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弁護士コラム

2021年09月30日
  • 交通事故・交通違反
  • 救護義務違反

救護義務違反(ひき逃げ)をしてしまったら? 対処法と刑罰の重さを解説

救護義務違反(ひき逃げ)をしてしまったら? 対処法と刑罰の重さを解説
救護義務違反(ひき逃げ)をしてしまったら? 対処法と刑罰の重さを解説

不意に交通事故を起こしてしまうと、誰でも気が動転してしまうものです。しかし、焦ってその場を離れてしまったり、目撃者がいなかったからといって逃亡したりすると、道路交通法が定める「救護義務」の違反となります。交通事故を起こした自覚がなくても救護義務違反にあたる場合があるので注意が必要です。

いわゆる「ひき逃げ」には重い責任や処分が科せられるため、もしひき逃げをしてしまったのであれば直ちに対策を講じなければなりません。

本コラムではひき逃げとなる「救護義務違反」に対して科せられる刑罰や処分の内容、成立する具体的なケース、救護義務違反を犯してしまった場合に取るべき行動について解説します。

1、救護義務違反(ひき逃げ)とは

まずは「救護義務違反(ひき逃げ)」を法的に解釈していきましょう。

  1. (1)「救護義務違反」とは

    道路交通法第72条1項は、交通事故が発生した場合の運転者の措置を定めています。事故当事者の運転者は、直ちに運転を停止して負傷者を救護し、道路における危険を防止するなどの必要な措置を講じたうえで、警察に報告しなければなりません

    これが運転手に課せられた「救護義務」であり、救護義務に違反する行為を「ひき逃げ」と呼びます。

  2. (2)「ひき逃げ」と「当て逃げ」の違い

    「ひき逃げ」とよく似た用語として「当て逃げ」があります。

    ひき逃げは、負傷者の救護および警察への報告を怠って事故現場から逃走する行為を指しますが、当て逃げとは交通事故の発生について警察への報告を怠る行為を指します。

    両者の違いは「負傷者が存在するのか」という点です。負傷者が生じた人身事故を起こしたうえで救護義務を怠ればひき逃げとなり、負傷者のいない物損事故を起こしたうえで逃走すれば当て逃げとなります

    一般的なイメージとして、ひき逃げとは歩行者と接触して逃走する行為を指すように解釈されていますが、たとえば車両同士の事故で相手が負傷したのに逃走すれば当て逃げではなくひき逃げです

  3. (3)救護義務違反で負う責任

    救護義務違反にあたる行為があった場合は、道路交通法第117条の規定に従い、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。事故の発生が運転手の運転行為に起因する場合はさらに重く、10年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

    しかも、死傷を伴う交通事故を起こせば過失運転致死傷罪が適用されるため併合罪となり、罪の重いひとつの罪についてその上限が1.5倍に加重されます。つまり、人身事故+ひき逃げ行為の罪には最長で15年という非常に重い刑が科せられるのです。

    重大な結果が生じている場合は、逮捕されるだけでなく実刑判決を受けて刑務所へと収監される危険が高まるでしょう。

    また、救護義務違反には違反点数も加算されます。違反点数は35点なので、それだけでも運転免許が取り消されたうえで3年間は再取得が認められません。さらに、今回の事故の点数に加えて事故の原因となった違反の点数と過去3年間に犯した違反点数も累積されるので、少なくとも4年以上は欠格となって運転免許を再取得できない可能性が高くなります。

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2、自覚がなくても救護義務違反になってしまうケースがある

ひき逃げは悪質な違反行為ですが、特に悪意のない場合でもひき逃げと解釈されるおそれがあるので注意が必要です。また、ひき逃げとして処罰されなくても、警察への報告を怠れば報告義務違反(事故不申告)として処罰される場合もあります

  1. (1)相手に接触していない場合

    たとえば、走行中に歩行者と接触しそうになり、急ブレーキをかけて接触を避けられたものの、歩行者が転倒してけがをした場合は、非接触であってもけがの原因を作ったことになり、人身事故として扱われます

    「接触していないから」という理由でその場を立ち去れば救護義務違反です。

  2. (2)その場から「逃げた」わけではない場合

    軽い接触で相手の負傷程度も軽く、相手から「大したことないので大丈夫だ」と言われてその場を立ち去ったとしても、道路交通法の定めに従えば救護義務違反となります

    あとになって負傷者が痛みを感じて病院で受診・治療を受けたうえで、保険などの関係で警察に事故を届け出て診断書を提出すれば人身事故として捜査がはじまるため、逃走したわけではなくても処罰を受ける危険があります。

  3. (3)相手のほうに非がある場合

    歩行者が信号無視をして飛び出てきたため接触してしまい人身事故となった場合では「相手のほうが悪い」と考えてその場を立ち去ってしまうかもしれません。相手に重い非があるとしても、事故の過失責任の問題は別として救護義務が解消されるわけではないので、その場から立ち去ればひき逃げとなります

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3、救護義務違反になってしまったら自首すべき

ひき逃げ行為をはたらいてしまった場合は、早い段階で警察に自首したほうが賢明です。救護義務違反にあたるのに逃げ続けていると、逮捕される可能性が生じてしまいます。

  1. (1)「自首」とは

    「自首」とは、捜査機関が犯罪や被疑者を認知していない段階で、被疑者自らが捜査機関に対して犯罪を申告し、自らの処罰を求める行為をいいます。刑法第42条1項の定めによると、自首があった場合は「その刑を減軽することができる」と明記されており、刑事裁判で下される判決が軽くなる可能性があります。

    これが自首の法的な効果ですが、さらに自ら犯罪を申告して処罰を求めるという行為が深い反省と捜査協力の意思をもっていると評価され、逮捕・勾留といった身柄拘束や起訴・実刑の回避(執行猶予)が期待できます

  2. (2)重い処分を回避するには早めの自首が得策

    自首が有効と認められるのは、捜査機関が犯罪・被疑者を認知していない段階までです。交通事故が発生すると、通報を受けて駆けつけた警察官によって直ちに事故現場の捜査が始まり、遺留物や周囲の防犯カメラの確認などが進められれば被疑者として特定され、自首が無効となります。

    自首したからといって必ず逮捕されるわけではなく、また、自首が有効と認められなかったとしても「自ら出頭した」という事実は有利となるため、処分の軽減が期待できます。直ちに弁護士に相談して自首に向けてのサポートを求めましょう。

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4、救護義務違反での弁護活動

弁護士に救護義務違反の弁護活動を依頼した場合は、次のようなサポートが期待できます。

  1. (1)被害者との示談交渉を進める

    事故の被害者との示談が成立すれば、重大な結果が生じた事故でなければ不起訴となる可能性が高まります。ただし、ひき逃げとなれば被害者の「犯人を罰してほしい」という感情が強いため、本人による交渉では拒絶されるおそれが高いでしょう。

    弁護士に依頼して謝罪と反省の意思を伝えたうえで、治療費や慰謝料などを含めた示談金を支払うことで、示談交渉を進めることができる可能性が高まります。被害者が本人と直接会うことを拒んでいる場合でも、弁護士に依頼すると被害者に謝罪文を渡すなどして早い段階でおわびの気持ちを示すことは可能です。
    また、弁護士は示談書や謝罪文の写しを検察官に提出するなどし、不起訴の可能性を高めることができます。

  2. (2)早期釈放を目指す

    逮捕や勾留による身柄拘束が長引いてしまうと、会社や学校に通えない期間が生じ、不利益な処分を受けるおそれがあります。

    弁護士のサポートを得れば、逮捕後の早期釈放、勾留決定後の準抗告、起訴後の保釈請求といった身柄釈放に向けた弁護活動が期待できます。会社や学校に対し、不利益な処分を避けるよう働きかけることも可能です。

  3. (3)相手の過失を指摘する

    相手の行為に重大な違反や過失があるなど、こちら側に非のない事故であれば、相手の違反や過失を強く指摘することで人身事故については不起訴となる可能性が高まります。たとえ救護義務違反の部分について検察官が起訴に踏み切ったとしても、裁判官の判断次第では執行猶予や罰金といった軽い処分も期待できるでしょう。

    ただし、相手の違反や過失を指摘できるのは、あくまでも相手側に一方的な過失があった場合などに限られます。むやみに指摘すれば検察官や裁判官の心証が悪くなり厳しい処分になるおそれもあるので、弁護士に相談のうえで慎重に対応することが必要です

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5、接触に気づかなかった場合に注意すべきこと

交通事故のなかには、前だけに集中していて側方で接触したことに気づかなかったなど、接触に気づかず走り去ってしまい、思いがけずひき逃げの容疑をかけられてしまうケースがないとも言い切れません。

  1. (1)接触に気づかなければ救護義務違反には当たらない

    救護義務違反は「故意」によって問われる犯罪です。つまり、交通事故が発生して相手が負傷したという事実を知りながら救護を怠ってその場を去った場合に成立するため、交通事故が発生した事実そのものを自覚していない限り成立しません

    ただし、「なにかにぶつかった気がする」といった場合は、負傷者が発生しているとまでは認識していなくても交通事故が生じたという予見は存在するため、未必の故意が認定されてひき逃げに問われる危険があります

    また、救護義務違反は成立しなかったとしても、事故の原因になっていれば少なくとも過失運転致死傷罪は成立するため「一切罪には問われない」というわけではないことには注意が必要です

  2. (2)証拠を保全しておく

    たとえ「接触に気づかなかった」と説明しても、捜査機関がその説明だけで納得してくれるとはいえません。特に、重大な結果が生じている事故では、故意を否認しているととらえられて厳しい追及を受けるおそれがあります。

    接触に気づかずひき逃げとして罪に問われている場合は、自分自身の車に装備したドライブレコーダーなどの映像や音声が役立つこともあります。また、弁護士に依頼すれば、相手・周囲の車のドライブレコーダーの映像・音声や付近の防犯カメラの証拠保全も請求できます。

  3. (3)事実とは異なる自白調書にはサインしない

    警察の取り調べでは、供述内容をまとめた「供述調書」が作成されます。警察官が調書を作り終えたら、読み聞かせられたうえで自分でも手にとって閲覧し、内容に間違いがなければ末尾にサイン・押印します。

    もし、警察官が作成した調書に間違いがあれば修正を求め、それでも修正されていなければサイン・押印を拒否しましょう。サイン・押印がある調書は、事実とは異なる内容でも裁判で証拠として扱われてしまいます。

    取り調べのプレッシャーに負けてしまいそうなら、取り調べを受ける前に弁護士に相談しましょう。

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6、救護義務違反の事件化を避けられる可能性も

ひき逃げをしてしまい救護義務違反に問われる状況であっても、素早く対応することで刑事事件になってしまう事態を回避できる可能性があります。

  1. (1)診断書の提出までに示談を成立させる

    救護義務違反事件が正式に立件されるまでのタイムリミットは「被害者が警察に診断書を提出した段階」です。事前に捜査が進んでいても、診断書がなければ「被害者が怪我をした」という証拠がないため救護義務違反を立証できません。

    つまり、刑事事件として立件される方向に進んでいても、被害者との示談が成立して「警察に診断書を提出しない」と確約されれば、事件化が回避できる可能性が高まります

    そのためには、事故が発生して間もない段階で弁護士に依頼し、被害者との示談交渉を進めるのが最善となるでしょう。被害者のアクションが早ければ、事故発生から数日以内には診断書を取得して警察に提出してしまうので、交通事件の解決実績が豊富な弁護士に依頼して直ちに示談交渉を進めるべきです

  2. (2)事件化を回避することのメリット

    救護義務違反は、懲役・罰金が規定されている重い犯罪です。刑事事件化を回避できれば、刑罰を受ける事態が回避できます。

    会社の規定によっては、刑罰を受けて前科がついてしまうことで解雇されてしまうおそれがあります。これから資格を取得したいと考えていても、前科による制限を受けて資格が取得できないケースもあるので、事件化の回避は重要です。

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7、救護義務違反を弁護士に相談するメリット

ひき逃げをして救護義務違反に問われている場合は、直ちに弁護士に相談しましょう

被害者との示談交渉を進めることで事件化の回避が期待できるだけでなく、事件化が避けられなかった場合でも不起訴・執行猶予や罰金といった有利な処分で抑えられる可能性があります。経験豊かな弁護士が対応することで、被害者の心情にも十分に配慮した交渉が可能になるので、示談の成功率も高まるでしょう。

また、救護義務違反には厳しい行政処分が下されるおそれがあります。特に、運転の仕事をしている方や通勤に運転が欠かせないといった方にとっては、なんとしてでも免許取り消しは避けたいと考えるでしょう。

弁護士に依頼すれば、免許取り消しに先立って開かれる公安委員会の「聴聞」の場において、悪質性が低いこと、処分による不利益が大きすぎることなどを主張し、厳しい処分が回避される可能性もあります

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8、まとめ

ひき逃げ行為は、道路交通法で定められている「救護義務違反」にあたり、人身事故の責任とあわせると重い刑事責任と行政処分を受ける事態が想定されます。とはいえ、なかには「接触に気づかなかった」「相手が『大丈夫だから』と言ったので立ち去った」など悪質性が高くないケースもあるので、必ず厳しい処分を受けるわけでもありません。

適切な対応を取れば、逮捕・勾留による身柄拘束や、厳しい刑罰・行政処分も回避できる可能性があります。

救護義務違反の罪に問われて捜査を受けている、事故に動転してひき逃げをしてしまいどのように対応すればよいか悩んでいるといった方は、直ちに交通事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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