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窃盗の示談の際に送る謝罪文の書き方は? 注意すべきポイントと具体例を解説
窃盗の罪を犯したのち、被害者に対する示談交渉を行ったとしても、トントン拍子で成立へと話が向かうとは限らないものです。また、損害賠償額で折り合いがつかないというケースもあるでしょう。
それでも、被害者が謝罪自体を受け入れてくれる可能性はゼロではありません。
そこで今回は身内が窃盗容疑で逮捕されたケースを想定し、被害者に向けてどのような謝罪文を書けばよいのかについて解説します。謝罪文の書き方や書く際に注意すべきポイントなど、具体例をあげながら紹介します。
1、窃盗罪の解決には示談の成立が重要
窃盗罪で逮捕された後、スムーズに解決へ向かわせるためには被害者との示談を成立させることが欠かせません。ここでいう解決とは主に次の2つを指します。
1つ目は前科を回避することです。起訴され有罪判決を受けると前科がついてしまいます。有罪判決でなければ前科はつきませんが、窃盗罪をはじめとする刑事事件においては、起訴されると有罪率は約99%になるとも言われています。前科がつくと、一部、就職に不利になる職種がありますし、会社に知られることで居づらくなることなども想定されます。
2つ目は減刑してもらうことです。有罪であっても罰金刑や執行猶予つき判決となれば、直ちに刑務所に収監されず、日常生活を送ることができます。
上記解決に導くには、被害者への謝罪と相応の損害賠償を行い、被害者から「宥恕(ゆうじょ)」を得る必要があります。宥恕とは簡単にいうと犯した罪を許してもらうことです。
謝罪は口頭で伝えるのではなく、反省の気持ち、罪の重さを自覚し被害者に心からおわびを伝える謝罪文として手紙にしたためることが一般的です。
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2、謝罪文の書き方で気を付けるべきポイント
当然のことながら、単に謝罪文を書けばよいわけではありません。相手に謝罪の気持ちや反省していることが伝わらないのでは意味がないためです。つまりもっとも大切なのは丁寧に、かつ誠実に気持ちを伝えることに他ならないといえます。
ここからは謝罪文の書き方で気を付けるべきポイントについて解説します。
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(1)謝罪文は便せんに手書きが基本
謝罪文を作成する際はパソコンなどの活字は避けてください。活字は気持ちが伝わりにくい上に、冷たい印象を与えます。また加害者本人ではなく、弁護士などが書いたのかもしれないと思わせる可能性もあります。誠意が伝わらないという意味では逆効果にさえなってしまいます。
下書きを作成する際にはパソコンで作成しても構いませんが、実際の謝罪文は心を込めて手書きしましょう。字がきれいでないという方も手書きし、できるだけ丁寧に書くように意識しましょう。また謝罪文を書く用紙は便せんを使用してください。ただし、障害などによって手書きが難しい場合はこの限りではありません。弁護士に相談してください。 -
(2)言葉遣いに注意
当然のことですが、謝罪文は被害者だけが読むとは限りません。被害者の家族や事件関係者、携わっている弁護士などが読む可能性があります。失礼のない言葉遣いになるように意識して書きましょう。
失礼のない手紙にするためには、作成した謝罪文を事前に複数の人に目を通してもらうことをおすすめします。ただでさえ犯罪被害に遭ってデリケートになっている被害者サイドとしては、言葉遣いの誤りが気に障ることも十分考えられます。くれぐれも言葉遣いには注意しましょう。 -
(3)相手の立場に立って書くこと
文面が自分の言い訳や意見を並べた言い訳がましいものになっていては、被害者心理を逆なでしてしまいます。まず伝えるべきこと、感じてもらうべきことは反省の念と謝罪の気持ちです。被害を受けた相手の心情を理解した上で、作成するべきです。
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(4)マニュアルの丸写しはNG
普段、謝罪文を書く機会というのもめったにないでしょう。そのため、どういった文面で書けばよいのか悩んでしまうかと思います。
そこでインターネットで調べることは多くの方がすることです。しかし、そこで見つけたテンプレートや例文を丸写しにした、おそまつな謝罪文を作成してしまう例も見受けられます。これは形式として、一見きれいにまとまった謝罪文になっているように感じますが、被害者にはテンプレートの丸写しであると伝わってしまいます。
形だけでの謝罪文は、反省の念が感じられないばかりか、被害者を侮辱したように感じさせるリスクがあります。マニュアルの丸写しは避けることをおすすめします。
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3、謝罪文に書いた方がよい内容とは
では、具体的に謝罪文に盛り込んだほうがよいとされる内容をいくつかご紹介しましょう。ただし、これはあくまでも一般的な例に過ぎません。前述したとおり、ご紹介した具体例を丸写しすることは逆効果になりますので、くれぐれも参考程度にとどめてください。
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(1)謝罪の言葉
反省の気持ちとおわびの気持ちを伝えることが謝罪文の目的です。したがって、当然のことながら謝罪の言葉は欠かせません。言い訳などは組み込まず、シンプルにおわびの気持ちを記してください。
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(2)犯行動機など
被害者からすると、なぜこんなひどいことを! と思う気持ちがあるものです。そのため、なぜ窃盗をしてしまったのかという理由や、動機に至る思いを記載します。ここでも自分の都合ばかりを前面に出した言い訳がましい言葉は避けてください。
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(3)与えた損害および示談金(損害賠償金)について
いくら謝罪文とはいえ、謝罪の気持ちと犯行に至った理由だけでは不十分です。あなたが起こした窃盗によって、被害者にどのような損害を与えてしまったのか、その罪の重さをどう捉えているのかを伝えましょう。
さらに起こしてしまった罪や損害に対して、加害者としてどのように弁済する意思があるのかを、具体的な金額や方法を記して提示します。 -
(4)再発防止に向けて
今回起こした事件を真摯に反省し、再発防止に向けてどのように取り組もうとしているのかについても触れるようにしてください。そして最後にもう一度、被害者やご家族に対しての謝罪の気持ちを表す言葉をしたためましょう。謝罪文は基本的に1枚ではなく複数枚を使用し、しっかりと気持ちを伝えることが大切です。またご紹介した具体例は個別のケースによって異なりますので、注意が必要です。
謝罪文を書きあげたら、ご自分の名前はもちろん被害者の名前、謝罪文を作成した日付を記載してください。当然ですが、被害者やご家族の名前の後ろには「様」を付けるようにしましょう。
被害者に謝罪文を送りたいが住所が分からない場合は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。捜査関係者は基本的に、加害者や加害者関係者に対して被害者の情報を教えることはありません。逆に教えてもいないのに住所が知られて謝罪文が届いたとしたら、非常に驚くと同時に不快感を与えてしまうこととなります。
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4、示談をまとめるには早期の弁護士への相談が効果的
紹介してきたとおり、示談交渉は加害者が不起訴を勝ち取ることや減刑を実現するために非常に重要になります。被害者の感情によりそう、丁寧で誠実な交渉が求められるのです。
しかし、加害者側にしてみると、反省こそしていても、示談を成立させたいという気持ちがどうしても前面にでてしまいがちです。また加害者のご家族においても、前科をつけさせたくないという気持ちが先に立ち、示談交渉が難航してしまうことも少なくないでしょう。
そこで、刑事事件の弁護に対応した経験が豊富な弁護士に相談することが有効です。謝罪文を作成する際のアドバイスや添削をしてもらえるだけでなく、悩みがちな示談金の金額について相談に応じてもらうことも可能です。
また、逮捕から勾留が決定するまでの最長72時間の間、家族は加害者本人に簡単に会うことができません。しかし、弁護士を依頼すれば、ご家族に代わって面談を行い、精神的に不安定になりがちな加害者のメンタルサポートや取り調べの際のアドバイスなど、トータルでのケアを受けることができます。早期釈放を目指して謝罪文を速やかに書く必要性を詳しく解説するとともに、その書き方についてアドバイスを行います。
万が一窃盗により逮捕されてしまったときは、速やかに弁護士を依頼することをおすすめします。
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5、まとめ
窃盗罪における示談交渉の成立は、前科の回避や減刑を目指すのであれば、欠かせない要素のひとつになるでしょう。被害者に心からの反省と謝罪の気持ちを伝え、許しを請うためにも、謝罪文を作成することを検討してみてはいかがでしょうか。謝罪文は、特別な事情がない限りは必ず手書きで便せんに記し、被害者や関係者に失礼のないものにする必要があります。
記載する内容について、今回は具体的な記載事項についても紹介しましたが、個別のケースに応じた謝罪文でなければ逆効果になることもあります。また、言い訳や自分の都合などを記載することは避けたほうがよいでしょう。
身内が窃盗罪で逮捕されてしまい、示談交渉の進め方に悩んでいる方は、ベリーベスト法律事務所にご一報ください。過去の事例も踏まえ、早期解決を目指したサポートを迅速に行います。
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