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盗撮の示談金とは? 示談の重要性と交渉の流れ
盗撮事件を起こした場合、被害者と示談をすることが刑の減軽や早期釈放などにおいて重要となります。
示談を行う時には示談金を支払うことが一般的ですが、示談金にはどのような意味があるのかわからない方も多いでしょう。またそもそも、示談はいつ、どのようにして行うのかも気になるところです。
この記事では、盗撮事件における示談の重要性や示談金の意味、示談交渉の流れなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、盗撮事件の示談金とは?
盗撮事件における示談金とは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、示談金の意味や、示談金と罰金の違いなどについて解説します。
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(1)そもそも示談金とは?
まず示談とは、裁判手続きによらず当事者同士で話し合いを行い、民事上の解決をすることです。その際に支払う金銭が「示談金」であり、示談金は加害者が被害者に対して支払う損害賠償金のことを指します。示談金には、被害者の精神的な損害に対する慰謝料や治療費、物損など経済的な損害に対する賠償金などを含めてトータルの金額が決定されることになります。
示談は口頭でも成立しますが、通常は示談書に当事者双方が署名・押印することによって成立します。加害者は、示談書に記載された示談金を支払期限までに被害者に支払うことにより賠償責任を果たすことになるのです。 -
(2)盗撮事件の示談金の相場は?
盗撮事件の示談金の相場は事件によって異なるため、一概にいくらと言い切ることはできません。なぜなら、示談は被害者と加害者双方が合意したうえで成立するものであるため、示談金の金額も双方が合意した金額となるからです。
示談金の金額に明確な基準はありませんが、以下のような要素を考慮して判断されることになるでしょう。
- 盗撮行為の内容
- 被害者が受けた不利益の内容
- 被害者の負った精神的苦痛の程度
- 被害者の処罰感情
たとえば、温泉や更衣室などに隠しカメラを設置し、女性の脱衣姿や裸を盗撮した場合や、盗撮動画をインターネット上に流出させた場合など、悪質性の高い盗撮事件の場合には、示談金も高額になる可能性があります。
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(3)示談金と罰金の違いは?
示談金は罰金とは異なります。
前述のとおり、「示談金」とは、被害者に対する民事上の賠償金で、当事者同士の合意によって支払われる金銭のことです。
これに対して、「罰金」とは、刑事事件の刑罰として国に対して裁判で罰金刑が確定した場合に支払う金銭のことです。
したがって、被害者への示談金と罪を犯したことへの刑罰としての罰金、どちらも支払わなければならない場合もあり得るでしょう。
このように、示談金は事件の被害者に対して支払われるのに対して、罰金は国に対して支払います。また、罰金は刑罰であるため拒否することはできませんが、示談金の支払いは当事者の合意によって決まるため、義務ではありません。
2、盗撮事件における示談の重要性|示談しないとどうなる?
ここでは、盗撮事件で被害者と示談をすることの意義について解説していきます。
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(1)被害届を取り下げてもらうことで強硬な手続を回避できる可能性
盗撮事件の被害者が警察に被害届や刑事告訴をしている場合、示談が成立することで被害届や告訴を取り下げてくれる可能性があります。
被害届や告訴が取り下げられれば、当事者間のトラブルは解決したものと捜査機関から評価されるため、逮捕や職場への捜索差押など強硬な手段に対するリスクを下げることができます。
ただし、被害者からの告訴が取り下げられたとしても、警察や検察が捜査を継続することもあり得るので、必ず逮捕を回避できるわけではありません。 -
(2)早期釈放を目指せる
盗撮事件で逮捕された場合でも、被害者との示談によって、早期釈放を目指せる可能性があります。
盗撮事件が現行犯で見つかった場合、その場にいた人に逮捕される場合もあります。そうすると、そのまま勾留が決定される可能性も高いです。逮捕されると警察の段階で48時間、検察に送致されると24時間の身柄拘束を受けることになります。勾留が決定された場合には、初回で10日間、さらに勾留の延長が認められれば最大10日間の身柄拘束が継続することになります。逮捕から最大で23日間にわたって身柄を拘束されれば、会社や学校に行くこともできず大きな不利益を被ることになるでしょう。
しかし、被害者との示談が成立していれば、逮捕・勾留された場合であっても、早期に身柄拘束から解放される可能性が高くなります。 -
(3)前科がつく可能性が低くなる
被害者との示談が成立した場合には、被害者からすでに許しを得ていると検察官が判断し、不起訴処分とする可能性が高まります。不起訴処分となれば、被疑者は刑事裁判にかけられることがないため、有罪判決を受けることも、前科がつくこともありません。
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3、盗撮事件における示談交渉の流れとポイント
それでは、示談交渉はどのような流れで行われ、示談をする最適なタイミングとはいつなのでしょうか。
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(1)示談交渉の流れ
盗撮事件で逮捕された場合の示談成立までの流れは、以下のようになります。なお、被害者との示談交渉は弁護士を通じて行うことが一般的です。
① 捜査機関に被害者の連絡先を確認
弁護士が捜査機関に「被害者との示談交渉をしたいため、被害者の連絡先を知りたい」と連絡を入れます。警察は被害者に意思確認をしたうえで、連絡先を教えてもらうことになります。
② 被害者への連絡、示談交渉
弁護士が被害者と面談して示談交渉を行います。まずは、加害者からの謝罪をおよび示談を希望していることを被害者に伝えます。
被害者が示談交渉に応じてくれる場合には、話し合って示談条件を調整していくことになります。この時、示談金についても弁護士が被害者と話し合い、当事者双方の合意が得られる金額となるよう交渉を行います。
③ 示談内容の確定、示談書の作成
示談条件がまとまると、弁護士がその内容で示談書を作成し、当事者双方が署名・押印します。その後、加害者が支払期限までに示談金を被害者の指定口座に振り込むことになります。
示談金の支払いは、一括で支払うという約束にするほうが、示談が成立しやすいでしょう。ただし経済的事情などで、一括で支払えない場合は、交渉により分割での支払いで合意できる場合もあります。
④ 検察や裁判所に示談書を提出
弁護士が示談書や受領書のコピーを、捜査機関や裁判所に提出して示談成立の事実を報告します。 -
(2)示談のタイミングは?
示談のタイミングとしては、逮捕・勾留が判断される前や起訴・不起訴が判断される前までに行うことが望ましいです。刑事事件における被害者との示談は、早いほど被疑者に有利な事情となります。
ただし、示談交渉が成立する前に起訴されてしまった場合でも、示談成立の有無は量刑を判断するうえで有利な事情として考慮されます。 -
(3)示談書に記載すべき内容とは?
示談書には、一般的に以下の内容などを記載します。
- 事件発生日時や場所
- 加害者や被害者の氏名
- 示談金額の金額や支払いの約束
- 接触禁止の約束
- 撮影した画像や動画を破棄したことの確認
- 宥恕(ゆうじょ)条項
- 清算条項
このうち、宥恕条項とは被害者が加害者を許し、処罰を望まないことを示す条項です。また、清算条項とは示談交渉で合意し書面に記載したもの以外に、追加の請求などがないことを確認する条項です。
4、盗撮をしたら何罪に問われる?
盗撮をした場合、どのような犯罪に問われるのでしょうか。
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(1)撮影罪
令和5年(2023年)7月13日以降に発生した盗撮事件については、「性的姿態撮影等処罰法」が規定する「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」に問われることになります。撮影罪は、正当な理由なく、ひそかに人の性的な部分などを撮影した場合などに成立します。
撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。 -
(2)迷惑防止条例違反
撮影罪が施行される前の令和5年(2023)年7月12日以前の盗撮事件については、各都道府県が制定している迷惑防止条例によって、処罰されることになります。
迷惑防止条例の内容は各都道府県によって若干異なりますが、東京都の迷惑防止条例に違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることになります。
5、盗撮事件における示談交渉を弁護士に依頼すべき理由
盗撮事件を起こした場合には、すぐに弁護士に相談することが大切です。弁護士を通してでないと、被害者の連絡先もわからないことが通常です。
盗撮事件の刑事弁護を弁護士に依頼した場合には、早期に被害者との示談交渉を開始してもらえます。被害者との示談が成立すれば、逮捕された場合も早い段階で釈放される可能性が高まります。
そして、刑事弁護に精通している弁護士であれば、適切な内容で示談交渉を進めることができます。もし、被害者が法外な示談金を求めてきたとしても、過去の事例や類似の案件から適切な金額で示談交渉を進めることが期待できます。
また仮に、検察官に起訴されたとしても、執行猶予つき判決や刑の減軽など有利な判決を目指して弁護活動を行ってもらえます。起訴後であっても、被害者と示談が成立することによって、犯罪の違法性が一定程度減少したとして加害者側に有利な事情として考慮してもらえる可能性があるため、盗撮事件を起こしてしまったら早急に弁護士に相談しましょう。
6、まとめ
盗撮事件を起こした場合、被害者との示談が逮捕や前科を回避することにつながります。その際、被害者に対して示談金を支払うことが一般的ですが、示談金には相場がなく、事件の内容によって異なるため、まずは弁護士に相談のうえ対応することが大切です。
盗撮事件を起こして警察から連絡がきている場合や、家族が盗撮事件で逮捕された場合などは、一刻も早く弁護士に依頼して刑事弁護に動いてもらう必要があります。ベリーベスト法律事務所には、盗撮事件を含む刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しておりますので、ご相談ください。
※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。