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弁護士コラム

2019年12月10日
  • 財産事件
  • 窃盗
  • 軽犯罪

万引きは軽犯罪ではなく窃盗罪。量刑が軽くなるためのポイントは?

万引きは軽犯罪ではなく窃盗罪。量刑が軽くなるためのポイントは?
万引きは軽犯罪ではなく窃盗罪。量刑が軽くなるためのポイントは?

平成30年警察白書によると、平成20年~29年までの10年間で、万引きが認知された件数はすべての年で10万件を上回っています。これだけ多発していることからも、万引きを「軽犯罪」や「ちょっとした悪さ」だと思い犯行に及んでしまうケースも少なくないでしょう。

しかし万引きは軽犯罪ではなく、刑法の窃盗罪として懲役刑や罰金刑を科される犯罪です。その罪の重さは知っておくべきでしょう。

本コラムでは、窃盗罪の概要や刑罰、量刑を軽くしてもらうポイントを解説します。

1、万引きや下着泥棒は軽犯罪ではなく「窃盗罪」

比較的軽微な秩序違反行為を規制する「軽犯罪法」という法律がありますが、万引きは軽犯罪法に規定がなく、刑法の窃盗罪で処罰されます。

窃盗罪は、他人の財物を窃取することで成立する犯罪です(刑法第235条)。典型的なのは万引きですが、ほかにも下着泥棒やスリ、車上荒らし、空き巣など、さまざまな形態があり、これらはすべて窃盗罪にあたります。
近年では広く知られるようになった振り込め詐欺において、「出し子」と呼ばれる、他人のキャッシュカードで預金を引き出す実行犯も、窃盗罪で処罰されます。

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2、窃盗罪の刑罰とは?

刑法第235条は「他⼈の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役または50万円以下の罰⾦に処する」としています。
窃盗罪で有罪になると、最長で10年の懲役刑という刑罰を科され、刑務所へ収監されることになります。ただしこれは法律が決めた上限ですので、窃盗事件ごとに裁判官が量刑(罰の種類、重さ)を判断します。
量刑を判断する材料はいくつもありますので、それらを総合的に鑑みて相応の罰が言い渡されます。

その中のひとつに、被害額の大きさが挙げられます。たとえば車や高級な自転車を盗んだ場合と、数百円の雑貨を盗んだ場合とでは、前者のほうが被害者へ与えた損害は大きいといえるでしょう。したがって量刑も重く傾きます。
事件の悪質性も判断材料です。1回に盗む金額は少なくても何回も繰り返している場合や、仲間と共謀して盗んだ場合などは悪質な犯行とみなされやすくなります。
ほかには、被害者に与えた精神的苦痛も量刑判断に影響します。たとえば下着泥棒の場合、被害者に財産上の損害のみならず恐怖や嫌悪感も与えていますので、量刑が重くなりやすいでしょう。

また、注意が必要なのは、犯行が悪質になれば窃盗罪としての量刑が重くなるのではなく、適用される罪名そのものが変わる可能性があるという点です。
たとえば万引きをして逃げる際、追いかけてきた店員を突き飛ばすと、窃盗ではなく事後強盗罪(刑法第238条)となり、「5年以上20年以下の懲役」を科される可能性がでてきます。その際にけがをさせれば強盗致傷罪(刑法第240条)となり、刑罰は「無期または6年以上の懲役」です。

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3、量刑が考慮されるポイントは?

窃盗が重い刑罰を受けるものだったと知れば、この先どうすればいいのだろうと不安になる方もいらっしゃるでしょう。しかし、量刑を考慮してもらうための材料はあります。

  1. (1)初犯である

    初犯の場合は再犯と比べて更生の可能性が高いため、減刑されるためのひとつの材料になります。
    初犯で被害額も少ないケースであれば、不起訴処分となり、前科がつかない可能性もあるでしょう。ただし、初犯であれば必ず不起訴や減刑となるのではなく、悪質な窃盗では重い罰を受ける可能性はあります。

  2. (2)悪質性が低い

    被害額が高額ではなく、計画性もなかった場合は悪質性が低いとみなされる可能性があります。
    本人が深く反省している場合も同様です。証拠があり犯行が明らかなのに否認してしまうと反省していないと見えますので、すぐに罪を認めることも重要です。犯行の痕跡を隠そうとしたり、逃げまわったりしているのも検察官や裁判官の心証を悪くしますので、避けるべきです。

  3. (3)示談が成立している

    被害者と示談が成立していると、被害者が加害者を許し、処罰を望まないという証明になるため、検察官や裁判官もこれを重視します。
    示談にしてもらうためには、被害者へ真摯(しんし)に謝罪をすること、被害額の弁済を行うことが大切です。精神的苦痛を与えている場合は、慰謝料も含めた示談金を支払います。
    ただ、加害者自身から直接被害者に示談を行うのは難しいケースも少なくありません。連絡先を教えて貰えないケースでは、そもそも交渉を始めることさえできません。弁護士であれば、捜査機関を通じて条件付きで被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。なるべく弁護士に依頼して、早めに示談を成立させておくべきでしょう。

  4. (4)再犯防止策を講じている

    再犯防止策を講じることも重要です。ご家族など身近な方の協力が不可欠ですので、本人を監視する体制を整える、生活態度を改めさせるなど、よく話し合って決めましょう。
    窃盗を繰り返している場合、クレプトマニア(窃盗症)と呼ばれる精神疾患も考えられます。この場合はカウンセリングやクリニックに通うことも視野に入れ、治療に向けて努力することが大切です。本人が買い物に行く際には、ご家族が同行するといった地道な対策も必要になるでしょう。

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4、弁護士ができるサポートは?

身内の方が窃盗事件を起こして逮捕されてしまったら、ご家族は速やかに弁護士へ相談するべきです。軽い犯罪だからすぐに身柄を解放されるだろうと思っていても、お伝えした通り窃盗罪は懲役刑の可能性もある犯罪ですので、適切な対処が必要です。

逮捕された本人は、捜査機関からの取り調べにどう対応するべきか分からず、誤った対応で事態を悪化させてしまうリスクもあります。
しかし少なくとも逮捕から72時間はご家族であっても面会できません。弁護士であれば、逮捕直後から面会が可能ですので、取り調べの注意点や今後の見通し、ご家族からの励ましの言葉を伝えるなどのサポートが可能です。

弁護士は、本人との面会と並行し、不起訴処分を目的とした弁護を行います。
具体的には被害者との示談交渉を進め、本人からの謝罪を伝えます。特に窃盗事件の場合は、被害者が早期に被害を回復してほしいと願っているケースが多いため、できるだけ早く交渉に臨むのは有効な手段です。
また窃盗を犯した事情にくむべき点があれば、検察官に説明し、処分への考慮を求めます。

早期釈放のためのサポートも行います。
逮捕されると起訴、不起訴の決定までに最長で23日もの間、身柄を拘束される恐れがあります。拘束が長期にわたると、会社や学校など日常生活への影響が懸念されるため、これを避けるために、できるだけ早く身柄を解放されるよう働きかけます。
弁護士は、本人がすでに罪を認めて反省しており、ご家族が監視できる状況であるなど、勾留の必要性が低いことを捜査機関に主張します。在宅捜査に切り替われば日常生活を送ることができるため、本人やご家族の負担が軽減されるなどのメリットがあります。

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5、まとめ

万引きや下着泥棒を含め、窃盗は懲役刑の可能性もある犯罪行為です。軽犯罪ではありませんので、ご家族が逮捕された状況であれば速やかに対応しなくてはなりません。量刑の判断にはさまざまな材料がありますが、事件を起こしたあとであれば示談や反省の意思を伝えることなどが非常に重要となります。
被害者との示談成立には弁護士のサポートを要しますので、ぜひベリーベスト法律事務所までご連絡ください。刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が、示談交渉から早期釈放のサポート、裁判になった場合の対応まで力を尽くします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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