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弁護士コラム

2020年08月20日
  • 薬物事件
  • ヘロイン
  • 構成要件

ヘロインで逮捕された場合の刑罰は? 抵触する法律と構成要件を解説

ヘロインで逮捕された場合の刑罰は? 抵触する法律と構成要件を解説
ヘロインで逮捕された場合の刑罰は? 抵触する法律と構成要件を解説

警察庁によれば、薬物事犯の検挙人数は1万3542人(平成29年)と高い水準にあります。自分の家族が薬物に手を染めて逮捕されてしまったとき、残された家族としてどのような行動を起こせばよいのでしょうか。

違法薬物には大麻や覚醒剤などさまざまなものがあり、「ヘロイン」もその一種です。ヘロインは中毒性や危険性が高いことで知られている薬物ですが、他の薬物とどのような違いがあり、どんな法律に抵触するのでしょうか。

今回はヘロインの所持などを規制する法律の概要や刑罰の内容、犯罪が成立するための構成要件を中心に解説します。

1、ヘロインはどのような薬物か

「ヘロインは違法な薬物だ」という認識はあっても、摂取すると具体的にどのような影響がでるのかまでは知らない方も多いでしょう。ヘロインの特徴や身体および精神への影響について解説します。

  1. (1)ヘロインの特徴

    ヘロインは植物の「けし」を原料とした「ジアセチルモルヒネ」という薬物です。別名としてヘロインと呼ばれています。けしから「あへん」を採取し、あへんから抽出した「モルヒネ」を加工したものがヘロインです。
    その薬理作用はモルヒネの3倍ともいわれるほど強力で、心身への影響が非常に大きいことから、医学的な使用も一切禁止されています

  2. (2)身体的影響

    ヘロインのようなあへん系麻薬は、中枢神経を抑制し、脳へ大きな影響をおよぼします。具体的には、意識障害や幻覚・妄想、記憶力の低下、けいれんなどを引き起こします。影響は全身におよび、気管支炎や心不全、不整脈、嘔吐(おうと)感や下痢症状、瞳孔の拡大といった症状も生じさせます。大量に摂取すると呼吸抑制や昏睡(こんすい)などの急性中毒症状に陥り、死にいたる場合もあります。

  3. (3)精神的影響

    ヘロインの摂取は強烈な陶酔感や多幸感をもたらすといわれ、乱用者はその快感を忘れられずに精神的依存の度合いを強くします。中毒性が高いため摂取したいとの願望を抑えられず、入手するために窃盗や強盗など別の犯罪行為に手を染める場合もあります。

  4. (4)激しい禁断症状

    ヘロインの効果は2~3時間持続しますが、その後には骨や筋肉の激痛、悪寒、嘔吐(おうと)などの激しい禁断症状が生じ、その苦しさから精神障害をきたす場合もあるほどです。禁断症状のおそろしさから一度手をだしたらやめられないという悪循環に陥ります

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2、麻薬及び向精神薬取締法とは

違法薬物は薬物の種類に応じて各法律の適用を受けています。たとえば大麻は「大麻取締法」、覚醒剤は「覚醒剤取締法」、あへんは「あへん法」で規制されています。ヘロインなどの麻薬や向精神薬を規制するのが「麻薬及び向精神薬取締法」です

  1. (1)対象となる薬物

    麻薬及び向精神薬取締法で取り締まりの対象となる薬物は、同法の別表で示されています。代表的な薬物は以下のとおりです。


    • ヘロイン
    • モルヒネ
    • コカイン
    • LSD
    • MDMA、MDA
    • 向精神薬(メチルフェニデートなど)


    規制対象となるのはあくまでも違法な成分が含まれる薬物です。ヘロインやコカインなどと呼ばれても、違法な成分が含まれていない薬物であれば、麻薬及び向精神薬取締法違反の罪は成立しません。しかし、海外では適法とされる薬物であっても、麻薬及び向精神薬取締法で規制されるものであれば、日本では同法違反となります。

  2. (2)禁止される行為

    麻薬及び向精神薬取締法の第12条では次のような行為が禁止されています。


    • 輸出、輸入
    • 製造、製剤
    • 小分け、譲渡、譲受、交付
    • 施用
    • 所持
    • 廃棄
    • 麻薬原料植物の栽培


    麻薬及び向精神薬取締法違反の罪は、規制の対象となる麻薬や向精神薬を、輸出・輸入、製造、譲渡・譲受、施用、所持すること等で成立します。ただし研究者などが厚生労働大臣の許可を受けて正当に取り扱う場合はこの限りではありません。

  3. (3)刑罰の内容

    麻薬及び向精神薬取締法は「ヘロイン」「ヘロイン以外」「向精神薬」の3つにわけて、異なる刑罰規定を設けています。
    この中でもっとも刑罰が重いのがヘロインです。ヘロインは麻薬作用や依存性の高さ、禁断症状の深刻さなどにおいて特に危険な薬物であることから、重い刑罰を規定して乱用や流通を防ぐ必要性が高いからです。


    【輸出入、製造などの刑罰】
    • ヘロイン:1年以上の有期懲役(第64条)
    • ヘロイン以外:1年以上10年以下の懲役(第65条)
    • 向精神薬:5年以下の懲役(第66条の3)

    【譲渡・譲受、所持などの刑罰】
    • ヘロイン:10年以下の懲役(第64条の2)
    • ヘロイン以外:7年以下の懲役(第66条)
    • 向精神薬:3年以下の懲役(第66条の4)


    いずれも、営利目的の場合は刑罰が重くなります。また、営利目的の有無を問わず、未遂でも罰せられます

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3、麻薬及び向精神薬取締法の罪が成立する構成要件

麻薬及び向精神薬取締法違反の罪が成立するには、「構成要件」を満たす必要があります。構成要件とは、法律の条文に記載されている犯罪成立要件のことです。上記の通り、この法律は、規制対象となる薬物の所持・使用等を処罰対象としています。

  1. (1)違反行為の典型は「所持」

    禁止行為の中でも件数が特に多い違反行為は、所持です。所持とは、現に携帯している場合はもちろんですが、自宅に保管している、自家用車の中に隠してある、知人に預けてある場合も含まれます。たとえ少量でも所持にあたります。

    「使用せず、ただ持っているだけで処罰の対象になるのか?」と疑問に感じるかもしれませんが、所持も軽い行為とはいえません。心身への影響が大きく、あらゆる犯罪のきっかけにもなる危険な薬物は、所持の段階で規制して被害を食い止める必要があるからです。

  2. (2)犯罪の「故意」

    犯罪が成立するには「故意」が必要です。「故意」の一般的な用法は「わざと」に近い意味合いですので、わざとではなければ故意はなかったと思ってしまいがちです。

    しかし、法律上の故意は、「わざと」よりも広い概念です。法律上の故意は、一般に、犯罪にあたる行為を認識・認容していることを意味します。たとえば「ヘロインかどうか、はっきりとはわからないけれど、そうかもしれない」と思って所持していれば、未必的であっても、ヘロインを所持する認識があるため、故意があったと判断されます。このような「未必の故意」は「わざと」とまではいえませんが、法律上は、故意があると認められるのです。

    他方、友人から「これはかぜ薬だ」と言われて疑いなく信じてヘロインを所持していた場合は、違法な薬物を所持する認識がないので、法律上の故意は認められないでしょう(ただし、たとえば、ヘロイン所持の前科がある上、風邪薬をもらった相手が売人で、そのことを知っていたような場合には、「疑いなく信じた」という弁解は容易には通らないでしょう。)。

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4、ヘロイン事件の逮捕の特徴と弁護士に相談すべき理由

家族がヘロイン事件で逮捕されたら、早急に弁護士へ相談することが大切です。

  1. (1)勾留される可能性が高い

    ヘロイン事件では、再使用や証拠隠滅を防ぐため、大半のケースで身体を拘束されます。これを、勾留といいます。勾留は最長で20日間におよぶため、日常生活への影響は必至です。解雇や退学処分を受ける、再就職が困難となるなど、さまざまな影響が考えられます


  2. 起訴されるとそこからさらに身柄の拘束が続くため、本人の心身の負担はいっそう高まります。薬物事件では生活環境の悪さから薬物に手を出したと思われやすいため、簡単には認められない傾向があるものの、保釈請求をすることで身柄開放を試みることが必要です。そのために、弁護士に依頼することも検討すべきでしょう。


  3. (2)ヘロイン事件の難しさ

    ヘロイン事件には特定の被害者がいるわけではないので、示談をして反省の情を示すことができません。また通常は物的証拠が確保されているため、嫌疑不十分による不起訴処分には高い壁があります。再犯率も高く、再犯で逮捕された場合には、執行猶予つき判決を得ることは困難でしょう。ヘロインで逮捕された場合の本人へのサポートを家族だけですることは、なかなか難しいと考えられます。

    しかし、弁護士に依頼すれば、次のような活動を通じて、早期の身柄解放や処分の軽減につなげられる可能性が生じます。


    • 逮捕後起訴前に本人と接見する(逮捕の間は家族も原則として面会ができません)
    • 贖罪(しょくざい)寄付によって反省の情を示す
    • 家族による監督が期待できる根拠を検察官や裁判官に的確に伝える
    • 薬物依存症の治療等の再犯防止策を講じる
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5、まとめ

ヘロインの所持や輸入等は、麻薬及び向精神薬取締法によって罰せられます。家族がヘロインの所持等で事件を起こして逮捕された場合は、保釈による身柄開放や、刑罰を軽くするための準備をするために、速やかな行動が求められます。薬物の依存性も高いため、家族が本人の治療や精神面を支えて更生を促すことも大切です。
万が一、ヘロインの所持等で家族が逮捕されてしまったら、速やかにベリーベスト法律事務所までご相談ください。経験豊富な弁護士が全面的にサポートします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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