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弁護士コラム

2021年09月30日
  • その他
  • 信用毀損罪

信用毀損罪が成立する行為とは? 虚偽の噂や情報を流して罪に問われた事例

信用毀損罪が成立する行為とは? 虚偽の噂や情報を流して罪に問われた事例
信用毀損罪が成立する行為とは? 虚偽の噂や情報を流して罪に問われた事例

令和2年5月、動画の再生回数を稼ぐ目的で、購入したTシャツが偽物だと経営者に罵声を浴びせ、その様子を動画公開サイトに投稿した男が「信用毀損(きそん)罪」に問われました。この件では、信用毀損罪だけでなく、店の正常な業務が妨害された点について威力業務妨害罪にあたるともされています。

信用毀損罪とはどのような犯罪なのでしょうか。よく似た名称の犯罪として「名誉毀損罪」などがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

本コラムでは、信用毀損罪の成立要件や罰則、実際に罪に問われた事例や類似する犯罪との違い、罪に問われた場合の対応などについて解説します。

1、信用毀損罪とは

まずは「信用毀損罪」がどのような犯罪なのかを確認しましょう。

  1. (1)信用毀損罪の法的根拠と罰則

    信用毀損罪は、刑法第233条前段に規定されている犯罪です。

    同条前段では、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると規定されています。

    なお、信用毀損罪は、現実に信用毀損の結果が生じていなくても、人の信用を害するおそれのある虚偽の風説を流布することで成立します。

  2. (2)「虚偽の風説」とは

    「虚偽の風説」とは、客観的な真実ではない噂・情報を指します。たとえば、いわゆる『デマ』『ガセネタ』と呼ばれる情報などです。

    虚偽の風説と認められるのは、客観的な真実に反する事実に限られるので、その内容が真実であれば虚偽の風説にはあたりません。たとえ、加害者が虚偽だと思い込んでいても、その内容が真実であれば本罪には問われないことになります。

  3. (3)「流布」とは

    「流布」とは、不特定または多数の人に広める行為です。口頭・広告・貼り紙などによる方法だけでなくインターネットの掲示板やSNSへの投稿といった方法も考えられます。また、冒頭で紹介した事例のように、動画公開サイトへの投稿も、不特定・多数のユーザーが閲覧可能であるため流布とみなされるおそれが高いでしょう。

    SNSの投稿については、「虚偽の風説」に関する投稿をほかのユーザーに共有する行為や、投稿に対する書きこみのためのコメント機能を利用することでも、虚偽の風説を不特定または多数の人に広めたとして「流布」に該当する可能性があります。安易なシェアやコメントは控えたほうが賢明です。

  4. (4)「偽計」とは

    「偽計」とは、他人を欺く行為や人の錯誤・不知を利用することを意味します。

  5. (5)「信用」とは

    信用毀損罪における「信用」は、経済的な信用能力を指します。他人から人柄などについて信頼されるといった、一般的な意味においての信用とは異なります。

    「信用」が指すのは、人の支払い能力や、商品・サービスの品質などです
    冒頭で紹介した事例では、アパレル店が販売していたTシャツが偽物だと虚偽の情報を流すことで、多くの人が『偽物を販売している店舗だ』と評価し、経済面における社会の信頼を低下させてしまう危険があるという点が、信用毀損にあたります。

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2、信用毀損罪の成立要件

信用毀損罪が成立するのは、一定の要件を満たす場合です。

  1. (1)虚偽の情報であること

    信用毀損罪が成立するには、加害者が流布した情報が『虚偽の情報』であることが必要です。流布した情報が真実であれば成立しません。
    たとえば、『あの店は偽ブランド品を販売している』という情報を流し、実際に客足が遠のいて売り上げが激減したとしても、本当に偽ブランド品を販売していれば本罪には問われません。

  2. (2)加害者が虚偽の情報であると認識していること

    信用毀損罪は、故意犯です。たとえ流布された情報が客観的な真実と異なっていても、加害者が、真実だと信じ込んでいた場合は犯罪が成立しません

    ただし、真実だと思っていたと釈明すれば罪に問われないというわけではありません。実際に罪に問われた場合は、なぜ真実だと信じるに至ったのかという点を深く追及されることになります。もしかすると真実ではないかもしれないという認識があれば、未必の故意が認定されて信用毀損罪が成立するおそれがあります。

  3. (3)経済的な信用を低下させるおそれがあること

    信用毀損罪が保護しているのは、個人や法人がもつ経済的な信用です。
    虚偽の情報などによって経済的な信用を害するおそれがある場合に成立するため、経済的信用に結びつかない被害が生じた場合、信用毀損罪は成立しません。

    また、信用毀損罪は経済面における社会の信用が低下するおそれがある場合に成立するものであり、実際に信用が低下する結果が生じたかどうかは問題となりません。虚偽の情報に大衆が振り回されることなく、社会的信用に一切傷がつかなかった場合でも、そのおそれのある行為があれば本罪が成立しえます。

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3、信用毀損罪の事例

では、実際に信用毀損罪が成立し、罪に問われた事例を確認してみましょう。

  1. (1)ジュースに異物が混入していたと虚偽の申告をした事例

    この事件は、加害者がコンビニエンスストアで購入したオレンジジュースに家庭用洗剤を注入したうえで、警察官に『ジュースに異物が混入していた』と虚偽の申告をし、警察が報道機関にその情報を公開したというものです。コンビニエンスストア側は、異物が混入している粗悪なジュースを販売していたという経済面における社会的な信用を害されたことになります。

    元来、信用毀損罪が保護する「信用」とは、人の支払い能力や支払い意思に対する社会的な信頼であると解釈されていましたが、この事例では『販売される商品の品質に対する社会的な信頼」も含むと判示されました(最高裁 平成15年3月11日)。

  2. (2)通販サイトに虚偽の低評価を投稿した事例

    健康食品の販売会社が大手通販サイトを介して販売していたサプリメントについて、実際には商品を購入・使用したことがないのに『飲みにくかった』などとコメントしたうえで、5段階評価で最低の評価をつけた女性が、信用毀損罪に問われました。
    女性は、いわゆる『やらせレビュー』を含む仕事仲介サイトの登録者で、競合業者の会社役員からの依頼を受けて虚偽の低評価を投稿していました。

    この事例では、実際に虚偽の低評価を投稿した女性は不起訴処分となりましたが、女性にレビューを依頼した会社役員は有罪となり、20万円の罰金が科せられています。

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4、信用毀損罪と類似する罪

信用毀損罪と混同されることが多い犯罪として、偽計業務妨害罪や名誉毀損罪があげられますが、どのような点が異なるのでしょうか。

  1. (1)偽計業務妨害罪との違い

    偽計業務妨害罪は、信用毀損罪と同じく刑法第233条に規定されている犯罪です。虚偽の風説の流布や偽計を用いたうえで、他人の業務を妨害した場合に成立します。

    信用毀損罪と偽計業務妨害罪は、同じ手段を用いたうえで「信用を害する」のか、それとも「業務を妨害する」のかに違いがあります。経済的な信用ではなく「正常な業務の遂行」が害された場合には、偽計業務妨害罪が成立すると考えればよいでしょう。

    なお、信用毀損罪と偽計業務妨害罪は、同時に成立するおそれのある犯罪です。
    たとえば、SNSで特定の商品の品質をおとしめるような虚偽内容を投稿した場合、投稿した時点で信用を害するおそれが生じているため信用毀損罪が成立し、さらにその対応に追われた結果、企業の正常な業務が妨害されれば、偽計業務妨害罪も成立する可能性があります。

  2. (2)名誉毀損罪との違い

    名誉毀損罪は、刑法第230条に規定された犯罪です。公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立します。

    名誉毀損罪の保護法益は、人や法人がもつ「社会的な評価」です。経済的な信用能力ではなく、広く社会から受ける評価という点で信用毀損罪とは異なります
    また、信用毀損罪は情報が虚偽である場合に限って成立しますが、名誉毀損罪は摘示した事実の真否は問題となりません。たとえ真実であっても、公然と摘示することで他人の社会的評価をおとしめるおそれがあれば、名誉毀損罪が成立します。

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5、信用毀損罪に問われたときの対応方法

まず確認しておくべきことは、信用毀損罪が「親告罪」にあたらないという点です。

親告罪とは、検察官が起訴する際に被害者による告訴を要する犯罪のことをいいます。信用毀損罪と類似している名誉毀損罪は親告罪であるため、被害者が告訴を見送る、またはすでに提出した告訴状を取り下げるといった対応をすれば罪に問われません。

ところが、信用毀損罪は非親告罪にあたるため、たとえ被害者の告訴がなくても検察官の判断次第で起訴に踏み切るケースがあります
そのため、罪に問われるおそれがある場合は、弁護士に相談し対策を講じる必要があるでしょう。

  1. (1)弁護士に相談して示談成立を目指す

    信用毀損罪は非親告罪なので、被害者が警察に被害届を提出すれなどして捜査機関に発覚した際には事件化されえます。

    信用毀損罪に問われる可能性がある場合は、まずはインターネット掲示板やSNSへの投稿を削除するなど、信用毀損にあたる状況を解消したうえで、直ちに弁護士に相談するのが賢明です。
    弁護士は状況を整理したうえで、どのような対応をとるべきなのかを適切にアドバイスします。被害者が判明している場合は、弁護士が代理人として示談交渉を進めることも可能です。謝罪と賠償を尽くすことで、起訴を回避できる可能性もあるでしょう。

  2. (2)無罪を主張する場合も弁護士のサポートは必須

    信用毀損罪は行為者が虚偽であると認識していたことを必要とする、故意犯です。真実であると誤認したうえで行為に至り、未必の故意もない場合は故意が否定されるため、信用毀損罪は成立しません。

    ただし、本当に真実だと誤認しており無罪を主張したとしても、単に『虚偽だとは思っていなかった』と述べるだけでは足りません。真実だと誤認した理由となる確実な資料や根拠が必要です。

    弁護士に相談することで、どのようなものが真実だと誤認していことを証明できる証拠になるのか、そのような証拠をどう収集するのか、また、取り調べにはどのように対応するべきかなどといったアドバイスを受けることができます。

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6、まとめ

信用毀損罪は、他人の経済的な信用を害するおそれのある行為を罰する犯罪です。
インターネット掲示板やSNSが普及した昨今においては、思いがけず罪に問われてしまうおそれもあります。もし、信用毀損罪に問われてしまった場合は、直ちに弁護士に相談して解決に向けたサポートを受けましょう。

ご自身の行為が信用毀損罪にあたるのか不安に感じている、相手から信用毀損罪にあたると指摘されており逮捕される可能性があるなどのお悩みを抱えている場合は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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