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弁護士コラム

2020年02月20日
  • 性・風俗事件
  • 盗撮
  • 罰金

盗撮の罰金はいくら? 逮捕の可能性や会社への影響を弁護士が解説

盗撮の罰金はいくら? 逮捕の可能性や会社への影響を弁護士が解説
盗撮の罰金はいくら? 逮捕の可能性や会社への影響を弁護士が解説

盗撮を行った場合、事件が明るみにでない状態でも逮捕の可能性におびえることがあるでしょう。

逮捕後、有罪判決を受ければどのような罰を受けるのか、罰金を払えば済むのか、あるいは会社への影響はあるのかといった点も気になるはずです。

本コラムでは、盗撮の加害者になったケースを想定し、逮捕の可能性や会社への影響、適用される罰則を中心に、弁護士が解説します。

1、そもそも盗撮の定義とは

まずは盗撮の定義や抵触するおそれのある法令を確認しましょう。

  1. (1)盗撮とは

    盗撮とは一般に、人の下着や身体、芸術作品、著作物などを無断で撮影する行為を指します。刑法上、盗撮罪という犯罪はありませんが、都道府県の迷惑防止条例には盗撮を直接取り締まる規定があります。

    たとえば、東京都の迷惑防止条例第5条1項2号では盗撮を「通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」と定義しています。

    すなわち、下着や身体をカメラなどの機器を使って撮影する行為だけでなく、その目的で機器を差し向けたり設置したりすれば、目的が達成されなくても盗撮行為をしたとして罪に問われる可能性があるわけです。

  2. (2)盗撮を取り締まる法令は主に3つ

    盗撮は行為の内容や状況に応じ、主に迷惑防止条例、軽犯罪法、児童ポルノ規制法という3つの法令で取り締まられます。


    • 迷惑防止条例
    • 迷惑防止条例は、日本の条例の一種です。条例は都道府県など、地方公共団体が自主的に規定する法規であるため、その内容は都道府県によって多少の違いがあります。たとえば東京都で迷惑防止条例違反として取り締まり対象となる盗撮行為は、住居や便所、浴場などに加え、公共の場所や乗り物、学校、事務所、タクシーといった場所での盗撮です。


    • 軽犯罪法
    • 軽犯罪法第1条23号では、「人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所」をのぞき見る行為が規制されます。軽犯罪法ではのぞき見を対象としていますが、その目的で他人の住居や建物に侵入すれば、刑法第130条の住居侵入罪にも該当する可能性があります。


    • 児童ポルノ規制法
    • 18歳未満の児童を保護の対象とした、通称児童ポルノ禁止法(正式名称「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」)では、第7条で児童ポルノの製造などが禁止されています。児童ポルノとは、衣服の全部または一部をつけない児童の、性器や周辺部、でん部、胸部などが露出、強調された写真などを指します(第2条3項3号)。児童を盗撮すれば児童ポルノの製造にあたり処罰されるおそれがあるというわけです。

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2、盗撮したらすぐに逮捕されてしまうのか?

逮捕は被逮捕者の身体を拘束するため、人権を侵害する可能性がある特別な措置といえます。そこで、逮捕できるための要件が、刑事訴訟法により厳格に定められています。代表的な逮捕としては、犯行の最中や直後に身柄を確保される現行犯逮捕や、逮捕状をもとにした通常逮捕などがあります。

現行犯逮捕に限っては私人でも可能なため、盗撮の様子を目撃した人や被害者本人に身柄を拘束されるといったケースが想定されます。

通常逮捕の場合、盗撮をしたと疑うに足りる相当の理由があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合にしかできません。たとえば証拠があり、盗撮をしたことが明らかなのに否認している場合や、盗撮した画像を削除するなどして証拠を隠そうとしている場合には、逮捕される可能性があります。

ただし、盗撮事件の場合、多くのケースで通常逮捕前に警察からの出頭要請があります。出頭要請を特別な理由なく拒んだ場合などにおいて、逮捕にいたるケースがほとんどでしょう。

現時点で逮捕されていないからといって安心はできません。対処法としては、被害者と早急に示談を行うことが重要です。逮捕を回避しやすくなるメリットがあり、また逮捕されても早期に身柄を解放される効果にも期待できます。

示談金の相場や取り決めの内容は、ケース・バイ・ケースです。適切な対応を行うためにも、まずは弁護士へ相談したほうがよいでしょう。

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3、盗撮で逮捕されたら会社にバレる? 解雇の可能性は?

盗撮で逮捕された場合に会社に知られたり、懲戒解雇となったりするリスクはどの程度あるのでしょうか。

  1. (1)逮捕の連絡は会社に入るのか

    通常、捜査機関から会社へ直接逮捕の連絡が入ることはありませんが、逮捕の事実や実名が地方紙などに掲載され、そこから会社へ知られる可能性は否定できません。

    職場で起こした盗撮事件や会社が主催するイベントでの盗撮など、事件と会社に関わりがあるケースも捜査の過程で知られることになるでしょう。また、盗撮事件では余罪の有無を調べたり、証拠を押収したりするために家宅捜索が行われる場合があります。捜査員が自宅に入る様子を誰かに見られた場合や、証拠品が会社にあった場合には、同じく知られる可能性があります。

    こうした事態にならなくても、逮捕後の勾留期間が長引けば会社に何らかの理由を説明する必要が生じ、その中で知られるケースも考えられます。もっとも、盗撮では証拠があるのに否定するなどの事情がなければ、数日で身柄を釈放されるケースが多くあります。そのため、早期に罪を認めて反省の意思を示すのも重要になるでしょう。

  2. (2)盗撮で懲戒解雇される可能性について

    解雇についての要件や基準は労働基準法や労働契約法で定められていますが、個別の解雇事由や基準については会社ごとの就業規則に従うことになります。

    したがって、盗撮で解雇されるか否かは会社次第であり、解雇の可能性はあるといわざるをえません。ただし、盗撮行為が、会社の名誉を傷つけ、職場の秩序や規律を乱すとまではいえない場合には、解雇権の濫用にあたり無効となる可能性があります。会社としても慎重な判断を要する問題ですので、弁護士が間に入って交渉すれば解雇を免れる可能性があります。

    なお、公務員に関しては、国家公務員法(第38条、第76条)や地方公務員法(第29条)で失職や懲戒免職に関する規定があります。盗撮で有罪判決になれば、一般の会社員と比べて職を失うおそれが高いでしょう。

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4、盗撮で罰金刑になったら示談しなくてよいのか

盗撮で有罪になったときの処罰内容や、前科をつけないためにどうすればよいのかについて解説します。

  1. (1)盗撮で有罪になったときの処罰

    盗撮で有罪となったときの罰則は、問われる罪名によって異なります。


    • 迷惑防止条例
    • 東京都や大阪府の条例を例にとると、撮影行為には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科され、撮影機器を設置し、あるいは差し向ける行為には「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることが規定されています。


    • 軽犯罪法違反
    • 軽犯罪法として処罰を受けた場合に下される刑罰は、拘留または科料です。拘留は1日以上30日未満、刑事施設に拘置される刑罰で、科料は1000円以上1万円未満の金銭を徴収される罰です。罰金と科料の違いとして、科料も広い意味では罰金刑の一種ですが、1万円以上と規定される罰金とは金額が異なります。科料の場合でも、1万円未満と金額は低いものの、れっきとした刑罰にあたるため、いわゆる前科がつきます。


    • 児童ポルノ規制法
    • 児童ポルノを製造したとして有罪になれば、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科されます。


    • 住居侵入罪
    • 盗撮が住居の侵入をともなうものであって住居侵入罪が成立した場合には、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が科される。

  2. (2)弁護士に依頼すべき理由

    前述のとおり、盗撮により逮捕されて有罪になれば、懲役刑や罰金刑を科せられるおそれがある犯罪です。もちろん、有罪になれば前科がつくことになります。

    逮捕や前科がついてしまう事態を避けるためには被害者との示談を成立させることが極めて重要です。ただし、刑事罰で科せられる罰金刑でお金を払えば、示談金を支払う必要はないと思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。たとえ罰金刑が下されたとしても、お金を払う相手は裁判所です。被害者に支払われるものではないのです。

    なぜなら、罰金刑などの刑事裁判をつうじて決定した末に支払うお金は「刑事責任を果たすための処罰」という位置づけにあるためです。他方、慰謝料を含む示談金は被害者への民事責任を果たすものであり、両者はまったく意味が異なります。

    仮に示談せず、賠償金も支払わないまま罰金刑が科されたとしても、後日、被害者から慰謝料や損害賠償金を請求される可能性が高いでしょう。結局のところ、罰金と賠償金の両方を払うことになるケースがほとんどです。

    盗撮の示談には、刑事手続において有利な事情となる以外に、民事上の賠償問題を解決させる意味があります。よほどの事情がない限りは、示談をしておくべきでしょう。示談は、成立のタイミングが早ければ早いほうが、逮捕や勾留など身柄を拘束される事態を回避できる可能性を上げることができます。一般的に、身柄の拘束期間が長ければ長いほど、社会生活に及ぼす影響が大きくなりやすいものです。したがって、速やかに弁護士へ依頼したほうがよいでしょう。

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5、まとめ

盗撮をすると迷惑防止条例や軽犯罪法などに該当し、罰金や科料、あるいは懲役刑となるおそれがあります。逮捕や起訴を避けるには被害者との示談交渉が鍵を握りますが、被害者感情を考えると、加害者本人や加害者側家族などからの直接的な示談交渉に応じないケースがほとんどです。また、警察が被害者の住所など個人情報を加害者側に教えることはないため、被害者と面識がない場合などは、そもそも示談ができないという事態に陥ります。

被害者の心理的ハードルを下げて交渉のテーブルについてもらい、適切な額の示談金で許してもらうには弁護士のサポートが不可欠です。盗撮をして逮捕の不安を抱えている方はベリーベスト法律事務所へご相談ください。刑事事件の加害者弁護の実績豊富な弁護士が力を尽くします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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