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弁護士コラム

2021年03月15日
  • 暴力事件
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DVとは? DV事件の加害者として訴えられたらどうすべきか

DVとは? DV事件の加害者として訴えられたらどうすべきか
DVとは? DV事件の加害者として訴えられたらどうすべきか

警察庁が公表している「令和元年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」によると、配偶者からの暴力事案の相談件数は年々増加しており、令和元年は8万2207件とDV防止法施行後最多を更新しました。

DVは以前、家庭内のトラブルと捉えられてきましたが、DVによって被害者が死亡するなどの悲惨な事件が相次いだことから、現在では家庭内でのできごとでも重大な犯罪として扱われます。

DV事件を起こすと犯罪の被疑者として逮捕され、処罰される可能性が出てきます。本コラムでは、どんな行為がDVにあたるのかを解説したうえで、成立する犯罪や罰則、逮捕後の流れなどについて解説します。加害者としてどうすべきなのかも見ていきましょう。

1、DV(ドメスティックバイオレンス)の定義

最初に、DVの定義やDVに関する法律について解説します。

  1. (1)DVとは

    「DV」(domestic violence)とは、配偶者や恋人などの親密な関係にある者・あった者からふるわれる暴力を意味する言葉です。カタカナ表記で「ドメスティックバイオレンス」、略してDVと呼ばれています。

    親密な関係にある者・あった者には、現在法律上の婚姻関係にある場合はもちろん、事実婚(内縁関係)や元婚姻関係にあった場合も含まれます。

    暴力とは、身体に対する暴力だけではなく、相手に有害な影響を与える言動も含まれており、殴る・蹴るなどの暴力行為のほかに精神的暴力や性的暴力、経済的暴力など、さまざまな形態があります。

  2. (2)DVに関する法律

    DVについて定めているのは、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(以下、DV防止法)という法律です。

    DV防止法の目的は、加害者を処罰することではなく、配偶者などからの暴力の防止と被害者の保護を図ることです。家庭内の暴力は私的領域でおこなわれることから、事件化や捜査の遅れなどにより被害者の保護・救済に時間がかかってしまうおそれがあります。

    そのためDV防止法では、相談・通報、一時保護や保護命令などの体制を整備し、被害者を迅速に救済することに重点が置かれています

    DV防止法は男女ともに適用対象としていますが、配偶者などから暴力を受ける人の多くは女性です。そのため、前文でも女性の被害者に配慮した内容が書かれています。

    また子どもへの暴力や連れ去りなど、子どもを巻き込んだ暴力も重大な問題となっていることから、一定の条件のもとで子どもへの接近禁止命令なども定めています。

    さらに平成26年からはDV防止法の適用範囲が拡大し、配偶者や内縁関係にある者だけでなく、生活の本拠を共にする交際相手(同居中の相手や元同居相手など)からの暴力も同法の適用となりました。

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2、身体的暴力以外もDVとなる行為がある

DV防止法が定める暴力は以下のものをいいます(第1条より)。

  • 身体に対する不法な攻撃であって生命または身体に危害をおよぼすもの
  • 上記に準ずる心身に有害な影響をおよぼす言動


具体的に以下で確認していきましょう。

  1. (1)身体的暴力

    身体的暴力はDVの典型ともいえる暴力のかたちです。殴る、蹴る、髪を引っ張るなどの直接の攻撃のほか、ケガや病気でも病院へ行かせない、部屋に閉じ込めるなどの行為も身体的暴力にあたります

  2. (2)精神的暴力

    身体への直接的な暴力ではなくとも、言葉や態度などを使ってパートナーを精神的に傷つける行為もDVにあたります

    人前で侮辱や無視をする、気に入らないことがあると長時間にわたって説教する、外出を認めない、人格を否定する発言や暴言を繰り返すなどし、パートナーを精神的に追い込んで孤立させていきます。モラハラ(モラルハラスメント)とも呼ばれています

  3. (3)性的暴力

    性的暴力もDVの一種です。性行為を強要する、暴力的な方法を使って性行為をする、嫌がっているのにアダルトビデオを見せるなどのほか、妊娠しないことを一方的に責め立てる、避妊に協力しないことなども性的暴力にあたります。

  4. (4)経済的暴力

    パートナーの経済的自由を奪う行為もDVにあたります。生活費を渡さない、自分の物を買うことを認めない、借金を作る、借金をさせるなどしてパートナーを経済的に苦しめていきます。また就職しようとしても認めない、就職活動の邪魔をするなどパートナーが経済的に自立するのを妨害する場合もあります。

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3、DVで成立する犯罪とは

DV防止法の目的は加害者の処罰ではないため、罰則も保護命令に違反した場合と保護命令の申し立てに虚偽の記載があった場合について規定があるのみです。

しかし、DVをした加害者は罰を受けないのかといえばそうではなく、刑法の暴行罪や傷害罪などによって、処罰されます。ここではDVをした場合に、成立する可能性がある犯罪と刑罰の内容(法定刑)を見ていきましょう。

  1. (1)暴行罪

    暴行罪は、暴行をしたが人を傷つけるにはいたらなかった場合に成立する犯罪です(刑法第208条)。

    暴行罪でいう「暴行」とは、他人の身体に向けた不法な有形力(物理力)の行使をさします。殴る、蹴る、強く押すなど身体への接触をともなう暴力行為のほか、足元に物を投げつける、嫌がらせの目的でたばこの煙を吹きかけるといった行為も暴行罪にあたり得ます

    法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。

  2. (2)傷害罪

    傷害罪は人の身体を傷害することで成立する犯罪です(刑法第204条)。

    DV事件では典型的ともいえる犯罪類型であり、配偶者に暴力をふるってケガをさせた場合などが該当します。

    傷害罪の「傷害」とは、人の生理機能に障害を与え、または健康状態を不良にすることです。打撲傷や骨折などの外傷を与えた場合はもちろんですが、食事に異物を混入させて薬物中毒にさせた、モラハラをして精神疾患を発症させた場合なども傷害罪となる可能性があります

    法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

  3. (3)脅迫罪

    脅迫罪は、相手または親族の生命、身体、自由、名誉、財産のいずれかに対し、害を加える旨を告知することで成立します(刑法第222条)。

    DV事件では、離婚や別れを切り出されたため「別れるなら殺す」「この家から一生出られなくしてやる」「お前の実家に火をつけてやる」などと脅す行為が脅迫罪にあたるでしょう。

    法定刑は「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」です。

  4. (4)強要罪

    強要罪は、相手または親族の身体、自由、名誉、財産のいずれかに対して害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことをさせ、あるいは権利の行使を妨害すると成立する犯罪です(刑法第223条)。

    携帯電話に登録してある連絡先をすべて消去させる、どんな状況でもLINEの返信をさせるなどの行為が強要罪にあたり得るでしょう。

    法定刑は「3年以下の懲役」です。

  5. (5)強制性交等罪

    強制性交等罪は、暴行や脅迫を用いて性交等(性交、肛門性交、口腔(こうくう)性交)をすると成立します(刑法第177条)。

    「パートナーなのだから性行為をして当たり前」と考えている人がいますが、たとえパートナーであっても、暴行・脅迫を手段とする性交等の強要は同罪が成立する可能性があります

    法定刑は「5年以上20年以下の懲役」です。

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4、DV加害者として逮捕されるケース

DV加害者として逮捕されるケースとしては、通常逮捕と現行犯逮捕が考えられます。

通常逮捕は、裁判所が発付した逮捕状にもとづく、原則的な逮捕手続きです(刑事訴訟法第199条)。

DV事件では、被害者であるパートナーが警察に被害届を提出して事件が発覚し、警察が捜査をした結果として通常逮捕される可能性があります。この場合には、警察がある日突然自宅などにやってきて、逮捕状を面前に示し罪名と逮捕の理由を告げられ、そのまま警察署へ連行されます

一方、現行犯逮捕は、犯行の最中や直後になされる逮捕手続きです(刑事訴訟法第212条、同213条)。
DV事件の場合は、暴力をふるったために被害者であるパートナーや親族、近隣住民などが通報し、駆けつけた警察にその場で身柄を取り押さえられるケースが考えられます。

また、現行犯逮捕こそされなくても、任意同行のうえで取り調べを受け、その後に通常逮捕されるケースもあります

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5、逮捕後の流れ

DV事件を起こして逮捕されると、72時間以内に警察および検察官から取り調べを受け、引き続き捜査の必要がある場合には、最長20日間にわたって勾留される可能性があります。

その後は勾留の満期までに、起訴・不起訴が決定されるのが一般的な逮捕後の流れですが、事件によって流れが変わってくる場合があります。

  1. (1)被害者が逮捕を望んでいなかった場合

    DV事件では、被害者が「暴力をふるわれて怖くなり、通報はしたが逮捕は望んでいなかった」「逮捕されるとは思わなかった」といったケースがあります。また、当初は逮捕を望んでいたものの、時間の経過とともに感情が落ち着き、処罰までは望まないと考えるようになる被害者もいます。

    こうしたケースで、被害がそれほど深刻ではなかった場合には、加害者が逃亡または証拠隠滅をするおそれが低いとして、勾留されずに釈放される可能性があります。検察官が被害者感情を重視し、不起訴とする可能性も出てくるでしょう。

  2. (2)被害者の処罰感情が強い場合

    DVの場合はパートナーへの情などから処罰を望まない被害者が少なくない一方で、強い処罰感情を持つ被害者もいます。被害者が強い処罰感情を持つようになった背景には、長年にわたるDVや深刻な被害が考えられるでしょう。

    このケースでは重い罰を回避しようと加害者が被害者を脅して証拠隠滅を図る、逃亡するといった事態が想定されるため、勾留される可能性が高まります。起訴され、その後の裁判で実刑判決を受ける可能性もあるでしょう。

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6、裁判所から保護命令が発令されるケースも

DV事件を起こすと被害者からの申し立てにより、裁判所から保護命令が下されるケースがあります。

  1. (1)保護命令とはなにか?

    保護命令とは、申立人(被害者)の身体への暴力を防ぐ目的で、裁判所が加害者に対し、申立人に近づかないように命じることです(DV防止法第10条)。配偶者以外にも、事実婚や元配偶者、同居相手や元同居相手からの申し立てによって発令される場合があります。

    保護命令の対象となるのは、身体への暴力または生命・身体に対する脅迫があり、被害者の生命・身体に重大な危害が加わるおそれのある場合です。そのため精神的暴力や経済的暴力などの場合は、保護命令が発令されません。

  2. (2)どのような命令があるのか?

    保護命令は以下の五つがあります。

    ●接近禁止命令
    6か月間、被害者につきまとったり、住居や勤務先の近くをうろついたりすることを禁止する命令です。

    ●退去命令
    被害者と同居している場合に、被害者が引っ越しの準備などをするために、被害者と同居する住居から2か月間退去することを命じるものです。

    ●子どもへの接近禁止命令
    6か月間、被害者と同居している、未成年の子どもにつきまとったり、住居や学校などの近くをうろついたりすることを禁止する命令です。

    ●親族への接近禁止命令
    6か月間、被害者の親族の身辺につきまとったり、親族の住居や勤務先の近くをうろついたりすることを禁止する命令です。

    ●電話等禁止命令
    6か月間、被害者に対する面会の要求や監視の告知、無言電話、メール送信などを禁止する命令です。

    なお、子ども・親族への接近禁止命令と電話等禁止命令は、被害者本人への接近禁止命令が出されている場合に、その実効性を確保するために発令されます。したがって、これらは単独で発令されず、被害者本人への接近禁止命令に付随して発令されることになります。

  3. (3)保護命令に違反した場合

    裁判所の保護命令に違反して被害者に近づくなどすれば、逮捕される可能性が高く「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処せられます(DV防止法第29条)。

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7、DVで逮捕されそうな場合に考えるべきこと

以上で述べたとおり、DV事件を起こせば、逮捕される可能性があります。ひと昔前は家庭内のトラブルは家庭内で解決するものと考えられていましたが、現在はDVが重大な社会問題となっているため、警察も厳しく対応する傾向にあります。

もし逮捕されそうな場合には、加害者の立場として以下を検討するべきです。

  1. (1)被害者との示談交渉

    DVを受けて一番つらい思いをしているのは、被害者です。まずは被害者に対して誠実に謝罪し、示談を成立させることが重要です。

    二度とDV行為をしないと約束し、被害者から宥恕(ゆうじょ)意思(許すという意思)が得られれば、不起訴処分となる可能性も出てくるでしょう。

  2. (2)セラピーや更生プログラムを受ける

    DV事件を起こすにいたった背景には、幼少期の家庭環境や仕事のストレスなどさまざまな要因が絡んでおり、加害者自身の力だけでDVをやめるのは容易ではありません。

    被害者が通報したことで最初は「もう二度と暴力をふるわない」と反省するかもしれませんが、日常生活に戻れば感情をコントロールできず、再度暴力をふるうなどして根本的な解決にならないおそれがあります。

    そのためセラピーや更生プログラムなどを通じて自身の認識や行動を変え、根本的な解決を目指すことが重要です。

  3. (3)弁護士へ相談する

    逮捕されそうな状況であれば、速やかに弁護士へ相談しましょう。

    逮捕後の取り調べで不用意な発言・態度をすれば、長期の勾留や起訴にいたる可能性が高まるため、弁護士が取り調べに関するアドバイスをします。また弁護士は、検察官に対し、被害者が処罰を望まない場合はその旨を主張する、再発防止の誓約書を提出して再犯のおそれがないと主張する、などの弁護活動も実施します。

    また、被害者と示談交渉を希望している場合、被害者が加害者に恐怖心を抱いている、保護命令が出されて接触できないなどの理由から、加害者が被害者と直接交渉するのは非常に困難です。

    また夫婦や内縁関係の場合には、子どもの親権や慰謝料なども含めて、示談を進める場合があり、より深い法的知識が求められます。そのため、示談交渉をする前から弁護士に入ってもらい、示談を進めるのがよいでしょう

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8、まとめ

DVは被害者を身体的・精神的に深く傷つける行為であり、「家庭内のことだから」と片付けられる問題ではありません。裁判所から接近禁止命令が出される場合や、暴行罪や傷害罪などの刑事事件として逮捕される場合もあります。

DV行為をして被害者から通報すると言われた、すでに事件化しており逮捕される可能性があるなどの場合には早急に弁護士へ相談し、今後の対応についてアドバイスを受けるのがよいでしょう。

刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所がサポートしますので、まずはご連絡ください。

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監修者
萩原 達也
荻原達也
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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