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痴漢で逮捕された・前科をつけたくない

「痴漢の疑いをかけられて逮捕されてしまった」

放っておくと裁判になって前科がついてしまうおそれが高まります。そのような結果を避け、早期に身柄を解放してもらうには、弁護士に対応を依頼する必要があります。

本記事では、痴漢で逮捕されたり起訴されたりした場合の対処方法を解説します。

この記事でわかること

  • 痴漢行為で問われる罪と刑罰
  • 痴漢で不起訴になるためにできること
  • 逮捕・起訴されたときに、弁護士に相談するべき理由

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1、痴漢とは

痴漢とは、相手に羞恥心を抱かせたり不安を抱かせたりする方法で、衣類の上からあるいは直接身体を触るなどのわいせつ行為や性的な行為をすることです。
たとえば電車やバスなど、公共の乗り物の中で女性客の胸やお尻を触ったり、イベントなどの人が多く集まる場所で女性の身体を触ったり、夜道を歩いている女性に後ろから抱きついたりキスをしたりするのが典型的な痴漢行為です。
男性や子どもに対してわいせつな行為をする場合にも痴漢となります(女性の場合には痴女と呼ばれることもあります)。

2、痴漢だと疑われた場合

  1. ①痴漢で逮捕されやすいケース

    痴漢で逮捕されることが多いのは、現行犯逮捕のケースです。

    たとえば電車の中やイベント会場などで女性の身体を触っていると、被害者や周囲の目撃者に取り押さえられたりして逮捕されるケースがあります。

  2. ②痴漢だと疑われたら、逃げた方がいい?

    満員電車などの場合、本当は痴漢行為をしていなくても痴漢と間違われることがあります。そのようなとき、逃げるのは得策ではありません。
    逃げて捕まると「どうして逃げたのか」「実際に痴漢したから逃げたのだろう」と言われてしまうからです。
    やっていないのであれば、毅然(きぜん)とした態度で「やっていない」と言い、どこへも逃げる気がないことと、自身の身分を明らかにして、できる限りその場で誤解を解いて立ち去ることです。
    もし、駅員や警察官に連れていかれそうになったら、身に覚えがないのであれば断固として拒否し、その場で弁護士に電話して相談をすることをおすすめします。

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  3. ③痴漢でも後日逮捕されることはある

    痴漢というと現行犯逮捕されることが圧倒的に多数ですが、時には後日逮捕されるケースもあります。最近では、どこにでも監視カメラが設置されており、被害者から後日被害申告がなされて捜査機関が捜査を行えば、犯人を特定することが比較的容易だからです。

    痴漢をして現行犯逮捕されなかったからといって、「大事にならなかった。よかった」などと安心していても、事件から数日数週間が経過してから、突然警察が訪ねてくるケースもあり、油断はできません。

3、痴漢によって問われる罪や罰則

痴漢行為をすると、具体的にはどのような「犯罪」が成立するのか、みてみましょう。

  1. ①迷惑防止条例違反

    痴漢をすると、多くの場合「迷惑防止条例違反」となります。迷惑防止条例は、暴力行為や迷惑行為を規制するために各都道府県が定める条例の総称で、具体的な条例の名称は都道府県によってさまざまです。

    条例の内容は各都道府県が定めますが、痴漢についてはおおむねどこでも同じような規制内容になっていて、「公共の場所で、人に羞恥心を抱かせたり不安を覚えさせたりする方法で、衣類の上からや直接身体を触ること」が禁止されています。

    罰則もだいたい似通っており、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金刑」と定められているケースが多いです。常習犯などの場合「1年以下の懲役または100万円以下の罰金刑」となるケースもあります。

  2. ②不同意わいせつ罪

    不同意わいせつ罪とは、刑法改正により、従来の強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪が統合され、令和5年7月13日に新たに施行された犯罪です。刑法改正により、名称をはじめ、処罰の対象となる行為や要件が拡大されました。

    不同意わいせつ罪は、一定の行為・事由によって、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し、もしくは全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあることに乗じてわいせつな行為をした」時に成立する犯罪です。
    なお、一定の行為・事由とは、以下の8つをいいます。

    • ①暴行もしくは脅迫を用いる、またはそれらを受けたこと
    • ②心身の障害を生じさせる、またはそれがあること
    • ③アルコールもしくは薬物を摂取させる、またはそれらの影響があること
    • ④睡眠やその他意識が不明瞭な状態にさせる、またはその状態にあること
    • ⑤同意しない意思を形成し、表明し、または全うするいとまがないこと
    • ⑥予想と異なる事態に直面させて、恐怖または驚愕(きょうがく)させる、またはその状態に直面していること
    • ⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせる、またはその状態にあること
    • ⑧経済的または社会的の地位に基づく影響力による不利益を憂慮させる、または憂慮していること

    不同意わいせつ罪の刑罰は、「6か月以上10年以下の拘禁刑」です。

    迷惑防止条例違反に比べて、わいせつ性の強度や悪質性が高い場合は不同意わいせつ罪に問われる可能性があるでしょう。

4、痴漢で不起訴になるためには

痴漢で逮捕されたり、嫌疑をかけられたりしたら、まずは「不起訴」を目指すべきです。不起訴処分になれば、刑事裁判にならないので前科がつくこともありませんし、逮捕勾留されている場合には、不起訴処分になったと同時に身柄を釈放してもらえるからです。
痴漢で不起訴になるためにできることを解説します。

  1. ①痴漢行為を認めている場合

    被害者と示談を成立させる

    被害者と示談が成立すると、被疑者にとって良い情状となるので不起訴になる可能性が高まります。

    反省の態度を示す

    痴漢行為をしっかり反省しており、もう二度と同じ過ちはしないと誓っていることを捜査機関にわかってもらうことが重要です。

    家族による監督が可能であることを示す

    家族がいる場合などには、家族による監督が期待されるので再犯に及ばない可能性が高いことを主張します。

    初犯、犯行が悪質でないことを示す

    初犯であること、悪質でないことなどを示し、検察官に不起訴申し入れを行います。

  2. ②痴漢行為を否認している場合

    虚偽の自白をしない(否認を貫く)

    痴漢行為をしていない場合、絶対に虚偽の自白をしないことが重要です。
    厳しい取り調べを受けても否認を貫きましょう。

    目撃者を捜す

    その場を目撃していたり録画していたりした人がいないか探します。 そういった人がいれば無罪を証明しやすいです。

    物的証拠を集める

    DNA鑑定や線維鑑定など、物的証拠によって無罪を証明できるケースがあります。
    現場検証を行ったり、再現実験を行ったりして、状況的に痴漢行為が不可能だったことを立証できる可能性もあります。

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5、痴漢で逮捕された場合に弁護士ができること

痴漢で逮捕された場合、直ちに弁護士に相談しましょう。

  1. ①自首に同行する

    痴漢をしてしまい「現行犯逮捕されなかったけれども被害者がいつ被害届を出すかわからない、逮捕されるのが不安……」というケースがあるかもしれません。
    そのような場合には、自首(犯罪発覚前に捜査機関に出頭すること)することで、刑を減軽してもらえる可能性があります。

    逮捕を待つより自分から出頭した方が情状も良くなって処分が軽くなる可能性が高まります。ひとりで自首するのが不安な場合、弁護士に依頼することで、弁護士が自首に同行することが可能です。

  2. ②被害者と示談交渉をする

    痴漢で逮捕されてしまったら、一刻も早く被害者と示談を成立させる必要があります。
    示談が成立すれば、不起訴になる可能性が高まります。

    しかし、痴漢の被疑者が被害者と直接示談交渉を進めるのは困難を極めます。弁護士であれば、法律の専門家としての立場から被害者と冷静に話し合い、示談を成立させやすくなります。

  3. ③自白の強要などの違法な取り調べには抗議する

    取り調べの際、捜査機関による自白の強要や利益誘導を受けるケースもあります。
    弁護士はそのような不正は許さず、断固として抗議し、証拠排除することで無罪獲得につなげられることもあります。
    また、高圧的な取り調べが続くことが予想される場合には、取り調べで黙秘することも考えられます。取り調べに対する具体的な対応についても弁護士がアドバイスいたします。

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6、痴漢で起訴されやすいケース

痴漢でも、以下のような場合には不起訴になることが難しく、起訴されて裁判になる可能性が高まります。

  1. ①示談が成立しなかった場合

    被害者による処罰感情が強い場合で、検察官による処分決定までに被害者と示談できなかった場合には、起訴される可能性が高まります。
    もっとも、被害者の要求が不当に高いといえる場合等には、示談交渉の経緯について報告書を作成して提出するなどして、起訴されないよう検察官に求めることもあります。

  2. ②常習性がある場合

    その1回だけではなく、余罪が多数あるなど常習性が高いと評価される場合には起訴されやすいです。

  3. ③同種の前科前歴がある場合

    以前にも痴漢や強制わいせつなどの性犯罪で捜査を受けていたり、有罪判決を受けていたりする場合には、起訴される可能性が高まります。

7、痴漢で起訴された場合に弁護士ができること

起訴された後でも、弁護士ができることはたくさんあります。

  1. ①認めている場合

    引き続き、被害者と示談を進める

    罪を認めている場合には、引き続き被害者との示談交渉を進めます。示談ができれば、刑罰を軽くしてもらえる可能性が高いからです。
    実刑判決になると刑務所に行かなければならず、不利益が大きいので、執行猶予を目指しましょう。

    被告人にとって有利な事情を主張する

    初犯であること、反省していること、犯行が悪質ではないことなど、被告人にとって有利な事情を集めて主張をしていきます。
    また、配偶者や親などの親族に情状証人として裁判に出てもらい、情状立証を行うのも重要です。弁護士が情状証人を選定し、事前の打ち合わせや予行演習を行って、当日裁判所できちんと証言できるように準備を整えます。

  2. ②否認している場合

    違法収集証拠を排除させる

    被告人が否認している場合、検察側が提出している証拠の証拠能力を争うことも重要です。違法な取り調べが行われた場合、取り調べの過程で作成された供述調書など違法収集証拠を排除させて、無罪を狙います。

    無罪立証を行う

    検察官の提出する証拠を排斥するだけではなく、弁護側からも積極的に無罪立証を行います。DNA鑑定や現場検証、再現実験などもその1種です。
    過去には実際にDNA鑑定によって冤罪(えんざい)を晴らすことができた事例もありますし、事件現場を撮影した動画によって痴漢冤罪が証明された事例なども存在します。
    あきらめずに最後まで戦うことが大切です。

8、痴漢で逮捕されたら弁護士へ相談を

痴漢を疑われて逮捕されたとき、一個人にすぎない被疑者が巨大な国家機関である警察や検察に対抗するのは非常に難しいことです。痴漢が事実であっても無実の罪であっても、ご自身の権利を守るためには弁護士の助けが大きな力となります。
刑事事件は時間が命です。1日の遅れが取り返しのつかない結果につながりかねません。
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