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傷害罪の初犯は罰金? 執行猶予? 量刑相場や実刑回避のポイントを解説
傷害罪は、暴行の内容などに応じて、初犯でも量刑が分かれる犯罪です。罰金・執行猶予・実刑のいずれもあり得ます。
傷害罪での実刑を回避するには、刑事弁護に長けた弁護士と協力することが大切です。早い段階で弁護士に相談して、実刑回避に向けた刑事弁護を依頼しましょう。
本記事では、傷害罪の初犯に対して科される量刑の目安や、実刑を回避するためにすべきことなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
この記事で分かること
- 傷害罪で科される刑罰
- 傷害罪の初犯でも実刑になりやすいケース
- 実刑を避けるためにできること
1、傷害罪の初犯では、どの程度の刑罰が科されるのか?
傷害罪は、他人にケガをさせた場合に成立する犯罪です。
傷害罪の初犯では、罰金刑・執行猶予・実刑のいずれもあり得ます。
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(1)傷害罪の構成要件
傷害罪の構成要件は、「人の身体を傷害した」ことです。
「傷害」とは、人の生理的機能を害することを意味します。出血・打撲・痣など、暴行を受けた被害者が少しでもケガをすれば傷害罪が成立します。
傷害の結果について故意がなくても、故意に暴行を加えた結果として被害者がケガをすれば、傷害罪が成立します(=暴行罪の結果的加重犯。最高裁昭和26年9月20日判決)。
なお、暴行によって被害者が死亡した場合は、殺意が認められれば殺人罪(刑法第199条)、殺意が認められなければ傷害致死罪(刑法第205条)が成立します。 -
(2)傷害罪の法定刑|罰金刑・執行猶予・実刑のいずれもあり得る
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされており、かなり幅があります。
傷害罪の初犯の場合、罰金刑・執行猶予・実刑のいずれもあり得ます。暴行の程度が軽いものであれば、罰金刑となる可能性が高いです。
しかし、激しく殴打したなど重大な暴行を加えた場合には、初犯でも実刑判決を受ける可能性があるため、注意が必要です。
2、傷害罪の初犯でも実刑になりやすいケース
たとえば以下のようなケースでは、傷害罪の初犯であっても実刑判決を受ける可能性が高いと考えられます。
- 激しい暴行を加えた場合
- 凶器を用いて暴行を加えた場合
- 被害者が重傷を負った場合
- 複数の傷害事件を起こした場合
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- 被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、傷害罪で逮捕された場合の刑事手続きの流れ
傷害罪で逮捕された場合、以下の流れで刑事手続きが進行します。
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(1)逮捕~勾留請求
傷害罪の疑いで逮捕された被疑者の身柄は、留置場で拘束されます。逮捕の期間は最長72時間で(刑事訴訟法第205条第2項)、その間に警察官や検察官の取り調べが行われます。
逮捕期間中は、家族などと面会することが原則できません。ただし、弁護人または弁護人になろうとする者は、逮捕期間中であっても被疑者と制限なく面会することが可能です(同法第39条)。
身柄拘束を延長する必要があると検察官が判断した場合は、裁判官に対して勾留を請求します。
請求を受けた裁判官は、被疑者の住所が不定であるか、または罪証隠滅もしくは逃亡のおそれが認められ、かつ勾留の必要性があると判断した場合、勾留状を発します(同法第207条第1項、第60条第1項)。 -
(2)起訴前勾留
裁判官が勾留状を発した場合、被疑者の身柄拘束は逮捕から起訴前勾留へと切り替わります。起訴前勾留の期間は最長20日間です(刑事訴訟法第208条)。
起訴前勾留の期間中も、逮捕期間に引き続いて警察官や検察官の取り調べが行われます。
起訴前勾留への移行後は、逮捕期間中と異なり、原則として家族などと面会することが可能です。
ただし接近禁止処分が行われている場合には、家族などとの面会をすることはできません。弁護人または弁護人になろうとする者との面会に限られます。 -
(3)正式起訴・略式起訴・不起訴
起訴前勾留の期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するかどうかを決めます。
傷害罪の場合、被疑者に対する検察官の処分は以下の3通りです。
① 正式起訴
公開法廷における刑事裁判(=公判手続き)による審理を求める処分です。「公判請求」とも呼ばれます。
② 略式起訴
簡易裁判所に対して、略式手続きを通じた被疑者(被告人)の処罰を求める処分です。
傷害罪については、罰金刑を求刑する場合で、被疑者が同意する場合に限って略式起訴が認められます。
③ 不起訴
被疑者の処罰を求めず、刑事手続きを終了させる処分です。
嫌疑なし・嫌疑不十分の場合のほか、嫌疑が確実であっても、社会における更生が適当と思われる場合には不起訴(起訴猶予)となることがあります。
不起訴処分の場合、被疑者の身柄は直ちに釈放されます。
略式起訴の場合は、罰金を納めれば被疑者の身柄が釈放されます。 -
(4)起訴後勾留
正式起訴された被疑者の呼称は「被告人」に変わります。被告人の身柄は、起訴後勾留によって引き続き拘束されます。
ただし、起訴後勾留に移行した後は、裁判所に対して保釈を請求することが可能です(刑事訴訟法第89条、第90条)。保釈請求が認められれば、保釈保証金を預けることを条件として、被告人の身柄が一時的に解放されます。
起訴後勾留の期間は、弁護人と相談しながら公判手続きの準備を整えましょう。 -
(5)公判手続き・判決(第一審)
起訴から1か月程度が経過した段階で、地方裁判所において公判手続きが開催されます。
公判手続きでは、検察官が被告人の犯罪事実を立証します。被告人の方針は大まかに、罪を認めて情状酌量を求めるか、または罪を否認して争うかの2通りです。
すべての犯罪要件について検察官の立証が成功した場合は、有罪の判決が宣告されます。
3年以下の懲役または50万円以下の罰金が言い渡される場合に限り、執行猶予が付されることもあります。
これに対して、犯罪要件のうちひとつでも立証が失敗した場合には、推定無罪の原則により、無罪の判決が宣告されます。無罪判決が宣告された場合、被告人に身柄は直ちに釈放されます(刑事訴訟法第345条)。 -
(6)控訴・上告
第一審判決に不服がある場合は高等裁判所に対する控訴、さらに控訴審判決に不服がある場合は最高裁判所に対する上告が認められています。
控訴審では、第一審判決の当否が審理され、不適切と判断された場合には第一審判決が破棄・変更されます。
上告審では控訴審判決の当否が審理されますが、上告理由は控訴よりも限定されています(刑事訴訟法第405条、第411条)。
控訴・上告の期間は、いずれも判決宣告日の翌日から起算して14日間です(同法第373条、第414条)。期間内に控訴・上告が行われなかった場合は、判決が確定します。
また上告審判決が宣告され、判決の訂正期間(10日間)が経過した場合などにも、判決が確定します(同法第418条)。
実刑判決が確定した場合は、刑が執行されます。懲役刑であれば、被告人は刑務所に収監されます。
これに対して、執行猶予判決が確定した場合は、直ちに刑が執行されるのではなく、一定期間執行が猶予されます。ただし、執行猶予期間中に再犯をした場合などには、猶予が失効して、刑が科されることになります。
4、傷害罪の実刑判決を回避するためのポイント
傷害罪による実刑判決を回避するためには、以下のポイントに留意して対応しましょう。
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(1)早い段階で弁護士へ相談する
重い処罰を避けるためには、早い段階で弁護士へ相談・依頼することが大切です。
逮捕・起訴前勾留の段階から弁護士に依頼すれば、起訴の必要性がないことなどを検察官に訴え、早期の身柄解放に向けて尽力してもらえます。
起訴後の段階においても、保釈請求や公判手続きの準備を行ってもらえます。また、公判手続きでは、弁護士が適切に情状弁護を行うことにより、量刑の軽減が期待できます。
また弁護士は、いつでも被疑者・被告人と面会できるのが大きな特徴です。
特に逮捕段階や、接見禁止処分が行われている起訴前勾留の段階では、被疑者は家族と面会することができません。弁護士はいつでも被疑者と面会でき、家族とのコミュニケーションを取り持つこともできるので、被疑者にとっては大きな支えとなるでしょう。 -
(2)被害者との示談を成立させる
明確な被害者がいる傷害罪の場合、減軽を求めるためにも、被害者との示談を成立させることが非常に重要です。
示談成立によって被害弁償を行い、被害者の許しを得ることができれば、不起訴や量刑の軽減が期待できます。
傷害罪の疑いで身柄を拘束されている状況では、被疑者・被告人が自ら被害者と示談交渉をすることはできません。
仮に身柄を拘束されていなくても、被疑者・被告人と会うことを被害者が拒否するケースも多いです。
そのため、被害者との示談交渉は弁護士に依頼しましょう。弁護士に代理で交渉してもらえば、適正な条件でスムーズに示談が成立する可能性が高まります。 -
(3)事実関係を検証する
傷害罪が成立するには、暴行によって傷害結果が発生している因果関係が認められないといけません。
事実認定が困難な場合、傷害結果をのぞいて起訴するという判断がとられることもありますので、事実認定を意識した対応をおこなっていくことも重要です。
5、まとめ
傷害罪の疑いで逮捕されると、初犯であっても実刑判決を受けるおそれがあります。早い段階で弁護士に刑事弁護を依頼し、早期の身柄解放と重い刑事処分の回避を目指しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、刑事事件に関するご相談を随時受け付けております。ご家族が傷害罪の疑いで逮捕されてしまったら、速やかにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
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