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弁護士コラム

2022年12月12日
  • 性・風俗事件
  • 盗撮
  • 証拠

盗撮の証拠になるものとは? 盗撮したデータを削除するとどうなる?

盗撮の証拠になるものとは? 盗撮したデータを削除するとどうなる?
盗撮の証拠になるものとは? 盗撮したデータを削除するとどうなる?

令和4年11月、他人の住宅に侵入した被疑で警察官が逮捕される事件が起きました。その事件の捜査の中で、逮捕された警察官の携帯電話から、風呂場を「盗撮」した動画が複数、見つかったそうです。逮捕当日に侵入した住宅の、隣家の風呂場を盗撮した動画も確認されたとのことで、盗撮の件も刑事責任を追及される事態は避けられないでしょう。

この事例のように、思わぬかたちで盗撮の証拠が発見されるケースは少なくありません。

では、この事例に照らすと、盗撮したことが発覚する事態を防ぐには、警察官がかけつけるまでに盗撮した動画を削除していればよかったのでしょうか? 結論を先に述べれば、そうではありません。

本コラムでは、盗撮の証拠となるものの例や盗撮したデータを削除すれば逮捕されないのか、あるいは盗撮データを削除すると証拠隠滅にあたるのかなどを解説していきます。

1、盗撮の証拠となるもの

盗撮事件において「証拠」となるものの例を挙げていきましょう。

  1. (1)携帯電話・スマートフォン

    携帯電話やスマートフォンの本体メモリには、盗撮した画像や動画が記録されています。
    事件化されると本体ごと押収され、解析されることになるでしょう

    なお、押収された携帯電話・スマートフォンは、事件が終結した時点で還付、または捜査上必要なくなった時点で仮還付されます。そのまま没収されるわけではありません。

  2. (2)デジタルカメラやメモリーカードなどの記録媒体

    デジタルカメラを用いた盗撮では、本体メモリのほか、メモリーカードなどの記録媒体に盗撮データが保存されていることがあります。盗撮が常習化するとデータも大量になるので、USBフラッシュメモリやCD・DVDなどの記録媒体にも分けて保存することがあるでしょう。

    事件化されて家宅捜索を受けると、自室に保管している記録媒体も押収されます。隠すつもりで別の記録媒体にデータを移しても、過去の余罪も含めて証拠が確保されてしまう事態は避けられません。

  3. (3)自宅のパソコンや外付けハードディスクなど

    携帯電話・スマートフォン・デジタルカメラなどで撮影した盗撮データを移して保管していた自宅のパソコンや外付けハードディスクなども、重要な証拠になります。
    家宅捜索では裁判所が許可した「差し押さえるべき物」しか押収できませんが、捜査機関側は令状を請求する際に、その存在を想定して必ずパソコンなどを差し押さえるべき物に加えてくるので、本体ごと押収されるでしょう。

    なお、本体ごと押収された場合でも、勝手にデータを書き換えられることはありません。
    データの閲覧日が更新されるなど、押収した状態から証拠を改変してしまうおそれがあるので、捜査機関が解析する際はまずバックアップを取り、バックアップした証拠のコピーから解析などの作業を進めます。

    つまり、押収されたパソコンや外付けハードディスクなどは、押収されたときの状態のままで還付・仮還付されます。

  4. (4)ネットにアップした画像

    インターネットにアップした画像や動画も盗撮の証拠になり得ます。たとえば、SNSなどを通じて公開していた場合、アカウントから個人を特定されてしまう事態になるでしょう。

    TwitterなどのSNSは本名を明かさずに利用可能ですが、投稿時のログからIPアドレスが特定されれば、投稿者としても特定される可能性があります。そのため、「匿名だから安全」などと考えてはいけません。

  5. (5)クラウド保存された画像

    盗撮画像を携帯電話やスマートフォンの本体メモリではなく、インターネットを通じてサーバー上のクラウド領域に保存していた場合も、証拠として確保される可能性があるでしょう
    捜査の手法は技術の向上とともに進歩しているので、思いがけないところから盗撮の証拠が発見されてしまうこともあるのです。

  6. (6)データ以外の証拠

    盗撮の「動かぬ証拠」といえば、やはり盗撮した画像・動画そのものでしょう。しかし、これらがないからといって盗撮が証明できないわけではありません。
    刑事事件における証拠は、捜査によって得られたさまざまな証拠で補強しあってその力を増します。次に挙げるデータ以外の証拠も、盗撮を証明するうえで重要なものです。


    • 被疑者本人の「盗撮した」という自供
    • 被害者や目撃者の証言
    • 犯行現場を撮影した防犯カメラの映像
    • 嗜好(しこう)として盗撮を好んでいることを示す映像作品や書籍の収集状況
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2、盗撮画像を削除すると「証拠隠滅」になる?

盗撮を犯した証拠として、実際に盗撮画像や動画が重要視されるのは間違いありません。すると、「盗撮画像などを自ら削除すれば盗撮が証明されないのでは?」と考えるかもしれませんが、ここで気になるのが「証拠隠滅」にあたるのではないかという点です。

刑法には「証拠隠滅罪」という犯罪も規定されているので、証拠となる画像や動画を削除したことが発覚すれば、さらに厳しく処罰されるのではないかと不安に感じるでしょう。
盗撮画像を削除すると「証拠隠滅」になるのでしょうか?

  1. (1)自分が犯した罪の証拠を削除しても証拠隠滅罪には問われない

    たしかに、刑法第104条には証拠隠滅罪という犯罪が規定されています。ただし、本罪は「他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・偽造・変造した者」を罰するものです。つまり、自分が犯した盗撮事件の証拠を自ら隠滅しても、罪には問われません。

    一方で、盗撮を犯した家族や友人をかばいたい一心で、盗撮画像・動画を削除した場合は本罪の処罰対象となります。3年以下の懲役または30万円以下の罰金が定められているので、決して軽い罪とはいえません。

  2. (2)罪には問われないが不利になることもある

    自分が犯した盗撮事件の証拠となる画像などを削除しても証拠隠滅罪は構成しません。ただし、「証拠隠滅」と呼ばれる行為であることに間違いないので、さまざまな不利益につながるでしょう。

    証拠隠滅が疑われる状況であれば、逮捕による身柄拘束や携帯電話・スマートフォンの差し押さえといった強制捜査が発動する可能性が高まります。
    また、罪から逃れたい一心で、盗撮した画像などを削除したのだと評価されてしまうと、裁判官の心証を悪くしてしまい、刑事裁判における判決が重い方向へと傾く可能性もあるでしょう。

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3、すでに削除していても検挙されるのか?

興味本位で盗撮したものの、やはり悪いことだと感じて自ら盗撮画像や動画を削除したとしても、その後に検挙される可能性はあるのでしょうか?
検挙の可能性を証拠の面から考えていきます。

  1. (1)盗撮画像を削除しても復元される可能性が高い

    すでに盗撮画像・動画を削除していても、警察の捜査対象になってしまうと復元される可能性が高いと考えるべきです。

    捜査機関では「デジタルフォレンジック」という手法が向上しています。デジタルフォレンジックとは、直訳すると「電子鑑識」という意味です。
    削除・破壊されたデータを復元したり、改変されたデータを元に戻したりすることで、犯罪の証拠を探す捜査手法で、たとえば破壊・水没・燃焼した携帯電話やスマートフォンからでもある程度は元のデータを復元できるといわれています

    近年の事例でも、削除したはずの盗撮画像やメッセージの履歴などが復元されて立証に至ったケースが存在しているため、想像以上に復元される可能性が高いと心得ておくべきでしょう。

  2. (2)盗撮の疑いがあるなら削除済みでも検挙される可能性がある

    たとえ携帯電話・スマートフォンから盗撮に関するデータを削除していても、検挙される可能性がなくなるわけではありません。

    被害者や目撃者の証言などから容疑が濃厚なら、捜査によって被疑者として特定されたのち、証拠を確保するために捜索差押をされるおそれがあります。携帯電話・スマートフォンも押収されるので、データが復元されて盗撮が立証されてしまうでしょう。

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4、盗撮行為で問われる可能性のある罪と刑罰

刑法をはじめとして、どの法令をみても「盗撮罪」という犯罪は存在しません。
盗撮行為には、その場所や状況に照らして、ここで挙げるいずれかの犯罪が適用されます。

  1. (1)迷惑防止条例違反

    都道府県が定める迷惑防止条例には、公共の場所や乗り物、不特定・多数の人が利用する場所などでの盗撮行為を禁止する規定があります。迷惑防止条例の規定内容は自治体によって異なりますが、盗撮を禁止する規定は全国に存在しており、実際の盗撮事件でも本条例が積極的に適用されています。

    東京都の迷惑防止条例における盗撮行為の罰則は、1年以下の懲役、または、100万円以下の罰金です。また、迷惑防止条例には常習犯をさらに厳しく罰する規定があり、常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金へと加重されます。

  2. (2)建造物侵入罪

    盗撮目的で公共施設や商業施設などの建造物に立ち入ると、刑法第130条の「建造物侵入罪」に問われます。典型的な例が、共用トイレでの盗撮です。

    不法な目的をもって建造物に立ち入る行為を侵入として罰する犯罪なので、実際に盗撮をしたかどうかは問題になりません。盗撮目的で建造物に立ち入ったかどうかが問題であり、盗撮の証拠がなくても成立します。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

  3. (3)児童ポルノ製造罪

    18歳未満の「児童」を相手に盗撮し、被写体となった児童が衣服の全部または一部を着けていない姿で、ことさらに胸・尻・性器やその周辺といった性的な部位が露出・強調されているもので、性欲を興奮させ、または刺激するものであった場合、その画像や動画は「児童ポルノ」に該当します。

    児童ポルノを製造する行為は、たとえ個人的な趣味として保管する目的であっても「児童ポルノ製造罪」にあたる行為です。児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(いわゆる児ポ法)第7条5項によると、ひそかに児童ポルノを製造した者について、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科すと明示されています。

  4. (4)軽犯罪法違反

    迷惑防止条例の規制対象に含まれないような場所で、建造物侵入罪にあたるような侵入行為もない場合でも、軽犯罪法違反にあたる可能性があります。

    軽犯罪法とは、軽微な秩序違反行為を罰するための法律です。第1条に33類型の行為が示されています。23号には「正当な理由がなく人の住居・浴場・更衣(こうい)場・便所その他、人が通常衣服を着けないでいるような場所」をのぞき見した場合に、罰するとの規定があります。

    「のぞき見をした」という部分が問題になるので、盗撮したのか、証拠となる盗撮画像などが確保されているのかといった点は問題になりません。罰則は拘留または科料です。拘留とは30日未満の刑事施設への収容を意味し、科料とは1万円未満の金銭徴収を意味します。

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5、盗撮してしまった場合に取るべき行動とは?

盗撮をしてしまった場合、どのような行動を取るべきなのでしょうか?

  1. (1)軽率に証拠を削除してはいけない

    まず注意したいのが、盗撮行為によって得た画像や動画などの取り扱いです。

    直ちに削除すれば盗撮の証拠がなくなると考えるかもしれませんが、盗撮をはたらいた時点で犯罪は成立しているので「削除した」というだけで罪を逃れられるわけではありません。
    自分勝手な判断で重要な証拠を削除すると、罪を逃れるための証拠隠滅を図ったと評価されて逮捕や職場など広範囲の捜索差押といった強制捜査を発動させる可能性があるので、軽率に削除するのは避けたほうがよいでしょう

    もちろん「削除せず保管していても問題ない」というわけではありません。盗撮画像は、被害者にとって一刻も早く削除してほしい対象です。もし撮影対象が18歳未満で児童ポルノに該当する場合は、所持状態が続いている間も「児童ポルノ所持」という犯罪になります。
    軽率に削除するのではなく、適切な措置を講じたうえで早急に削除する必要があると考えてください。

  2. (2)弁護士に相談し解決に向けたサポートを受ける

    盗撮をしてしまったなら、弁護士に相談することをおすすめします。

    弁護士に相談すれば、被害者の特定や示談交渉、警察への自首など、逮捕の回避や不起訴・処分の軽減に向けたサポートが得られます。
    盗撮画像・動画の処分や捜査機関への提出など、適切な措置についてもアドバイスを受けられるので、証拠を持参のうえで相談しましょう。

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6、まとめ

盗撮した画像や動画などのデータは盗撮事件の重要な証拠になります。
犯罪の証明には証拠が必要なので、盗撮データを削除すれば犯罪が立証されずに済むと考えるかもしれませんが、それは間違いです。

捜査技術が向上しているためデータを削除しても復元される可能性が高いうえに、そもそもデータだけが証拠ではないので、ほかの証拠からアプローチする手法で盗撮が立証されるおそれもあります。また、悪いことをしたと反省して削除しても、かえって証拠隠滅を疑われて不利な状況に陥ってしまうかもしれません。

盗撮をしてしまったら、証拠隠滅を図ったり、反省しているからといって軽率に削除したりするのではなく、まずは証拠を持参のうえで弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
盗撮事件の穏便な解決は、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所におまかせください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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