盗撮して撮影罪で逮捕された・前科をつけたくない
令和5年7月13日に「性的姿態撮影等処罰法」が施行され、新たに「撮影罪」が設けられました。これまで盗撮行為は、迷惑防止条例違反として処罰されていましたが、同日以降は原則として撮影罪が適用されますので、従来よりも重い刑罰が科されます。
本ページでは、撮影罪の対象となる4つの盗撮行為や撮影罪で逮捕されたときの対処法などについて、弁護士が解説します。
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目次 −ボタンのクリックで目次が閉じます
- 1、盗撮で逮捕されたらどうなる?
- 2、盗撮行為で問われる罪
- 3、撮影罪とは?
- 4、撮影行為以外で、性的姿態撮影等処罰法にあたる行為
- 5、撮影罪と迷惑防止条例の違い
- 6、盗撮事件における弁護活動
- 7、盗撮行為で逮捕されたらベリーベスト法律事務所へ
1、盗撮で逮捕されたらどうなる?
盗撮をして逮捕されるとその後はどうなるのでしょうか。以下では、盗撮で逮捕された後の流れについて説明します。
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⑴ 逮捕
盗撮行為によって逮捕されると、警察署内の留置施設で身柄を拘束されます。逮捕後は、警察官による取り調べを受けることになりますが、この間は弁護士以外との面会は一切できないのが一般的です。
なお、逮捕には厳格な時間制限が設けられており、警察は被疑者を逮捕してから48時間以内に釈放するか、検察官に送致しなければなりません。 -
⑵ 検察への送致
警察から事件の送致を受けた検察官は、被疑者に対する取り調べを行ったうえで、被疑者の身柄拘束を継続するかどうかの判断を行います。
被疑者の身柄拘束を継続する場合には、送致から24時間以内に裁判官に対して勾留請求を行わなければなりません。 -
⑶ 勾留請求
検察官から勾留請求があった場合、裁判官は被疑者と面談したうえで、勾留を認めるかどうかを判断します。裁判官により勾留請求が却下されれば、被疑者の身柄は解放され在宅事件として捜査が進められます。
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⑷ 勾留・勾留延長
裁判官が勾留を許可すると、原則として10日間の身柄拘束が行われます。
勾留には延長制度がありますので、勾留延長も認められると、さらに最大で10日間の身柄拘束が継続します。そのため、逮捕による身柄拘束期間を含めると、最大で23日間も身柄拘束される可能性があります。 -
⑸ 起訴または不起訴の決定
検察官は、勾留期間が満了するまでの間に事件を起訴するか不起訴にするかの判断を行います。
事件が不起訴になればその時点で被疑者は釈放され、前科がつくこともありません。 -
⑹ 公判手続き
検察官により起訴されると、公判手続きで被告人の有罪・無罪や量刑の審理が行われます。
なお盗撮事件では、公判手続きではなく、略式手続きという書面の審理のみで罰金・科料が言い渡される手続きが行われることもあります。 -
⑺ 判決
盗撮事件に関する審理が終わると、裁判官から判決が言い渡されます。
2、盗撮行為で問われる罪
盗撮行為をした場合には、どのような罪に問われるのでしょうか。以下では、令和5年7月13日施行の「性的姿態撮影等処罰法」を踏まえて、盗撮行為で問われる罪について解説します。
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⑴ 「性的姿態撮影等処罰法」施行により「撮影罪」が新設
近年、スマートフォンや小型カメラなどの普及に伴い盗撮事件が増加傾向にあります。しかし、これまで盗撮行為を直接処罰する法律はなく、基本的には都道府県ごとに制定されている迷惑防止条例違反として処罰されていました。
迷惑防止条例は、都道府県ごとに処罰内容に差があり、刑罰も比較的軽いため、法律により厳格に処罰すべきであるとの意見を受けて、「性的姿態撮影等処罰法」が施行され、新たに「撮影罪」が設けられることになりました。
同法の施行日以降の盗撮行為には、原則として撮影罪が適用され、それ以前に行われた盗撮行為は従来どおり迷惑防止条例が適用されます。
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⑵ 盗撮行為で成立し得る犯罪
盗撮行為で成立し得る犯罪としては、以下の罪が挙げられます。
①撮影罪|令和5年7月13日以降の盗撮行為
前述のとおり、令和5年7月13日以降に発生した盗撮行為に対しては、原則として撮影罪が適用されます。
撮影罪とは、人の性的姿態等を同意なく撮影した場合に成立する犯罪です。なお性的姿態等とは、以下の3つを指します。
- ・性器、臀部(でんぶ)、胸部などの性的な身体の部分
- ・性的な部位を隠すために身につけている下着
- ・わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿態
たとえば、電車内で女性のスカートの中を撮影する行為や性交中の様子を隠し撮りするような行為は撮影罪の処罰の対象となります。
②迷惑防止条例違反|令和5年7月12日以前の盗撮行為
令和5年7月12日以前の盗撮行為については、都道府県ごとに制定されている迷惑防止条例が適用されます。迷惑防止条例違反となる具体的な行為や罰則は各都道府県によって異なりますが、多くのケースで、公共の場所などにおいて、通常衣服で隠されている人の身体や下着を撮影する行為などが処罰対象とされています。
罰則は、東京都の迷惑防止条例を例に挙げると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金と定められています。
③軽犯罪法違反
盗撮行為は、軽犯罪法違反となるケースもあります(軽犯罪法1条23号)。
軽犯罪法では、正当な理由なく、人が一般的に衣服をつけないでいるような場所での、のぞき行為を禁止しており、盗撮もこれに含まれます。ただし、盗撮場所が限定されていますので、駅や商業施設、路上での盗撮行為は処罰対象外となります。軽犯罪法に違反する盗撮行為をした場合の罰則は、拘留または科料です。
- ・拘留……1日以上30日未満、刑事施設で拘束される刑罰
- ・科料……1000円以上1万円未満の金銭を支払う刑罰
④住居侵入・建造物侵入罪
他人の住居や施設に立ち入り盗撮行為をすると、住居侵入罪または建造物侵入罪が成立します(刑法130条前段)。
住居侵入罪・建造物侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
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3、撮影罪とは?
撮影罪にあたる具体的な行為や刑罰、時効について解説します。
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⑴ 撮影罪の対象となる4つの行為類型
撮影罪の対象となる行為には、以下の4つの類型があります。
①正当な理由なくひそかに対象性的姿態等を撮影する行為
対象性的姿態等とは、以下の性的姿態等から、人が通常衣服をつけている場所において、不特定または多数の人の目に触れることを認識したうえで自ら露出などしているものを除いたものを指します。たとえば、自ら露出している人を撮影する行為などは、撮影罪の処罰の対象から除外されます。
性的姿態等
- ・性器、臀部(でんぶ)、胸部などの性的な身体の部分
- ・性的な部位を隠すために身につけている下着
- ・わいせつな行為や性交等がされている間の人の姿態
正当な理由なくひそかに性的姿態等を撮影する行為は、撮影罪の対象です。典型的な盗撮行為がこれにあたると考えておけばよいでしょう。
②「不同意」にあたる行為等を利用し、対象性的姿態等を撮影する行為
刑法176条1項の不同意わいせつ罪で定められた、以下のような行為・事由により、自分の意思で撮影に同意しない意思を形成し、表明するなどすることが困難な状態にある被害者の対象性的姿態等を撮影する行為は、撮影罪の対象にあたります。
- ・暴行、脅迫
- ・心身の障害
- ・アルコール、薬物の影響
- ・睡眠などにより意識が明瞭でない状態
- ・同意しない意思を形成し、表明、全うするいとまがない状態
- ・予想と異なる事態への恐怖、驚愕(きょうがく)
- ・虐待に起因する心理的反応
- ・経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮している状態
③誤信等を利用し、対象性的姿態等を撮影する行為
被害者の誤信等を利用したうえで対象性的姿態等を撮影する行為も撮影罪の対象にあたります。被害者の誤信等は、以下のいずれかに該当する状態が対象とされています。
- ・その行為の性質が性的なものでないと誤信させる
- ・特定の人以外は、閲覧しないと誤信させる
- ・被害者が上記の誤信をしている状態を利用する
④13歳未満または13歳以上16歳未満の者の性的姿態等を撮影する行為
正当な理由がないにもかかわらず13歳未満の子どもの性的姿態等を撮影する行為は、撮影罪の対象にあたります。
また、13歳以上16歳未満の子どもの性的姿態等を撮影する行為については、撮影者が被害者よりも5歳以上年長者である場合に限り、撮影罪の対象にあたります。
なお、親が子どもの成長記録として裸で遊ぶ様子を撮影することは、正当な理由がありますので撮影罪にはあたりません。 -
⑵ 撮影罪の刑罰
撮影罪の法定刑は、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」です。
拘禁刑とは、現在の懲役刑と禁錮刑を一本化した刑罰で、受刑者を刑務所に拘置し、改善更生を図るために必要な作業や指導を行うことができるというものです。拘禁刑は、令和7年6月1日に施行される改正刑法により適用されますので、それまでは懲役刑として扱われます。
なお、撮影罪は、未遂も処罰対象としていますので、撮影行為が未遂に終わった場合も撮影罪で処罰されます。
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⑶ 撮影罪の時効
撮影罪には公訴時効がありますので、一定期間が経過すると検察官が事件を起訴することができなくなります。
撮影罪の公訴時効は3年です。したがって、犯罪行為が終わったときから3年が経過すると処罰されることはなくなります。
4、撮影行為以外で、性的姿態撮影等処罰法にあたる行為
性的姿態撮影等処罰法は、撮影行為以外にも、撮影された画像の提供や保管なども処罰の対象としています。以下では、撮影行為以外で、性的姿態撮影等処罰法にあたる行為を解説します。
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⑴ 提供罪(性的影像記録提供等罪)
撮影罪の対象となる4つの行為類型により撮影・記録された性的姿態等の画像や動画を第三者に提供することや、インターネット上にアップロードして不特定または多数の者が閲覧できる状態にした場合、性的影像記録提供等罪が成立します。
性的影像記録提供等罪は、性的影像記録を提供したのが特定・少数の者であるか、不特定・多数の者であるかによって法定刑が異なってきます。
特定・少数の者に提供した場合……3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
不特定・多数の者に提供した場合……5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金 -
⑵ 保管罪(性的影像記録保管罪)
撮影罪の対象となる4つの行為類型により撮影・記録された性的姿態等の画像や動画を第三者に提供することや、インターネット上へアップロードすることを目的として保管すると性的影像記録保管罪が成立します。
性的影像記録保管罪の法定刑は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金と定められています。
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⑶ 送信罪(性的姿態等送信罪)
不特定または多数の者に対し、撮影罪の対象となる4つの行為類型と同様の方法で性的姿態等の画像や動画を影像送信すると、性的姿態等送信罪が成立します。影像送信とは、ライブストリーミングや生配信などを指すと考えておけばよいでしょう。
なお性的姿態等送信罪に該当する行為で影像送信されたものを、その事情を知りながらさらに不特定または多数の者に送信する行為も同罪により処罰されます。
性的姿態等送信罪の法定刑は、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金と定められています。
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⑷ 記録罪(性的姿態等影像記録罪)
撮影罪の対象となる4つの行為類型と同様の方法で影像送信された性的姿態等の画像や動画を、その事情を知りながらダウンロードなどをすると性的姿態等影像記録罪が成立します。
性的姿態等影像記録罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金と定められています。
5、撮影罪と迷惑防止条例の違い
撮影罪の新設により、盗撮行為をしたのが同法の施行日である令和5年7月13日以降かそれ以前かによって、どちらの罪が適用されるかが変わってきます。それぞれ刑罰などが大きく異なりますので、両罪の違いを押さえておくことが重要です。
両罪の主な違いをまとめると以下のようになります。
撮影罪 | 迷惑防止条例 | |
---|---|---|
処罰の対象となる行為 |
盗撮行為 盗撮した影像の提供 盗撮した影像の保管 性的姿態等の送信 性的姿態等の影像の記録 |
盗撮行為 |
刑罰 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
1年以下の懲役または100万円以下の罰金 (東京都の場合) |
時効 | 3年 | 3年 |
6、盗撮事件における弁護活動
盗撮事件に関して、弁護士は、以下のような弁護活動を行うことができます。
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⑴ 被害者との示談交渉
盗撮事件では被害者との示談を成立させることが重要になりますが、性犯罪という性質上、被害者は、加害者に対して強い処罰感情や恐怖心を抱いています。このような被害者に対して加害者が接触しようとしても拒否されてしまうでしょう。
そのような場合でも、弁護士であれば加害者に代わって、被害者と示談交渉を行うことができます。弁護士が対応することで、被害者が示談に応じてくれる可能性が高まり、示談成立を期待できます。
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⑵ 早期釈放に向けた働きかけ
盗撮行為をして逮捕されてしまうと最大で23日間にも及ぶ身柄拘束を受けることになります。その間は留置施設から出ることができませんので、身柄拘束期間が長くなればなるほど、解雇、退学などのリスクが高くなります。
弁護士であれば、勾留決定を争ったり、被害者との示談交渉を行うなどして早期釈放に向けた働きかけをすることができますので、身柄拘束によるリスクを最小限に抑えることができます。
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⑶ 不起訴や執行猶予の獲得に向けた弁護活動
盗撮事件では、被害者との示談を成立させることができれば不起訴になる可能性も十分にあります。弁護士は、検察官による処分が出る前に迅速に示談を成立させることで、不起訴処分の獲得を目指していくことができます。
また、示談が間に合わず起訴されてしまったとしても、被害者との示談を成立させることができれば、執行猶予を獲得して実刑を回避することができます。
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⑷ 自首のサポート
警察による逮捕を回避する方法としては、自首も有効な手段となります。
ただし、自首をすることで本来発覚していなかった盗撮事件を掘り起こしてしまうリスクもありますので自首をするかどうかは慎重に判断する必要があります。
弁護士に相談をすれば、自首をすべきかどうかのアドバイスができ、自首をする場合には警察署に同行することも可能です。
7、盗撮行為で逮捕されたらベリーベスト法律事務所へ
性的姿態撮影等処罰法の施行により令和5年7月13日からは、盗撮行為に対して「撮影罪」が適用されることになります。従来の迷惑防止条例違反の盗撮に比べて重い刑罰が科されますので、不起訴や刑の減軽に向けて適切な弁護活動が重要になります。
盗撮事件を起こして警察から連絡が来ている場合や大切なご家族が盗撮行為で逮捕されてしまったという場合には、すぐにベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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