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弁護士コラム

2021年06月29日
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  • 起訴猶予

起訴猶予とはどんな処分か? 無罪や不起訴との違いについて解説

起訴猶予とはどんな処分か? 無罪や不起訴との違いについて解説
起訴猶予とはどんな処分か? 無罪や不起訴との違いについて解説

罪を犯して逮捕されてしまっても、検察官が起訴猶予の判断を下す場合があります。起訴猶予になれば即日で身柄を釈放され、刑事裁判も回避することが可能です。

令和2年版の犯罪白書によれば、令和元年に検察庁で終局処分を受けた90万7273人のうち、半数以上の51万3757人が起訴猶予となっています。事件の内容と事件後の活動次第では、起訴猶予を獲得できる可能性は十分にあるといえるでしょう。

とはいえ、起訴猶予とはどのような処分なのか、無罪とは何が違うのかなど、分からない点が多いかもしれません。本記事では、起訴猶予の概要と効果、無罪との違い、起訴猶予の獲得のためにできることなどを弁護士が詳しく解説します。

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1、起訴猶予とはどのような処分か

起訴猶予とはどのような処分なのでしょうか。起訴猶予の概要や効果、無罪との違いについて解説します。

  1. (1)起訴猶予とは不起訴処分の理由のひとつ

    起訴猶予は、不起訴処分の理由のひとつです。罪を犯したのが事実で、それを証明する十分な証拠はあるものの、犯人の性格や年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況などさまざまな事情を考慮して、今回は起訴しないとする検察官の処分をいいます(刑事訴訟法第248条)。
    起訴せずとも、社会秩序の維持に支障がなく、社会の中での改善更生が見込める場合には、起訴しないことが認められています

    不起訴処分の理由には、ほかに「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」などがありますが、もっとも多いのが起訴猶予です。
    令和2年版の犯罪白書によると、令和元年に起訴猶予となった人員は不起訴処分の約89%を占めています(起訴猶予51万3757人、その他の不起訴6万2920人)。

  2. (2)不起訴になるとどうなるのか

    「不起訴」とは、被疑者を刑事裁判にかけない、ということです。刑事裁判にならないため有罪判決を言い渡されることはなく、前科がつくこともありません
    また、不起訴になると、逮捕・勾留によって身体を拘束されていた被疑者は釈放されます。

  3. (3)無罪との違い

    不起訴になると、そもそも刑事裁判にかけられることなく刑事手続きが終了します。
    これに対し、無罪は刑事裁判にかけられ、裁判官による審理を経た後に、判決で言い渡されものです。
    いずれも刑罰を科されないという点では共通しますが、刑事裁判を経ているかいないか、という違いがあります。

    また、無罪判決が確定すると、同じ公訴事実では2度と起訴されることはありませんが(一事不再理、憲法39条)、起訴猶予にはこの一事不再理は適用されません。したがって、起訴猶予になったからといって、その後いっさい起訴されないわけではありません。公訴時効が完成するまでは、新たな証拠が出てくる(たとえば、起訴猶予当時は判明していなかった多数の同種余罪が明らかになる)などして起訴される可能性はあります。

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2、起訴猶予の判断基準は?

被疑者を起訴するか、それとも起訴猶予をはじめとする不起訴とするかは、検察官の裁量に委ねられています。ここでは、検察官がどのような基準で起訴猶予の判断をするのかを解説します。

  1. (1)起訴猶予の判断基準

    起訴するかどうかの基準として、次のような要素が挙げられます。

    • 被疑者の性格や性質(前科前歴の有無、常習性など)
    • 年齢(若年、老年など)
    • 境遇(家庭環境、職業、保護監督者の有無など)
    • 犯罪の軽重(法定刑の内容、被害の程度など)
    • 犯罪の情状(犯行動機、犯行手口、社会に与えた影響など)
    • 犯罪後の動き(示談の有無、被疑者の反省の有無、逃亡や証拠隠滅の意思など)


    窃盗罪を例にあげると、万引きの初犯で被害金額が少なく、被害者と示談が成立しているような場合には、起訴猶予となる可能性は高くなります。これに対して、同じ窃盗罪でも被害金額が大きく、住宅侵入窃盗など犯行態様が悪質な場合には、初犯でも起訴される可能性があるでしょう。

    上記の諸要素は判断基準のひとつにすぎません。検察官はあらゆる事情を総合的に考慮して起訴するかどうかを判断します

  2. (2)起訴猶予になると前科や前歴はどうなる?

    起訴猶予となると前科はつきませんが、前歴はつきます。
    前科とは、過去に有罪判決を受けた事実のことです。不起訴となると、刑事裁判にかけられないので前科はつきません。

    これに対し前歴とは、捜査機関の捜査の対象となった事実をいいます。起訴猶予をはじめとする不起訴処分は、前科はつきませんが前歴が残ります
    もっとも、前歴があるだけでは、社会生活が不利になるような影響はありません。ただし、再犯した場合、常習性がある等として処分・量刑の判断に際して不利にはたらく可能性はあります。

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3、起訴猶予が決まるまでの流れ

逮捕されると、厳格な時間制限の中、刑事手続きが進められます。ここでは、刑事手続きの流れと、起訴猶予がどの段階で判断されるのかを解説します。

  1. (1)逮捕

    逮捕は、通常は警察官が行います。逮捕されると警察の留置場に入れられ、まずは警察官による取り調べが行われます。

  2. (2)送致

    逮捕から48時間以内に検察官に送致されます(マスコミなどは「送検」と呼びます)。被疑者の身柄が検察庁に移送され、今度は検察官による取り調べが行われます。

  3. (3)勾留請求

    検察官は、送致を受けてから24時間以内に勾留請求するか、釈放するかを判断します。引き続き身柄を拘束して捜査する必要があると判断した場合、裁判官に勾留請求します。

  4. (4)勾留

    裁判官が被疑者との面談(「勾留質問」といいます)を経て、勾留請求に理由があると判断すれば、勾留が決定します。逆に、勾留請求に理由がないと判断すれば、被疑者は釈放され、以後は在宅事件となります。

    勾留決定がなされれば、原則10日間、延長を含めると最大20日間、身柄を拘束されます。この間にも、警察官や検察官による取り調べが行われます。

  5. (5)起訴・不起訴の決定

    在宅事件にならずに身体拘束が続いている場合、逮捕段階の48時間・24時間、勾留段階の20日間を足した最大23日以内に、検察官は被疑者を起訴するかしないかの判断をします。
    起訴猶予は、刑事手続きの流れにおいて、この段階でなされるものです。起訴猶予となれば、被疑者は釈放されます。

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4、起訴猶予の獲得に向けてできること

日本の司法制度では、起訴されると99.9%が有罪となり、無罪を獲得するのは極めて難しいという現状があります。そのため、いかにして起訴猶予(不起訴)を得るのかが重要です
ここでは、起訴猶予を獲得するためにできることを解説します。

  1. (1)被害者との示談交渉

    起訴猶予を獲得するには、被害者との示談が大きなポイントになります。示談の成立は、検察官が起訴・不起訴を判断する際、有利な事情として考慮されます。

    示談が成立すると、示談金の支払いによって金銭的な被害回復がなされたことの証明になります。また、宥恕(ゆうじょ)意思も含めて示談が成立すれば、被害者の処罰感情が緩和されたことも証明できます。したがって、「宥恕する」「処罰を求めない」等の宥恕文言の記載のある示談書を取り交わすことが有益です。

  2. (2)損害賠償をする

    被害者と示談ができない場合でも、被害者に与えた損害を賠償することで、検察官が起訴猶予の判断を下す可能性があります
    損害賠償とは、たとえば傷害事件でけがをさせた場合の治療費や窃盗事件で盗んだ品物の相当額などを金銭で賠償することです。
    示談をする場合にはこれらの金銭を含めて示談金を支払いますが、被害者によっては示談を拒否する姿勢を示しているため、損害賠償のみを行う場合があります。

  3. (3)再犯防止策を立てる

    起訴猶予は社会の中での改善更生に期待できる場合などに下される処分なので、いかに具体的な再犯防止策を立てられるかもポイントです。たとえば専門機関による治療を受ける(薬物依存や窃盗症など)、家族と同居し監督してもらうなどの方法があります。

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5、起訴猶予獲得を目指すなら弁護士に相談すべき理由とは?

起訴猶予を目指すのなら弁護士に相談するべきです

事件を認めている場合(自白事件)、被害者と示談が成立すれば、被疑者に有利な事情として考慮され、起訴猶予となる可能性が高まります。そのため、まずは示談の成立を目指すことが大切です。

示談交渉は事件の当事者同士で行うことも物理的には可能ですが、被害者は心情的に直接の交渉を拒否するケースが多いため、弁護士を介して行うのが通常です。

また、そもそも被害者と面識がなく、被害者の連絡先を知らないというケースも多々あります。弁護士であれば検察官を通じて被害者と連絡を取れる可能性があり、被害者感情に配慮して示談交渉を進めるため、示談に応じてもらえる可能性が高まります

示談できない場合や被害者が賠償金を受け取らない場合は、供託や贖罪(しょくざい)寄付などの方法もありますので、そのあたりも弁護士に相談することをおすすめします。

このほかにも、弁護士に依頼すれば、家族と一緒に再犯防止策を協議し、意見書を検察官に提出するなどして、起訴の必要がないことを主張できます。

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6、まとめ

刑事事件を起こしてしまった場合、起訴猶予をはじめとする不起訴処分を獲得できれば、早期の釈放につながり、前科もつきません。ただし逮捕後の刑事手続きは厳格な時間制限の中で進められるため、できるだけ早期に弁護士に活動を依頼し、被害者との示談交渉などに着手してもらうことが大切です。
ご家族が逮捕されてしまい、なんとか裁判を回避したい、示談交渉を早急に進めたいなどの希望がある方は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にぜひご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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