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弁護士コラム

2020年06月03日
  • 財産事件
  • 脱税
  • 罰則

脱税が発覚した場合の罰則とは? 発覚するタイミングについても紹介

脱税が発覚した場合の罰則とは? 発覚するタイミングについても紹介
脱税が発覚した場合の罰則とは? 発覚するタイミングについても紹介

ニュースなどで著名人の脱税が取り上げられるなど、脱税事件はよく耳にする出来事です。

しかし、脱税とひとくちにいっても、巨額な脱税事件から個人の申告漏れまでさまざまなケースがあります。どこからが犯罪になるのか、脱税で逮捕されるのはどんなきっかけなのかなど、分からない方も多いのではないでしょうか。脱税で逮捕されたり起訴されたりするケースでは、どのような罰則が科されるのかも知っておきたいところです。

ここでは、脱税とはどのような行為を指しどのように発覚するものなのか、脱税行為とされた場合はどんな刑罰の対象になるのかなどについてご紹介します。

1、脱税とは何か?

脱税とは所得税法や法人税法などで定められた納税を免れる行為です。納税義務者が税金の支払いをしないことは犯罪になります(所得税法第238条、法人税法第159条、消費税法第64条)。 脱税事件には、不正行為をし脱税するケースと、不正行為をせずとも脱税とみなされるの2つのケースがあります。

  1. (1)不正行為をして脱税するケース

    脱税事件で一般的なのが、「虚偽過少申告ほ脱犯」や「虚偽無申告ほ脱犯」などと呼ばれる不正行為による脱税です。
    具体的には、以下のような所得を秘匿する工作が不正行為にあたります。


    • 売り上げを除外する
    • 経費を架空計上する
    • 原価を水増しする
    • 二重帳簿を作成する


    納税を免れたり、還付金を受けとったりするための工作が認められると、脱税(ほ脱)犯が成立し、厳しく処罰されます。

  2. (2)不正行為が行わずとも脱税とみなされるケース

    不正行為が行わなくても脱税とみなされる場合があります。たとえば、納税の申告書を提出しないことは、無申告によって脱税しているとみなされるのです。これを「無申告ほ脱犯」と呼ばれます。所得を秘匿する工作がなくても、意図的に税を免れるために申告しない場合に成立します。

    無申告については、不正行為ではないことを理由に脱税犯として処罰できないことが問題視され、平成23年の税制改正によって、無申告ほ脱犯として処罰されることになりました。故意の申告書不提出によるほ脱犯とも呼ばれます。たとえばFX取引において多額の利益を得ているのに申告しないケースが該当します。

    ほかに、単純無申告犯があります。所得を秘匿する工作も税を免れる意図もないが、正当な理由なく提出期限までに申告書を提出しない場合です。単に忘れていた、期限を勘違いしていたなどが理由として挙げられますが、申告は納税者の義務ですから、それを怠っただけで刑罰の対象になるのです。

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2、脱税の罰則

不正行為があったかどうかにかかわらず、脱税が成立すると刑罰を科されます。その重さは、不正行為の有無や種類、悪質さに応じて異なり、法律で定められています。

  1. (1)脱税した場合の罰則(刑罰について)

    偽りその他不正の行為によって納税を免れたり、還付を受けたりした場合、脱税(ほ脱)犯が成立し、所得税法238条や法人税法159条により「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれを併科」に処されます。
    一方、不正行為がなくても意図的に提出期限までに申告書を提出せず納税を免れた場合は、無申告脱犯となり、刑罰は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金またはこれを併科」です。
    さらに、正当な理由もなく提出期限までに確定申告書を提出しなかった場合でも、単純無申告犯として「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」を科されます。

  2. (2)6種類の行政処分

    脱税の罪に問われると、刑罰のほかに国税通則法による行政処分の対象にもなります。本来納めるべき税金や追徴税にプラスして課される附帯税は、以下の6種類です。


    • 過少申告加算税……期限内に申告をしたが過少申告だった
    • 無申告加算税……期限内に申告をしなかった
    • 不納付加算税……期限内に源泉所得税を納付しなかった
    • 重加算税……意図的な仮装や隠匿行為によって無申告、または過少申告をおこなった
    • 延滞税……納付期限を過ぎた場合の延滞金
    • 利子税……分割納税を認められた場合の延納分に課税される


    これらはタイミングによって税率が変動します。時間がたつほどに税率も上がりますので、できるだけ早いタイミングで、自己申告によって納めることが負担を軽減することにつながります。

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3、脱税が発覚するタイミング

脱税が犯罪として成立するまでには、税務署などによる任意の税務調査や、脱税の嫌疑者への強制調査がおこなわれます(国税通則法74条の2以下)。

  1. (1)税務調査(任意によるもの)

    脱税は多くの場合、税務調査によって発覚します。納税の申告漏れや脱税を防ぐため、税務署をはじめとした国税庁の管轄組織は、違法性の高そうな納税者をターゲットに税務調査をおこなっているからです。
    一般的に税務調査で脱税が発覚するケースは以下のようなものです。


    • 雑談や会社にあるものから脱税の証拠が発覚するケース
    • 裏帳簿の存在が発覚するケース
    • 取引先への反面調査で見つかった関係資料から芋づる式に発覚するケース
    • 隠し資産が発覚するケース
    • 家や高級車などの購入事実から発覚するケース


    任意調査は、納税義務者の同意のもとでおこなわれるものですが、質問に答えないなど非協力的な場合には刑罰が科せられることがあります。その結果、悪質な脱税をした疑いが濃くなると、より厳しい強制調査がおこなわれる場合があります。

  2. (2)強制調査

    強制調査は、裁判所が発行する許可状をもって嫌疑者を強制的に調査することです。犯罪性が高く、事前の調査において多額の脱税が疑われているケースでおこなわれます。調査される側は拒否することができません。
    嫌疑者を対象とする調査ですから、調査によって国税局が犯罪性を認め、刑事事件として扱われる可能性は非常に高いでしょう。国税局が検察官に告発すると、脱税で逮捕されたのち起訴されることにもなります。

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4、早期に弁護士へ相談を

脱税で疑われたら、できるだけ早い段階で弁護士に相談しましょう。時間がたってしまった結果、逮捕されたり、重い罰を科せられたりする可能性があるからです。

  1. (1)脱税事件で逮捕されれば勾留がつく可能性が高い

    国税局から検察官に告発された場合、逮捕される可能性が非常に高くなります。また逮捕されると、悪質性が高く世間への影響が大きい脱税事件の場合、最大25日間、留置所で身体拘束できる勾留がつく可能性が高いのです。

    逮捕後にあわてないためにも、脱税で疑われたらできるだけ早くに弁護士をつけることをおすすめします。逮捕される前に弁護士が対応することで、逮捕を免れる可能性もでてきます。

  2. (2)税務や供述に対するアドバイスを受けられる

    逮捕された場合には少なくとも72時間は家族とも面会できませんが、弁護士であれば制限なく面会できます。弁護士を介して逮捕後の状況や捜査の進捗(しんちょく)状況を知ることで不安が払拭(ふっしょく)されるでしょう。

    弁護士のいないまま不安を抱えて供述した内容が自分に不利な証拠になることもるため、逮捕後どう対応したらよいのかは弁護士に聞くのがベストです。税務に関連する知識についても、脱税事件に詳しい弁護士なら適切なアドバイスが受けられます。

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5、まとめ

脱税は税金を意図的に支払わない犯罪行為です。安易におこなった税務処理が脱税行為ととらえられることもあるため、私たちの身近な問題でもあります。万一、税務署から連絡がきた場合は、取り返しがつかなくなる前に弁護士に相談し、早めに対応するようにしましょう。
脱税問題についてお悩みの場合は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
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