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弁護士コラム

2020年12月28日
  • 暴力事件
  • 傷害致死
  • 共同正犯

傷害致死事件に関わって共同正犯に? 罪が成立する構成要件とは?

傷害致死事件に関わって共同正犯に? 罪が成立する構成要件とは?
傷害致死事件に関わって共同正犯に? 罪が成立する構成要件とは?

相手に暴行を加えて死亡させてしまうと、刑法の「傷害致死罪」によって処罰を受けます。では、もし暴行を加えた加害者がひとりではなく2名以上の複数であれば、誰がどのような処罰を受けることになるのでしょうか?

一般的には「共犯」という言葉によってひとまとめに処罰されるというイメージがあるはずですが、それぞれがどのような責任を負って処罰されるのかを理解している方は少ないでしょう。

このコラムでは、共犯のひとつである「共同正犯」について解説しながら、傷害致死事件の共同正犯とみなされた場合に負う刑事責任などを考えていきます。

1、どのような犯罪行為が傷害致死の罪に問われるのか?

傷害致死とは、傷害によって人を死に至らしめた場合に成立する犯罪です。「人の死亡」という重大な結果が生じており、厳しい刑罰が規定されています。

  1. (1)傷害致死罪とは

    傷害致死罪は、刑法第205条に規定されています。刑法の条文で「身体を傷害し、よって人を死亡させた者」と示されているとおり、他人に傷害を加えて負傷させ、その負傷によって相手を死亡させることで構成要件を満たす犯罪です。

    法定刑は「3年以上の有期懲役」と規定されています。有期懲役とはあらかじめ刑の満期が定められている懲役刑で、原則として1か月以上20年以下の期間が定められています。
    つまり、傷害致死の罪に問われた場合は、最短でも3年、最長では20年もの長期にわたり懲役という厳罰に処されてしまうわけです。

  2. (2)量刑判断の基準

    傷害致死の罪に対する刑罰は、最短3年、最長20年の懲役です。3年なのか20年なのかと考えれば、刑罰の幅は非常に広いといえます。

    実際に下される刑罰を量刑といいますが、量刑は刑事裁判によって決定します。傷害致死事件では、次のような事情が量刑判断に影響を与えると考えられるでしょう。


    • 傷害行為の態様や悪質性・計画性
    • 犯行の動機
    • 被害者との関係性
    • 加害者の性格や生活態度
    • 加害者の前科・前歴
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2、傷害致死罪と殺人罪の違い

「他人を死亡させる」という行為が犯罪にあたることは誰もが知っていることでしょう。そして、多くの人が「他人を死亡させる罪」としてイメージするのが刑法第199条の「殺人罪」です。

傷害致死罪と殺人罪は、被害者を死亡させるという点ではよく似ています。
両者を明確に区別するのは「殺意の有無」です。相手を死に至らしめようという意思、または「相手が死亡する可能性がある」という危険の認識がある場合は殺意が認められます。殺意をもって行為におよび相手を死亡させれば殺人罪が成立します。

一方の傷害致死罪は、殺意はないものの傷害の結果として相手を死に至らしめてしまった場合に成立します。殺人罪が成立するのか、傷害致死罪が適用されるのかは、加害者にとって大きな差となります。

傷害致死罪ではもっとも厳しく処罰を受けても20年の懲役が上限ですが、殺人罪の法定刑は死刑・無期もしくは5年以上の有期懲役です。
厳しい判断が下されれば死刑や無期懲役が科せられる可能性がありますし、さまざまな事情を考慮されて有利な判決が得られたとしても最短で5年の懲役が科せられることになります。
最短で3年、最長で20年の懲役となる傷害致死罪と比較すると、殺人罪に対する刑罰は格段に重く厳しいものになるでしょう。

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3、刑事事件における共同正犯とは?

一般的には一言で「共犯」と呼ばれる関係でも、実はその態様によっていくつかの種類にわかれています。共犯の種類をみていきながら、そのひとつである「共同正犯」が成立する要件を解説しましょう。

  1. (1)共犯の種類

    共犯には、次の三つの種類があります。


    • 共同正犯(刑法第60条)
    • 教唆犯(刑法第61条1項)
    • 幇助犯(刑法第62条)


    一般的なイメージの共犯は、2人以上が共同して犯罪を実行したときに認められる「共同正犯」と呼ばれる共犯関係でしょう。複数人が共同して犯行におよぶケースでは共同正犯が成立します

    教唆犯とは「人を唆(そそのか)して犯罪を実行させること」で、幇助犯は「人の犯罪実行を容易にさせること」です。共同して犯罪を実行していなくても、教唆犯や幇助犯によって共犯とみなされることがあります

  2. (2)共同正犯が成立する要件

    共同正犯の根拠は刑法第60条です。
    同条には「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と規定されています。「正犯」とは犯罪を実行して刑事上の責任を負う者を意味し、一般的な用語でいう「主犯」に近い用語であると言えます。
    この規定に従えば、2人以上の複数が共同して犯罪を実行した場合、誰が犯罪の重要部分を担ったのかにかかわらず、全員が正犯として刑罰を負うことになります。

    共同正犯が成立するのは、次の構成要件を満たす場合です。


    • 共同で犯罪行為をするという意思の連絡
    • 実際に犯罪行為を実行した事実


    たとえば、複数人のなかで突如としてひとりが犯罪を実行した場合は、共同実行の意思連絡を欠くため共同正犯にはなりません。また、意思連絡があった場合でも、実際に犯行におよばなければ共同正犯は成立しません

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4、傷害致死罪で共同正犯が成立するケース

2人以上が共同して傷害を加えて相手を死に至らしめた場合、共同正犯として各人が正犯とみなされます。
複数人による集団暴行事件などでは、誰がどのような傷害を加えたのかにかかわらず、全員が正犯として同じように処罰を受ける可能性が高いでしょう。
そのうえで、誰が主導して暴行を加えるに至ったのか、誰の行為が致命傷になったのかなどの事情に応じて、それぞれの量刑が決まります。

また、共同正犯が成立しない場合であっても、2人以上が近接した時間に被害者に暴行を加えて人を傷害した場合に誰がどのような傷害を加えて負傷させたのか、致命傷を負わせたのは誰なのかを特定できないケースも少なくありませんが、このようなケースでは、刑法第207条の「同時傷害の特例」が適用されます。
同時傷害の特例とは、2人以上が暴行を加えて人を傷害した場合に、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、また、その傷害を生じさせた者を特定できない場合に、共同実行がなくても共犯とみなされる制度です
複数名の意思連絡なくして被害者に暴行を加えて、いずれかひとりによる暴行が結果として被害者の命を奪ってしまったとしても、同時傷害の特例が適用されれば全員が傷害致死の罪を負うことになります。

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5、共同正犯として罪に問われた場合はすぐに弁護士へ相談を

傷害致死罪の共同正犯として罪に問われた場合は、ただちに弁護士へ相談しましょう。

  1. (1)共犯者同士の利害の対立を防ぐ

    2名以上の複数で暴行を加えて相手を死亡させてしまった場合は「誰が主導して犯行におよんだのか」「誰が致命傷を与えたのか」といった利害の対立が生じやすくなります
    特に、意図せず相手が死亡してしまった場合は、誰もが重い刑罰を避けるために共犯者同士で罪のなすりつけ合いが始まる可能性があります。

    弁護士に依頼すれば、犯行の主導者ではないことを示す証拠の整理収集や、ほかの共犯者が依頼した弁護士との調整が可能です。ひとりで重い罪を着せられてしまう事態を回避するには、弁護士への依頼がもっとも適切だといえます。

  2. (2)共犯事件は厳しい制限を受けやすい

    共犯事件の特徴として、逮捕された被疑者は厳しい制限を受けやすいという特徴があります。
    共犯者のうちひとりでも身体拘束を逃れている者がいれば、証拠隠滅に走りやすいため勾留が許可されやすく、勾留が長期に及ぶケースも多数です
    また、家族や友人などを通じて逮捕されている共犯者同士の連絡を防ぐために接見禁止が付されて、一切の面会が禁止されるケースもめずらしくありません。このような事態になれば、逮捕された本人と残された家族との間の必要な連絡もままならないでしょう。

    弁護士には接見交通権が認められており、接見禁止がついてしまった場合でも制限なく面会が許されます。事件に関する刑事弁護だけでなく、家族との連絡役としても弁護士への依頼は必須です。

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6、まとめ

殺意がない場合でも、傷害を加えたことによって相手が死亡してしまえば傷害致死罪が成立します。2名以上の複数人が共同して傷害を加えたケースでは、共同正犯として全員が同じく傷害致死罪の処罰の対象となるため、たとえ致命傷となる傷害を加えたのではなくても重い刑罰を科せられるおそれがあります。

傷害致死の共同正犯として罪に問われ逮捕されてしまった場合は、傷害致死・共犯事件をはじめとした刑事弁護の実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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