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接見禁止とは? 家族が接見禁止になった場合の対処法について解説
家族が逮捕されてしまったとき、面会に行きたい、差し入れをしたい、と思う方も少なくないでしょう。身柄を拘束されている被疑者・被告人と面会することを接見といいますが、一般面会には制限があり、場合によって接見が禁止されることもあります。
では、家族が逮捕されてしまい接見禁止となった場合、被疑者・被告人本人と会うのは諦めるしかないのでしょうか。
本コラムでは、接見禁止とはどのような処分か、また接見禁止命令が出されている場合に、接見禁止を解除する方法や逮捕された家族と連絡をとる方法などについてベリーベスト法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
この記事で分かること
- 接見禁止とは具体的にどのような処分なのか
- 接見禁止を解除するためにできること
- 面会できない家族と連絡をとる方法
1、「接見禁止」の意味とは?
接見禁止とはどのような処分のことをいうのでしょうか。
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(1)接見と接見禁止
「接見」とは、身体拘束中の被疑者・被告人が外部者と直接会い、面会することをいいます。
一方で「接見禁止」とは、勾留された被疑者・被告人が弁護人以外のすべての人と接見ができなくなる裁判官・裁判所の決定のことをいいます。裁判官は検察官の請求または職権で、勾留されている被疑者と、弁護人以外の者との接見を禁止する決定を行うことができます(刑事訴訟法第207条1項、81条、39条1項)。
具体的に裁判官が決定できる事項は、以下のような内容です。
- 弁護人以外の者との接見の禁止
- 授受すべき書類その他の物の検閲、授受の禁止、差し押さえ
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(2)接見禁止の期間
接見禁止の期間については、「勾留期間中(10〜20日間)」、「勾留~起訴/裁判まで」など事件によって異なります。起訴や裁判まで接見禁止命令が出された場合には、数週間~数か月間面会することができなくなってしまいます。接見禁止の理由が存在する限り、接見禁止が継続されるおそれがあるのです。
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(3)接見禁止となる理由
接見禁止が命じられる理由は、「逃亡または罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」とされています(同法81条)。
もっとも、面会がきっかけで逃亡事件が発生するということはあまり考えにくいですので、基本的には罪証隠滅のおそれが、接見を禁止する理由になります。
たとえば、被疑者が容疑を否定している場合(否認事件)や、組織犯罪・共犯者がいる事件などの場合には、関係者と口裏を合わせて証拠隠滅を指示・誘導するおそれがあるため接見禁止とされる可能性が高くなります。
以上より、接見禁止命令が出されると、身体拘束を受けている人は、弁護人を除く家族や知人などの一般人と一切面会することができなくなり、手紙などの物の授受もできなくなるのです。
2、接見禁止でも弁護士は例外
接見禁止命令が出されたとしても、弁護士とは例外的にいつでも面会することができます。
具体的に接見禁止命令の対象から外されているのは、以下のような者です(刑事訴訟法第39条1項)。
- 弁護人
- 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者
身体拘束を受けた被疑者・被告人と弁護人は、立会人なしで接見し、書類・物を授受することが認められています。
被疑者・被告人が弁護人と接見できる権利を接見交通権といいます。接見交通は、身体拘束を受けた被疑者・被告人のみならず、その弁護人の権利であるとも考えられています。
憲法34条では「何人も、理由を直ちに告げられ、かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留または拘禁されない」と規定しており、身体拘束される者に対して、弁護人との接見交通権を保障しています。
実質的に援助を受けるためには、弁護人との接見交通の機会が保障されることが必要不可欠です。したがって、接見交通は弁護人の固有権でもあると考えられています。このように、接見禁止命令が出されている場合であっても、弁護士であれば勾留中の被疑者・被告人と面会をしたり、物を渡したりすることができるのです。
そのため家族や恋人が逮捕されて接見禁止となった場合の被疑者・被告人への伝言や手紙などの差し入れは、弁護人である弁護士に依頼する必要があります。
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3、接見禁止を解除するには?
接見禁止処分となった場合でも、以下のような方法で接見禁止を解除できる可能性があります。
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(1)準抗告・抗告
裁判官や裁判所の決定に不服があれば、申し立てることができ、これらを準抗告・抗告といいます。
上述のとおり、接見禁止には、「逃亡または罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」という要件が必要となります。したがって準抗告・抗告において弁護人は、そのような理由の不存在・消滅を主張して、接見禁止命令を取り消すように求めていくことになります。
なお第一回公判の前に行う場合は準抗告、公判が開始されてから行う場合は抗告となります。
ただし、一度決定された裁判所の裁判を覆すのは簡単なことではないため、以下で解説する方法と並行して手続きを進めていくことが重要だといえるでしょう。 -
(2)接見禁止処分の解除の申し立て
弁護人は接見禁止処分の解除の申し立てをすることができます。
この手続きは、準抗告や抗告によらずに、裁判所に対して接見禁止を解除してほしいとお願いするものです。
近しい家族や恋人など一部の人との接見を認めてほしいとして、接見禁止命令の一部解除を求めることが一般的に行われています。このように特定の家族のみとの面会については、裁判所も特別に認めてくれるケースが少なくありません。
接見禁止の一部解除については検察官とあらかじめ話し合いを行い、検察官から承諾を得ていれば裁判所も一部解除を認めてくれるのが一般的です。
具体的に接見禁止が解除されやすくなるのは、以下のようなタイミングであると考えられます。
- 否認事件から自白事件に転じたタイミング
- 起訴されたタイミング
- 刑事裁判で証人尋問が終わったタイミング
- 刑事裁判で証拠調べが終わったタイミング
ただし、この解除の申し立ては、法律に基づく請求というわけでなく、単なる「お願い」でしかありませんので、検察官も裁判所もこちらの求めに対して対応・判断する義務はありません。したがって、接見禁止処分の解除の申し立てを行ったからといって必ずしも望むような判断がなされるとは限らない点には注意が必要です。
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(3)勾留理由開示請求
勾留されている被疑者・被告人は、裁判官に勾留理由の開示を請求することができます(刑事訴訟法第207条1項、82条1項)。
勾留理由開示請求は、被疑者・被告人の弁護人のみならず、その法定代理人(保佐人)、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も請求することができます。
勾留理由の開示は公開の法廷で行われることになりますので(刑事訴訟法第83条1項)、家族や友人は傍聴席で被疑者・被告人の姿を確認することができます。ただし、あくまで傍聴することが許されているのみですので、直接会話をしたり物品を渡したりすることはできません。
4、家族が接見禁止となった場合、弁護士に依頼するべき理由
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(1)逮捕後72時間でも接見が可能
逮捕直後から勾留までの捜査段階は、事実が流動的で被疑者の身体拘束をこれ以上継続すべきかを判断するために重要な時間です。この逮捕段階の72時間については、通常家族であっても接見することができません。
逮捕段階に接見することができるのは、弁護士のみです。
逮捕された被疑者以外に犯人がいる場合や、逮捕された被疑者の行為であっても犯罪が成立していない場合、または犯罪を認めて被害者がいる場合などでは、この72時間の間に弁護士と会って弁護方針を話し合うことが非常に重要となります。逮捕初期の段階で、有効な証拠を提出したり被害者と示談をまとめたりすることで、身体拘束から解放され事件が早期解決する可能性もあります。 -
(2)時間制限や回数制限がなく、土日であっても接見可能
弁護人以外の一般の方との接見交通については、さまざま制限の中で認められています。
一般の方との面会の場合には、施設の執務時間内である平日の日中に限られ、回数についても「1日1回」、人数についても3人以内と制限されています。
これに対して弁護人との接見交通については、時間制限・回数制限もなく土日や夜間であっても接見することができます。 -
(3)捜査機関の立ち会いなく事件について自由に話ができる
一般の方との面会の場合には、警察官が立ち会い、会話の内容が録音・録画される場合があります。不適切な発言があったなど一定の場合には、警察官によって面会が一時停止・終了させられることもあります。
これに対して、弁護人との接見交通については、立会人なしの秘密交通権が保障されています(刑事訴訟法第39条1項)。
誰にも聞かれることなく事件の内容について自由に話をして、弁護士からのアドバイスやサポートを受けることが可能です。
5、まとめ
この記事では、接見禁止について、家族が接見する場合と弁護人が接見する場合の違いや、接見禁止の解除方法などについて詳しく解説しました。
接見禁止処分となれば、家族や友人にも会えず精神的・肉体的に非常に厳しい環境に置かれることになります。接見禁止命令が出された場合には、家族や友人からの励ましや援助を受けることができなくなります。
しかし、接見禁止命令が出された場合であっても、弁護士なら面会が可能です。また刑事弁護の経験が豊富な弁護士なら、接見禁止の解除に向けて適切な弁護活動を行うことができます。逮捕されている家族に接見禁止命令が出されてしまった場合は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。
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