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弁護士コラム

2021年09月30日
  • 暴力事件
  • 決闘罪とは

決闘罪にあてはまる行為とは? 法律の趣旨や刑罰、成立要件を解説

決闘罪にあてはまる行為とは? 法律の趣旨や刑罰、成立要件を解説
決闘罪にあてはまる行為とは? 法律の趣旨や刑罰、成立要件を解説

ドラマや漫画などでは、主人公と敵対する相手との「決闘」が描かれることがあります。決闘はフィクションのなかでは盛り上がりますが、実際の社会の法律では「決闘罪」という犯罪が成立するおそれがある行為です。

決闘罪は明治時代に制定された非常に古い犯罪ですが、現在でも効力が続いています。そして、近年においても、少ないながら適用される事例が存在しているのです。

本コラムでは「決闘罪」がどのような行為を罰する犯罪なのか、決闘罪が成立する要件や実際に適用された事例、関連する犯罪や罪に問われた場合の対応について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、決闘とは

一般的に「決闘」とは、争いや恨みを解決する手段として約束した方法で戦いあうことを意味します。いわゆる「果たし合い」と呼ばれる行為も、決闘の一種といえます。

法律においては、決闘は「当事者間の合意によって、相互に身体または生命を害すべき暴行をもって闘争する行為」とされています。この定義に照らすと、一方的に暴力を加える行為や、お互いが白熱して口論から暴行に発展した喧嘩は「決闘」とはいえません。

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2、決闘罪とは

「決闘」にあたる行為やその周辺行為は「決闘罪」によって処罰されます。決闘罪とはどのような犯罪であるかについて、解説します。

  1. (1)「決闘罪」とは

    決闘罪は、決闘行為を処罰するための法律です。決闘行為は、最低でも1人対1人以上の者が、事前に日時・場所・方法・条件などを申し合わせて合意したうえでお互いの身体・生命を害する暴行行為によってトラブルの解決などをはかろうとすることで成立します。実際に決闘行為に発展しなくても、決闘を申し込み、またはこれに応じただけでも処罰の対象となるのです

    決闘行為の典型的なケースは、暴走族などが、敵対勢力との優劣を決めるために日時・場所を定めて集団で闘争する事例です。実際に多数人による決闘がおこなわれている状況では、誰が誰にどのような暴行を加えたのかが判然としないため、決闘行為に加わった全員が決闘罪で処罰される可能性が高くなります。

  2. (2)当人たち以外の処罰

    決闘がおこなわれる状況のなかには、実際に決闘行為にまで及んでいなくても、積極的に決闘に協力する人物が存在するケースもめずらしくありません。

    たとえば、暴走族同士の決闘では「どちらが勝つのかを見届ける」といった目的で、立会人・付添人・証人といった存在が置かれることがあります。また、決闘の目撃者などによって警察に通報される事態を防ぐために、人目につかない決闘場所を提供する者が存在するケースもあります。

    このように、立会人・付添人などの名義にかかわらず、決闘行為の立ち会いをした者や立ち会いの約束をした者、さらに決闘場所を提供した者も、すべて決闘罪による処罰の対象となります。「決闘に関与した者は、広く罪を問われる」と考えておけばよいでしょう。

  3. (3)決闘罪の刑罰

    決闘に関与した者は、その行為の内容に応じて、次のとおりに罰せられます

    • 決闘を挑んだ者、またはこれに応じた者……6か月以上2年以下の懲役
    • 実際に決闘をおこなった者……2年以上5年以下の懲役
    • 決闘の立会人となった者、または立ち会いを約束した者……1か月以上1年以下の懲役
    • 決闘の場所を提供した者……1か月以上1年以下の懲役
  4. (4)決闘罪が適用されないケース

    決闘罪は互いの合意によって身体・生命を害する暴行をもって闘争することで成立する犯罪です。身体・生命への危害を伴わない方法であれば成立しないので、たとえば球技などで決着をつけるといった方法では事前の約束があっても犯罪にはなりません。

    また、ボクシング・空手・柔道などの格闘技の試合は、事前の約束や方法、立ち会い、場所提供などがあっても正当行為となるため決闘罪の対象ではありません。ただし、格闘技の試合を名目にしていても、興行とはいえない状況であれば決闘罪の成立は否定できません。たとえば、ボクシング経験者同士が、争いを「ボクシングで決着をつける」として相互に殴りあえば、正当なスポーツの試合として認められない以上は決闘罪として罰せられるおそれがあるということです。

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3、決闘罪が制定された背景

決闘罪がどのような経緯で制定されて、どのような運用をされているかについて、解説します。

  1. (1)決闘罪が制定された経緯と存在価値

    決闘罪が制定されたのは明治22年です。同年には日本国憲法の前身となった大日本帝国憲法が公布されていることをふまえると、非常に古い法律であるといえるでしょう。

    当時の日本社会では、争いごとの決着をつける方法として決闘と同様の「果たし合い」が用いられることが風習となっており、そのころ伝来していた西洋の文化にも「決闘」によって問題を解決する文化が根付いていました。そして、日本の果たし合いと西洋の決闘は、いずれもその行為を罪に問わず、たとえ一方が重傷を負ったり死亡してしまったりという結果が生じても、「決闘に負けたのだから仕方がない」と考えられていたのです。

    このような状況があったために、「社会秩序を害する行為である決闘を放置できない」という問題意識から、決闘罪が制定されました。

    以後、決闘罪が積極的に適用される機会はほとんどないまま時代が流れましたが、昭和・平成期には少年同士による暴走族などのグループ闘争が加熱したことによって、決闘罪の有効性が注目されるようになりました。

  2. (2)決闘罪を規定している法律

    決闘罪は、刑法に規定されている犯罪ではありません。「決闘罪二関スル件(決闘罪に関する件)」という便宜的な件名を与えられた、全6条のみからなる特別法に規定されています。つまり、正式には「決闘罪」という罪名は存在せず、逮捕・起訴された場合の罪名は「決闘罪二関スル件違反」となります。

    「決闘罪二関スル件」として各条に定められているのは、次の内容です。

    • 第1条
      決闘を挑んだ者、またはこれに応じた者は罰せられます。
    • 第2条
      実際に決闘をおこなった者を処罰する旨が規定されています。
    • 第3条
      決闘において相手を殺傷した者は、刑法において定められた各犯罪によって重く罰する旨を規定した条文です。
    • 第4条
      全2項から構成されており、1項では決闘の立会人となった、または立ち会いを約束した者を、2項では決闘がおこなわれることを知りながら決闘の場所を提供した者を罰すると定めています。
    • 第5条
      決闘の申し込みを拒んだ者について、そのことを理由に相手の名誉を傷つけた場合は刑法の名誉毀損罪として罰する旨が規定されています。
    • 第6条
      決闘行為によって決闘罪よりも重い罪を犯した場合は、より重い刑罰が設けられている犯罪が適用されます。
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4、決闘罪の成立要件

決闘罪が成立する要件について、詳しく解説します。

  1. (1)決闘をおこなった場合

    実際に決闘をおこなった者は、決闘罪二関スル件第2条の規定にしたがって処罰されます。決闘罪における「決闘」は、当事者間の合意により相互に身体または生命を害すべき暴行をもって闘争する行為とされているため、暴行と解される行為があればその程度にかかわらず行為者全員が処罰の対象となりえるのです

    なお、同法第1条は「決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者」も処罰の対象としているため、実際に決闘がおこなわれなくても、決闘を挑む・決闘に応じるといった行為があるだけでも処罰の対象となります。決闘を申し込む方法に制限はないので、口頭による方法のほか「果たし状」や「挑戦状」といった書面によるものや、同様の内容をメール・チャットアプリなどのメッセージ機能で送信する行為も該当する可能性があります。

  2. (2)決闘の立会人をした、または立ち会いを約束した場合

    実際に決闘がおこなわれる場で立会人として参加した、あるいは立会人となることを約束した場合も罰せられます。決闘罪二関スル件第4条1項は「証人介添人等何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス」と明記しているため、立会人・証人・介添人・見届人・審判など、どのような名称を用いても勝敗の行方を見届けて証明する立場にあれば処罰の対象となるのです。

    この規定が存在することにより、実際には決闘に参加していなくても、その場で決闘を見届けているだけで罪に問われる可能性が生じます

  3. (3)決闘がおこなわれることを知って場所を提供した場合

    決闘罪二関スル件第4条2項には「情ヲ知テ決闘ノ場所ヲ貸与シ又ハ供用セシメタル者」を罰することが明記されています。決闘がおこなわれることを知ったうえで場所を貸す・提供するといった決闘を助長する行為は処罰されます。「情ヲ知テ」とあるとおり、管理している土地・建物が思いがけず決闘の場となってしまったというケースまで罰せられるわけではありません。

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5、決闘罪の事例

決闘罪が適用される事例は少数ですが、とくに悪質・大がかりな決闘行為であれば決闘罪として検挙される危険が高まります。実際に決闘罪が適用された事例を挙げていきましょう。

● 暴走族同士の闘争に暴力団員が決闘をそそのかし立会人となった事例
平成14年7月、敵対する暴走族のメンバー同士に対して一方の暴走族にかつて所属していた暴力団員が「1対1で決着をつけろ、俺が立会人になってやる」と決闘をそそのかした事例です。
双方が3人の代表を選出のうえ、1対1の3回戦で勝負をつける条件だったところ、見物していたメンバー同士で小競り合いが起きて総勢13人による乱闘に発展しました。うち1人は、ナイフで腹を刺される重傷を負っています。
この事件ではか、決闘をそそのかし立会人となった暴力団員が検挙されて、実刑判決を受けました。

● 「蹴りはなし・凶器はなし」などのルールを設けて決闘した事例
平成27年8月、敵対するグループ同士が事前に「蹴りはなし」「凶器はなし」「髪の毛をつかまない」といったルールを設けて決闘した事件が起きました。中学生を中心としたグループと外国籍の少年らのグループによる争いで、事前にチャットアプリのメッセージ機能で決闘のルールを申し合わせていたとのことです。この事例では、決闘に参加した少年ら22人が検挙されました。

● 「タイマンしよう」と申し込んで1対1で決闘をした事例
令和元年10月、交際中の少女を批判されたことに立腹した少年が相手に「タイマンしよう」と決闘を申し込み、事前に「けがをしても被害届は出さない」などのルールを設けて決闘をおこなった事件です。この事例では、お互いが顔面を殴る、蹴るなどの暴行を加えて軽傷を負ったため、決闘罪に加えて傷害罪でも立件されました。

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6、決闘罪に関連する刑罰

決闘罪二関スル件第3条・第5条・第6条の規定をみると、決闘行為に関連して、別の犯罪でも処罰されるおそれがあることがわかります。決闘罪に関連する犯罪とその刑罰について解説いたします。

  1. (1)より重い刑罰が科せられるおそれがある

    決闘罪二関スル件第3条は「決闘ニ依テ人ヲ殺傷シタル者ハ刑法ノ各本条ニ照シテ処断ス」と明記しています。決闘の結果、相手を殺傷した場合は、刑法に定められている別の犯罪として罰せられる旨を示す規定です。

    さらに同法第6条は「前数条ニ記載シタル犯罪刑法ニ照シ其重キモノハ重キニ従テ処断ス」と明記しており、決闘行為によって別の犯罪が成立する場合は「刑罰が重たい犯罪」によって処罰されることも規定されています。

    決闘罪の法定刑は、実際に決闘をおこなった者でも「2年以上5年以下の懲役」であり、重大な結果が生じてしまった場合は刑法に規定された犯罪よりも罪が軽くなってしまいます。そこで、決闘罪二関スル件では、重大な結果が生じた場合にはさらに重い刑罰が科せられるよう整備されているのです。

  2. (2)決闘罪に関連して適用されるおそれのある犯罪

    決闘罪に関連して適用されるおそれのある犯罪と罰則は次のとおりです。

    ● 傷害罪(刑法第204条)
    人の身体を傷害した場合に成立する犯罪です。決闘行為によって相手を負傷させた場合に成立するため、決闘罪と同時に成立する典型的な犯罪だといえます。法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金です

    ● 殺人罪(刑法第199条)
    人を殺した場合に成立する犯罪で、決闘の結果、相手を死亡させた場合に成立します。決闘において殺意をもって相手を死に至らしめれば殺人罪となり、死刑・無期もしくは5年以上の懲役が科せられます

    ● 凶器準備集合罪(刑法第208条の2)
    2人以上の者が、他人の生命・身体・財産に対して共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備した場合は凶器準備集合罪となります。実際に、少年グループ同士の決闘において金属バットや鉄パイプを用意し集合した疑いで、少年14人が凶器準備集合罪で検挙された事例が存在します。
    凶器準備集合罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金ですが「集合させた者」はさらに重く3年以下の懲役に科せられます

    ● 名誉毀損罪(刑法第230条)
    決闘罪二関スル件第5条は、決闘を拒んだことを理由に相手を誹謗すると名誉毀損罪が成立する旨が規定されています。名誉毀損罪の法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です

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7、決闘罪で逮捕されたときに家族や弁護士ができること

決闘罪の疑いで家族が逮捕されてしまった場合にできる対応について、解説します。

  1. (1)本人に反省を促す

    決闘罪は、決闘行為に及んだ両者を罰する犯罪です。たとえ決闘に負けて一方的に負傷したとしても、処罰を免れることはできません。

    まずは決闘行為に及んだこと自体を本人にしっかりと反省させ、二度と同じように罪を繰り返さないことを固く誓わせましょう。本人が深く反省しているという事実は、検察官が起訴を判断する場合や裁判官が量刑を判断する場面で、本人にとって有利な事情となります。

  2. (2)示談交渉は弁護士に一任するのが最善

    決闘罪の適用による厳しい処罰を避けるためには、被害者である相手方との示談を成立させることが有効です。決闘罪は非親告罪であるため、お互いに被害届や刑事告訴は不要であり、したがって示談の成立による事件の取り下げは期待できません。しかし、「当事者が謝罪と賠償のうえで和解した」という事実は、加害者にとって有利な事情となります。ただし、お互いが決闘に至ったほどの関係性であれば、示談交渉による解決は容易ではありません。

    ただし、本人やその家族が被害者と交渉しようとしても、交渉が難航するだけでなく、さらに別のトラブルに発展してしまう危険があります。そのため、公平中立な第三者である弁護士を代理人としたうえで交渉を進めることが望ましいでしょう

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8、まとめ

お互いが合意のうえで日時・場所・方法などを申し合わせて決闘に至れば「決闘罪」として厳しく処罰されます。実際に決闘に至らなかった場合でも、決闘を挑んだり、これに応じたりすれば決闘罪となるほか、立会人や決闘場所の提供も罰せられるため、決闘に関与した人が広く処罰の対象となるのです。

逮捕・勾留による身柄拘束からの解放や厳しい刑罰を回避するには、弁護士のサポートが不可欠です。「決闘罪の容疑で逮捕されてしまった」「決闘罪が適用される行為をはたらいてしまった」などの悩みがある方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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