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強盗殺人で家族が逮捕された際行うべきこと。盗致死との違いと罰則
強盗殺人罪は、刑法で定められた犯罪の中でも、もっとも重大な部類に属します。
強盗殺人罪で有罪となれば、死刑または無期懲役となる可能性が高く、厳罰は避けられません。もし家族が強盗殺人罪で逮捕されてしまったら、一刻も早く弁護士に相談しましょう。
本記事では、強盗殺人罪で家族が逮捕された場合の対応などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、強盗殺人事件では刑事弁護が重要
強盗殺人で有罪が確定すると、死刑を含む重い刑罰が科される可能性が非常に高いです。
無罪を主張したい、あるいは死刑を回避したいと考えるなら、直ちに弁護士へ相談しましょう。
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(1)強盗殺人事件の刑事弁護を依頼する弁護士の探し方
強盗殺人事件の刑事弁護は、被疑者が逮捕されている地域に事務所を設けており、かつ刑事弁護の経験が豊富な弁護士に依頼しましょう。
刑事弁護においては、弁護士が被疑者にアドバイスを送るため、頻繁に接見することになります。そのため、逮捕地の近くで職務を行う弁護士に依頼するとよいです。
特に強盗殺人事件では、被疑者が逃亡を続けた末に、家族が住む地域から離れた地域で逮捕されるケースがよくあります。その場合は、逮捕地の弁護士との緊密な連携が重要になります。
また強盗殺人は、有罪であれば死刑になることもある重大な犯罪です。
刑事弁護の結果によって、被告人の生死が左右されるといっても過言ではありません。
法律事務所のホームページなどで刑事弁護の実績を確認し、実際に面談で会話をしたうえで、信頼して対応を任せられる弁護士に依頼しましょう。
離れて住んでいる家族が逮捕されたら、ベリーベストへ相談を
ベリーベスト法律事務所は、全国に拠点がある大規模法律事務所です。
離れて住んでいる家族が逮捕された場合でも、オフィス間で連携して対応可能です。 -
(2)無罪を主張する場合の刑事弁護の方針
強盗殺人罪による処罰を回避するために無罪を主張する場合は、各構成要件を争って行くことになります。
たとえば以下のようなものがあります。① 真犯人が別にいることを主張する
犯行時刻において別の場所にいたことや、知人と会っていたことを示す証拠を提出するなどして、真犯人が被告人ではないことを主張します。
現行犯逮捕ではなく、かつ防犯カメラ映像などの客観的な証拠が残っていない場合などに有力となる方針です。
② 心神喪失を主張する
犯行の時点において、精神障害などが原因で善悪を判断できず、または自身の行動を制御できない状態に陥っていたことを主張します。
心神喪失が認められれば、強盗殺人を犯した場合であっても無罪となります(刑法第39条第1項)。
被告人が犯人であることが確実であり、有罪であれば厳罰が避けられない場合には、心神喪失を主張する方針が有力となります。
それ以外に、強盗の機会に行われた犯行ではなく違う罪名が成立すると争う、共犯事件において自分は殺人をするような行為にまで関与はしていないと共犯性は争うなど、事案ごとに様々な主張が考えられます。
中には、強盗ではあっても強い反撃を受けた結果、正当防衛が主張できるケースもあるでしょう。 -
(3)死刑を回避するための刑事弁護の方針
強盗殺人罪による有罪が避けられないとしても、犯罪に関する事実関係によっては、死刑相当な犯罪行為ではないという評価を得られることもあります。
自身の関与の程度、行為の経緯など、事実関係を丁寧に検討することは重要です。
また、情状酌量を求めることで死刑を回避できる可能性があります。
罪を犯したことを真摯(しんし)に反省し、かつ被害者遺族との示談を成立させるなどすれば、死刑を回避できる可能性が高まります。
また、心神耗弱(刑法第39条第2項)による刑の減軽を求めることも、死刑を回避するための弁護方針のひとつです。
この場合、心神喪失をメインで主張しつつ、予備的に心神耗弱を主張することになります。
2、強盗殺人罪(強盗致死罪)の構成要件
強盗殺人は、強盗の機会に他人を故意に死亡させる犯罪です。
それぞれ重大な罪である「強盗」と「殺人」の両方を犯した場合に成立するもので、刑法上の犯罪の中でも極めて重大な部類に位置づけられます。
強盗殺人罪(強盗致死罪)は、以下の構成要件をいずれも満たす場合に成立します。
- 強盗犯人であること
- 強盗の機会に他人を死亡させたこと
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(1)強盗犯人であること
強盗殺人罪(強盗致死罪)は、強盗をした犯人(強盗犯人)についてのみ成立する「身分犯」です。
強盗とは
強盗とは、他人の反抗を抑圧するに足る暴行または脅迫を用いて財物を強取する行為、または財産上不法の利益を得、もしくは他人に財産上不法の利益を得させる行為をいいます(刑法第236条)。
また、事後強盗罪(刑法第238条)や昏酔強盗罪(刑法第239条)を犯した者も、強盗犯人として強盗殺人罪の主体になり得ます。
- 事後強盗罪:窃盗犯人が財物の取り返しを防ぎ、逮捕を免れ、または罪跡を隠滅するために、他人の反抗を抑圧するに足る暴行・脅迫を行う犯罪
- 昏酔強盗罪:人を昏酔させて財物を盗む犯罪
なお、強盗殺人罪に未遂は存在しません。
他人が死亡しなかった場合には、強盗殺人未遂罪ではなく、強盗罪(事後強盗罪・昏酔強盗罪)または強盗致傷罪が成立します。
その一方で、強盗(財物の強取)が未遂であっても、他人が死亡した場合には、強盗殺人罪(強盗致死罪)が既遂になると解されています(最高裁昭和23年6月12日判決)。 -
(2)強盗の機会に他人を死亡させたこと
強盗殺人罪(強盗致死罪)は、強盗の機会に他人を死亡させる行為について成立します(大審院昭和6年10月29日判決)。
他人を死亡させる行為が強盗の機会に行われたかどうかは、行為の連続性や、犯人の意思の単一性などを考慮して判断されます。
なお、強盗の機会を脱した後に他人を殺害した場合には、強盗罪と殺人罪(刑法第199条)がそれぞれ成立し、併合罪(刑法第45条)として処断されます。
- ※お電話は事務員が弁護士にお取次ぎいたします。
- ※被害者からのご相談は有料となる場合があります。
3、強盗致死と強盗殺人の違いとは
強盗殺人と同じく強盗の機会に他人を死亡させる犯罪として「強盗致死」があります。
両者の違いを詳しくみていきましょう。
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(1)殺意の有無
2つの罪の決定的な違いは、殺意の有無です。
- 強盗致死:強盗致死は、強盗の故意はあったが、殺害する意図はなく人を死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。
- 強盗殺人:強盗殺人は強盗の故意があり、かつ殺意をもって人を殺害する場合に成立する犯罪です。
殺意とは、殺してやろうという意思はもちろん、相手を死亡させてしまう危険な行為であることあることを認識し、結果として相手が死んでも構わないという意思も含まれます。
強盗の手段として故意に人を殺害すれば、強盗殺人罪が成立します。
また、殺意が強盗の被害者に向けられたものではなくても、強盗殺人が成立する場合があります。
たとえば、強盗をして逃げているところ、追いかけていた警備員や目撃者を故意に殺害した場合でも、強盗殺人になりえます。 -
(2)量刑の重さ
強盗致死も強盗殺人も、どちらも、刑法第240条が定める「死刑または無期懲役」で罰せられます。
すると、いずれにしても同じ刑罰が適用されるのなら、そもそも殺意の有無を確認する必要はないのではとないかと疑問が生じるのではないでしょうか。
しかし、裁判の際に言い渡される量刑に大きな違いが生じます。
殺人の意図はなく死なせてしまった強盗致死と、意図して殺害した強盗殺人とを比較すると、強盗殺人の量刑が重くなる可能性が高いということになります。 -
(3)殺意の有無は、どのように判断される?
同じ刑罰が適用されるとはいえ、量刑に差が生じる以上、強盗致死になるのか、強盗殺人になるのかは大きな違いです。
このとき争点になる殺意の有無は内面の問題なので、本人が認めない限りは、客観的な事情から判断されます。
たとえば、- 凶器の有無
- 凶器の種類や殺傷部位
- 傷の深さ、暴行の回数
などが挙げられます。
ほかにも、- 犯行前後の行動として、強盗殺人の計画を知人らに話していた
- 暴行の直後は被害者がまだ生きていたのに救急車を呼ばなかった
といった行動点も、殺意の認定に傾く材料になります。
4、無期懲役と死刑の違い
強盗殺人や強盗致死罪の法定刑である無期懲役と死刑について、それぞれの違いや判断を分ける要素を解説します。
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(1)無期懲役と死刑
・無期懲役
無期懲役とは刑期の定めがない懲役刑のことです。
懲役とは刑事施設に拘置されて労役を課される刑罰を指し、無期懲役と有期懲役があります。
有期懲役の刑期は原則として20年以下ですが、2個以上の罪を犯して併合罪となった場合などには刑期の上限が30年になります(刑法第12条、47条)。
一方、無期懲役にはこのような定めはありません。
・死刑
死刑とは受刑者の生命を剥奪する刑です。
日本の死刑は刑法第11条で絞首刑と定められており、法務大臣の命令によって刑事施設内で執行されます。 -
(2)無期懲役は出所後も監視下におかれる
無期懲役の受刑者が仮釈放により出所した場合、更生保護法第40条の規定により保護観察を受けます。保護観察とは罪を犯した者が社会の中で更生できるよう、保護観察官や保護司が指導・支援する制度です。
無期懲役には刑期の定めがないため、生涯にわたり保護観察期間となります。
有期懲役のように期間満了で保護観察が終了することはありません。 -
(3)無期懲役と死刑の判断を分ける要素
強盗殺人罪や強盗致死罪で無期懲役と死刑のどちらが選択されるのかについて明確な基準はありません。
裁判官および裁判員は次のような点を総合的に判断して無期懲役か死刑かを決定します。- 犯行動機、計画性
- 犯行の悪質性、残虐性
- 前科前歴の有無
- 本人の反省の有無、度合い
- 被害者遺族との示談成立の有無
5、強盗殺人(強盗致死)は、必ず死刑か無期懲役になる?
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(1)酌量減軽で有期懲役になる可能性はある
強盗殺人や強盗致死罪の法定刑は無期懲役と死刑ですが、酌量減軽といって、犯罪に酌むべき事情があると、量刑判断で減刑される場合があります。
たとえば、初犯であること、被害者のご遺族と示談が成立していることなどが挙げられます。
したがって、強盗致死の法定刑は死刑または無期懲役ですが、減刑されて有期懲役になる可能性は残されています。
ただし結果の重大性からいって、減刑されてもかなりの長期になることは免れず、また無期懲役が選択される可能性も十分にあるでしょう。
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(2)強盗殺人で酌量減軽された事例
1つ具体例的事例をご紹介します。
具体的事例
共犯者と共謀して強盗目的で被害者宅に侵入し、被害者の顔面や胸を複数回殴打したことなどが原因で死亡させ、盗んだ被害者のキャッシュカードを用いて合計300万円を窃取した事案です。
なお、本件では被害者宅への住居侵入罪も扱われていますが、それは強盗致死罪の手段であるため、強盗致死罪として処理されています。
本件では、酌量減軽のうえで懲役28年が言い渡されました。
やはり死刑や無期懲役に比べると一段階軽くなっています。
判決では、被告人は金銭面で困窮していたところ、共犯者から多額の資産を有する老人宅に侵入し金品を奪う計画を持ちかけられ、- 多額の報酬を得る目的で被害者方の下見に行くなど意欲的に犯行に関与していること
- 犯行自体は被害者を縛る部隊・被害者を始末する部隊・キャッシュカードを探す部隊・現金を引き出す部隊に分かれて実行され、計画性が非常に高いものであったこと
- 老齢で体力の劣る被害者に対し腕を折るなどの激しい暴行を加えたこと
- 奪われた金額も300万円と多額であったこと
などを挙げ、被害者は1名だが相応に重い事案だと述べられています。
その一方で、被告人は- 被告人は犯行計画の詳細や実態を知らされないまま犯行におよんだこと
- ほかの共犯者よりも少ない報酬しか受け取っていないこと
- 犯行を認め、遺族に対しても謝罪し反省の態度を示していること
- 前科もなく、被告人の帰りを待つ家族もいること
などもあり、これらが考慮され無期懲役刑は重過ぎるとの量刑判断がなされています。
6、家族が強盗殺人を疑われた場合に知っておくべきこと
繰り返しになりますが、強盗殺人罪は非常に悪質な重罪です。
もし家族が強盗殺人罪で逮捕されたら、極めて深刻な状況だと理解しなければなりません。
特に、以下の各点に留意したうえで、弁護士と協力して対応を進めることが大切です。
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(1)報道で初めて事件を知るケースがある
強盗殺人のような重大な罪を犯したことは、家族にもそうそう話せることではありません。また、重大事件である強盗殺人は、事件発生直後から全国規模で大々的に報道されるケースが多くあります。
そのため、家族の立場であっても、強盗殺人の被疑者となっていることを報道で初めて知ることも珍しくありません。
家族としては、驚き・悲しみ・恐怖などさまざまな感情が湧いてくると思いますが、落ち着いて対応することが大切です。 -
(2)犯罪が証明できる限り、起訴は確実
軽微な犯罪であれば、罪を犯したことが確実であっても、検察官の判断で起訴が見送られることがあります(起訴猶予)。
しかし、強盗殺人のような重大な犯罪については、被疑者が起訴されないことはまずあり得ません。
犯罪が立証できるのであれば、反省を示そうが示談しようが、起訴されることは確実だと理解しておきましょう。 -
(3)控訴・上告によって審理が長期化しやすい
強盗殺人は、裁判員裁判の対象事件とされています。
そのため、裁判官と民間人から選任される裁判員が、共同で被告人の有罪・無罪および量刑を審理することになります。
裁判員裁判の審理は、裁判員の都合を考慮して計画的に行われるため、通常の刑事裁判と比べて大幅に長引くことはまれです。
しかし、強盗殺人は重大事件であるため、公判手続きが開始される前の段階で、準備に時間を要するケースがよくあります。
また、一審判決の結果にかかわらず、控訴・上告によって最高裁まで争われることが多いため、家族としても、刑事裁判が長期化することを覚悟しておきましょう。 -
(4)保釈請求が認められる可能性は低い
勾留されている被疑者(被告人)が起訴された後は、原則として裁判所に対する請求により、保釈という一時的な身柄の解放が認められます(刑事訴訟法第89条)。
これは「権利保釈」と呼ばれるものです。
しかし強盗殺人については、法定刑に死刑が含まれるため、権利保釈の対象外とされています(同条第1号)。
裁判所の裁量によって保釈が認められる余地はありますが(=裁量保釈、同法第90条)、強盗殺人のような重大犯罪の被告人については、裁量保釈が認められるケースはほとんどありません。
そのため裁判所に対して保釈請求をしても、認められる可能性は極めて低いと考えておきましょう。
7、強盗殺人の疑いで家族が逮捕されたら、弁護士に相談を
強盗殺人の疑いで家族が逮捕されてしまった場合には、一刻も早く弁護士に相談しましょう。
適切な刑事弁護を早期から行うことが、死刑を含む重い処罰の回避につながります。
ベリーベスト法律事務所は、刑事弁護に関するご相談を受け付けております。
強盗殺人の疑いで家族が逮捕されてしまったら、すぐにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。
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