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弁護士コラム

2025年04月30日
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当番弁護士ができること・できないこと|呼び方や逮捕後の流れ

当番弁護士ができること・できないこと|呼び方や逮捕後の流れ
当番弁護士ができること・できないこと|呼び方や逮捕後の流れ

刑事事件で逮捕されると、警察署に連行された後、警察官による取り調べを受けることになります。初めての取り調べでは、どのように対応すればよいかわからず、不安を感じる方も多いでしょう。そうした状況で頼れる制度のひとつが「当番弁護士」です。

刑事事件では、逮捕後の最大72時間が重要な分岐点になります。早期に適切な対応をすることで、勾留の回避や不起訴の可能性を高めることができます。すぐにアドバイスを受けるためにも、まずは当番弁護士を呼ぶとよいでしょう。

本記事では、当番弁護士と私選弁護人との違い、当番弁護士ができること・できないことなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次を開く

  1. 1、当番弁護士とは?
    1. (1)当番弁護士制度の概要
    2. (2)当番弁護士の役割
    3. (3)当番弁護士を利用する際の注意点
  2. 2、当番弁護士を呼ぶ方法
    1. (1)逮捕された本人が呼ぶ方法
    2. (2)家族や友人が連絡する方法
    3. (3)当番弁護士を呼べるタイミングは?すぐ来てくれる?
    4. (4)当番弁護士を呼ぶための連絡先
  3. 3、当番弁護士ができること・できないこと
    1. (1)当番弁護士ができること
    2. (2)当番弁護士ができないこと
  4. 4、逮捕後最大72時間が勝負!当番弁護士を呼んだ後の流れ
    1. (1)逮捕後の流れ
    2. (2)当番弁護士を呼んだ後の流れ
  5. 5、当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違いを比較
  6. 6、当番弁護士制度は逮捕後の被疑者の権利を最低限守るためにある

1、当番弁護士とは?

「当番弁護士」は、逮捕された際に無料で相談できる弁護士です。以下では、当番弁護士制度の概要や注意点について解説します。

  1. (1)当番弁護士制度の概要

    当番弁護士制度とは、逮捕された被疑者が1回だけ無料で弁護士に相談ができる制度です。この制度により派遣された弁護士のことを「当番弁護士」といいます。

    逮捕された被疑者は、突然の拘束により弁護士を選ぶ余裕がなく、取り調べに関する対応方法もわからないことがほとんどです。しかし、取り調べの内容によっては、その後の刑事手続きが大きく左右されるため、早期に適切なアドバイスを受けることが重要です。
    このように、身柄拘束された被疑者の権利を守り、不利な供述を防ぐために、当番弁護士制度が設けられています。

  2. (2)当番弁護士の役割

    当番弁護士の主な役割は、以下の3つです。


    ① 取り調べに対するアドバイス
    • どのように供述すべきか、不利な供述を避ける方法などを助言
    • 黙秘権の行使についての説明

    ② 逮捕後の流れの説明
    • 72時間以内に何が起こるのか、勾留の可能性について解説
    • 早期釈放に向けた対応策を説明

    ③ 家族への伝言など
    • 面会が制限される状況で、家族に必要な情報を伝える


    各地域の弁護士会に当番弁護士の登録をしている弁護士は、当番制で担当日に連絡を受けられる状態で待機しています。派遣要請があった場合、原則として24時間以内に警察署や拘置所まで面会に来てくれます

  3. (3)当番弁護士を利用する際の注意点

    当番弁護士を利用する際には、以下の点に注意が必要です。

    ① 逮捕されてからでなければ利用できない
    当番弁護士を利用できるのは逮捕(身柄拘束)されている被疑者のみです。
    刑事事件を起こした被疑者であっても、在宅事件(任意捜査)のような身柄拘束をされていない状態では、当番弁護士を利用することはできません。

    ② 派遣される弁護士を選ぶことはできない
    派遣される弁護士は、当番弁護士名簿に登録されている弁護士の中からランダムに選ばれます。当番弁護士の派遣を要請した本人、家族、友人は、派遣される弁護士を自由に選ぶことはできません
    つまり、刑事事件の経験が豊富な弁護士が派遣されるとは限らない点に注意が必要です。

    ③ 無料で利用できるのは逮捕後1回のみ
    無料で当番弁護士を利用できるのは、逮捕後1回のみです。
    2回目以降の相談は、別途費用を支払って弁護士に依頼しなければなりません。
    被害者との示談交渉や裁判弁護など継続的な弁護を求めるなら、私選弁護人の依頼を検討しましょう。なお、当番弁護士から私選弁護人に移行する場合、同じ弁護士に依頼することも可能です。

2、当番弁護士を呼ぶ方法

当番弁護士は、逮捕直後できるだけ早く呼ぶことが重要です。以下では、当番弁護士の呼び方、連絡先、到着までの時間などについて説明します。

  1. (1)逮捕された本人が呼ぶ方法

    逮捕された本人が当番弁護士を呼ぶ方法は、警察官や留置管理官に対して「当番弁護士を呼んでください」と伝えるだけです。その後、担当者が弁護士会に対して当番弁護士の派遣要請を行ってくれます。

  2. (2)家族や友人が連絡する方法

    当番弁護士は、逮捕された本人だけではなく、家族や友人でも呼ぶことができます。家族や友人が当番弁護士を呼ぶ場合、被疑者が勾留されている警察署で要請する方法もありますが、担当地域を管轄する弁護士会に直接電話して、当番弁護士の派遣要請を行うことも可能です。その際には、以下のような事項が聞かれますので、事前にまとめておくとスムーズに要請できるでしょう。


    • 申込者の氏名、連絡先
    • 逮捕されている人の氏名、性別、生年月日
    • 逮捕されている警察署
    • 逮捕された日時・罪名
    • 申込者と逮捕されている人との関係
  3. (3)当番弁護士を呼べるタイミングは?すぐ来てくれる?

    当番弁護士の派遣要請は、各地域の弁護士会で24時間受け付けています。逮捕された本人または家族や友人は、いつでも当番弁護士の派遣要請を行うことが可能です。
    ただし、弁護士会の営業時間外の場合は留守電対応になりますので、メッセージを確認後の対応になります。

    なお、当番弁護士は、弁護士会から依頼を受けてから原則として24時間以内に面会するという運用がなされていますので、当番弁護士を呼べば早ければ当日、遅くても翌日までには担当弁護士が面会にきてくれるでしょう

  4. (4)当番弁護士を呼ぶための連絡先

    家族や友人が当番弁護士を呼ぶ場合、逮捕された地域を管轄する弁護士会に直接連絡することも可能です。

    各弁護士会の連絡先は、以下のサイトを確認ください。



    東京三弁護士会刑事弁護センターの営業時間は、休日を含む全日、午前10時から午後5時までです。ただし、弁護士会の営業時間は、地域によって土日祝が休みになるところもあるため、逮捕された曜日が土日祝にあたる場合、すぐの対応が難しいことがあります。

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3、当番弁護士ができること・できないこと

当番弁護士は、逮捕直後の不安を軽減し、必要な法的アドバイスを提供するための制度ですが、できることには限界があります。以下では、当番弁護士が対応できること・対応できないことについて解説します。

  1. (1)当番弁護士ができること

    当番弁護士を呼ぶと、以下のようなサポートが可能です。

    ① 逮捕後勾留前に無料で接見(面会)
    当番弁護士を呼べば、逮捕後、勾留前に1回だけ無料で接見(面会)できます。
    経済的に余裕がなく弁護士に相談できない人や、弁護士に知り合いがおらず、誰に頼めばよいのかわからないという人にとって非常に重要な支援です。

    ② 逮捕後の流れや手続きを説明
    当番弁護士は、逮捕後の流れや今後の手続きについて被疑者に説明をします。
    初めて逮捕された方は、今後どのような手続きがあり、どのような流れで進むのかわからず不安に感じることも多いでしょう。逮捕後すぐに当番弁護士と接見できれば、今後の流れや処分の見通しなどが明らかになるため、ある程度不安を解消することができます。


    ③ 取り調べ対応に関するアドバイス
    今後の取り調べに対するアドバイスも当番弁護士の重要なサポートのうちのひとつです。
    逮捕された被疑者は、警察による取り調べを受けますが、警察からの厳しい追及や誘導により、自分に不利な供述をしてしまうケースも少なくありません。このような供述調書は、後日の裁判の証拠となりますので内容によっては、重すぎる処分を受けるリスクがあります。

    逮捕後すぐに当番弁護士と面会できれば、取り調べの基本的な対応方法、黙秘権の行使、供述調書の確認と訂正など取り調べに関するアドバイスを聞けます。そのため、不利な供述調書が作成されるリスクを抑えられる可能性が高まります。

    ④ 家族への伝言
    当番弁護士を通じて家族にメッセージを伝えることができます。
    逮捕中は家族であっても面会できず、面会できるのは弁護士に限られます。ほとんどのケースが突然逮捕され、家族に伝えたいことも伝えられずに警察署に連行されてきますので、伝えたいことがあれば当番弁護士にお願いするとよいでしょう。

  2. (2)当番弁護士ができないこと

    当番弁護士のサポートは「1回限りの無料面会」に限られるため、以下のような対応はできません。

    ① 被害者との示談交渉
    当番弁護士は、逮捕後1回に限り面会できる制度ですので、被害者と継続的な対話が必要になる示談交渉を行うことはできません。

    しかし、早期釈放や不起訴処分などの獲得を目指すのであれば、早期に被害者との示談を成立させることが重要です。示談交渉を希望するのであれば私選弁護人を依頼するようにしましょう。


    ② 不起訴や執行猶予に向けた弁護活動
    当番弁護士ができるのは、面会でのアドバイスや家族への伝言に限られますので、刑事弁護人としての不起訴や執行猶予に向けた弁護活動を行うことはできません。刑事手続きが進む中で、不起訴処分を得るための証拠収集や、裁判における弁護活動は、当番弁護士の対応範囲外になります。

    私選弁護人であれば、不起訴処分獲得のために、事件に応じた適切な証拠を収集し、捜査機関に提出することで不起訴処分の可能性を高めることができます。
    このような弁護活動を希望するのであれば、当番弁護士に相談後すぐに私選弁護人を選任すべきでしょう。

    ③ 継続的なサポート
    当番弁護士の活動は、1回限りの面会だけですので、その後の継続的なサポートを行うことはできません。
    刑事事件で有利な処分の獲得を目指すのであれば、早期に刑事事件の経験豊富な弁護士に依頼する必要がありますので、当番弁護士との面会後すぐに私選弁護人を選任するようにしましょう。

4、逮捕後最大72時間が勝負!当番弁護士を呼んだ後の流れ

刑事事件は、逮捕後最大72時間が勝負といわれています。それは、逮捕後の手続きの時間制限が関係しています。以下では、逮捕の流れと当番弁護士を呼んだ後の流れについて説明します。

  1. (1)逮捕後の流れ

    逮捕後の一般的な流れは以下のとおりです。


    • 逮捕
    • 検察官送致(逮捕後48時間以内)
    • 勾留請求(送致後24時間以内)
    • 勾留(最長20日間)
    • 起訴または不起訴の決定


    警察に逮捕されると、48時間以内に検察官に被疑者の身柄が送致され、検察官は、送致から24時間以内に勾留請求するかどうかを判断します。勾留されると最長20日間にも及ぶ身柄拘束となりますので、被疑者本人に生じる不利益は非常に大きなものとなります。

    そのため、勾留を阻止するためには、検察官が勾留請求するまでの「48時間+24時間=72時間」が重要な期間となります。これが「逮捕後最大72時間が勝負」と言われる理由です。

    逮捕後の流れについて詳しくはこちらをご覧ください。


  2. (2)当番弁護士を呼んだ後の流れ

    当番弁護士を呼んだ後、面会までの流れは以下のようになります。


    • ① 被疑者が警察署などで当番弁護士の派遣を要請
    • ② 警察官、留置管理官などが弁護士会に連絡
    • ③ 弁護士会が当番弁護士に連絡し、派遣を依頼
    • ④ 原則として24時間以内に、当番弁護士が警察署や拘置所へ出向き、被疑者と面会


    当番弁護士は、派遣要請をしてからすぐ来られるとは限りません。弁護士会の営業時間や派遣依頼された当番弁護士の状況によって、面会が数日後になってしまう可能性もあるため注意が必要です。逮捕後最大72時間に以内に早期釈放や不起訴を目指した弁護活動をしてほしい場合は私選弁護人に依頼するとよいでしょう。


5、当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人の違いを比較

刑事事件を起こしたときにサポートしてくれる弁護士には、当番弁護士、国選弁護人、私選弁護人がいます。それぞれの違いは以下のようになります。

当番弁護士 国選弁護人 私選弁護人
費用 1回に限り無料(弁護士会が負担) 原則無料(国が負担) 有料(自己負担)
依頼できる人 本人、家族、友人 本人 本人、家族、友人
呼べるタイミング 逮捕された後 勾留された後 いつでも
来るタイミングの目安 弁護士会から要請を受けてから原則24時間以内 要請後、約3日~1週間程度 即日面会も可能
※各法律事務所の体制や状況によって異なる
弁護活動の範囲
  • 取り調べに対するアドバイス
  • 逮捕後の流れの説明
  • 家族への伝言
制限なし
※事件化前の対応や逮捕後勾留前の対応は不可
制限なし
指名の可否 不可 不可 可能
利用条件 逮捕・勾留された被疑者 勾留された被疑者・被告人で資力が乏しい場合、又は法定刑の重い事件の被告人 制限なし(費用負担可能な場合)

国選弁護人は、
① 被疑者が勾留された時点で、被疑者に弁護人がついておらず、貧困などのために私選弁護人を選任できない場合
② 刑事裁判に進んだ際、法定刑が死刑・無期・長期3年を超える懲役・禁錮に当たる事件で、被告人に弁護人がいない場合
に利用可能です。

国選弁護人制度の利用には一定の利用制限があり、現金・預貯金が50万円以上ある場合には、原則として、は利用できません。

国選弁護人について詳しくは以下の記事をご覧ください。

6、当番弁護士制度は逮捕後の被疑者の権利を最低限守るためにある

当番弁護士は、逮捕後1回に限り無料で弁護士に相談でき、被疑者の権利を最低限守るためのアドバイスが可能です。早期に当番弁護士と面会できれば、不安も少しは解消されるでしょう。

しかし、当番弁護士では継続的な弁護活動はできません。実刑になって前科がつき、重い刑に科せられることになることを避けるためには、私選弁護人による長期的なサポートが重要です。ぜひ刑事事件を多数取り扱っているベリーベスト法律事務所にご相談ください。

本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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