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弁護士コラム

2020年05月20日
  • その他
  • 密漁
  • 罪の重さ

趣味の釣りや潮干狩りも密漁になる? 問われる可能性がある罪とは

趣味の釣りや潮干狩りも密漁になる? 問われる可能性がある罪とは
趣味の釣りや潮干狩りも密漁になる? 問われる可能性がある罪とは

「密漁」と聞くとどのような行為をイメージするでしょうか? 禁止されている海域でひそかに漁をしているような、組織的で大規模なものをイメージしがちですが、実は趣味やレジャーとしての行為が密漁にあたるケースもあります。
令和2年2月には、漁港内で伊勢エビを捕った男性2名が密漁の疑いで書類送検されたという報道がありました。発覚したのは付近の釣り客からの110番通報で、たとえレジャーのつもりであっても思わぬ結果を招いてしまうこともあるという一例だといえるでしょう。
本コラムでは、意外にも日常的な行為が罪に問われるおそれのある「密漁」について、適用される法律や刑罰の内容などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、密漁に関する法律をまず解説

レジャーとしての釣りや潮干狩りなどは、海産物を捕獲する「漁」にあたります。そのため、漁を規制する法律や規則が敷かれている場合は法律の規制を受けることになることをご存じでしょうか。

適用される法律について、まずは確認しておきましょう。

  1. (1)水産資源保護法

    水産資源の保護培養を図り、効果を維持することで漁業の発展を目指すのが水産資源保護法の目的です。水産資源保護法では、以下の2つの制限が敷かれています。

    • 漁法の制限

      爆発物や有毒物を使った水産動植物の採捕は禁止されており、違反すると3年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

    • 保護水面

      水産動植物の産卵・育成・種苗の発生に適した水面を保護水面に指定し、該当区域での水産動植物の採捕を禁止しています。

  2. (2)各都道府県の漁業調整規則

    各都道府県において定められているのが漁業調整規則です。漁具・漁法・採捕禁止区域・魚種ごとの採捕禁止期間・体長制限など、漁に関するさまざまな規則が詳しく定められています。どの漁法が許可されているかは、水産庁のサイトなどを確認できます。

    漁業調整規則に違反した場合の罰則は都道府県によって異なりますが、違反すれば罰金または懲役が科せられる可能性があります。

  3. (3)漁業法

    漁業法とは水産資源を守りながら、民主的に漁業を営んでいくための法律です。この法律では「漁業権」という権利が定められています。これは、ある区域において他の人を入れずに漁業を可能にする権利のことです。漁業に携わりたい人は漁協に入ることで、この権利を取得しています。

    漁業権には3つの区分けがあり、「共同漁業権」「定置漁業権」「区画漁業権」があります。このなかで一般の方が気にするべきなのは「共同漁業権」でしょう。共同漁業権とは、地元の漁師が一定の水面で共同して漁業を営む権利です。一般の方でも、レジャーの釣りや潮干狩りのやり方によっては、対象魚種や保護区域を侵害してしまいやすい権利であるといえるでしょう。

    日本沿岸のほとんどの地域には、この共同漁業権が設定されています。この漁業権を侵害した、もしくは漁業を営む者の権利を侵害した場合は、漁業法第143条により20万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

  4. (4)刑法

    他人が仕掛けたわなや定置網の中の魚や貝を採った場合は、窃盗罪(刑法第235条)にあたる可能性があります。窃盗罪として罪に問われ、有罪になったときは、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることになります。

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2、密漁とみなされる可能性がある行為

日本の漁業は、上記4つの法令によって守られており、これらに違反したとして、全国各地で密漁が摘発されています。

たとえば、実際に逮捕や書類送検された事例としては、以下の通りです。

  • 2019年3月、漁業権を持っていないのに、伊勢エビを釣ったとして3名が書類送検
  • 2019年6月、禁止漁法を用いてなまこを不法に採捕していたことを捜査員に突き止められた8名が、北海道海面漁業調整規則違反で逮捕
  • 2018年7月、漁業権がないにもかかわらず、アワビ40キロを密漁した容疑で敦賀海上保安部が男2名を逮捕

ご覧いただいている通り、さまざまケースで摘発されているのです。

密漁であると認識しながら漁をするのは論外ですが、「レジャーだから」とか「少量だから」という軽い気持ちや知識不足での行為も、密漁として摘発の対象になるのが現実です。

  • 無免許や無断での漁業をした
  • 禁漁区域や禁止漁法を行った
  • 漁業権の侵害をした

と疑われる行為は、密漁となる可能性があります。

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3、釣りや潮干狩りも要注意

以上で申し上げた通り、レジャーとしての釣り・潮干狩りでも、密漁とみなされてしまうケースがあるのです。
ここでは具体的な注意点について解説しましょう。

  1. (1)アサリ、サザエ、アワビなど貝類採取は要注意!

    アサリ・サザエ・アワビなどは、潮干狩りや岩場での貝採りで、人気がある貝でしょう。しかし、これらは共同漁業権で保護されている貝類です。遊びに行った先で、漁業権を侵害していると知らずに採捕してしまうケースも少なくありません。

  2. (2)穴場だと思っていませんか? 禁止区域での釣りは摘発対象

    釣りが趣味の方なら、釣りに行った先で「ここは禁止区域です」という看板をご覧になったことがあるでしょう。こういった場所での釣りは、もちろん規制対象となります。当然ですが、違反すれば摘発される可能性があるということです。

  3. (3)禁止されている漁法での漁もNG

    都道府県の漁業調整規則では、該当の県で認められている釣りの方法が細かく定められています。たとえば「手釣り」は、ほとんどの県で許可されていますが、集魚灯や照明器具が禁止されている県もあります。

    自分の行為が密漁とならないよう、釣りや潮干狩りをする前に、その地域の情報を集めたり、禁止事項が書かれている看板を読んだりして、あらかじめ確認しておくことが重要です。

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4、密漁で逮捕されたときの流れ

密漁の疑いで逮捕されてしまった場合は、どのような手続きが行われるのでしょうか。ここでは逮捕後の一般的な流れと、密漁事件の手続きの特徴についてお伝えします。

  1. (1)逮捕された場合の手続きの流れを解説

    • 逮捕から勾留決定まで、最大72時間、身柄拘束される

      逮捕後、被疑者と呼ばれる立場になり、まずは警察から今回の事件についての取り調べを受けます。この期間は最長42時間で、取り調べが終わり次第、検察に送致されるかどうかが決定します。

      警察に逮捕されている最中は、家族や友人との面会はできません。しかし、弁護士だけは自由に接見することができます。被疑者と接見した弁護士は、取り調べについてのアドバイスを行うことや、ご家族から預かった差し入れを手渡すことが可能です。

    • 勾留かどうか決定を受ける

      送致を受けた検察は、24時間以内に在宅事件扱いとするか、勾留の請求を行うかを判断します。「勾留(こうりゅう)」とは、逮捕後72時間たったあとも、身柄の拘束を受けたまま取り調べを受けることです。逃亡の危険性や、事件の証拠を隠滅する可能性がある場合などに、検察官が裁判所に勾留するよう請求します。勾留は原則10日、最長で20日にわたります。

      勾留となると、帰宅できない期間が逮捕から最長23日間にも及ぶことになります。したがって、勤務先などに逮捕された事実が知られてしまう可能性が高まるでしょう。この場合も、弁護士に依頼をすれば、「勾留が不要である」ということを検察官や裁判官に主張し、勾留されないための弁護活動を行うことができます。その結果、勾留を避けることができる可能性が出てきます。

    • 起訴か不起訴かの判断を受ける

      取り調べが終わると、起訴か不起訴かの判断を検察官が行います。この判断は、身柄拘束が続いている場合は逮捕から23日以内、勾留されず「在宅事件」扱いとなっている場合は捜査が終わった後に行われます。

      日本の司法では、統計上起訴されれば99%の確率で有罪となります。しかし、被害者と示談が終わっている等の事情があれば、たとえ罪を犯したことが事実であっても不起訴となる可能性も高まります。

    • 起訴の場合は、「略式起訴」か「公判請求」に

      検察官が「略式起訴」か「公判請求」どちらかを請求することで、裁判が始まります。

      「略式起訴」とは、罰金刑の場合の簡単な裁判なことです。本人の出廷も求められないため、罪を認めていて早く元の生活に戻りたい場合にはよいでしょう。「公判請求」とは、いわゆる刑事裁判を始めるよう求めることです。無罪を主張している場合は、弁護士が裁判でその旨を主張することになります。

  2. (2)密漁事件の特徴1 海上保安庁への出頭の場合がある

    海上での密漁の場合は、逮捕や取り調べは海上保安庁が行います。その場で逮捕されなかった場合でも、管轄の海上保安庁において捜査を受けることになるでしょう。一方、漁港・砂浜・磯場などの岩礁帯での事件であれば、管轄の警察によって捜査が行われます。

  3. (3)密漁事件の特徴2 「在庁略式」になることも

    漁業法違反をはじめとした密漁事件では、検察庁に出頭した際にそのまま罰金刑が確定する「在庁略式」という手続きが取られることがあります。これは、事件が海上で発生しているため、裁判所の管轄権の判断が難しいという事情によるものです。

    正式な刑事裁判を経ることなく罰金刑が確定するため、被疑者にとっても利便性が高いように感じられるかもしれません。しかし、在庁略式を受け入れた場合は、その場ですぐに前科がついてしまいます。反論や主張がある場合には受け入れるべきでないということは心にとめておきましょう。

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5、密漁で捜査を受けたとき、早めに弁護士に相談すべき理由

密漁事件の容疑者となってしまった場合は、早急に弁護士に相談してサポートを受けましょう。弁護士に依頼すべき理由は主に3つあります。

  1. (1)示談の可能性が高まる

    まず、弁護士による示談交渉で示談の可能性が高まることが挙げられます。漁業法違反などの事件では、被害地域の漁業協同組合が被害者となって刑事告訴することになります。弁護士に依頼すれば、「悪質性がなかったこと」や「素直に賠償に応じる意思があること」「反省しており再び密漁を犯さないこと」など合理的な弁明が可能です。漁協によっては、一貫して「示談には応じない」という対応を行う場合もあるため、被疑者本人ではなく弁護士の対応は必須といえます。

    また、法外に高額な示談金の提示を受けたとしても、これまでの経験や判例などをもとに適正な金額で折り合いをつけられる可能性が高まります。

  2. (2)勾留・裁判に関する弁護活動が可能

    もし逮捕された場合、身柄の拘束が長期間に及ぶ可能性があります。そのような事態が起きてしまうと、日常に大きな影響を及ぼしかねません。

    そこで弁護士は、勾留が長期間続かないよう、捜査機関に適切な働きかけを行います。また、起訴されてしまった場合は、重すぎる罪に問われないよう全力で弁護活動を行います。

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6、まとめ

趣味やレジャーのつもりでも、釣りや潮干狩りが密漁とみなされてしまうことがあります。警告の立て看板を無視する、営利目的で大量に採捕するなどの事実があれば、逮捕や刑罰といった厳しい処分が下される可能性は否定できません。釣りや潮干狩りに行く際は、区域ごとのルールをしっかりと確認しておくべきでしょう。

図らずも密漁とみなされ逮捕された、任意の取り調べのため出頭を求められているなどの状況であれば、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。早めにご相談いただくことで、刑事弁護についての知見が豊富な弁護士が適切なアドバイスをするとともに、サポートを行います。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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