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詐欺で得た財物は賠償しなければならない? 示談金と賠償金の違いとは?
詐欺事件では、非常に多額の金銭を騙しとっているケースもあり、賠償が難しい場合があります。
詐欺罪の加害者は、被害者に対してどれほどの賠償をする必要があるのでしょうか。また賠償金を支払えないとどうなるのでしょうか。
詐欺罪と賠償金について弁護士が解説します。
1、そもそも賠償金とは? 示談金と同じもの?
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(1)賠償金は損害を償うための金銭
賠償金は人に与えた損害を償うための金銭です。たとえば人を殴ってケガをさせた傷害事件なら、ケガの治療費や入院費、後遺症による逸失利益などが該当します。
詐欺事件では主に騙しとった金品が賠償金にあたります。通常、示談では賠償金やそのほかの金銭を含めて示談金を決定します。つまり賠償金は示談金の一部であり、両者は全く別のものというわけではありません。 -
(2)慰謝料は精神的苦痛に対する金銭
慰謝料は精神的苦痛を金銭に換算したものです。目に見えない損害を換算するため事件やケースごとに大きく異なります。慰謝料も示談金の一部です。
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(3)示談金は合意にもとづく金銭
示談金は加害者と被害者双方が話し合って合意した、いわば和解金にあたるものです。示談金を支払って示談が成立すると、当事者で金銭の問題が解決したことを意味します。
ただし、賠償金や慰謝料を払えば示談が成立するとは限りません。賠償金や慰謝料の請求は損害を受けた側の権利ですが、同時に示談に応じる義務まではないからです。特に被害者の処罰感情が強い場合や、加害者が反省していない場合などは示談に応じてもらえない可能性があるでしょう。
詐欺事件では、反省の意思をしっかり示し、賠償金や慰謝料、そのほか迷惑料などを含めた示談金を支払ったうえで許してもらい、示談にしてもらうことが重要です。
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2、詐欺罪の場合には可能な限り金品を賠償する必要がある
詐欺を犯したのが事実なら、刑事責任を問われるだけでなく、詐欺によって得た金銭を賠償する必要があります。
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(1)いくら賠償するべきか
騙しとった金品と同額を賠償するのが基本です。
詐欺事件では被害額が高額になりやすく、全額を返すのが難しいケースがあるでしょう。それでも、できる限り全額に近い金額を賠償すれば、示談に応じてもらえる可能性があります。 -
(2)賠償の有無が刑事事件に与える影響
賠償金を支払い、被害者との間で示談が成立すると、不起訴処分や執行猶予付き判決を得る可能性が高くなります。
不起訴になれば前科がつきません。執行猶予付き判決となれば猶予期間中に罪を犯さない限り刑務所へ収監されることはなくなります。 -
(3)刑事責任を果たした場合でも賠償が必要
刑法の規定に従い刑事責任を果たしたとしても、騙しとった金品の返済は必要です。刑事責任と民事責任は全く別の話であり、刑事罰を受けることで被害者への賠償がなされるわけではないからです。
詐欺事件の被害者は経済的被害の回復を望むため、民事訴訟を提起し、賠償金の支払いを求めてくる可能性が十分に考えられます。刑事手続きへの影響を考慮すれば、できるだけ早く賠償すべきでしょう。
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3、賠償額の支払いが困難なケースではどうすべき?
賠償額が高くて返せない、すでに使っていて残っていないなどのケースではどうすればよいのでしょうか。
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(1)支払えないとどんな不利益が生じるのか
賠償金の支払いができないと、示談成立の可能性が低くなります。一部の支払いはできたとしても、その額が少なくなるほど示談の可能性は下がっていくでしょう。
そうなると、刑事手続き上の不利益が生じ、起訴や実刑判決となる可能性があります。
詐欺罪で有罪になると刑法第246条の規定により「10年以下の懲役」を科されます。罰金刑はないため、刑務所へ収監されるのを避けるには不起訴となるか執行猶予付き判決を得るしかありません。 -
(2)可能な限りの支払いと分割払いの依頼
全額を返すのが難しいとしても、可能な限りの返済を続けることが大切です。たとえ自己破産しても悪意で加えた不法行為の賠償金は免責されないので、自分の資産だけで無理なら家族に借りて返すという手段もあります。
それでも返せない場合は、被害者と話し合うしかありません。具体的には、分割での支払いを求めるのがひとつの方法です。賠償金の支払いは原則として一括ですが、被害者の温情で分割に応じてくれる場合があります。真摯な反省を示すことで、一定の金額で示談に応じてくれる可能性も残されています。
いずれにしても被害者に納得してもらうだけの交渉が必要です。加害者本人が交渉しても拒否される可能性が高いため弁護士のサポートが不可欠でしょう。
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4、詐欺において示談に応じてもらうためには
詐欺の被害者は大事な財産などを騙しとられたわけですから、怒りや処罰感情から示談に応じないケースも少なくありません。このような事態に加害者としてどう対処すればよいのでしょうか。
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(1)法律事務所に相談する
前述のように、加害者やその家族が示談を求めても拒否されてしまう可能性がありますが、第三者である弁護士からの交渉なら被害者の安心につながり、応じてくれやすくなります。
また、仮に加害者本人による示談交渉ができたとしても、被害者の方が相場を理解していなかったり、処罰感情が強い場合には、高額な示談金を要求される可能性もあります。しっかり弁済することは大切ですが、必要以上に高額な示談金を払う必要はないため慎重に対応しなくてはなりません。とはいえ、要求が正当か否かの判断は難しいため、弁護士に依頼することで、経験にもとづくサポートを受けることができます。 -
(2)供託、贖罪寄付
示談金の受け取りを拒否されると示談は成立しません。このとき代わりに供託や贖罪寄付といった方法をとることができます。
供託とは、法務局が管轄する供託所に賠償金相当分の金銭を提出して管理を委ね、最終的に相手方が取得可能となる方法です。
贖罪寄付は償いの気持ちを示すために、弁護士会などの一定の団体・機関に対して寄付をおこなう方法です。
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5、まとめ
詐欺をはたらくと刑事上、民事上の責任をともに問われます。両者は別の問題なので、どちらかを果たせばどちらかを免れるものではありません。
ただし、しっかりと弁済して示談が成立した場合には、刑事手続きにおいて不起訴や執行猶予付き判決につながる可能性もあるため、できるだけ早い段階で示談を成立させるべきでしょう。
示談成立には弁護士のサポートが不可欠です。ベリーベスト法律事務所がご相談をお受けしますので、一度ご連絡ください。
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