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刑事弁護の用語集

大麻とは

読み方 たいま

大麻(たいま)とは、植物であるアサの花冠・葉を乾燥または樹脂化・液体化させたものをいい、「マリファナ」と呼ばれることもあります。

大麻は、一般に「麻薬」と呼ばれる他の薬物と同様に、

  • 脳機能の障害(認知、記憶、知能)
  • 呼吸器の障害(慢性気管支炎など)
  • 生殖機能の障害
  • 精神障害
  • 薬物依存症

など、人体への有害な影響を生ずることで知られています。

大麻の毒性は、ヘロインや覚せい剤など毒性の強い薬物に比べれば弱いものと考えられているため、国によって規制の有無や程度に差があり、大麻の所持などを違法としている国と、合法化している国とが混在しています。

日本においては、「大麻取締法」という法律において、大麻の規制を行っています。
まず、大麻取締法にいう「大麻」とは、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。」とされています。
大麻取締法では、大麻の所持・栽培・譲受・譲渡・研究目的の使用を原則として禁止しています(大麻取締法第3条)。
また、大麻の輸入・輸出については、大麻研究者が厚生労働大臣の許可を受けて行う場合を除いて禁止されています(同法第4条第1項第1号)。
さらに、医療用大麻の施用・交付、医療用大麻の施用を受ける行為、大麻に関する広告をする行為は、一律で禁止されています(同項第2号から第4号)。

大麻所持等をはじめとする薬物犯罪は、直接の被害者がいない「被害者なき犯罪」です。

しかし前述のとおり、薬物には人体に対する有害作用があり、薬物使用が蔓延すると、

  • 国家全体の生産能力の低下
  • 社会秩序の悪化
  • 医療費の増大

などの社会的な弊害が生じてしまいます。

こうしたデメリットが生じることを防ぐため、いわゆる「社会的法益に対する罪」として、大麻の所持等が法律で禁止されているのです。

なお、大麻栽培者または大麻研究者として、厚生労働省令の定めるところにより都道府県知事の免許を受けた場合には、例外的に大麻の所持・栽培・譲受・譲渡・研究目的の使用が認められます(同法第2条、第3条第1項)。
ただしこの場合も、免許を受けた目的以外の目的に大麻を使用することは認められません(同法第3条2項)。

大麻取締法に違反した場合、違反行為の類型に応じて、以下の刑事罰が科されます。

栽培・輸入・輸出
(大麻取締法第24条第1項、第2項)
7年以下の懲役
(営利目的の場合は10年以下の懲役+300万円以下の罰金)
所持・譲受・譲渡
(同法第24条の2第1項、第2項)
5年以下の懲役
(営利目的の場合は7年以下の懲役+200万円以下の罰金)
研究目的の使用
(同法第24条の3第1項第1号、第2項)
医療大麻の施用・交付・施用を受ける行為
(同条第1項第2号、第2項)
栽培・輸入・輸出の予備行為
(同法第24条の4)
3年以下の懲役
栽培・輸入・輸出の資金等の提供
(同法第24条の6)
譲受・譲渡の周旋
(同法第24条の7)
2年以下の懲役
大麻に関する広告
(同法第25条第1項第1号)
1年以下の懲役または20万円以下の罰金

なお、法律上適法に大麻を所持することができる者がその目的外に使用する場合を除き、研究目的ではない大麻の単純使用については、大麻取締法上違法とはされていません。
しかし、使用の前提として「所持」が行われることが想定されますので、通常であれば、捜査機関は「所持」の事実を捉えて被疑者を検挙することになります。

前述のとおり、諸外国の中には、大麻の所持などを合法化している国も存在します。
しかし、日本人が外国で大麻を所持等した場合、大麻取締法上の国外犯規定が適用され、日本において罪に問われる可能性があるので注意が必要です(同法第24条の8、刑法第2条)。

大麻の所持などが合法である国において大麻を所持した日本人が、大麻取締法違反を理由に処罰の対象となるかどうかについては、同法の解釈上の問題があります。

大麻取締法で処罰の対象となっているのは、大麻を「みだりに」所持するなどの行為です。
この点、大麻の所持等が合法である国で大麻を所持等した場合、管轄地域の法に則った行為をしているに過ぎないので、「みだりに」とはいえず、刑事処分の対象にはならないという考え方もあります。
実際上は、国外において大麻を所持等した日本人が、帰国後日本の捜査機関に訴追された例は、現在のところ確認できていません。

しかし外務省は、日本人の国外における大麻の所持等に対して、日本の大麻取締法を適用する可能性があることを示唆しています。
(参考:「海外安全ページ」(外務省))

大麻取締法の解釈も分かれているところであり、国外における大麻所持について、今後日本において処罰が行われる可能性がないとはいえません。
そのため、たとえ大麻の所持等が合法の国へ旅行などする機会があったとしても、現地での大麻の所持等は控えるべきでしょう。

大麻取締法違反のうち、もっとも検挙例が多いのが大麻の「所持」です。

営利目的でない単純所持であり、かつ初犯の場合は、「懲役6月~8月、執行猶予3年」程度の刑事罰が言い渡される例が多くなっています。
これは、より毒性が強く法定刑も重い覚せい剤の不法所持などに比べると、軽い水準になっています。

しかし、営利目的で大麻を所持した場合は初犯でも実刑になることもあります。
さらに再犯の場合には、実刑になる可能性が極めて高いので注意が必要です。

違法な大麻所持が捜査機関に発覚した場合、捜査機関は大麻所持で被疑者の現行犯逮捕を試みるのが原則です。
具体的には、裁判官から事前に捜索差押令状を発行してもらったうえで、被疑者に予告することなく、被疑者の自宅などに踏み込んで捜索を行います。
そして、捜索の場で大麻の現物が発見されれば、それを差し押さえたうえで、被疑者を現行犯逮捕します。

逮捕後は、最大23日間の身柄拘束期間(逮捕・起訴前勾留)を経て、検察官が被疑者を起訴するかどうかの判断を行います。
起訴・不起訴の判断においては、大麻の所持量・使用頻度(常習性)・営利目的の有無などの事情が総合的に考慮されます。

被疑者が不起訴となれば、その時点で身柄拘束から解放され、刑事手続きは終了します。
一方、被疑者が起訴された場合は、公判手続きの中で有罪・無罪および量刑が決定されます。

被疑者が起訴された後は、「起訴前勾留」から「起訴後勾留」へと切り替わって引き続き身柄拘束が継続します。
ただし、起訴後勾留中は、裁判官に対する保釈請求が認められた場合、保釈保証金を預け入れることによって、被疑者は身柄拘束から解放してもらえます。
監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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