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家族が強盗致傷で逮捕された! 初犯の場合の刑期や執行猶予について
強盗を行い、人にケガをさせると、強盗致傷の罪に問われる可能性があります。厳しい処罰を受ける恐れがあるため、家族が逮捕されたのなら適切に対処しなくてはなりません。
初犯の場合は、処分の決定に際して有利にはたらく可能性がありますが、初犯だからといって必ずしも処分が軽くなるとは限りませんので、示談を含め、できる限りの対応を行う必要があるでしょう。
本コラムでは、初犯の強盗致傷事件をテーマに、刑罰の内容や、量刑を左右するポイントを解説します。
1、強盗致傷の刑罰は? 初犯でも重い刑罰が科せられる?
強盗罪(刑法第236条)が成立する要件として、人の反抗を抑圧する程度の暴行や脅迫が必要です。そのため強盗の際には相手方を負傷させてしまうケースが珍しくなく、場合によっては死に至らしめてしまうこともあります。
この場合、強盗致死傷罪(刑法第240条)が適用され、強盗罪以上の重い刑罰を科されます。
刑法第240条は「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」と定めています。
強盗をする際に人にケガをさせれば無期または6年以上の懲役刑を科され、また人を死亡させてしまうと死刑となる可能性もあるのです。
罰金刑はありませんので、有罪になれば高い確率で刑務所に入ることになります。
初犯の場合、一般的に罰が軽くなるとの認識をお持ちの方は少なくありません。執行猶予がつくだろうとの期待もあるかもしれません。
確かに犯罪において初犯であることは、処分や量刑判断に際し、一定の考慮がなされる材料のひとつではあります。
しかし強盗致傷の場合、他人の財産に損害を与えたうえに生命や身体を脅かしているため、極めて深刻で悪質な犯罪と捉えられます。上記の刑罰を見ても、いかに重大な犯罪であるかはお分かりになるでしょう。
この性質上、初犯であっても執行猶予がつく可能性はとても低く、実刑判決がくだることも覚悟しておかなくてはなりません。
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2、初犯の定義とは? 再犯との刑罰の違いについて
強盗致傷の初犯と再犯では、受ける刑罰にどのような違いがあるのでしょうか。初犯や再犯の定義を含めて解説します。
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(1)初犯の定義
刑法や刑事訴訟法に「初犯」という言葉はありませんが、一般に、初めて刑法上の罪を犯し、前科がない状態を指します。
「前科」とは、ある犯罪で有罪判決を受けた履歴を意味します。どのような罰を受けたのかは関係ありませんので、罰金刑だろうと、執行猶予つきの判決だろうと、前科があるわけです。
一方、逮捕されたが不起訴処分になった場合は、前科ではなく、捜査対象となった「前歴」があるにすぎません。
なお、裁判官が執行猶予をつけられる条件のひとつとして、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない」か「刑の執行を終わった日または執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処させられたことがない」というものがあります。 -
(2)初犯と再犯の刑罰はどう違う?
初犯か再犯かは、量刑の判断に影響を与えます。
法律が定める「再犯」とは、懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年以内に再度罪を犯し、それが有期懲役刑である場合を指します(刑法第56条1項)。
再犯にあたる場合は、刑の上限が2倍になるため、初犯と比較すれば量刑が重くなりやすいといえます。
裁判官の心証としても、再犯の場合は反省の色が見られず更生に期待できないと判断されても仕方がありませんので、やはり量刑が重く傾きやすいでしょう。
また、初犯であることは、執行猶予をつけてもらうためのひとつの材料になりえます。
ただし、そもそも執行猶予は「3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金」の判決にしかつきません。
無期または6年以上の懲役が予定される強盗致傷は、減刑されない限り、執行猶予の対象外です。
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3、強盗致傷で逮捕された場合の量刑を決めるポイントについて
強盗致傷で逮捕された場合、ご家族としては少しでも有利な情状を考慮してほしいと感じるものです。
ここでは、前述以外の量刑を左右する要素を確認しましょう。
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(1)被害の状況
強盗致傷事件で誰よりも苦しんでいるのは被害に遭った方ですので、その状況は量刑に大きく影響します。
まずはケガの程度です。かすり傷程度で済んでいるのか、後遺症をもたらしてしまうほどの大ケガなのかは全く違います。
次に、強盗致傷の前提となる強盗行為において、被害額がどの程度だったのかも関係します。被害額が高額であるほど被害者の苦痛は大きいでしょうし、弁償しにくいという点においても不利な事情となります。 -
(2)示談成立の有無
検察官や裁判官は被害者の処罰感情を重視しますので、被害者と示談が成立していれば有利な事情になります。
示談書に宥恕文言(許しを得た旨の文言)が記載されている、処罰を望まない旨の嘆願書をもらっているなどの事実が、処罰感情が薄まった証となるでしょう。
ただし、金銭を支払えば示談が成立するわけではないため、心からの謝罪を伝えることが大前提として求められます。 -
(3)被害の回復
強盗で奪った金品を弁償するだけでなく、ケガの治療費や精神的苦痛に対する慰謝料を支払ったのかも量刑に影響します。強盗をする際に物を壊している場合は、その弁償も必要でしょう。
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(4)更生の可能性
まずは本人に反省の様子が見られるのかが重要です。犯行を素直に認めて取り調べに協力している、繰り返し謝罪の弁を述べており、被害者のために可能な限りの努力を尽くしているといった点が考慮されます。
またご家族が管理監督できる体制を整えているなど、再犯防止のための対策が講じられているのかも判断材料となります。感情を制御するためのカウンセリングや自助グループへの参加なども防止策のひとつです。 -
(5)そのほかの情状事由
ほかにも、犯行の動機や経緯にやむをえない事情があれば、情状酌量が認められ、減刑されるケースもあります。たとえば、共犯者らに無理やり加担させられた、貧困で周囲の助けも得られず困っていたなどの事情です。
もっとも、これらの事情があれば必ず減刑となるのではなく、裁判官が情状酌量の余地なしと判断する可能性は十分にあります。
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4、家族が強盗致傷の罪で逮捕された時に弁護士に相談をするメリット
身内の方が強盗致傷で逮捕されたら、速やかに弁護士へ相談してください。
逮捕後の少なくとも72時間は、たとえご家族であっても、本人と面会がかないません。強盗致傷は極めて深刻な犯罪ですので、捜査機関から厳しく追及される可能性は高いでしょう。
このとき、むやみに否認したり、反対にやってもいないことまで供述したりすると、処分の決定に際して不利にはたらく恐れがあります。
弁護士は唯一、制限なく本人と面会できますので、本人に対し、取り調べのアドバイスをすることが可能です。精神的に不安になっている本人への励ましも、弁護士を通じて行いましょう。
同時に、弁護士は示談交渉を進めます。犯罪の被害に遭った被害者が、示談に応じてくれないことは容易に想定されます。逮捕された本人はもとより、ご家族であっても示談交渉は困難ですので、弁護士へ一任されると良いでしょう。
弁護士であれば難しい局面でも交渉の糸口を見つけだし、被害者へ配慮しながら示談を成立させられる可能性があります。
また、弁護士はあわせて検察官や裁判官へのはたらきかけを行い、不起訴処分や執行猶予付判決の獲得を目指します。本人の謝罪やご家族の監督体制、事件を起こした背景など、有利な情状に該当する事情を的確に説明し、処分の決定に考慮してもらえるよう活動します。
場合によっては、強盗致傷ではなく、窃盗罪と傷害罪が成立するにすぎないケースや、ケガが軽微であるため強盗罪として扱われるケースもありますので、諦めずに活動し続けます。
裁判になった場合も最後まで減刑のために力を尽くします。
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5、まとめ
強盗致傷は初犯の場合でも、原則として執行猶予がつかず、実刑判決になることが多い犯罪です。ただし、被害者との示談が成立している場合や、酌むべき事情がある場合など、一定のケースでは不起訴処分や減刑となる可能性も残されています。3年以下の懲役にまで減刑されれば執行猶予がつく可能性も生まれます。
そのためには、弁護士のサポートが必要不可欠です。刑事事件では時間の猶予がありませんので、ご家族はぜひお早めに、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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