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弁護士コラム

2020年06月02日
  • 財産事件
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横領と着服の違いとは? 会社へ発覚した時の対応と示談交渉の進め方

横領と着服の違いとは? 会社へ発覚した時の対応と示談交渉の進め方
横領と着服の違いとは? 会社へ発覚した時の対応と示談交渉の進め方

令和元年、ある会社の財務担当者が多額の会社資金を着服し、FX投資や自分の借金返済に充てるという事件が発生しました。

このように会社のお金を無断で自分のものにしてしまうのは、横領の罪に問われる行為です。その財務担当者も、業務上横領の疑いで逮捕されました。

今回の記事では、横領行為が発覚した場合にどういった罪に問われるのか、発覚後にどのような対応を取るべきなのかをわかりやすく解説します。刑罰の種類や時効に加えて、示談交渉が可能なのかということも説明しますので、お困りの方はぜひ参考にしてください。

1、横領と着服の違い

会社のお金を勝手に自分のものにする行為を「横領」といったり「着服」といったりします。この2つの言葉は似た意味を持つように思えますが、実際にはどのように使い分けられているのでしょうか。

  1. (1)着服罪という罪名はない

    「横領」と「着服」は、日本語の意味の上ではほとんど同じです。どちらの言葉も「他人の財物を無断でとり、自分のものにする行為」を意味します。
    両者の大きな違いは、「横領」という言葉が刑法にも規定された法律用語であるのに対して、「着服」という言葉は法律用語ではないという点です。「横領罪」は存在しますが、「着服罪」という犯罪はありません。

  2. (2)横領とは

    「横領」の辞書的な意味は、「他人または公共のものを不法に自分のものとすること」です。
    横領罪は「単純横領罪」「業務上横領罪」「遺失物等横領罪」という3つの種類に分けられます。このうち、刑法252条は、一般的な横領罪として幅広い事例に適応される「単純横領罪」を、次のように規定しています。


    (横領)
    第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
    2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。


    つまり、他人の所有物または保管するように命令されている所有物のうち、自分の手元にあるものを勝手に自分のものとして処分したり売却したりする行為が、横領罪に問われることになります。

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2、横領で問われる刑罰の種類と時効

「業務上横領罪」「遺失物横領罪」の2種類についても、それぞれの特徴と時効について確認しておきましょう。

  1. (1)業務上横領罪

    業務上横領罪は、刑法253条で定められている罪で、自分の管理下にある会社の財産を無断で自分のものにする行為に適用されます。法定刑は10年以下の懲役です。
    たとえば、経理担当の従業員が売り上げの一部を自分の口座に移した場合や、集金したお金を自分の財布に入れて買い物に使った場合などに該当することがあります。

  2. (2)遺失物横領罪

    遺失物横領罪は、刑法254条で規定されている罪で、落とし物のように他人の占有を離れた財物を無断で自分のものにする行為に適用されます。法定刑は1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料です。
    たとえば、道端に落ちている財布を拾い、中のお金を自分のものにした場合などが対象です。

  3. (3)横領罪の時効

    横領罪の時効については、刑事上の「公訴時効」と民事上の「損害賠償請求権の消滅時効」の両方を考えなければなりません。まず、どの横領罪にも公訴時効が設定されています。公訴時効とは、犯罪が終わったときから一定の期間が過ぎると、検察官が犯人を起訴することができなくなる制度です。
    それぞれの公訴時効は次のように定められています。


    • 単純横領罪の公訴時効:5年
    • 業務上横領罪の公訴時効:7年
    • 遺失物横領罪の公訴時効:3年


    そして、刑事上の時効である公訴時効とは別に、民事上の時効を考える必要があります。横領行為は民事上の不法行為として損害賠償請求の対象となりえますので、これにも消滅時効があるのです。消滅時効とは、一定期間行使しないことによって権利が消滅する制度をいいます。
    横領に対する損害賠償請求権の消滅時効は、「被害者が横領行為を知ってから3年」または「横領行為時から20年」のうち、どちらか早いほうのときと定められています。

    公訴時効と損害賠償請求権の消滅時効とは、互いに独立して存在しています。一方の時効が成立したからといって、もう片方の時効も成立するわけではありませんので、注意が必要です。

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3、横領が発覚した場合の対応

もしも横領行為が会社などに発覚したら、どのようなことになるのでしょうか。発覚した場合に問われる責任について説明します。

  1. (1)民事上の責任と刑事上の責任

    横領が発覚した場合に発生する責任には、民事上の責任と刑事上の責任の2種類があります。
    まず民事上の責任とは、会社など相手方に対する責任です。たとえば、相手方が民事訴訟を起こして損害賠償請求を行った場合、その損害を賠償する責任が生じます。

    被害額が多額におよぶ場合や手口が極めて巧妙である場合など、被害者側が強く処罰を望み、警察や検察に捜査を依頼することもあるでしょう。その際に問われるのが刑事上の責任です。横領罪として起訴され有罪となれば、懲役などの刑罰を受ける可能性があります。

  2. (2)返済しても終わりではない

    横領したお金を返済すれば、民事上の損害賠償責任は果たされます。しかし、これで全ての責任から解放されるわけではありません。

    横領の被害者は、損害賠償の請求とは別に、被害届や告訴状を提出することができるからです。もしも相手方が横領に関する被害届や告訴状を提出していた場合、たとえ全額を返済していたとしても、刑事責任が消えてなくなるわけではありません。まだ刑罰を受ける可能性が残っているのです。

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4、横領の示談交渉は弁護士に相談

横領に関する問題は、裁判のほかに、示談によって解決することもあります。示談での解決を目指す場合、横領が発覚したあとに、なるべく早く弁護士に相談する必要があります。それはなぜでしょうか。

  1. (1)なぜ示談交渉が必要なのか

    横領が発覚したあと、すみやかに示談交渉を行わずに放置していると、しばらくしてから突然逮捕されることもあります。

    このような事態を避けるためにも、早めに示談交渉を開始することが必要です。なぜなら返済の意思やめどを相手方に伝えることによって、刑事・民事上の責任を問われるリスクを減らすことができるからです。たとえば、すでに被害届が出されている場合でも、示談書や和解書に被害届の取り下げ条項を含めてもらえるように交渉を進めることも可能です。

  2. (2)弁護士を通して示談交渉を行う

    示談での解決を目指すなら、弁護士を通して交渉を行いましょう。会社と交渉する場合、会社側が弁護士をたてるケースが多いため、一般の方がひとりで対応するのは難しくなります。しかし、法律知識や交渉経験の豊富な弁護士に交渉を任せることで、スムーズに示談が成立する可能性が高まります。

    また横領事件では、会社から横領したお金をすでに使ってしまって一括で返済できないなど、相手方と交渉するのにいっそう不利な状況になっているケースも珍しくありません。このようなケースでも弁護士に交渉を依頼すれば、分割支払いが可能になることもあります。

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5、まとめ

「横領」と「着服」は、どちらも「他人の財産を無断で自分のものにする」行為です。横領行為が会社に発覚した場合、懲戒解雇などの処分が下されることにより、ご自分やご家族の生活に大きく影響を与えてしまう可能性があります。

もしも横領行為をしてしまった場合には、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。示談による解決を含め、状況に応じた適切な対応をサポートします。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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