示されていますが下限の定めは明記されていません。条文で下限が示されていない場合の有期懲役の下限は1か月であり、1か月~3年の懲役に収まる可能性があります。そのため、法律に定められた条件を満たしている場合、恐喝罪は執行猶予の対象となります。

    一方で、強盗罪は「もっとも軽い場合でも5年の懲役」が科せられるので、法律が予定している刑罰の範囲では3年以下の懲役が言い渡される可能性がありません。原則として執行猶予がつかず、実刑判決を言い渡されて刑務所に収監されてしまうという点が、強盗罪の厳しい側面のひとつだといえます。

  2. (2)刑の「減軽」を受けられれば執行猶予の可能性がある

    強盗罪は原則として執行猶予の対象外ですが、「減軽」を受けられた場合は執行猶予が付される可能性が生じます。

    減軽とは、刑事裁判における量刑について、法定刑を減じたうえで言い渡す制度です。よく似た用語に「減刑」がありますが、こちらはすでに確定した刑について減じる恩赦のひとつであり、減軽とはまったく異なります。

    減軽の方法は刑法第68条に定められており、有期懲役の場合はその上限・下限が2分の1に減じられます。強盗罪の法定刑は下限5年・上限20年の懲役で、減軽が適用された場合は下限2年6か月・上限10年の懲役です。量刑が2年6か月~3年の懲役になる可能性が生じるので、路上強盗でも執行猶予つきの判決が期待できます。

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3、執行猶予を得るためにするべきこと

長い懲役に服して社会から隔離される時間が長くなると、釈放されたあとの社会復帰が難しくなる可能性があります。路上強盗を犯したのは事実でも、できれば刑務所に収監される事態は避けたいと望むのは当然でしょう。
では、路上強盗で執行猶予つきの判決を得るためには、どうするべきなのでしょうか?

  1. (1)犯情を意識する

    刑の重さを決めるもっとも重要なファクターは、犯情と呼ばれる、犯罪そのものにかかわる事実です。どのような経緯で、どのように行って、どんな結果を引き起こしたのか、に基づき、妥当とされる刑罰のおおまかな位置づけが決まります。強盗の中では軽いほうの犯情であったことを示せることが、後述する酌量減軽などを加えて執行猶予につなげていくうえで、大前提となります。そのため、罪を認める場合でも、丁寧に事実とその評価を主張することは大事です。

  2. (2)情状酌量を得るために被害者との示談成立を目指す

    減軽が適用されるのは、刑法に明記されている条件に該当するときだけです。たとえば、

    • 過剰防衛や緊急避難にあたるといった状況があった
    • 犯人が自ら自首した

    といったケースでは、裁判官の判断で減軽が適用される可能性が生じます。

    また、心神耗弱にあたる場合や、自分の意思で犯罪を中止したといった場合は、必ず減軽されます。これらの条件に該当するケースは限定的なので、減軽を期待するのは難しいように感じられるかもしれません。

    ただし、これらの条件に該当しなくても、「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」は、刑法第66条の定めに従って「酌量減軽」を受けられる可能性があります。被害者に対して真摯(しんし)に謝罪し、被害額や精神的苦痛に対する慰謝料を含めた示談金を支払って被害者の許しを請い、被害者が「加害者を許す」という宥恕(ゆうじょ)の意思を示せば、裁判官の情状酌量が得られて、減軽されるかもしれません。

    もっとも、酌量減軽について条文のうえでは「減軽することができる」と明示するにとどまります。情状が酌量される事情があっても必ず減軽されるわけではないという点は心得ておかなければなりません

  3. (3)深い反省を示す

    酌量減軽を目指すうえで大切なのが「反省」です。路上強盗を犯したことに間違いがないなら、素直に罪は認めて真摯(しんし)な反省を示さなくてはなりません

    口先で反省の弁を述べるだけや、明らかな事実に対して否認を繰り返すようなことは止めて、なぜ強盗を犯したのか、どのような状況だったのかなどを真摯(しんし)に説明し、そのうえで今後の自身の生き方について語っていったほうが、反省していると評価されやすくなります。結果として裁判官の心証が良くなるので、減軽・執行猶予の可能性も高まるでしょう。

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4、路上強盗の処分軽減を目指すなら弁護士のサポートが必須

路上強盗は強盗罪の適用を受ける重大な犯罪行為です。厳しい刑罰を避けて処分を軽くしたいなら、弁護士のサポートは欠かせません。

  1. (1)被害者との示談交渉を一任できる

    強盗は社会的にも厳しい非難を浴びせられる重大犯罪です。特に路上強盗は、何ら非のない通行人を相手に暴力や脅しで金品を強奪するという点から、被害者側も強い怒りを抱えやすいという特徴があります。

    個人による交渉では相手にしてもらえなかったり、許しを得られなかったりするケースも少なくありません。示談交渉には粘り強さも必要ですが、個人交渉では反感を買いやすいうえに、示談に応じるよう懇願を続けると被害者が「脅されている」と警察に相談して、脅迫・強要の被疑をかけられる可能性もあるかもしれません。

    個人での対応では示談交渉が実現しにくいうえに別の被疑をかけられてしまうかもしれないので、安全かつ実りある示談を目指すなら弁護士に対応を任せるべきです

  2. (2)処分の軽減を目指した弁護活動が期待できる

    強盗罪に問われて執行猶予を得るには、犯情を意識した事実主張に加えて、減軽が必須です。そして、法律が定める特別な事情がない限り、減軽が得られるのは裁判官が情状酌量を認めた酌量減軽が適用される場合に限られるでしょう。

    情状酌量を得るには、裁判官に対して悪質な動機がないこと、本人が深く反省しており再犯の可能性がないことなどを、証拠を示しながら主張する必要があるので、刑事弁護の経験が豊富な弁護士のサポートが欠かせません

    また、詳しい状況に照らすと、強盗罪ではなく恐喝罪のほうが適切なケースもあります。恐喝罪のほうが強盗罪と比べると法定刑は軽く、執行猶予の対象でもあるので、加害者にとっては恐喝罪が適用されたほうが有利なのは間違いありません。しかし、検察官の「強盗罪にあたる」という主張に対して「恐喝罪の範囲を超えない」と反論するには、深い法的な知識と判例への理解が必要です。

    強盗罪の成立を否定して恐喝罪の成立を目指し、さらに処分の軽減を図る際も、やはり弁護士のサポートは必須といえます。

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5、まとめ

「路上強盗」は強盗罪が適用される重大な犯罪行為です。強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役なので、本来は執行猶予の対象外となりますが「減軽」を得られた場合は執行猶予が付される可能性が生じます。

路上強盗で減軽・執行猶予を得るために、被害者との示談成立が欠かせません。厳しい処分の回避に向けて、直ちに弁護士に相談してサポートを求めましょう。
強盗事件の解決は、刑事事件の弁護実績が豊富なベリーベスト法律事務所にお任せください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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