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軽犯罪法の時効はどのくらい? 違反行為の内容と時効期間について解説
軽犯罪法は、比較的軽微な犯罪行為を規制する法律です。あなたがまさか犯罪にあたるとは思わなかった行為でも、刑事罰を受け、前科がつく可能性があります。過去の行為が軽犯罪法に抵触すると知ったとき、いつまで取り調べの対象となり、前科がつくおそれがあるのかと不安になるかもしれません。
刑事事件では、時間の経過とともに証拠の収集が難しくなり、社会的な影響も薄れることから、特定の犯罪を除いて公訴時効の制度が設けられています。軽犯罪法における時効期間はどのくらいで、時効が完成するとどうなるのでしょうか。軽犯罪法違反に該当する行為や罰則とあわせて見ていきましょう。
1、軽犯罪法違反の時効は?
軽犯罪法とは、刑法などには抵触しない比較的軽微な犯罪行為を取り締まる法律です。軽犯罪とありますが、規制される行為の中には刑法で罰せられる行為の予備軍ともいえるものもあります。
過去に軽犯罪法違反にあたる行為をした場合、時効になっているのかどうかが気になるかもしれません。軽犯罪法違反の公訴時効は1年です。違反行為をしてから1年が経過すると起訴されなくなるという意味で、つまり、1年経過すれば罪に問われることがなくなります。
ただし、軽犯罪法違反を犯しても、1年では時効が完成しないケースが2つあるため、注意が必要です。
ひとつは、ほかの罪も一緒に犯している場合です。たとえば浴場などののぞき行為は軽犯罪法第1条第23号に抵触する行為ですが、他人の住居に侵入してのぞき行為をした場合、軽犯罪法違反と同時に住居侵入罪(刑法第130条)も犯していることになります。
このような手段(住居侵入)と目的(のぞき行為)の関係にある犯罪を「牽連犯(けんれんはん)」といい、時効は各罪における法定刑が重いほうを基準にされます。住居侵入罪の時効は3年なので、この事件の時効は3年ということになります。
もうひとつは時効の停止です。犯人が国外にいる場合や逃げ隠れしていて起訴状を送れない場合、共犯者が起訴された場合などには、時効の進行が一時的にストップします。
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2、時効は3種類ある
まず、刑事事件に関する時効は2つあります。
ひとつは前項でも紹介した公訴時効です。これは、一定期間が経過すると検察官に起訴されなくなるという、刑事訴訟法第250条で定められた制度を指します。時効を迎えれば、起訴されないので裁判にかけられることも、有罪判決を受けて前科がつくこともありません。一般的にイメージされる時効は公訴時効だと考えてよいでしょう。
刑事訴訟法では、人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑にあたるものと、それ以外にわけたうえで、法定刑に応じて公訴時効の期間を定めています。前述のとおり、軽犯罪法違反の公訴時効は1年です。なお、人を死亡させた罪で死刑にあたるもの(殺人罪など)には公訴時効がありません。
もうひとつは刑の時効です。刑の言い渡しを受けてから一定期間が経過すると刑の執行が免除される制度です(刑法第31条、32条)。裁判で言い渡された刑に応じて刑の時効が定められており、軽犯罪法違反で拘留や科料の刑が確定した場合、刑の時効は1年です。
刑の時効は起訴され刑が確定した者に対して適用されるため、起訴前の段階に係る公訴時効とは性質が全く異なります。具体的には刑の確定後に逃走したようなケースで関係するため、刑の時効が問題になることは少ないといえるでしょう。
なお、刑事事件に関する時効のほかにも、民事上においても時効が存在します。一般的に、被害者がいる罪を犯した加害者は、被害者が受けた損害を賠償しなければなりません。つまり、たとえ刑事事件で罪を裁かれ有罪になったとしても、被害者から損害賠償請求を受けたときはこれに応じる必要があります。損害賠償請求をされる場合の時効「消滅時効」と呼ばれます。
刑事事件に関する時効が成立したとしても、民事上の時効が成立するまでは被害者から損害賠償請求をされることがあるということは覚えておきましょう。
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3、軽犯罪法に該当する代表的な行為
軽犯罪法は第1条の第1号から34号まで(21号は削除)の33種類の罪があります。中でも検挙件数が多い代表的な行為を紹介します。
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(1)凶器携帯の罪(第2号)
正当な理由なく、刃物など人の身体に重大な害を与え得る凶器を隠して携帯している罪です。凶器を携帯するという点で、殺人罪(刑法第199条)や強盗罪(刑法第236条)などの重大犯罪への関与が疑われかねない行為だといえます。
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(2)火気乱用の罪(第9号)
相当の注意を払わず、建物、森林など燃えるような物の近くで火をたく、またはガソリンなど引火しやすい物の近くで火気を用いる罪です。人の命にかかわる非常に危険な行為であり、実際に火災が発生した場合は、放火や失火の罪(刑法第108条~118条)に問われるおそれもあります。
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(3)虚偽申告の罪(第16号)
公務員に対して虚偽の犯罪や災害の事実を申し出る罪です。罪を犯していないのに警察官へ「自分がやった」と告げたり、火事が起きていないのに消防へ通報したりする行為が該当します。
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(4)追随等の罪(第28号)
他人の進路に立ちふさがったり、不安や迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとったりする罪です。これらの行為を繰り返すと、目的によってはストーカー規制法違反として扱われる可能性が生じます。
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(5)田畑等侵入の罪(第32号)
立ち入りが禁止された場所や他人の田畑に入る罪です。田畑の場合は、立ち入り禁止の看板などがなくても侵入が禁止されています。侵入した場所によっては住居侵入・建造物侵入(刑法第130条)に該当する場合があります。
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4、軽犯罪法に違反した場合の罰則
軽犯罪法に違反すると「拘留または科料」に処せられ、33種類のどの罪を犯した場合でも同じ罰則が適用されます。未遂罪はないため、禁止された行為をした場合にのみ処罰の対象となります。
拘留は懲役刑と同じく刑事施設で身体を拘束される刑罰ですが、その期間は1日以上30日未満と定められています。また、懲役刑では刑務作業を行うのに対して拘留は単に拘置される罰である点、懲役刑のように執行猶予がつかない点などが異なります。
科料は罰金刑と同じく金銭を徴収される刑罰ですが、罰金刑の金額が1万円以上であるのに対し、科料の金額は1000円以上1万円未満です。
拘留や科料は懲役刑や罰金刑などと比較すると軽い罰ですが、刑罰には違いないため前科がつきます。前科がつけば社会生活へ影響が生じるおそれがあります。逮捕されれば事件が報道される可能性もあります。刑罰が軽いことで、検察官によっては早期に起訴の判断をする場合がある点にも注意が必要です。
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5、弁護士へ相談すべき理由
軽犯罪法は、それ自体の罰則は重くありませんが、事案によってはすぐに起訴され前科がついてしまう可能性がある犯罪です。刑法など軽犯罪法以外の法律に違反すると評価された場合には、罰則が拘留や科料では済まず、懲役刑などの重い結果になることも考えられます。そのため「軽犯罪なのだから」と軽く考えず、弁護士へ相談することが望ましいでしょう。弁護士の活動により処分が軽くなるケースは多くあります。
弁護士は、当該行為の悪質性が低く、本人が深く反省していて、日ごろの生活態度もよいといった主張を意見書にまとめ、検察官へ提出します。
さらに、のぞき行為のように被害者がいる犯罪の場合は、弁護士を介して示談交渉を行い、被害者の宥恕(ゆうじょ)意思を得ることで不起訴処分の可能性を高めます。検察官は被害者感情を重視するため、被害者から許しを得られている以上、起訴の必要性が低いと判断されやすくなるでしょう。不起訴処分になれば前科がつかずに済み、社会生活への影響を最小限に抑えることができます。
直接的な被害者がいない犯罪では、「贖罪(しょくざい)寄付」を通じて反省の意思を示すことも、不起訴処分の可能性を高める方法のひとつとなり得ます。
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6、まとめ
軽犯罪法違反の公訴時効は1年です。しかし、ほかの罪も犯している場合や時効が停止した場合のように、1年では時効が完成しないケースがあります。自分がした行為が何の法律に抵触するのか、時効が停止しているか否かを安易に判断することにはリスクがともないます。
犯罪行為をした自覚があるのなら弁護士へ相談してみましょう。刑事事件に対応した実績が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士がサポートしますので、まずはご連絡ください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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