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弁護士コラム

2020年08月11日
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  • 保釈金

大麻で逮捕された! 保釈金はいつ払うの? 保釈金に関する疑問を解説

大麻で逮捕された! 保釈金はいつ払うの? 保釈金に関する疑問を解説
大麻で逮捕された! 保釈金はいつ払うの? 保釈金に関する疑問を解説

大麻所持などの疑いで身体拘束されたまま起訴されてしまった場合、身柄拘束を解くために保釈請求することを考えるかと思います。

しかし、保釈金はいつどこへ支払えばよいのか、保釈金を支払うと確実に保釈されるのかなど、よくわからない点も多いものです。大麻事件において保釈は重要な意味をもちますので、保釈制度や保釈金について知っておくことが大切です。

本コラムでは、大麻事件と保釈に着目し、保釈される条件や保釈金を支払う際の注意事項などを中心に、弁護士が解説します。

1、保釈と釈放の違いとは?

釈放(しゃくほう)とは、逮捕や勾留などによって身体を拘束されている人が、その拘束を解かれること全般をいいます。

身体拘束されている身柄事件では、おおむね次の流れで刑事手続きが進められます。

  1. ① 逮捕から48時間以内:警察官からの取り調べ、検察庁への送致
  2. ② 送致から24時間以内:検察官からの取り調べ、勾留請求
  3. ③ 勾留決定:最長20日間
  4. ④ 勾留満期まで:終局処分(起訴、不起訴の決定)
  5. ⑤ 起訴後:起訴後勾留、裁判


この流れの中で、釈放されるタイミングは複数あるのです。

【釈放の具体例】
  • 逮捕されたが、被害届が取り下げられたので送致前に釈放された
  • 送致されたが、逃亡や罪証隠滅のおそれがないとして在宅事件となった
  • 捜査の結果、不起訴となった
  • 略式起訴となり、罰金を支払って刑罰が終了した


このように釈放とは、刑事手続きの中で留置場や拘置所などの収容施設から解放されることを幅広く指します。

他方、保釈(ほしゃく)とは、起訴された被告人が、一定の要件を満たすことで、保証金の納付を条件として身柄の拘束が解かれる制度です。保釈も釈放の一部ですが、起訴後のみの手続きであるという点、保証金の納付が条件とされる点などにおいて、釈放よりも狭い意味をもちます。

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2、保釈になる条件

保釈されるためには、まずは保釈請求することが必要です。保釈請求できる人は、被告人、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹です(刑事訴訟法第88条)。
しかしながら、保釈請求をすれば必ず保釈が認められるわけではありません。保釈の種類ごとに条件を確認しましょう。

  1. (1)必要的保釈

    裁判所は、被告人が次のいずれにも該当しないときには、保釈を認めなければなりません(刑事訴訟法第89条)。


    • 死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した
    • 以前に死刑、無期、長期10年を超える懲役または禁錮にあたる罪で有罪宣告を受けたことがある
    • 常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した
    • 罪証隠滅のおそれがある
    • 被害者やその親族などの身体や財産に害を加えたり、これらの者を畏怖させたりするおそれがある
    • 氏名または住所が不明
  2. (2)任意保釈

    必要的保釈が認められない場合でも、裁判所が適当と認めた場合には職権で保釈が許されます(刑事訴訟法第90条)。

    裁判所は、被告人が逃亡・罪証隠滅を図るおそれがどの程度あるのか、身体の拘束によって被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上などの不利益がどの程度あるのかなどの事情を考慮し、保釈を許可するかどうかを決定します

  3. (3)義務的保釈

    勾留が不当に長くなったときは、裁判所は請求または職権で、保釈を認めなければなりません(刑事訴訟法第91条)。何をもって「不当に長い」といえるのかは、事件の性質や被告人の健康状態などさまざまな事情から総合的に判断されます。

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3、保釈金制度とは

保釈金は、身柄を解放する代わりに、公判への出頭等を確保するために預けさせる金銭をいいます。

保釈金は有罪判決を受けたとしても後で全額返還されますが、次の場合には保釈が取り消され、保釈金の全部または一部が没取されます(刑事訴訟法第96条)

  • 召喚を受けたが正当な理由もなく出頭しない
  • 逃亡や罪証隠滅をしたか、それらが疑われる相当の理由がある
  • 被害者やその親族などの身体や財産に害を加えようとしたり、これらの者を畏怖させたりする行為をした
  • 裁判所が定めた条件に違反した


つまり保釈金には、上記のような行為をさせないようにするための心理的な強制力があるのです。

  1. (1)保釈金が必要になるタイミング

    保釈請求は、起訴後に初めて行うことができます。保釈金は保釈される際に必要となります。起訴前はそもそも保釈制度がありませんので、保釈されることはありません。

    なお、執行猶予期間中に再び勾留された場合、保釈は認められにくい傾向にあります。執行猶予中の再犯は実刑判決となる可能性が高く、実刑を回避するために罪証隠滅を図るおそれが大きいと考えられるからです。

  2. (2)保釈金の立て替えは可能なのか

    保釈は、保釈金を納付した後でなければされません。

    しかし、被告人本人やその親族に資力がなく、保釈金を用意できないことも考えられます。この場合には、日本保釈支援協会を利用して保釈金を立て替えてもらう、全国弁護士協同組合連合会が発行する保釈保証書を提出するなどの選択肢があります

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4、大麻で逮捕された場合、保釈が許可される可能性

大麻は大麻取締法で規制されている違法薬物で、所持、譲渡・譲受、栽培、輸出・輸入することなどが禁じられています。大麻取締法違反で身柄拘束されたまま起訴された場合においても、保釈請求することができます。

  1. (1)保釈の重要性

    大麻取締法違反事件で保釈された場合、本人の心身の負担が緩和されることはもちろんですが、継続的な就業によって家計の破綻を防ぐ、社会復帰を早めるなどの利点が期待できます。

    その他、生活環境を整えたり、再犯防止のために薬物依存症の治療を受けたりといった活動もできるでしょう。こうした活動が評価された場合、刑罰が減軽される可能性が高まります。

  2. (2)保釈される可能性

    常習者の場合、保釈をしたら再度大麻に手をだしてしまう心配や、実刑判決となる可能性が高いために逃亡するおそれがあることから、保釈は認められにくい傾向があります。起訴事実を否認している場合にも、罪証隠滅のおそれがあるとして、保釈されにくくなります。

    これらの場合と比較して、初犯で依存性が進んでいないような場合には、保釈が許可される可能性は一般的に高くなります

    ただし、初犯だからといって必ず保釈が認められるわけではありません。保釈の請求は法律上、被告人や親族などもできることになっていますが、保釈が相当である理由を、書面で具体的かつ説得的に記載しなくてはなりません。したがって、現実的には、一般の方だけの力で保釈を実現することは困難です。実際、大半のケースでは弁護士が保釈請求を行っています。

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5、保釈金を支払う際の注意点

保釈許可決定が出された後の流れは、おおむね次のとおりです。

  1. ① 弁護士があらかじめご家族などから保釈金を預か
  2. ② 弁護士が裁判所の出納課に保釈金を納付して所定の手続きを踏む
  3. ③ 保釈される


保釈金は勾留が取り消されたときや裁判で有罪判決を受けて刑務所へ収監されたときなどに返還されます(刑事訴訟規則第91条)。

  1. (1)家族が裁判所に保釈金を持参する場合

    保釈請求をした人以外が保釈金を納付することもできます。たとえば弁護士が保釈請求をしたが保釈金は家族が収めるケースです。ただし、事前に代納付の許可を得ておく必要があります。

  2. (2)保釈金を支払うのに最適なタイミング

    保釈金を支払うタイミングは、すなわち保釈されるタイミングに影響します

    保釈金の額は事件によってさまざまですが、被告人が心理的に負担に感じるだけの金額である必要があるため、用意に時間がかかるでしょう。
    納付にあたり裁判所の営業時間(午後5時~午後5時半頃まで)を過ぎてしまった、弁護士に保釈金を預けるにあたり銀行振り込みのタイミングが遅くなってしまったなどの場合もあるかもしれません。保釈金の用意が遅くなれば、その分保釈も後日に引き伸ばされることになります。

    少しでも早く保釈されるためには、起訴される前から保釈を念頭に準備をしておくことが大切です。

  3. (3)保釈中の生活にも注意が必要

    保釈中の生活の主な条件としては、出頭の義務や被害者、証人などへの接触禁止、住居制限や旅行の制限などがあります。大麻事件の場合は薬物に近づかない、薬物がらみの友人や知人との縁を断つなどの条件がつく可能性もあるでしょう。

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6、まとめ

大麻事件で逮捕、起訴された場合には保釈の請求を検討することがあります。身柄を拘束されている本人には保釈請求や保釈金の準備が難しいため、ご家族などが動くことになるでしょう。とはいえ、制度を正確に理解したうえで申請し、実際に保釈を獲得するのは難しい面があります。万が一の際は、弁護士へ依頼するのが賢明です。ベリーベスト法律事務所がサポートしますので、まずはお気軽にご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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