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窃盗罪で家族が逮捕された! そのときに取るべき対処法とは?
夫や妻、子どもが窃盗罪で逮捕されたとき、家族にはどのようなことができるのでしょうか。
本コラムでは、窃盗罪による逮捕から釈放に至るまでの流れに加え、逮捕の連絡は誰に対してどのように行われるのか、接見禁止のときに弁護士が家族に代わってできることは何か、そして不起訴処分や量刑の軽減を目指すときのポイントを解説します。
窃盗罪で家族が逮捕されてしまい、対処に困っている方、不起訴や量刑の軽減を目指すために家族ができることを探したいという方は、ぜひご覧ください。
1、家族が窃盗罪で逮捕!? 逮捕後釈放されるまでのパターンとは
窃盗罪とは、他人の占有物を無断で盗む犯罪です。万引きや車上荒らし、スリなどの行為も窃盗に該当します。刑罰は刑法第235条によって10年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。
家族が窃盗罪で逮捕される場合、現行犯逮捕か通常逮捕が考えられます。犯行の最中や直後に行われる現行犯逮捕は逮捕状なしで行うことが可能であり、一般人にも認められています。
通常逮捕は犯行後日、警察官により、裁判所が発行した逮捕状を提示した上で行われます。ここでは、逮捕から釈放までの流れを4つのパターンに分けて説明します。
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(1)微罪処分の場合
逮捕されても、検察が起訴しないと見込まれる場合には、警察の判断により微罪処分になることがあります。被害額が小さい、被害者が加害者の処罰を希望していない、犯行に悪質性が見られないなどの場合です。この場合、逮捕から48時間以内に釈放されるものの、「前歴」として警察署内などの記録に残ります。なお、微罪処分でも状況が変われば、警察から呼び出しを受けることがあるかもしれません。
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(2)勾留なしの場合
警察は逮捕から48時間以内に捜査をし、検察へ送致します。検察は、送致を受けてから24時間以内に、「勾留」が必要かどうかを判断します。「勾留(こうりゅう)」とは、逃亡や証拠隠滅などの恐れがあるときに最長で20日間、留置場などに身柄を拘束する措置です。必要と判断したときは、勾留請求を行います。
検察が勾留請求を行わない場合や、裁判所から勾留の必要性がないと判断された場合は、身柄が解放されます。なお、不起訴と決定した場合でない限り「在宅事件扱い」として、釈放後も捜査が行われることになります。この場合は、会社や学校に通いながら、捜査機関の呼び出しに応じて取り調べに協力する必要があります。 -
(3)不起訴の場合
検察は、勾留中のときは勾留の満期を迎えるまでに、在宅事件扱いのときは捜査が終わり次第、起訴か不起訴かを決定します。不起訴となれば釈放されます。
起訴には公判請求と略式手続があります。公判請求された場合は、保釈請求が認められない限り、刑事裁判が終わるまで引き続き身柄が拘束されることになります。なお、保釈されても裁判への出廷は必要です。他方、略式手続となったときはすぐに身柄が解放され、2週間以内には処罰の内容が決定します。 -
(4)無罪判決の場合
刑事裁判において無罪判決を勝ち取れば釈放されます。ただし、起訴された際の有罪率は非常に高く、約99%の確率で有罪になるといわれています。したがって、起訴されればほぼ有罪になり、前科がつくと考えておいたほうがよいでしょう。
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2、逮捕後に、家族へはどのように連絡が入るの? その際にどう応じればよい?
逮捕後、警察が家族に連絡しなければならない決まりはありません。しかし逮捕された方が突然帰宅しなくなれば、多くの場合、同居している家族は不安に思います。そのため本人の希望や家族構成などを考慮し、警察から連絡が入るケースはあります。本人が未成年か、もしくは成人でも親と同居している場合では、親に対して連絡が入ります。結婚していれば、配偶者に連絡されるのが一般的です。あるいは接見した当番弁護士が、本人の依頼を受けて家族に連絡をすることもあるでしょう。
家族が窃盗罪で逮捕されたという連絡を受けた方は、パニック状態に陥り、冷静な判断を行うことが難しいと感じるかもしれません。しかし、逮捕された方が会社員や学生の場合、取るべき対応が遅れて身柄を拘束される期間が長くなればなるほど、無断欠勤・欠席が続いたり、事件のことが周囲に知られたりなど、事態が不利に働く可能性は高くなります。場合によっては会社から懲戒処分を受けたり、示談交渉が困難になったりするケースもあるため、迅速かつ適切な対応が求められます。
窃盗をしてしまったときは、被害者との間で可能な限り早期に示談を成立させることが、勾留の阻止や不起訴処分の決定に大きく影響します。本人の身柄が釈放され、早期の社会復帰を果たすためにも、逮捕の連絡を受けた後は家族が早めに弁護士へ相談や依頼をし、釈放の働きかけや示談交渉、裁判の準備を行うことが得策といえるでしょう。
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3、家族が逮捕された場合、面会はできるの?
逮捕とは、取り調べのために身柄を拘束する特別な措置です。逃亡や証拠隠滅の危険があるなど、一定の理由がなければ逮捕できないものの、逮捕されたときは状況によって自由な面会が制限されることがあります。
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(1)逮捕されている間に面会できるのは弁護士だけ
逮捕された本人が警察や検察で取り調べを受けている間は、原則として家族との面会はもちろん、電話などで連絡を取ることもできません。この期間に面会できるのは弁護士のみです。
検察による勾留が決まれば、接見禁止の処置が取られない限り面会は許可されることでしょう。つまり、特に状況が気になるだろう逮捕されている間に、家族が本人のことを直接知る術はないということです。
しかし、弁護士であれば、警察や検察による取り調べの期間中も逮捕された本人と会うことが可能です。弁護士ができることは、示談交渉や裁判の準備だけではなく、次のような確認や連絡にもおよびます。 -
(2)職場や学校に対しての連絡をどうするか
会社や学校への連絡は、本人の意向を確認した上で行われるべきことですが、場合によっては、すでに捜査の過程で警察などから事件のことを伝えられているケースもあります。とはいえ、身柄の拘束が長引いているにもかかわらず、会社や学校への連絡を行わなければ、無断欠勤・欠席が続きます。
家族が代わりに連絡をするにしても欠勤や欠席の理由が必要となるため、どうすればよいか悩むところでしょう。弁護士であれば接見を通じて、職場や学校への連絡について、本人の意向を尋ねることができます。 -
(3)本人の様子の確認
窃盗罪で逮捕されれば、長時間の取り調べが続くこともあり、体力的にも、精神的にも厳しい状況に追い込まれやすくなります。
弁護士に依頼することで、家族は本人の健康状態や心理状態などを間接的に知ることができます。また弁護士は、接見を通じて取り調べに対するアドバイスや精神的なサポートを行えます。 -
(4)手紙や伝達事項の連絡
接見が禁止されている最中も、弁護士であれば土曜日、日曜日、早朝・夜間を問わず、本人と面会することができます。家族からの必要な連絡事項を伝えたり、手紙のやり取りをしたりといったことも許されています。弁護士は家族との橋渡し役となり、本人が孤独な気持ちになり、精神的に追い詰められてしまうことを防げます。
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4、窃盗で逮捕された家族に「前科」をつけないために
前科とは、裁判において有罪となった履歴のことです。本人の将来や家族への影響を考えてもできるかぎり不起訴処分を目指し、前科がつかないように尽力することが重要です。
起訴・不起訴の判断や、起訴された場合、窃盗罪の量刑を左右する事項は以下のとおりです。
- 初犯か常習犯かといった犯罪歴 再犯や常習犯による犯行の場合には、量刑が重くなる恐れがあります。窃盗罪の初犯では執行猶予がつきやすい傾向があるものの、犯行が悪質と判断されれば、初犯でも実刑となることがあります。
- 被害額の大きさ たとえば宝石やブランド品などを盗み、数百万円単位の被害をもたらした場合などでは、初犯でも実刑判決を下される可能性が高くなります。
- 犯行が計画的か 用意周到に準備された犯行か、思いつきでおよんだ犯行かによっても量刑が左右されます。一般に、犯行が計画的であるほど、悪質性は高いと見なされる傾向があります。
- 反省の意思が感じられるか 本人の態度などから十分に反省していると検察官や裁判官に判断されれば、処分や量刑の決定において有利に働きます。しっかりと反省し、再犯の可能性は低いと認められることが大切です。
- 被害者との示談の成立 不起訴処分の獲得や量刑が軽くなる要素としてもっとも重要なのが示談の成立です。示談を成立させることで、被害者に対する民事的な責任を果たした、場合によっては被害者の処罰感情がおさまったと判断されます。その結果、逮捕段階における微罪処分や送致後の不起訴処分、裁判における量刑の軽減を得やすくなります。
状況に応じて迅速かつ的確な対応を取るためにも、早めの段階で弁護士に相談や依頼することをおすすめします。
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5、まとめ
窃盗罪で逮捕された方の家族は、事件による不安やストレスに見舞われることでしょう。そのような状況下でも本人や家族の将来を考えれば、可能な限り早期の釈放や不起訴処分、量刑の軽減を求めていくことが必要です。
弁護士であれば、示談交渉や裁判の準備に加え、接見を通じて必要な確認や連絡ができるだけでなく、家族に代わって精神的なサポートも行えます。窃盗罪で家族が逮捕されたときの対処に迷ったときは、ひとりで抱え込まず、ぜひベリーベスト法律相談所で相談してください。窃盗をはじめとした刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が本人とその家族を全力でサポートします。
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