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家族が万引きで逮捕された! 本人のために家族にできることは?
万引きや車上荒らし、スリなどを含む窃盗罪は、「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」と定められています(刑法第235条)。
対策を講じなければ、不当に厳しい処分となる可能性があるため、ご家族の迅速な対応が求められます。
本記事では、窃盗(万引き)で逮捕された家族のためにできることについて、逮捕から起訴までの流れに沿って解説します。
1、家族が窃盗・万引きで逮捕された場合にできること
逮捕から起訴までは以下のような流れになります。
逮捕された場合、警察は被疑者を最長48時間、検察官は最長24時間、合計で最長72時間身体拘束することが法律で認められています。
この間に、弁護士以外は被疑者本人と自由に面会することはできません。
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(1)逮捕直後に家族ができること
逮捕直後にできることは、まずこの3つです。
まずは落ち着いて、できることをひとつずつ冷静に対応していきましょう。
① 刑事弁護の経験豊富な弁護士にすぐ連絡!
被疑者本人の権利を守り、今後の刑事手続きを有利に進めるためには、刑事事件に詳しい弁護士へすぐ相談することが重要です。
② 身元引受書の準備
身元引受人とは、身柄拘束を解かれた本人の生活や行動を監督する人のことで、身元引受書はその監督を約束する書面です。
適切な身元引受人がいると再犯リスクが低いと判断され、勾留回避の可能性や、起訴後に保釈が認められる可能性が高まります。
同居のご家族であれば身元引受人として認められやすいでしょう。
③ 職場や学校への連絡
本人の無断欠勤・欠席が続くと解雇や退学のリスクがあるため、適切な理由を伝えて早急に連絡することが重要です。
弁護士と相談しながら、プライバシーに配慮した説明方法を検討しましょう。 -
(2)逮捕直後に弁護士ができること
① できるだけ早く本人と面会する
窃盗罪で逮捕されれば、長時間の取り調べが続くこともあり、体力的にも、精神的にも厳しい状況に追い込まれやすくなります。
弁護士に依頼することで、家族は本人の健康状態や心理状態などを間接的に知ることができます。また弁護士は、接見を通じて事件の状況を聴取し、取り調べに対するアドバイスや精神的なサポートを行えます。
② 勾留回避に向けた活動
初犯で悪質性がないなどの情状を捜査機関へ主張し、勾留の必要がないことを示す意見書を提出します。 -
(3)勾留期間中に家族ができること
逮捕から最長で72時間以内に、検察官は被疑者の勾留が必要かどうかを判断し、裁判官に勾留を請求します。
勾留が決定すると、原則として10日間、さらに延長されると合計で最長20日間、身体の拘束が続きます。
① 示談金の準備をする
被害者の方との示談には基本的に示談金が必要になります。
示談金は被害金額を目安として検討されることが一般的ですが、事案の内容や被害者の感情などにより変動するため、弁護士に相談しながら適切な金額を準備しましょう。
② 再発防止策の具体化
- 家族による見守り体制の構築
- カウンセリング受診
- 買い物時の同行
など、本人が同じ過ちを繰り返さないための具体的な環境整備について、弁護士と相談しつつ文書化しましょう。処分軽減の重要な判断材料となります。
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(4)勾留期間中に弁護士ができること
① 被害者との示談交渉
窃盗(万引き)は被害者が存在する犯罪です。
被害者に被害を弁償し、許しを得る示談交渉を行うことで、検察官が起訴しない(不起訴処分)判断を下したり、裁判で量刑が軽くなったりする可能性を高めることができます。
窃盗(万引き)による経営上の被害が甚大であることから、昨今は「窃盗事件では示談に応じない」との姿勢を示す店も少なくありません。
こうした難しい状況の中でも、法的知識を有する弁護士であれば示談成立の糸口を見つけられる可能性が高まります。
② 早期釈放に向けた活動
勾留が決定された場合には準抗告(勾留決定に対する不服申し立て)を行うことができます。
また、勾留が長引くことで被疑者の社会生活に影響が出ると判断した場合は、勾留取消請求を行うこともあります。 -
(5)起訴・不起訴の判断
勾留期間が満了するまでに、検察官は被疑者を起訴するか、不起訴にするかを判断します。不起訴になれば、前科はつかず、その時点で事件は終了し、釈放されます。
不起訴のメリット
- 前科がつかない
- 裁判にならない
- その場で身柄が釈放され、普段の生活に戻れる
引き続き、示談成立と具体的な再発防止策が重要になります。
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(6)起訴後に家族ができること
起訴されると、刑事裁判が終わるまで身体拘束が続くことが原則です。
しかし、保釈請求が認められれば、裁判期間中に会社や学校に戻ったり、家族と過ごしたりすることが可能になります。
これにより、被疑者の精神的な負担が軽減され、円滑な社会復帰につながります。
保釈保証金を用意する
保釈が認められた場合、保釈金を支払うことで保釈されます。
保釈中に逃亡や証拠隠滅を行わず、裁判に出席すれば、裁判終了後に保釈金は全額返還されることになります。 -
(7)起訴後に弁護士ができること
① 保釈請求のための手続き
保釈を認めてもらうための意見書を作成し、裁判所に提出します。
ただし、略式起訴(正式な裁判を経ずに罰金刑が科される手続きで、事案が明白で簡易な事件であり、100万円以下の罰金または科料に相当する事件)には、罰金を納付すれば処分が終了し、釈放となるため、保釈による身体解放を求める必要がありません。
② 刑の減軽のための弁護活動
起訴された場合、刑事裁判が開かれることになります。
窃盗(万引き)の場合、多くのケースで略式起訴(罰金刑)となりますが、被害額が大きい場合や常習性がある場合は正式な裁判になることもあります。
弁護士は、刑罰が軽くなるように引き続き弁護活動を行います。
2、窃盗罪の量刑(罪の重さ)の判断基準
実際に言い渡される刑(量刑)は、法定刑の範囲で裁判官が決定します。
窃盗罪は、10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という幅の中で、次のような基準をもとに総合的に判断されます。
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(1)初犯か再犯か
・初犯の場合
窃盗(万引き)の初犯であれば、更生の可能性があると評価されるための情状になります。
余罪もなく、深く反省していて被害額も少ない場合には、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得を目指して弁護活動を行います。
・再犯の場合
再犯の場合は、社会生活の中での更生は困難だとの判断に傾くおそれがあります。
起訴され、実刑判決を受ける可能性は否定できません。 -
(2)被害金額
・被害が高額な場合
窃盗(万引き)をした金額が高いほど、悪質だとの判断に傾き、量刑にも影響します。
高額な場合、初犯であっても悪質性が高いとして執行猶予がつかない実刑判決となる可能性もあります。
・少額でも量刑が重くなるケース
ただし、少額なら必ず量刑が軽くなるわけではありません。
少額の万引きを繰り返しているような場合には、再犯リスクが高いとみなされ、量刑が重くなりやすいでしょう。 -
(3)被害者と示談が成立しているか
窃盗(万引き含む)の被害者と示談が成立している場合には、不起訴処分となる可能性が高まります。
示談は被害者が許し、処罰を望まないひとつの証しとなるため、検察官や裁判官もこれを重視します。
示談成立は、その事件が被害者と加害者の間で解決したという判断材料のひとつとなるため、万引き事件においても非常に重要です。
被害者の処罰感情が弱まり、事件が解決したのであれば、これ以上捜査機関での取り調べや身柄を拘束する必要もないと判断され、早期釈放につながる可能性があります。
前述した通り、万引きであっても、他の刑事事件で逮捕勾留されるのと同様に、最大23日間も身柄が拘束されます。
月の半分以上も会社に行けない、学校に行けないということになれば、職場や学校に対し、万引きで逮捕されている事実を告げなければいけなくなる可能性が高くなるでしょう。
いずれにしてもマイナスの影響を与えてしまうことは避けられません。
そのため、将来への影響を避けるためにも、できるだけ早くに示談交渉を行うことが大切となります。
・起訴前に示談交渉を行い示談が成立した場合
起訴前に示談交渉を行い示談が成立した場合は、不起訴処分となる可能性が高くなります。たとえ成立のタイミングが起訴後であっても、窃盗罪の量刑を決定づける際に有利に働く可能性が高まります。つまり示談交渉を行っておいて損はないのです。
・示談交渉は弁護士に依頼を
しかし、示談交渉が早期釈放、不起訴を勝ち取るためにも重要だとはいえ、当事者のみで行うのは難しいものです。
ご家族が被害者のところに出向いて代わりに謝罪し、示談交渉を申し出たとしても、必ずしも被害者にスムーズに受け入れてもらえるとは限りません。
そこで、第三者である弁護士に依頼し、示談交渉を行ってもらうのが賢明でしょう。
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(4)精神疾患(窃盗症)の可能性にも注意
悪いことだと自覚し、お金にも困っていないのに、窃盗(万引き含む)をやめられない場合、クレプトマニア(窃盗症)という精神疾患の可能性があります。
衝動的に繰り返してしまうため再犯率が高く、刑罰も重くなる傾向にあります。
精神疾患のため治療が必要ですが、ご家族の理解と協力が不可欠です。
本人がこうした症状に悩んでいる場合は専門機関への相談を検討し、クレプトマニア治療の必要性を訴えるなど弁護方針にも影響するため、弁護士にもご相談ください。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、万引きで執行猶予を得るためにできること
万引きで刑事裁判にかけられても、以下のように情状酌量の余地や再犯防止策を示すことで、執行猶予に近づくことが期待できます。詳しく見ていきましょう。
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(1)反省の意思を充分に示す
執行猶予付き判決を目指すときは、裁判官に対し、自身の犯行を素直に認め、反省の意思を伝えることが重要です。
弁護士に相談すれば、謝罪文の書き方に対する助言や、弁護士を通じた謝罪文の提出などのサポートを受けることができます。 -
(2)被害を弁済(示談)する
被害者に被害金額を弁償して損害を回復することは、執行猶予を獲得するうえで特に重要です。
弁護士は、できる限り速やかに被害者と示談交渉を進め、示談成立に向けて全力でサポートします。 -
(3)再犯防止策を講じる
万引きは再犯率が高い犯罪でもあります。
そのため、具体的な再発防止策を講じて、再び罪を犯さないことを示すことも大切です。
たとえば、次のような方法が有効でしょう。- 家族が同居して監督する
- 買い物はインターネットでする
- 窃盗症の専門医の治療を受ける
弁護士に相談すれば、具体的な再犯防止策を提案し、裁判に向けた適切な準備を進めることが可能です。
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(4)保護や監督を行う人物がいることを示す
再犯防止には、家族による日常的な監督やサポートが必要不可欠です。
実際の刑事裁判では、家族が出廷し、裁判官に対して本人の監督を約束することで有利な処分が得られるケースも少なくありません。
ご家族の方で、出廷に向けてどのような対応が求められるのか、裁判官からどのような質問を受けるのかといった不安があれば、弁護士に相談することで具体的なアドバイスが得られます。
4、窃盗罪の逮捕率・勾留率・起訴率・起訴後の判決別割合
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(1)統計データ
令和6年(2024年)の警察統計年報では、窃盗事件の逮捕率・勾留率・起訴率は以下のようになっています。
窃盗事件の逮捕率・勾留率・起訴率逮捕率 約30.3% 勾留率(逮捕された場合) 約92.1% 起訴率 通常起訴 約35.4% 略式起訴 約8.4% -
(2)逮捕率は約30%。早期弁護活動が重要!
逮捕率は約30%と比較的低いものの、一度逮捕されると約92%という非常に高い確率で勾留されます。
これは身柄拘束が長期化するリスクが高いことを意味しており、早期の弁護活動による勾留回避や勾留取消の申し立てが重要です。 -
(3)起訴率は約44%。起訴された場合でも諦めないで
その後の起訴率は約44%で、逮捕・勾留されても半数以上は不起訴となる可能性があり、適切な弁護活動により不起訴処分を目指すことが現実的な選択肢となります。
また、起訴された場合は- 略式起訴(罰金刑)
- 通常起訴(正式裁判)
に分かれますが、通常裁判に至った場合の処分状況は以下の通りです。
窃盗事件の通常裁判(第一審)における判決別の件数と割合死刑、無期拘禁刑 0(0.0%) 実刑判決(執行猶予なし拘禁刑) 5,329(約46.8%) 執行猶予付き判決 5,643(約49.5%) 罰金など 362(約3.2%) 参考:「令和7年版犯罪白書(第2編 犯罪者の処遇)」(法務省)
通常裁判に至った場合でも、約半数が執行猶予付き判決を受けており、適切な情状弁護により社会復帰を前提とした処分を得られる可能性が高いことがわかります。
5、ベリーベスト法律事務所での窃盗・万引きの解決事例
ベリーベストでは多数の窃盗事件(万引き)のご相談を受けており、解決に導いております。ここでは、万引きの解決事例をいくつかご紹介します。
家族の窃盗(万引き)逮捕は、適切で迅速な対応により結果が大きく変わります。
統計が示すように、半数以上が不起訴処分となっており、諦める必要はありません。
まず重要なのは逮捕後72時間以内の初動対応です。
ひとりで悩まず、刑事事件の経験豊富な弁護士にすぐご相談ください。
ベリーベスト法律事務所ではご家族の不安を解消しながら最適な解決策をご提案いたします。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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