覚せい剤大量所持で逮捕、起訴。しかし覚せい剤の存在の認識を欠くとして無罪判決に。
事件発生の経緯
Aさんは、製造販売業者の社長を名乗るXらからビジネスの話を持ち掛けられ、製品を保管する倉庫を借りた上、Xらから連絡を受けて、外国から日本へと製品を輸入する手続を行いました。
ところが、倉庫に届いた製品には記載上の不備があり、Aさんは不可解に思ったことから、書類の確認と話し合いを求めて、国外にいるXのもとへ向けて出国しました。
しかし、その翌日、Xの部下らがAさんの倉庫に侵入し、製品の中身を持ち出そうとしました。通報を受けて警察が臨場した際、Aさんの倉庫内にあった製品の中からは、膨大な量の覚せい剤が発見されました。
その後、帰国したAさんは覚せい剤取締法違反(営利目的所持)の疑いで逮捕されました。
相談~解決の流れ
初回接見時から、Aさんは覚せい剤が製品に隠匿されているとは知らなかったと述べており、Aさんの話は具体的で真に迫るものがありました。
当事務所の弁護士もAさんの無実を信じて、一貫した無罪主張を続けました。
Aさんは起訴され、検察官は、Aさんには覚せい剤所持の認識があったと主張しましたが、当事務所の弁護士は、当時Aさんは生じた疑問を払拭すべく行動しており、覚せい剤の隠匿を知っている者の行動とは考えられないこと、税関や運送業者でさえ気が付かなかった覚せい剤の存在をAさんは認識していたはずだというのは無理があること、Aさんは覚せい剤保管の対価と呼べるような金員をXらから受け取っていないこと、などを主張しました。
公判では多数の書証や長時間にわたる被告人質問を経ましたが、裁判所は、Aさんに覚せい剤所持の認識があったと認めるには疑いが残るとして、無罪判決を言い渡しました。
解決のポイント
本件の最大の争点は、Aさん自身に覚せい剤所持の認識があったか否かでした。検察官は、間接事実を積み重ねることによってこれを立証しようとしましたが、当事務所の弁護士は、それらの間接事実をもってしてもAさんが覚せい剤の存在を認識していたという結論は導かれない旨を説得的に主張するとともに、反対に、Aさんが覚せい剤の存在を知らなかったことをうかがわせる事実を挙げていきました。
その結果、無罪判決を勝ち取ることができ、無実のAさんを冤罪から守ることができました。
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