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弁護士コラム

2020年08月20日
  • 性・風俗事件
  • 監護者わいせつ
  • 付加刑

監護者わいせつ罪は懲役刑のみ? 付加刑や類似する犯罪との違いとは?

監護者わいせつ罪は懲役刑のみ? 付加刑や類似する犯罪との違いとは?
監護者わいせつ罪は懲役刑のみ? 付加刑や類似する犯罪との違いとは?

性犯罪に対する厳罰化を求める声を受け、平成29年の刑法改正では強姦罪などの要件や罪名の変更、法定刑の見直し、親告罪から非親告罪への変更などがおこなわれました。このとき新たに制定されたのが「監護者わいせつ罪」と「監護者性交等罪」です。

親などの監護者による性的虐待から子どもを守るために設けられた規定ですが、どのような行為が犯罪とされ、また、監護者とはどのような立場の人を指すのでしょうか。

この記事では監護者わいせつ罪が成立する要件や定義などに触れながら、付加刑や類似の犯罪との違いについても解説します。

1、監護者わいせつ罪に付加刑はつくのか? 成立要件と刑罰

まず、監護者わいせつ罪(刑法第179条1項)が成立するための要件や法定刑の内容を解説します。

  1. (1)監護者わいせつ罪の成立要件

    監護者わいせつ罪は、以下の4つの要件を満たすと成立します。


    • 18歳未満の者に対し
    • 現に監護する者が
    • 監護者であることによる影響力に乗じて
    • わいせつな行為をすること


    被害者の年齢は18歳未満で、性別は問いません。

    「現に監護する者」とは、被害者を継続して監護する立場にある者を指し、親や親戚等生活全般に関して継続的に監護する者が該当すると考えられています。

    「影響力に乗じて」とは、監護者である立場を利用して、という意味です。脅迫などの特定の行為だけではなく、黙示的に影響力を行使する場合も影響力に乗じているとみなされます。

    「わいせつな行為」とは被害者の性的羞恥心を害する行為のことです。胸や性器をさわる、陰部を押し当てるなどの行為が該当します。

  2. (2)法定刑は懲役刑のみ

    監護者わいせつ罪の法定刑は「6か月以上10年以下の懲役」です。起訴され有罪になると執行猶予がつかない限り、刑務所へ収監されます

    刑法改正前の罰則に目を向けると、監護者わいせつ罪と同様の犯罪は児童福祉法違反(34条1項6号)が適用され、刑罰は「10年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金または併科」でした。つまり、監護者わいせつ罪の新設により、罰金刑という選択肢がなくなり、実質的に厳罰化されたことになります。

    もしかしたら、「監護者わいせつ罪で執行猶予なしの有罪になると、懲役刑以外にも、何か追加で罰金などの刑罰を与えられるのではないか」と思う方もいるかもしれません。

    このように、懲役や罰金などの刑罰(主刑)に追加して言い渡すことのできる刑を「付加刑」といいます。

    刑法において定義されている付加刑は、没収のみです(刑法第9条)。したがって、監護者わいせつ罪の場合、罰金などが付加されることはありませんが、没収を付加される可能性はあるでしょう。

  3. (3)未遂も罪に問われる

    わいせつな行為をしようとし、結果として未遂に終わった場合も罪に問われます。既遂と同じ法定刑が適用されますが、刑法第43条の未遂減免の規定により、刑が軽減される場合があります。

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2、監護者の定義

それでは、具体的にどのような立場の人を、監護者と定義するのでしょうか。

  1. (1)監護者とは

    監護者とは、簡単にいうと18歳未満の子どもに対して生活全般の面倒をみている者をいいます

    実親や養親のように、民法第820条が定める監護権にもとづいて監護する者が該当することは想像しやすいでしょう。監護権とは親が子どもを監護し、教育する権利・義務のことで、親権の一部を構成しています。ただし監護権を有する者であっても、実際に監護していない者は監護者には該当しません。

    また監護権にもとづいて監護する者でなくても、被害者との間に継続した保護・監督関係があれば、監護者とみなされる可能性があります。たとえば被害者を養育している親戚や養護施設の長、親の交際相手で同居している者などが考えられるでしょう。

  2. (2)監護者の判断要素

    監護者に該当するかは、事実上の保護・監督する立場にあるかどうかで判断されます。

    具体的には、以下のような点が判断要素となります。


    • 同居の有無
    • 生活全般にわたる世話の状況
    • 生活費の負担などの経済状況
    • 指導や諸手続の状況
    • 監護と被監護の継続性


    これらの要素に当てはめると、学校の教師やクラブ活動のコーチ、アルバイト先の上司などは、通常は監護者に該当しません。親密な上下関係が構築されていたとしても、18歳未満の者の生活圏に入って世話をしているとは考えにくいからです。

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3、類似する犯罪との違い

類似する犯罪に「監護者性交等罪」と「強制わいせつ罪」があります。それぞれ、監護者わいせつ罪とどのように異なるのか、みていきましょう。

  1. (1)監護者わいせつ罪と監護者性交等罪の違い

    2つの罪はいずれも監護者であることの影響力を行使する犯罪ですが、行為の内容に違いがあります。

    監護者性交等罪は性交、口腔性交、肛門性交をした場合に適用され、監護者わいせつ罪はこれ以外のわいせつな行為をした場合に成立します。

    また、法定刑は、監護者性交等罪が「5年以上20年以下の懲役」、監護者わいせつ罪は「6か月以上10年以下の懲役」です。

    なお、性交等をしようとしたが未遂となり、わいせつな行為をするにとどまった場合は、監護者わいせつ罪ではなく監護者性交等罪の未遂罪が成立します。

  2. (2)監護者わいせつ罪と強制わいせつ罪の違い

    強制わいせつ罪の処罰対象は次の行為です。


    • 13歳未満の者に対するわいせつ行為
    • 13歳以上の者に対する暴行または脅迫を用いたわいせつ行為


    監護者わいせつ罪と強制わいせつ罪は、法定刑やわいせつな行為が何かについては共通しています。ただ、強制わいせつ罪の成立に関して、性交同意年齢の13歳以上の者に対するわいせつ行為は暴行・脅迫が要件とされますが、前述のとおり、監護者わいせつ罪の成立には、暴行や脅迫は求められません。
    これは、18歳未満が精神的に未熟な年齢であることや監護者に精神的・経済的に依存していることを考慮すると、本人の意思にもとづく有効な同意が成立するとは考えにくいからです。

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4、逮捕されたら子どもとの関係性はどうなるのか

性犯罪の被害者となった子どもは、児童相談所などの判断によって、一時保護所や民間のシェルターなどで一時的に保護されます(児童虐待防止法第8条、児童福祉法第33条など)。一時保護の期間は原則2か月で、その間、子どもは外部との接触を断たれて学校に行くこともできません。

一時保護が保護者の意思に反していたとしても、児童相談所長などの申立てにより、家庭裁判所は施設への入所などの措置を承認できます(児童福祉法第28条)。

一時保護の間、監護者わいせつ罪の加害者は子どもとの面会などを制限されます(児童虐待防止法第12条)。会うことはおろか、電話やメール、手紙の送付、一時保護された場所がどこかを知ることも制限されることがあります

その後、子どもが家庭に戻れない場合には児童養護施設や里親などのもとで暮らすことになります。また加害者が子どもの親権者であると、子どもやその親族、検察官などの請求によって、家庭裁判所が親権を停止する場合もあります。

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5、監護者わいせつ事件の弁護内容

監護者わいせつ罪の疑いをかけられたら、早期に弁護士へ相談しましょう。弁護士は次のような活動をおこないます。

  1. (1)早期に身柄解放されるための活動

    監護者わいせつ事件では加害者と被害者が同居しているケースが想定されます。被害者に接触して証拠隠滅を図るおそれがあるため、逮捕・勾留の可能性が高いでしょう。

    長期にわたる身柄拘束を受けると社会生活に与える影響が大きくなるため、弁護士が証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを示す客観的証拠を提示し、早期に身柄解放されるよう働きかけます。

  2. (2)刑の減軽に向けた活動

    罪を認める場合は減軽に向けた活動を行います。具体的には、本人が深く反省している点や再犯の可能性が低い点などを検察官や裁判官に主張します。

    親族や会社の同僚などから、普段は真面目な人柄である旨の証言をしてもらう、刑の減軽を求める旨の嘆願書を書いてもらうといった場合もあります。

  3. (3)無実を主張する場合

    まったく身に覚えがなく無罪を主張する場合、弁護士が新たな証拠の収集や被害者の証言に合理性がない旨の主張を行います。
    否認すると勾留が長引く可能性が高いですが、弁護士が継続的に面会して精神的にもサポートすることも可能です。

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6、まとめ

監護者わいせつ罪は監護者の立場を利用した悪質性の高い犯罪であり、法定刑は懲役刑のみと重くなっています。社会的に非難の対象となる性的虐待であることから、捜査機関の取り調べも厳しいものとなるでしょう。

監護者わいせつ罪の疑いをかけられた場合、おひとりで事件を解決するのは困難といえます。

お困りの方は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が力を尽くします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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