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弁護士コラム

2021年01月28日
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あおり運転の罰則は? 免許取り消しとなる運転行為とはどのような運転か

あおり運転の罰則は? 免許取り消しとなる運転行為とはどのような運転か
あおり運転の罰則は? 免許取り消しとなる運転行為とはどのような運転か

社会問題となっているあおり運転ですが、実際にはどのような行為で成立するのでしょうか? もしかしたら、意図せずにあおり運転行為をしてしまうかもしれません。突然、警察によって逮捕される、というケースも考えられます。

そうならないためには、法律で規制されているあおり運転行為がどのようなものなのか、また、科せられる罰則などを把握しておくことが大切です。

本記事ではあおり運転が妨害運転罪として取り締まられるようになった経緯と、罰則内容や具体的な違反行為について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、あおり運転を取り締まる法律

実際に、あおり運転を取り締まっている法律には、どのようなものがあるのでしょうか。

確認していきましょう。

  1. (1)あおり運転を取り締まる「道路交通法」

    「道路交通法」は、道路において、運転者などが守るべきルールを定めた法律です。あおり運転は、この法律によって「妨害運転」と定められ、規制されています

    従来はあおり運転行為そのものを直接取り締まる規定はなく、道路交通法上の安全運転義務違反や車間距離保持義務違反、あるいは刑法の暴行罪などで個別に対処するしかありませんでした。

    しかし、近年のあおり運転の社会問題化を受けて、令和2年6月に道路交通法が改正され、あおり運転行為を処罰する「妨害運転罪」が創設されたのです。

  2. (2)あおり運転行為による死傷事件を取り締まる「自動車運転処罰法」

    「自動車運転処罰法」は、自動車事故で相手を死傷させた加害者に対して、どのような処罰をするのか定めている法律です。あおり運転(妨害運転)で相手を死傷させると、この法律によって処罰を受けます

    従来の自動車運転処罰法は、「運転中の行為」を「危険運転致死傷罪」の対象としており、停止させるなどのあおり運転行為から派生する死傷結果について明確な規定はありませんでした。

    現在は妨害運転罪の創設とともに、停止行為を含むあおり運転行為によって他人を死傷させた場合は、危険運転致死傷罪が適用されるよう、法改正が行われ、令和2年7月に施行されています。

  3. (3)相手のあおり運転が原因で怪我をさせた場合

    自分から故意にあおり運転をした場合、道路交通法や自動車運転処罰法が適用されることがわかりました。それでは、相手のあおり運転が原因で事故を起こしてしまい、相手に怪我をさせてしまった場合はどうなるのでしょうか。

    このようなケースが想定されるのは、特に、自転車やバイクとの接触でしょう。あおり運転の規制対象は、自動車だけでなく、バイクや自転車も含まれます。

    たとえばバイクからのあおり運転が原因で、あおってきたバイクの運転手を誤ってひいて怪我を負わせ、あるいは死亡させてしまった場合を考えてみましょう。

    この場合、自動車運転処罰法5条の「過失運転致死傷罪」が適用される可能性があります。

    過失運転致死傷罪は、運転の際に必要な注意を怠り、相手を死傷させた場合に適用される犯罪です。

    過失運転致死傷罪は故意がなく不注意によって相手を死傷させた事故を対象とし、危険運転致死傷罪は、自分の運転が危険であると認識していたといえる状況で相手を死傷させた事故に適用されます

    あおってきたバイクを誤ってひいてしまったケースでは、過失運転致死傷罪が適用される可能性が高いでしょう。なお、怪我を負ったバイク運転手には、妨害運転罪が適用されると考えられます。

    過失運転致傷罪の刑罰は7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。

2、あおり運転行為の罰則とは?

あおり運転には、どのような法律が適用されるのかがわかりました。次に、あおり運転を行うとどのような罰則を受けるのか、確認していきます。

まず、自動車運転による事故の場合、懲役・罰金などが科せられる「刑事罰」と、運転免許の取り消しや違反点数加算などが行われる「行政処分」の2つが罰則として設けられています

「妨害運転罪」と「危険運転致死傷罪」、それぞれの罰則はどのように規定されているのか、見ていきましょう。

  1. (1)妨害運転罪の罰則

    ① 刑罰
    刑罰は、妨害運転による影響によって、2段階設けられています。


    • 妨害運転により交通の危険を生じさせた場合
      3年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法117条第2項の2第11号)

    • 妨害運転により高速道路上で停止させるなど著しい交通の危険を生じさせた場合
      5年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法117条第2項第6号)


    ② 行政処分
    行政処分も刑罰と同様、2段階の処分が設けられています。


    • 妨害運転により交通の危険を生じさせた場合
      違反点数25点、免許取消処分(欠格期間2年。なお、前歴や累積点数がある場合には最大5年)

    • 妨害運転により高速道路上で停止させるなど著しい交通の危険を生じさせた場合
      違反点数35点、免許取消処分(欠格期間3年。なお、前歴や累積点数がある場合には最大10年)
  2. (2)危険運転致死傷罪の罰則

    危険なあおり運転行為によって他人を負傷させた場合の刑罰、行政処分は以下のとおりです。


    • 刑罰
    • 15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役(自動車運転処罰法2条第4号)

    • 行政処分
    • 違反点数は怪我の程度や後遺症の有無に応じて45~55点、死亡の場合は62点。免許取消処分の欠格期間は負傷の場合は6~7年、死亡の場合は8年。

3、妨害運転罪が適用されるあおり運転行為

あおり運転を行うと、懲役刑や免許取り消しなど、非常に重い罰則が科せられます。それでは、実際にあおり運転として取り締まりを受ける行為はどのようなものなのでしょうか。

取り締まり対象のあおり運転行為として定義された「妨害運転」の規定を確認していきましょう。

  1. (1)10種類の妨害運転

    妨害運転として定義された行為は以下のとおりです。

    ① 通行区分違反(道路交通法第17条第4項
    蛇行運転や逆走、対向車線にはみ出すなどの運転行為をいいます。

    ② 急ブレーキ禁止違反(同法第24条)
    特に障害物がないのに急ブレーキをかけて後続車両への運転を妨害することなどをいいます。

    ③ 車間距離保持違反(同法第26条)
    前方の車両に後方から接近するなどして不必要に車間距離を詰める行為をいいます。車間距離には、前方の車両が急停車したときに後続車が追突するおそれのない間隔が必要です。

    ④ 進路変更禁止違反(同法第26条の2第2項)
    車線変更する直前に方向指示器(ウインカー)を出したり、あるいは出さずに突然進路変更したり速度を変更することによって、後続車両に危険がおよぶ行為をいいます。

    ⑤ 追い越し方法に関する義務違反(同法第28条第1項、第4項)
    左側からの追い越し行為や追い越す車両との間に十分な間隔をとらない、対向車や後続車への注意が不十分といった安全確認を怠った危険な追い越し行為をいいます。

    ⑥ 減光等義務違反(同法第52条第2項)
    過度に継続したハイビームの使用や執ようなパッシングなどによる威嚇行為です。

    ⑦ 警音器使用制限違反(同法第54条第2項)
    必要もないのにむやみにクラクションを鳴らす行為です。

    ⑧ 安全運転義務違反(同法第70条)
    急な加減速や幅寄せ、交差点で対向車が直進してくるのをわかっていながら右折するなどの安全運転義務を守らない運転行為をいいます。

    ⑨ 最低速度違反(同法第75条の4)
    高速道路における最低速度以下での走行をいいます。

    ⑩ 駐停車違反(同法第75条の8第1項)
    高速道路における、以下の例外を除いた場合の駐停車行為をいいます。


    • 駐車区画で駐停車する
    • 故障などのやむを得ない場合に路肩や路側帯に駐停車する
    • 乗り合いバスなどが乗客の乗降や時間調整のために停留所で駐停車する
    • 料金徴収所において料金を支払うために停車する
  2. (2)通行を妨害する目的

    これらの10類型の行為をすれば直ちに妨害運転罪が成立するわけではありません。ここで挙げた行為以外にも「他の車両等の通行を妨害する目的」が必要です。

    つまり、自らの運転が、他の車両の通行を妨害するのが確実であることを認識していたものと認められるような場合にのみ、妨害運転罪が適用されます

    したがって、偶然に妨害運転行為をしてしまった状況だけでは妨害運転罪は成立しません。

4、あおり運転行為で弁護士に相談すべきケース

あおり運転によって交通事故を起こした場合、被害者の救済のため、保険約款の規定が適用されるのが原則です。しかし、逮捕されてしまった場合には保険会社のみならず、並行して弁護士にも相談する必要があります

特に以下の事情がある場合は、弁護士への相談は急務です。

  1. (1)相手との示談交渉が進まない

    逮捕された本人に代わって、その家族が被害者との示談交渉にあたることはできます。しかし、被害者は強い恐怖心と処罰感情を持っていることが多く、加害者の家族と直接面会し、被害の回復に向けた前向きな話し合いに応じてもらうのは難しいでしょう。

    このような場合、弁護士が加害者の代理人として被害者と面会し、対話を通じて被害者の恐怖心をやわらげつつ、示談成立に向けて粘り強く取り組みます

    ただし、示談が成立したからといって、必ずしも起訴を免れたり、減軽されたりするわけではありません。

    示談の成立は、起訴・不起訴、量刑の判断に影響をおよぼしますが、これらは前科の有無や犯罪の態様などによって総合的に判断されるため、「確実に良い方向に向かう」とは言い切れないので注意が必要です。

  2. (2)提示された示談金が高額で支払いが困難

    示談交渉に入ったものの、被害者側から提示された金額が高額であった場合にも弁護士への相談が必要です。

    車同士の事故など、交通事故が起こった場合は保険会社が間に入りますが、事故が発生していない状況で妨害運転をした場合、個人で示談交渉をすることになります。

    ただ、個人で示談交渉を行うと、あおり運転の加害者としての負い目から、高額の示談金を認めてしまうかもしれません。

    弁護士に依頼すれば、慰謝料相場や過去の裁判例から算定した合理的な金額で交渉を進めることが可能です。示談交渉に入る前に、弁護士へ相談しましょう。

5、まとめ

あおり運転行為への取り締まりは厳罰化の流れがあり、懲役刑や運転免許の取り消しといった非常に厳しい罰則が設けられています。
もし、意図せずあおり運転に該当する運転行為をしてしまった場合、ひとりで問題を解決することはなかなか難しいものです。
あおり運転行為によってトラブルが生じた際は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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