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危険運転致死傷罪で逮捕! 初犯の場合の刑罰と執行猶予がつく可能性

2020年09月10日
危険運転致死傷罪で逮捕! 初犯の場合の刑罰と執行猶予がつく可能性
  • 交通事故・交通違反
  • 危険運転致死
  • 執行猶予
危険運転致死傷罪で逮捕! 初犯の場合の刑罰と執行猶予がつく可能性

交通事故の中でも、特に悪質で重大な事故を起こした場合に問われるのが「危険運転致死傷罪」です。「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(自動車運転処罰法)に規定された大変重い犯罪ですが、具体的にどのような運転行為が罪になるのでしょうか。また、執行猶予付き判決を受ける可能性はどの程度あるのでしょうか。
本記事では、危険運転致死傷罪が成立する要件や具体的な違反行為、執行猶予がつく可能性について解説します。

1、危険運転致死傷罪とは

危険運転致死傷罪は従来、刑法に規定されていましたが、現在では、平成25年成立の「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」によって規定されています。

危険運転致死傷罪は、自動車運転処罰法第2条所定の行為と、同法第3条所定の行為について成立します。同法第2条所定の行為については、人を負傷させた場合に「15年以下の懲役」が、人を死亡させた場合に「1年以上の有期懲役」が科されます。同法第3条所定の行為については、人を負傷させた場合に「12年以下の懲役」が、人を死亡させた場合に「15年以下の懲役」が科されます。適用例としては、以下のものがあります。

●酩酊(めいてい)状態における故意および責任能力を認めた事例(自動車運転処罰法第2条)
アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、停止中の車両に衝突させて運転手を負傷させ、また工事現場の作業者をひいて負傷させた事件です。

被告人は、危険運転の故意がないこと、および心神喪失状態だったことを理由に無罪を主張していました。
しかし、友人の呼びかけに応じ、ほかの車両の動静に応じて運転操作をしている点などから被告人の主張は認められず、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。

●てんかんの影響による意識障害を認めた事例(自動車運転処罰法第3条2項)
てんかんの影響で意識障害に陥るおそれのある状態で自動車を運転して歩道上の5名に自動車を衝突させ、1名死亡、4名に重傷を負わせた事件です。

被告人は、パニックに陥り事故を起こしたのであって、てんかんの発作によるものではないとして、過失運転致死傷罪が成立すると主張しました。しかし、赤信号で発進し、歩道の方向に進んでいるにもかかわらず加速し、ハンドルを切るなどの回避措置も行っていないことなどから、てんかんの発作により意識障害に陥っていたとして、懲役7年の有罪判決が言い渡されました。

2、危険運転致死傷罪となる運転行為とは

では、危険運転致死傷罪となる行為とはどのようなものでしょうか。
自動車運転処罰法第2条では、以下の6つの行為を禁止しています。

●アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
薬物には、覚醒剤などの違法薬物のほか、睡眠導入剤など運転能力に影響のある薬物も含まれます。正常な運転が困難な状態とは、現実に前方注視やハンドル、ブレーキ操作等の道路交通の状況に応じた運転操作をおこなえない状態を指します。

●制御困難な高速度で自動車を走行させる行為
「超過速度が何km/hであれば高速度」というものではなく、カーブや道幅、道路の凍結状況、車の性能などに鑑みて制御が困難かどうかを実質的に判断します。

●自動車の進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
運転経験がない人が無免許で運転した場合が典型的ですが、免許を取得したばかりで不慣れな人が無理な運転をした場合にも適用されます。反対に、無免許で長年運転をするなど運転技術が高い場合には、適用されない場合もあります。

●人や車の通行を妨害する目的で自動車を運転する行為
ほかの自動車や歩行者の通行を妨害する目的で危険な運転をする行為を指します。幅寄せや割り込みなどのあおり運転が典型的です。

●赤信号などを殊更に無視して重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
「殊更に無視」とは、もとから信号の規制に従うつもりがない場合や、赤信号を認識した時点ですぐに停止できたのにあえて進行した場合などを指します。「重大な交通の危険を生じさせる速度」は高速度に限らず、人や自動車と接触すれば重大な事故を起こす程度の速度でも成立します。

●通行禁止道路を通行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
車両通行止めの道路や歩行者専用道路に故意に自動車で立ち入る、反対車線を逆走するなどの場合が該当します。「重大な交通の危険を生じさせる速度」は上記と同様です。

自動車運転処罰法が施行される前は、たとえば、アルコール保有量が低く、「アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態」という事実の立証が難しい場合には、危険運転致死傷罪にあたる行為をしていても、危険運転致死傷罪が適用できずに自動車運転過失致死傷罪の適用にとどまる可能性がありました。

そこで自動車運転処罰法3条では、「アルコールまたは薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」、たとえば、酒気帯び運転程度のアルコールであっても、「正常な運転に支障が生じる」と認められれば、危険運転致死傷罪に準じて処罰されることになりました。また、過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪(自動車運転処罰法第4条)が12年以下の懲役刑を科すなど、証拠隠滅行為に対する厳罰化も導入されています。

3、危険運転致死傷罪で執行猶予がつく可能性はあるのか?

執行猶予とは、刑が確定しても一定期間、その執行が猶予される制度です。猶予期間中に再び罪を犯さなければ、刑の執行が免除されます。

  1. (1)そもそも執行猶予の条件とは何か

    執行猶予は3年以下の懲役・禁錮、または50万円以下の罰金刑のみが対象となります。また、過去5年以内に禁錮以上の刑を受けたことがなく、汲むべき情状があることが必要です。

  2. (2)危険運転致死傷罪に執行猶予がつく可能性

    危険運転致死傷罪に執行猶予がつく可能性はあるのでしょうか。データを確認してみましょう。

    ●危険運転致死傷罪で起訴される確率
    まずは、起訴される確率です。令和元年版の犯罪白書によると、危険運転致死傷事件で起訴された人員の割合は、平成15年が90.2%、平成30年が71.4%と、高い傾向にあります。検察官が行う起訴には罰金・科料のみを科す「略式起訴」もありますが、危険運転致死傷罪には罰金刑がないため、略式起訴がなされることはありません。

    ●危険運転致死傷罪で実刑になる割合とは
    実刑の割合は、致傷事件では平成15年が25.4%、平成30年が9.2%(無免許危険運転致傷は50.0%)です。
    被害者が死亡していない場合に、事件の悪質性が低く被害規模が甚大ではないときは、執行猶予となる可能性があるといえます。
    一方で、致死事件における実刑の割合は平成15年が96.2%、平成30年が100.0%です。これは初犯と再犯を区別しないデータですから、前科の有無を問わず、実刑となる可能性が高いといえるでしょう。

4、危険運転致死傷の罪に問われた場合の対応

なるべく早めに弁護士へ相談しましょう。依頼者の利益のため、弁護士は次のような活動を行います。

  1. (1)危険運転致死傷罪が成立しない旨の主張

    「危険運転致死傷罪の成立要件を満たさない」という主張をすることができる可能性があります。たとえば故意がなかった場合は、過失運転致死傷罪が成立する可能性があります。刑罰は「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」となり、危険運転致死傷罪と比べて軽くなります(自動車運転処罰法第5条)。
    また、現場の状況から事故が発生する可能性が予測困難だったと主張することで、不起訴処分となる場合もあります。

  2. (2)執行猶予を目指すには

    危険運転に関する罪は起訴される可能性が高いといえるものの、執行猶予がつく可能性は残されています。まずは、被害者や遺族に対し、心の底から反省して謝罪をすることです。被害者との示談が成立すれば執行猶予になる可能性は大きく上がるでしょう。

    具体的な再犯防止策を講じることも重要です。裁判官から再犯のおそれが低いと判断されれば執行猶予がつく可能性は上がります。二度と自動車を運転しない誓約や、アルコール依存の治療など、具体的な行動を示しましょう。

    被害者が死亡した場合や、態様が悪質な場合は、実刑を免れないおそれもあります。この場合であっても、深い反省の情を示すことや、誠実な謝罪をすることは無駄ではありません。これらをすることは、本人の更生にも重要といえるでしょうし、量刑の判断にあたって考慮され、刑を軽くすることもできるかもしれません。弁護士と相談して、最善を尽くしましょう。

5、まとめ

一般的に、危険運転による人の死傷に対しては、極めて重い刑罰が科されています。危険運転によって人を死傷させてしまった場合、事件の性質に応じた適切な対応が必要になりますが、専門家の助けなしにこれを判断して実行するのは困難です。
万が一、事件を起こしてしまった場合には速やかにベリーベスト法律事務所へご相談ください。実績が豊富な弁護士がサポートします。

監修者

  • 萩原 達也
    弁護士萩原 達也

※本コラムは公開日当時の内容です。
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