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強制わいせつ罪の刑罰や逮捕後の刑事手続きの流れとは?
・ 相手に抱きつき、下半身や胸を触る
・ 電車やイベント会場などで痴漢行為をする
・ 居酒屋で酔った勢いで無理やりキスをする
…相手の同意なく行われるこうした行為は、男女を問わず犯罪です。性犯罪は相手の尊厳を傷つけるものであり、法律では重い刑罰が定められています。
もしこのようなわいせつ行為を働いて逮捕される可能性があるのなら、できるだけ速やかに適切な対処をすべきです。
今回は強制わいせつ罪について、逮捕された場合に科される可能性のある刑罰や逮捕後の刑事手続きの流れ、刑罰の重さを左右する事情などを解説します。
1、強制わいせつ罪の刑罰
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(1)懲役と刑期
一般的な刑罰のイメージとして、「刑務所に入れられて働かせられる」というものがあるのではないでしょうか。これを懲役刑といいます。
刑務所に入る期間(刑期)は犯した罪や事情ごとに異なります。
強制わいせつ罪の場合は最短で6か月、最長で10年と定められています。たとえ6か月だとしても、仕事や学業には相当の影響が生じるでしょう。
なお、執行猶予つきの判決が出た場合、一定の執行猶予期間中に罪を犯さなければ刑務所へ行かなくてもよくなります。 -
(2)強制わいせつ罪と罰金
懲役刑に対し、一定額以上の金銭を徴収される刑罰を罰金刑といいます。実際に刑務所へ入るのと比べれば、お金さえ支払えば済むという点で軽い刑罰といえるでしょう。
ところが強制わいせつ罪には、こうした刑罰の定めは存在しません。つまり、有罪判決が下った場合、必ず懲役刑が科せられるということです。これは、性犯罪を厳しく処罰しようという、社会の声を反映しているといえるでしょう。 -
(3)犯罪と年齢
しばしば未成年者の犯行は罪に問えないといわれます。実際、14歳未満の少年(少女を含む)は刑事責任能力がないものとして、成人と同様の刑罰は科されません。
しかしそれは何をしても罪に問われないという意味ではありません。犯行態様の悪質さや家庭環境などにもよりますが、児童福祉法に基づいた措置(養護施設や自立支援施設への入所など)や、家庭裁判所の審判を経た上で少年院送致がなされることもあります。
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2、強制わいせつ罪における刑事手続きの流れ
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(1)警察での手続き
強制わいせつ罪の容疑で逮捕されると、まずは警察で取り調べを受けます。取り調べでは、本当に強制わいせつ行為をしたのか、いつどこで何をしたのかと、厳しく追及されるでしょう。
容疑者を逮捕してから検察へ事件を送致するまでは48時間です。 -
(2)検察での手続き
事件が検察に送致された後、検察官は24時間以内に起訴するか、裁判官への勾留請求をするか、身柄を解放するかを決めていきます。検察が逮捕時点から釈放か勾留かを決めるまでの制限時間は、72時間以内です。起訴となれば刑事裁判に移り、勾留請求が認められれば留置場または拘置所にて身柄が拘束されます。
勾留は原則として10日間が限度とされていますが、やむを得ない場合には一度限り10日間以下の延長が認められており、最長で20日間身柄拘束が続きます。
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3、罪の重さが決まる量刑基準
強制わいせつ罪で有罪となった場合、懲役の長さは最短6か月、最長10年です。量刑は、具体的な事件をさまざまなポイントから総合的に判断され決定します。
強制わいせつ事件の場合、量刑の判断基準としては以下のようなものと考えられています。
- 犯行の悪質性 被害者を脅す、権力関係を盾にして反抗できないようにする、触り方が執拗(しつよう)で長時間にわたるなど、犯行の内容や程度が悪質な場合、刑罰は重くなる傾向にあります。
- 加害者の反省の有無 取り調べに対して反抗的であるとか、目撃者がいるにもかかわらず頑として罪を認めないなどのように、加害者が反省している様子を示さない場合、やはり刑罰は重くなる傾向にあります。
- 計画性の有無 他人に知られないような場所やタイミングを狙う、反抗されないような立場の違いを利用するなど、強制わいせつ行為をするにあたって計画性があったと見なされる場合、刑罰は重くなることもあります。
- 動機や経緯 強制わいせつ行為に際し、通り魔的な身勝手な動機や反社会的な経緯が見られるケースでは、情状をくむ余地が乏しくなり、重い刑罰が科される可能性があります。
- 前歴や前科 一般に前歴とは被疑者として捜査対象となった事実、前科とは刑事裁判で有罪判決が下された事実をいいます。前歴や前科があった場合、反省していないと判断され、刑罰が重くなる可能性はあるでしょう。
- 余罪 捜査の対象となった強制わいせつ罪だけではなく他にも罪を犯している場合、心証は悪くなる可能性が高く、刑罰が重くなってもおかしくありません。
- 示談の有無 以上とは逆に、被害者との示談が成立し、被害者から許してもいいという宥恕(ゆうじょ)意思を示してもらっているケースでは、刑罰が軽くなる可能性があります。
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4、強制わいせつ罪で逮捕されたら早期に弁護士に相談すべき3つの理由
強制わいせつ罪の容疑で捕まった場合、できるだけ速やかに弁護士へ相談すべきです。
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(1)取り調べへのアドバイスを受けることができる
警察や検察では、自白などの供述や証拠を入手しようとし、場合によっては、かなり強い態度で真相を追及してくることもあります。
逮捕され勾留が決定するまでの最大72時間は、原則として家族や友人との面会は認められず、ひとりで警察や検察の取り調べに向き合うことになります。このとき面会できるのは弁護士だけです。弁護士は、威圧的な取り調べに対してもどう対応したらよいのかアドバイスし、孤独な精神面をフォローし励ますことができるのです。 -
(2)不起訴に向けた弁護活動と示談交渉
起訴される前であれば不起訴を、刑事裁判となってからは減刑を目指すのが基本的な弁護活動の在り方です。いずれの場合にも、強制わいせつ事件では被害者との示談が重要です。被害者が加害者を許してもよいと言うなら、検察官や裁判官もその意思をくむ傾向にあるからです。
ただ、性犯罪の被害者と示談を成立させるのは、簡単ではありません。示談交渉を弁護士に委ねることで、示談成立の可能性が高まるのです。 -
(3)刑事裁判における弁護活動
刑事裁判となった場合、弁護士は再犯の可能性がないことや反省をしていること、示談交渉の経過など、さまざまな主張を繰り広げ、不当に重い刑罰を科されることのないように力を尽くします。
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5、まとめ
強制わいせつ罪は罰金刑がなく、懲役刑が6か月以上10年以下と定められているとても重い犯罪です。重い犯罪であるだけに取り調べにおける捜査機関からの追及は厳しい上、起訴または勾留決定まで時間も限られていることから、逮捕された場合、速やかに弁護士に相談することが重要です。
強制わいせつ事件で逮捕された場合には、まずはベリーベスト法律事務所までご相談ください。弁護士が不当に重い刑罰を受けることのないよう尽力します。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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