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弁護士コラム

2020年06月27日
  • 財産事件
  • 通貨偽造
  • 時効

通貨偽造の時効はどれくらい? 刑罰についても解説

通貨偽造の時効はどれくらい? 刑罰についても解説
通貨偽造の時効はどれくらい? 刑罰についても解説

平成30年12月に大阪府や奈良県内で偽造通貨を使用した男女3人が逮捕された事件について、翌年2月にはそのなかの男ひとりが1万円札を偽造した通貨偽造容疑で再逮捕されました。男は自宅のインクジェットプリンターを使って通貨を偽造したとみられています。

通貨偽造罪は軽い気持ちで犯してしまう人がいる犯罪ですが、大変な重罪です。公訴時効も長期におよぶため、何年も前の偽造であっても逮捕・起訴され、有罪判決を受ける可能性があります。

本記事では、通貨偽造罪の概要や時効、刑罰の内容などに触れながら、偽札と知らずに使用した場合や偽札を受け取ってしまった場合にどうなるのかなどの疑問についても説明します。

1、通貨偽造罪とは

通貨偽造罪とは、行使する目的で通用する貨幣、紙幣または銀行券を偽造し、または変造する犯罪です(刑法第148条1項)。

「偽造」とは、一般の人が本物のお金と誤認するほどに精巧な見た目の通貨を作ることです。工場にある機械を使って鋳造する、カラーコピー機を使って1万円札を両面印刷するなどの行為が該当します。
「変造」とは本物の通貨を加工して、本物の通貨に似た見た目の通貨を作ることです。銀行券の番号を変える、1枚の紙幣を表と裏にはがして複数枚にしたうえで貼り合わせ、折りたたまれた紙幣に見せるなどの行為が該当します。

偽造通貨は映画やドラマの中での話であり、実際にある身近な事件とは感じられない方が多いかもしれません。
以下は近年の偽造通貨の発見枚数を示した警察庁のデータを抜粋したものです。

  • 平成29年……偽造銀行券839枚、500円貨幣530枚
  • 平成30年……偽造銀行券1698枚、500円貨幣535枚
  • 平成31年1月~令和元年12月……偽造銀行券2887枚、500円貨幣306枚


この数字をみて「想像以上に多く発見されている」と感じた方もいるのではないでしょうか。偽造通貨は決して映画やドラマの世界だけの話ではないのです。

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2、通貨偽造罪の時効と刑罰

通貨偽造罪および関連する犯罪の時効と刑罰を確認しましょう。

  1. (1)通貨偽造罪の公訴時効

    犯罪行為が終わってから一定期間が経過すると検察官が起訴できなくなる制度を「公訴時効」といいます。
    公訴時効は刑事訴訟法第250条において、「人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑にあたる犯罪」と「それ以外の犯罪」にわけたうえで、犯罪の法定刑ごとに期間が定められています。人を死亡させ、死刑にあたる罪には公訴時効がありません。

    通貨偽造罪の公訴時効は15年です。つまり通貨を偽造してから15年が経過すると起訴されないことになりますが、公訴時効は停止する場合があります。国外にいる場合や逃げ隠れしているために起訴状の送達ができない場合、共犯者が起訴された場合などです(刑事訴訟法第254条、255条)。

    また刑法で「通貨偽造の罪」と規定されている、ほかの犯罪の公訴時効は次のとおりです。


    • 偽造通貨行使等罪(第148条2項):15年
    • 外国通貨偽造および行使等(第149条):10年
    • 偽造通貨等収得(第150条):3年
    • 収得後知情行使等(第152条):3年
    • 通貨偽造等準備(第153条):5年
  2. (2)通貨偽造罪の刑罰

    通貨偽造罪の刑罰は「無期懲役または3年以上の有期懲役」です。罰金刑などの定めはないため有罪になれば必ず懲役刑が適用され、その期間も最長で無期懲役という非常に重い刑罰です
    最長で無期懲役が規定されている犯罪としては、強制わいせつ等致死傷罪(第181条)、身の代金目的略取等罪(第225条の2)、強盗致傷罪(第240条)などがあります。

    通貨偽造罪の刑罰がこれほど重いのは、本物のお金と間違うほどに精巧に作られた通貨は広く流通しやすく、社会を混乱におとしめる可能性が非常に高いものだからです
    一見すると本物と見分けがつかないような偽造通貨が出回ってしまうと市民は偽物をつかまされたのではないかと不安になり、通貨を使う活動をためらうようになるでしょう。これでは経済の流れが滞ってしまい、社会への影響が極めて高くなるため重く処罰されるのです。

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3、通貨偽造罪成立の要件とは?

通貨偽造罪が成立するには、現在の法律でお金として使うことができる通貨を、行使の目的で偽造・変造する必要があります。「行使の目的」とは本物の通貨として流通させたり、他人に流通させたりする目的を指します。本物の通貨として流通させるつもりが全くない場合には行使の目的があるとはいえないため、通貨偽造罪は成立しません。
もっとも、偽造通貨を作っておいて行使の目的が全くないという言い分は通用しない可能性が高いでしょう

  1. (1)偽札を使うことは罪になるのか

    偽札を使うことも犯罪です。刑法第148条2項では、偽造・変造した貨幣、紙幣、銀行券を行使し、または行使の目的で人に交付し、もしくは輸入した者も、通貨偽造罪と同様に罰すると定められています。

    偽造通貨行使等罪といい、次のような行為が該当します。


    • 店舗や自動販売機での支払いに使う
    • 本物の通貨と両替してもらう
    • 人にあげる
    • 海外から輸入する


    ただし偽造通貨行使等罪が成立するには、偽造・変造された通貨を「偽物だとわかったうえ」で使ったり渡したりする必要があります

  2. (2)偽札と知らずに使用した場合

    偽札と知らずに使ってしまった場合は行使する目的がないため罪になりません
    買い物などでお釣りを受け取ったとき、わざわざ本物か偽物かを確認する人は少ないでしょうから、知らないうちに偽物を受け取り、疑いもせず使ってしまう可能性は否定できません。この場合は罪に問われないわけです。

    しかし、はじめは本物だと思っていたが後で偽物だとわかり、その上で使ってしまうと刑法第152条の収得後知情行使等罪が成立します。刑罰は「使った偽札の額面価格の3倍以下の罰金または科料」です。ただし、その額は2000円以下にはなりません。

  3. (3)「お札っぽい」製品を作っても罪にならない?

    おもちゃ屋などに販売されている「子ども銀行券」なるものは、裏面が白紙で本物の紙幣よりもサイズが小さく、透かしの部分に子ども銀行券と印字されているため、誰がみても偽物だとわかります。このような「お札っぽい」製品に違法性はないため、作成しても罪には問われません。

    一方で、子ども銀行券を本物の紙幣と同じサイズに拡大して両面印刷した場合には、子ども銀行券そのものよりも紛らわしくなります。この場合でも一般の人が通常の注意力をもってすればすぐに偽物だとわかるため「偽造」のレベルには達しておらず、通貨偽造罪の適用は受けません
    しかし「模造」のレベルに達しているとみなされると、通貨及び証券模造取締法違反などが成立する可能性があります。

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4、もし偽札を見つけてしまったら?

受け取ったお金が偽札だったら、すぐに警察に届けましょう。

偽札を銀行などに行って本物の通貨と交換してもらうことはできませんしかし、警察に届けた場合には捜査協力に対する謝礼金を受け取ることができます(偽造通貨発見届け出者に対する協力謝金制度)。具体的な金額は定められていませんが、届けた偽札の額面と同額程度という運用になっています。
警察からいつどこで受け取ったなど詳しい事情を聴かれるでしょうが、捜査協力は偽造通貨の流通を防ぐことにつながる意義のある行為ですので、素直に応じましょう。

偽札だとわかっていながら使用する、人にあげるなどすれば、収得後知情行使等罪に問われる可能性があります。額面の3倍以下という罰金や科料を支払わなければならず、犯罪なので前科もつきます。偽札ということが判明したら、必ず届けることが賢明です。

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5、通貨偽造で逮捕されたら弁護士に相談すべき理由

偽札と知らずに使用して逮捕されてしまった場合はすぐに弁護士へ相談しましょう。

偽造通貨だと知らなかったのですから故意がなく犯罪は成立しません。しかし、最終的には不起訴になったとしても、逮捕は身柄拘束をともなう手続きであり、取り調べのために2~3日は身柄を留置場におかれ、外部との連絡を取ることができません。さらに勾留が決定すれば最長で20日もの長い期間、会社や学校に通うことができず、解雇などの不利益を被るおそれがあります。速やかに弁護士を依頼して取り調べのアドバイスや勾留阻止に向けた活動をしてもらい、不利益を回避しましょう。

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6、まとめ

通貨偽造罪は場合によっては無期懲役が科せられる重大犯罪です。公訴時効も15年と長期が定められています。近年はコピー機などの性能が非常に高いため「バレないだろう」と安易に手をだしてしまいがちですが、日本の通貨は偽造を防ぐためにさまざまな特殊技術が用いられおり、発覚を免れるのは困難です。逮捕された場合には有罪となり懲役刑の実刑を受ける可能性がありますので、早急に弁護士へ相談するべきでしょう。
刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所が力を尽くしますので、まずはご連絡ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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