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弁護士コラム

2020年04月13日
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喧嘩で暴行を加えてしまった! 正当防衛の成立要件と不成立の場合の処罰

喧嘩で暴行を加えてしまった! 正当防衛の成立要件と不成立の場合の処罰
喧嘩で暴行を加えてしまった! 正当防衛の成立要件と不成立の場合の処罰

ささいな言い争いから発展する殴り合いの喧嘩は身近な場所でも起こり得ることですが、単なる喧嘩では済まずに犯罪が成立してしまう場合があります。

では、相手が先に殴りかかってきた場合でも、罪に問われるのでしょうか。ニュースなどで耳にする「正当防衛」は成立しないのでしょうか。

この記事では喧嘩のケースにおける正当防衛の成立要件や、不成立の場合にどのような罪に問われる可能性があるのか弁護士が解説します。

1、喧嘩で相手を暴行した場合、正当防衛は認められるのか?

相手方が喧嘩の原因を作り、さらに先に手をだしてきたのも相手方であれば、たとえ自分が殴り返しても、「正当防衛では?」と感じるかもしれません。しかし実際には正当防衛が認められないケースは多くあります。正当防衛の成立には、いくつかの条件を満たす必要があるのです。

まずは前提として、喧嘩両成敗という考え方について説明いたします。
喧嘩両成敗は、喧嘩をした当事者の理非を問わず、双方を同じように処罰することをいいます。日本では古くから存在する考え方ですが、現代司法の場においても原則的な考え方として存在しています。仮に喧嘩を始めたのが相手方だったとしても、よほどの理由がない限り正当防衛は認められにくいということです。

また、そもそも喧嘩とは、お互いに攻撃と防御を繰り返す行為をいいます。たとえば突然殴りかかってきた人に対し、危険を感じて1回反撃したケースはともかくとして、何度も攻撃と防御が繰り返されているときには、すでに正当防衛が成立する余地はない可能性があります。

もっとも、喧嘩でも正当防衛が成立する場合はありますので、ご自身のケースでどうなのかは個別の判断が必要となります。

  1. (1)「正当防衛」の定義

    刑法第36条1項では「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定されています。簡単にいえば、違法に危害を加えられそうになった場合に仕方なくおこなった行為は罪に問わないということです。

    しかし本来、人を暴行すれば暴行罪、その結果として傷害の結果が生じれば傷害罪、さらに死亡させてしまえば傷害致死罪に問われます。正当防衛が成立すれば、これらの違法性が否定されることになりますので、実際に認められるにはハードルが高く、次のような要件を満たす必要があります。

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2、正当防衛が成立する5つの要件

正当防衛の成立には、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. (1)不正の侵害

    生命、身体、財産など法律で保護されるべき権利または利益に対し、実質的に違法性のある権利侵害をおこなうことをいいます。刑法上の犯罪をした場合だけでなく、それ以外に権利または利益を侵害する行為も含まれます。
    暴行は身体の安全に対する加害行為なので、喧嘩相手がした暴行は不正の侵害にあたるといえるでしょう。

  2. (2)急迫性

    法益の侵害が現に存在し、または間近に迫っている状態をいいます。喧嘩の場合、相手が拳をふりあげながら襲いかかってきた状態や、すでに連続した暴行を受けている状態は急迫性があるといえます。
    一方で、相手方が殴った後にわれに返り謝罪の言葉を述べたり、背中を向けて帰ろうとしたりしている状態ではすでに急迫性は失われています。その時点で殴り返したとしたら暴行罪や傷害罪に問われるでしょう。
    また、年齢や体格が同程度の者同士の喧嘩において、相手が「やるのか?」などと言葉で挑発しているが暴行にはいたっていない段階では、急迫性はないと判断される可能性があります。イジメの加害者に対する恐怖心から、後日に暴行を与えた場合も急迫性があるとはいえません。

  3. (3)防衛の意思

    客観的状況からみて防衛の意思があったのかを判断されます。加害行為に対して逆上し反撃をしたからといって、ただちに防衛の意思が否定されるものではありません。
    しかし、積極的な加害の意思が存在すると認められる場合は正当防衛が成立しない可能性があります。

  4. (4)防衛行為の必要性

    自分や他人の身を守るために、その行為をする必要があったのかということです。つまりはやむを得ずした行為であったのかということです。防衛のために唯一取り得る手段だったのかまでは求められませんが、すぐに逃げられる状況だったのにあえて攻撃した、周囲に人がいるのに助けを求めず自分で何とかしようとしたといった場合は、必要性が否定される可能性があります。

  5. (5)相当性

    防衛の行為が「やりすぎ」ではないのか、本当に防衛のために相当な行為だったのかということです。これも防衛行為の必要性とあわせて、やむを得ない行為だったのかとの視点で判断されます。
    反撃による結果が防衛した法益を上回っていても一定程度は許容されますが、著しく均衡を欠けば相当性が否定されます。
    たとえば、1発殴られたために理性を失い執拗に殴り続ける、現金を盗もうと住居に侵入した窃盗犯の首を絞めるなどの行為です。
    また一般に、凶器をもたずに攻撃してきた人に対して凶器で抵抗した場合は、相当性は認められにくいといえます。

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3、正当防衛の不成立で過剰防衛になる可能性もあり

刑法第36条2項では、「防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と規定されています。これが「過剰防衛」と呼ばれる規定です。「できる」とあるように、必ず量刑で考慮される、無罪となるのではなく、裁判官の判断に委ねられます。

行き過ぎた防衛行為は相当性を満たさないため正当防衛にはあたりませんが、危険が差し迫っている状態では通常の精神状態ではなく、仕方がないといえる場合があります。そこで事情によっては量刑で考慮される、もしくは免除され得るとするのがこの規定です。

過剰防衛には質的過剰と量的過剰という2つの類型があります。
質的過剰は防衛行為の様態が行き過ぎている場合を指します。高齢の男性が素手で襲ってきたのに対して体格のよい若い男性が凶器で反撃するようなケースが考えられます。
量的過剰は急迫不正の侵害が終わっているのに防衛行為を続けた場合をいいます。すでに喧嘩する気がなくなっている人に対して何度も殴るなどのケースです。

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4、喧嘩相手をケガさせてしまうと傷害罪が成立する可能性も

喧嘩相手に暴行してケガをさせてしまうと傷害罪が成立します。傷害罪の法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金と、決して軽いものではありません。特に重いケガを負わせてしまったなど結果が重大な場合は、たとえ初犯であっても実刑となる可能性があります。

傷害罪は、一般的には相手方が被害届を提出し、事件が発覚するという流れになります。喧嘩の場合は目撃した人が通報して警察官に取り押さえられるケースも考えられるでしょう。
そうなれば刑事事件として捜査される可能性が高く、逮捕のおそれも生じます。逮捕されると、72時間以内に捜査機関から取り調べ・捜査を受け、さらに逮捕されてから最長で23日の身柄拘束を受けます。これだけでも社会的なダメージは大きく、さらに起訴、裁判、有罪となればその影響は計り知れないでしょう。

自分では「相手が悪いのだから正当な行為だ」と思ったとしても、ご紹介したとおり正当防衛の成立にはいくつか条件があり、個別の事案によって判断の結果も変わるため、一律的な判断はできない難しさもあります。自己判断はせずに、弁護士へ相談されることをおすすめいたします。

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5、まとめ

相手方に暴行を加えた以上、正当防衛のつもりでも逮捕される可能性があるため、できるだけ早く弁護士へ相談するべきでしょう。
刑事事件の実績が豊富な弁護士であれば、正当防衛が成立するのか、今後どのように対処するべきかについて適切な判断が可能です。また正当防衛の要件を満たさず傷害罪などに問われる場合でも、相手方への謝罪や示談交渉などを通じて逮捕・勾留の回避や、起訴されても量刑で考慮されるように活動します。
正当防衛のつもりで暴行を加えてしまい、逮捕や刑罰に不安を感じている方はベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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