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裁判になれば有罪なのか? 刑事裁判において弁護士ができること
よく、「日本の刑事裁判は99.9%が有罪になる」と言われることがあります。そのため、犯罪の容疑で逮捕されてしまうと、「このまま刑事裁判が開かれて、有罪になってしまうのではないか」と心配する方も少なくないでしょう。
しかし、逮捕されたからといって、必ずしも刑事裁判が開かれるわけではありません。被害者との示談などによって「不起訴処分」となれば、裁判を回避することが可能です。また、たとえ起訴されても、弁護活動が適切に行われることで、執行猶予が付いたり刑罰が軽くなったりする可能性はあるのです。
本記事では、「日本の刑事裁判は有罪率が高い」といわれる背景や、刑事裁判の基本的な流れ、刑事裁判において弁護士ができることなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
1、刑事裁判は有罪になるといわれる背景
「日本では有罪率が高い」といわれる事情について、刑事裁判の基礎知識とあわせて解説します。
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(1)刑事裁判とは
刑事裁判は、「罪を犯した」と疑われている人が裁判官の審理によって裁かれる裁判のことです。刑事裁判は、検察官が裁判所に訴えることによって始まります。
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(2)起訴とは
検察官が裁判所に対して刑事裁判を提起することを「起訴」といいます。刑事訴訟法では「公訴」とも呼ばれます。
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(3)不起訴とは
不起訴とは、検察官が被疑者のことを「裁判にかける必要がない」と判断して、起訴をしないことを指します。
裁判にならなければ前科は付かないので、逮捕されてしまった場合、被疑者としては、まずは不起訴処分を目指すことになるでしょう。不起訴を獲得するためには、被害者との示談や贖罪寄付、反省の表明、再発防止に向けた活動などが必要となります。 -
(4)起訴された場合に有罪率が高い理由について
世間で言われている通り、日本では、刑事裁判にかけられた人の大半が、実際に有罪の判決を受けています。
このように有罪率が高い理由は、検察官は証拠を吟味したうえで「確実に有罪を証明できる」と判断した場合にのみ起訴していることに起因しています。
しかし、刑事事件の全体を見ると、そもそも起訴される人よりも不起訴となった人の方が割合は高くなっています。たとえば、令和2年版の犯罪白書によると、令和元年に終局処分(起訴するか否かの判断をされること)を受けた人のうち、起訴された人は約32.9%でした。
つまり、起訴されてしまうと有罪となるおそれは非常に高いといえども、「不起訴処分」によって刑罰を科せられない人も多い、ということなのです。
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2、刑事裁判の流れ
不起訴処分とならずに起訴されてしまった場合について解説します。
検察官の公訴事実を認めている自白事件も場合、通常は、起訴から約1か月~2か月先に、第1回の裁判が開かれることになります。
一般的な自白事件の第1回の裁判の流れは下記の通りになります。
① 冒頭手続
- 裁判官が被告人に対して、本人確認をします(人定質問)。
- 検察官が起訴状を読み上げます。
- 裁判官が被告人に対して、黙秘権の説明をします。
- 起訴内容を認めるか否かについて、裁判官が被告人に質問します。その後、弁護人にも意見を聞きます(罪状認否)。
② 証拠調べ
- 検察官が証拠によって証明しようとする事実を明らかにします(冒頭陳述)。被告人の経歴や犯行に至る経緯、犯行の日時・場所・態様などについて具体的に説明します。
- その後、検察側が立証をします。供述調書要旨の告知や証拠物の提示などが行われます。
- 続いて、弁護側が立証をします。ここで、情状証人の尋問や被告人質問などが行われます。
③ 弁護士と検察官による弁論
- 検察官が最終的な意見を述べたうえで(論告)、被告人にどの程度の刑罰を科すべきかの意見を述べます(求刑)。
- 続いて、弁護人が最終的な意見を述べます(弁論)。
- 最後に、被告人本人も意見を述べることができます(最終陳述)。
第1回の裁判が終了すると、裁判官が次回の判決言い渡し期日を指定して、閉廷となります。多くの場合では、次回の期日は1~2週間程度先に指定されます。
④ 判決
第2回以降の裁判(判決言い渡し期日)では、裁判官は主文と理由を告げて、判決を言い渡します。その後、判決言い渡しの翌日から14日以内の「不服申し立て期間」に検察官、被告人・弁護人の双方から控訴がなければ、判決は確定します。
以上の手続きがすべて済むと、刑事裁判は終了します。
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3、刑事裁判における弁護士にできること
刑事裁判では、弁護士は被告人の側に立って様々な弁護活動を行います。
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(1)裁判のアドバイス
弁護士は、刑事裁判の流れや処罰の見通しなどについて、専門家としてのアドバイスを行うことができます。
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(2)保釈請求
勾留されている被告人は、起訴後、保釈の請求をすることができます。保釈は家族などの身元引受人を確保したうえで、裁判所に保釈請求書を提出して申請します。保釈請求は本人や家族でもできますが、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないことを裁判所に理解してもらえるような文書を作成する必要があるため、弁護人に依頼することをおすすめします。
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(3)示談交渉
示談交渉は起訴前(捜査段階)に行えればとくに効果的ですが、起訴後においても量刑判断で被告人に有利な事情として考慮されます。加害者本人やその家族が被害者側と交渉をしようとしても断られてしまう可能性が高いため、弁護士を通じて交渉を打診することをおすすめします。
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(4)裁判を有利に持っていくための証拠集め
無罪を争うためには、犯罪事実がないことを示す証拠の収集や、アリバイ証人や専門家証人の確保などをする必要があります。
罪を認めている場合は、被害者との示談書を提出することや、情状証人を確保することも必要になります。
これらの証拠集めも、法律の専門家ではない被告人本人やその家族が進めることは難しいため、弁護士に依頼することが最善といえるでしょう。
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4、まとめ
逮捕されたのちに、起訴されて刑事裁判にまで進行すると、高い確率で有罪判決を受けることになります。弁護士に依頼することで執行猶予付判決の獲得や量刑の軽減を目指すことも可能ですが、まずは、起訴される前に不起訴処分を実現することが最善だといえるでしょう。
不起訴処分を獲得するためには、なるべく早い段階で弁護士に依頼して、起訴までの短期間の間に適切かつ迅速な弁護活動を行うことが重要になります。もしご自身やご家族が逮捕された場合には、刑事事件の解決実績が豊富なべリーベスト法律事務所にまで、ご相談をお寄せください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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