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弁護士コラム

2023年06月05日
  • 暴力事件
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傷害事件における証拠とは? 証拠になり得るものと後日逮捕の可能性

傷害事件における証拠とは? 証拠になり得るものと後日逮捕の可能性
傷害事件における証拠とは? 証拠になり得るものと後日逮捕の可能性

「傷害罪」といえば、暴漢のように粗暴な人間が事件を起こすようなイメージがあるかもしれませんが、知人間の口論や夫婦ケンカなど、日常生活のなかでごく一般の人が犯してしまいやすい側面も強い犯罪です。

令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に全国の警察が認知した傷害事件の数は1万8145件でした。これは、窃盗・器物損壊・詐欺・暴行に次ぐ多さですが、検挙率は85.9%で、特に認知件数が多い窃盗や器物損壊と比較すると格段に高い数字を示しています。

ここで気になるのが「なぜ傷害事件の検挙率は高いのか?」という点です。犯罪を証明するためには「証拠」が必要ですが、個人対個人の状況で起きることの多いはずの傷害事件では、どのような証拠がもととなって検挙に至るのでしょうか?

本コラムでは、傷害罪における証拠の考え方や証拠となり得るものの種類、傷害事件を起こして逮捕される割合などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、傷害罪とは? 成立する要件や刑罰の重さ

傷害罪は、刑法第204条に定められている犯罪です。
人の身体を傷害した者を罰する犯罪で、簡単にいえば「人に暴力をふるってケガをさせた場合」に問われる罪です。

まずは、法的な角度から傷害罪が成立する要件を詳しく確認していきましょう。

  1. (1)傷害罪が成立する要件

    ある犯罪が成立する条件を構成要件といいます。
    傷害罪の構成要件は、これから挙げる3点です。


    • 人の身体に対する傷害行為があること
      人とは「他人」であり、他人に対して「傷害」をもたらす行為があることが第一の要件です。
      ここでいう傷害とは、人の生理機能に障害を与えること、または健康状態を不良にすることと解釈されています。これらをもたらす行為が傷害行為なので、たとえば殴る・蹴るなどの暴力行為のみでなく、有毒な薬物を飲ませる、騒音によって健康を損なわせるといった行為も処罰の対象になり得ると考えるのが通説です

    • 人の身体に対する傷害の結果が発生したこと
      傷害行為によって、相手に傷害の結果が発生することが第二の要件となります。
      傷害行為と傷害の結果との間には直接的な因果関係が必要です。たとえば、傷害行為によって相手が足を骨折し、後日、歩行が不自由であったため階段から転倒して打撲を負った場合、打撲については直接的な因果関係が認められないと考えられます。
      なお、傷害の軽重は問わないので、骨折などの重傷だけでなく、擦り傷程度の軽傷でも本罪の成立は免れられません

    • 暴行の故意があること
      相手を負傷させるまでの認識はなくても、殴る・蹴るなどを含めた不法な有形力を行使する認識があれば傷害罪に問われます。「軽くたたいたつもりだったので、ケガをするとは思わなかった」という言い訳は通用しません。
  2. (2)傷害罪の刑罰

    傷害罪には、15年以下の懲役、または50万円以下の罰金が定められています
    数ある犯罪のなかでも懲役の上限が高く、負傷の程度や傷害行為の悪質性によっては初犯でも実刑判決を受けて刑務所に収監されてしまうおそれがある重罪です。

2、傷害事件における証拠とは? どんなものが証拠になる?

一対一の状況で相手に暴力をふるってケガをさせたといったケースでは、被疑者の特定につながる明らかな証拠が残ることは考えにくいでしょう。すると「証拠がないから罪は問われないのではないか?」と考える方がいるかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか?
傷害事件における証拠の考え方をみていきます。

  1. (1)刑事事件における証拠の考え方

    「証拠」といえば、たとえば殺人に使用された凶器のような「物」としての証拠をイメージするかもしれませんが、実はそれだけではありません。

    刑事事件における証拠には、その物の存在自体が証拠となる「証拠物(証拠品)」のほかにも、被害者や目撃者の証言、証言をもとに作成された供述調書などの捜査書類、現場に遺留された指紋やDNAなどの鑑識資料、筆跡や尿の鑑定結果など、さまざまなものが存在しています

    これらはすべて「物」として存在しなくても「証拠」のひとつです。

  2. (2)傷害事件において証拠になり得るもの

    傷害事件において証拠になり得るものとしては、次のようなものが挙げられます。


    • どのような被害を受けたのかを証言する被害者の供述
    • 見たまま、ありのままの状況を説明する目撃者の供述
    • 被疑者本人が犯行状況を供述した自白
    • 被害者の負傷程度を明らかにする医師の診断書や負傷状況の写真
    • 犯行の状況を撮影した防犯カメラの映像やスマートフォンで撮影した動画
    • 被疑者が現場に残した遺留品
    • 被害者の身体に付着した被疑者のDNA資料
    • 被疑者が犯行現場から逃走した際に利用した電車やタクシーなどの利用履歴
    など


    ここで挙げたのは、一般的に考えられる証拠です。
    事案の内容によってはほかの証拠が存在する可能性も考えられます。

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3、傷害事件で後日逮捕される可能性はあるのか?

他人に暴力をふるってケガをさせたものの、素性を知られないままその場から逃走した場合は逮捕されずに済むのでしょうか?
犯行の後日でも逮捕されることはあるのかを考えていきます。

  1. (1)逮捕の種類

    「逮捕」には3つの種類があります。


    • 通常逮捕
      裁判官が発付した令状にもとづいて執行する原則的な逮捕です。犯行の後日におこなわれることが多いので「後日逮捕」とも呼ばれています。

    • 現行犯逮捕
      犯行の最中や直後にその場で執行される逮捕です。逮捕状を必要とせず、実際にその場に居合わせて犯行を目撃しているなら警察官ではない私人でも逮捕が許されます。

    • 緊急逮捕
      一定の重大犯罪を対象に、逮捕状を請求するいとまがない緊急性が高い場合に限り、逮捕状の発付を受けないまま執行できる逮捕です。逮捕後は直ちに逮捕状を請求するのが条件で、逮捕状が発付されなかった場合は釈放しなければなりません。
  2. (2)傷害事件で逮捕される割合

    令和4年版の犯罪白書によると、令和3年中に全国の検察庁で処理された傷害事件は1万8593件でした。うち、逮捕を伴ったのは9301件で、逮捕された割合を示す身柄率は50.0%です。

    全刑法犯の身柄率の平均は34.1%なので、傷害事件は逮捕される可能性が高い犯罪だといえるでしょう。

  3. (3)傷害事件を起こすと後日逮捕されることもある

    ケンカなどのトラブルを起こすと、被害者や通行人などの目撃者からの通報によって警察官が駆け付けて、その場で現行犯逮捕されるという流れが一般的です。
    すると、その場から逃げれば現行犯逮捕されないので、凶器などを使ったわけでもなければ「自分が傷害事件を起こした証拠など存在しない」と考えてしまうかもしれませんが、その考え方は間違っています。

    傷害事件の現場から逃げても、被害者や目撃者の証言、防犯カメラの映像、逃走後の追跡捜査などから、被疑者としての特定は可能です。「物」としての証拠が存在しなくても、さまざまな証拠が補強しあって後日でも逮捕される可能性があることは心得ておかなければなりません

4、傷害事件で逮捕や厳しい刑罰を避けるために弁護士ができること

傷害罪は、ほかの犯罪と比べると逮捕される可能性が高い犯罪です。
法定刑をみても懲役の上限が高く定められており、厳しい処分を受ける可能性が高いでしょう。

逮捕や厳しい刑罰を避けたいと望むなら、弁護士のサポートが不可欠です。

  1. (1)素早い示談交渉で逮捕の回避が期待できる

    事件から時間がたっていないうちに被害者との示談交渉を進めることができれば、被害届や刑事告訴の阻止が期待できます。被害者がすでに警察へと届け出をしたあとでも、早期に示談が成立すれば逮捕を避けられる可能性が高まるでしょう。

    とはいえ、傷害事件の被害者は、加害者に対して強い恐怖や怒りの感情を抱いていることが多く、示談をもちかけても相手にしてもらえないかもしれません。
    また、通行人など偶然居合わせた人とトラブルになり傷害事件を起こしてしまったという場合は、そもそもどこに住んでいる誰と示談交渉をすればいいのかもわからないといった事態も考えられます。

    弁護士に依頼して対応をまかせれば、被害者と直接顔をあわせることを控えたままでの示談交渉が可能です。被害者としても加害者に会う機会を避けられるので、警戒心が和らぎ、交渉に応じやすくなるでしょう。
    被害者の情報をもっていないため示談交渉が進められない場合でも、弁護士以外には教えないことを条件に被害者の情報を提供してもらえるよう捜査機関にはたらきかけます。
    個人ではまったく前進できない状況なら、弁護士のサポートは欠かせません。

  2. (2)厳しい処分の軽減が期待できる

    傷害罪は、数ある刑法犯のなかでも法定刑が重い犯罪です。
    過去に罪を犯した経歴のない初犯でも、相手に後遺症が生じるなど重大な結果が起きていれば、実刑判決が下されてしまう可能性は高いでしょう。

    厳しい処分を回避するためには、被害者に対する真摯(しんし)な謝罪や治療費などの弁済を尽くしたうえで、二度と罪を犯さないことの誓約や家族の監督強化といった再犯防止対策を尽くす必要があります

    早期に対策を尽くして検察官にはたらきかければ、検察官が不起訴処分を下して刑事裁判が開かれないまま事件を解決できるかもしれません。また、起訴が避けられず刑事裁判が開かれても、被害者との示談成立や深い反省が評価されれば、言い渡される量刑が軽い方向へと傾くことも期待できるでしょう。

    どのような対策が有利な結果に結びつくのかを判断するには、法律の深い知識や数多くの事件を扱ってきた経験が問われます。個人で判断するのは困難なので、経験豊富な弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

  3. (3)傷害から暴行に事件が変わることもある

    暴行によって傷害の結果が発生したという因果関係まであってはじめて、傷害としての立証ができたことになります。理論上は傷害になりそうでも、軽微なものであれば生じた原因を断定できないケースもあります。傷害か暴行かによって刑の重さも大きく変わるため、弁護士と話してそのような可能性があるか確認することも大事です

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5、まとめ

傷害事件を起こして、その場から逃げて現行犯逮捕を避けたとしても、被害者や目撃者の証言などが証拠となって後日逮捕される可能性があります。傷害罪は重い刑罰が設けられている犯罪なので、対策を尽くさなければ初犯でも刑務所に収監されてしまうかもしれません。

逮捕や厳しい処分を避けるためには、弁護士のサポートが必須です。
逮捕の回避や処分の軽減など、少しでも有利な条件で解決したいと望むなら、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、穏便な解決を目指して全力でサポートします。

監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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