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弁護士コラム

2020年12月15日
  • 暴力事件
  • 強盗致死
  • 仮釈放

家族が強盗致死で逮捕。無期懲役から仮釈放になる条件とは

家族が強盗致死で逮捕。無期懲役から仮釈放になる条件とは
家族が強盗致死で逮捕。無期懲役から仮釈放になる条件とは

令和元年12月、東京都青梅市に住む60代の男性が自宅で襲われ死亡する強盗致死事件がありました。起訴された被告の男は別の強盗事件で服役し仮釈放中だったようです。

強盗致死罪は人の財産および生命を侵害する重大犯罪ですが、有罪になるとどのくらいの刑罰を受けるのでしょうか。また同事件の被告人が受けていた仮釈放とはどのような制度を指すのでしょうか。

本コラムでは強盗致死の刑罰の内容や仮釈放の条件、仮釈放にむけて家族は何ができるのかについて解説します。

1、強盗致死の刑期

まずは強盗罪と強盗致死罪の違い、刑期について解説します。

強盗罪は、暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取し、または不当な利益を得る犯罪です(刑法第236条)。
強盗罪の暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものとされており、殴って転倒させる、ナイフを突き出して脅すなどの行為が該当します

一方、強盗致死罪は、強盗の犯人が、強盗の機会に人を死亡させた場合に成立する犯罪です(刑法第240条)。
強盗の機会とは、強盗の手段としての暴行・脅迫で人を死亡させた場合は当然として、たとえば強盗をして逃亡する際に被害者を押しのけ、打ち所が悪くて死亡させた場合なども含まれます。

強盗致死罪の法定刑は「死刑または無期懲役」です。強盗罪の法定刑も「5年以上20年以下の懲役」と重いものですが、強盗致死は人の死亡という重大な結果が生じているため、さらに重い刑が定められています。

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2、無期懲役と死刑の違い

強盗致死罪の法定刑である無期懲役と死刑について、それぞれの違いや判断を分ける要素を解説します。

  1. (1)無期懲役と死刑

    無期懲役とは刑期の定めがない懲役刑のことです。懲役とは刑事施設に拘置されて労役を課される刑罰を指し、無期懲役と有期懲役があります。
    有期懲役の刑期は原則として20年以下ですが、2個以上の罪を犯して併合罪となった場合などには刑期の上限が30年になります(刑法第12条、47条)。
    一方、無期懲役にはこのような定めはありません。

    死刑とは受刑者の生命を剥奪する刑です。日本の死刑は刑法第11条で絞首刑と定められており、法務大臣の命令によって刑事施設内で執行されます。

  2. (2)無期懲役は出所後も監視下におかれる

    無期懲役の受刑者が仮釈放により出所した場合、更生保護法第40条の規定により保護観察を受けます。保護観察とは罪を犯した者が社会の中で更生できるよう、保護観察官や保護司が指導・支援する制度です。

    無期懲役には刑期の定めがないため、生涯にわたり保護観察期間となります。有期懲役のように期間満了で保護観察が終了することはありません。

  3. (3)無期懲役と死刑の判断を分ける要素

    強盗致死罪で無期懲役と死刑のどちらが選択されるのかについて明確な基準はありません。裁判官および裁判員は次のような点を総合的に判断して無期懲役か死刑かを決定します。


    • 犯行動機、計画性
    • 犯行の悪質性、残虐性
    • 前科前歴の有無
    • 本人の反省の有無、度合い
    • 被害者遺族との示談成立の有無
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3、仮釈放制度とは

仮釈放とは、実刑判決を下され刑務所に収監中の受刑者が、刑が満了する前の時点で仮に釈放される制度です

仮釈放されると残りの刑期は保護観察に付され、遵守事項にしたがって過ごします。残りの刑期にあたる期間を何事もなく過ごし終えたときには刑の執行が終了します。

  1. (1)仮釈放が認められる条件

    刑法第28条では仮釈放の条件を次のように定めています。


    • 懲役または禁錮に処せられた者に改悛(かいしゅん)の情があるとき
    • 有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後


    「改悛の状」とは自らの悪事を悔い改め、心を入れ替えることを指します。どのような場合に改悛の状が認められるのかについては、「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則」の第28条で次のように定められています。


    • 悔悟(かいご)の情および改善更生の意欲がある
      ※悔悟の情:自分の悪事を認めて後悔する気持ち
    • 再び犯罪をするおそれがない
    • 保護観察に付することが改善更生のために相当であると認められる
    • 社会の感情が仮釈放を是認すると認められる
  2. (2)無期懲役の受刑者が仮釈放される条件

    つまり無期刑受刑者が仮釈放される条件は、刑法第28条によれば次の2つです。


    • 改悛の状があること
    • 刑の執行開始から10年を経過した後であること


    改悛の状については被害者・遺族に対する慰謝の措置の有無や施設内での生活態度など、さまざまな観点から総合的に判断されます。

    また刑務所に収監されてから10年の経過が最低条件となるわけですが、実際に10年程度で仮釈放が許可される例はほとんどありません
    令和元年版犯罪白書によれば、平成15年以降、刑の執行開始から20年以内に仮釈放が許可された無期刑受刑者は1人もおらず、ほとんどが30年以上経過した後です。
    法務省でも無期刑受刑者の仮釈放の運用状況について「刑の執行を開始してから30年を経過したときから、仮釈放を審理する」と示しています。

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4、仮釈放と保釈の違い

仮釈放と混同されやすい制度として「保釈」があります。しかし仮釈放と保釈はまったく別の制度です。

  1. (1)両制度の違い

    仮釈放は受刑者が刑の満期前に仮に釈放される制度です(刑法第28条)。社会内において受刑者の改善更生を促し、円滑な社会復帰を図るために設けられています。

    保釈は勾留された被告人が判決まで一時的に身柄を釈放される制度です(刑事訴訟法第88条~98条)。
    複雑な事件であれば判決までに長期間を要する場合があります。しかし起訴されても裁判で有罪判決が下るまでは罪人だと決まったわけではないため(推定無罪の原則)、被告人の身柄を拘束し続けることは人権の制約にあたります。
    そこで起訴から判決までの間に、いったん被告人の身柄を釈放しようというのが保釈の趣旨です。

  2. (2)保釈制度の概要

    刑事事件を起こして逮捕・勾留された被疑者に対し、検察官は最長20日間の勾留満期までに起訴・不起訴の判断を下します。起訴された被疑者は被告人へと立場が変わり、裁判で判決が確定するまでの間に保釈請求が可能となります。
    逮捕直後や起訴前の勾留段階で保釈請求することはできません。

    もっとも、保釈中に逃亡・証拠隠滅などがあってはならないため、請求すれば必ず保釈が認められるわけでもありません。特に強盗致死のような重大事件では実刑判決が見込まれ逃亡・証拠隠滅のおそれがあるため、保釈許可のハードルは極めて高くなります。

    また、保釈が認められる場合でも、裁判所への出頭義務や住居制限などの条件が付され、保釈保証金を納める必要があります。保釈条件を守らなかった場合には保釈が取り消され、保釈保証金も没収されます。

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5、仮釈放にむけて家族にできること

強盗致死罪で実刑判決を受けた本人の仮釈放にむけて、ご家族にできることについて解説します。

  1. (1)明確な意思表示をする

    保護観察所による仮釈放の調査の過程で、ご家族は本人を受け入れる意思があるかどうかを尋ねられます。仮釈放の許可は適切な身元引受人の有無も含めて判断されますので、身元引受人となる意思があれば明確に伝えましょう

    受け入れが難しいのであればほかに適切な身元引受人を探す必要があります。時間がかかるほど仮釈放の時期が後になるため、回答は先延ばしにせずはやめに伝えましょう。

  2. (2)身元引受人となった場合の対応

    仮釈放が決定すると身元引受人に書面で通知されます。出所日に出迎えが可能かどうかを確認する書類が同封されているため、確実に返送しましょう。
    仮釈放の日までに本人と定期的に面会しておくと出所後の意思疎通も円滑に進みます。このほか出所日の衣類を用意する、本人の更生に適した生活・就労環境を整えるなど、やるべきことは多数あります。仮釈放後に罪を犯さないように監督するのも身元引受人の役割です

  3. (3)仮釈放前の2つの注意点

    まず、仮釈放の調査が開始されてから住所を変更しないことです。住所が変更されると再度の調査が必要となり、仮釈放までの期間が延びてしまいます。
    次に、本人へ仮釈放日を伝えないことです。本人が慢心から規律違反を犯す、ほかの受刑者に仮釈放が知られてトラブルに巻き込まれるといったおそれがあるためです。

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6、まとめ

強盗致死罪の刑罰は刑法犯の中でもとりわけ重い「死刑」または「無期懲役」です。もしも家族が強盗致死罪の疑いで逮捕されてしまったのであれば、早急に弁護士へ相談されることをおすすめします。またすでに無期懲役の判決を受けて服役している場合、ご家族として仮釈放について知っておきましょう。
家族が強盗致死事件を起こしてしまった場合はベリーベスト法律事務所へご連絡ください。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が全力でサポートします。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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