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窃盗罪とは? 刑罰や逮捕後の流れを解説~初犯と再犯で違いはある?
窃盗罪とは、他人の財物を自分の物にするために盗み取る犯罪です。平成18年の刑法改正により刑罰に罰金刑が加えられたことで、万引きなどの軽微な窃盗事件でも、罰金刑となれば前科が付くおそれがあります。
今回は、窃盗罪をテーマに、刑罰の内容や逮捕された後の流れ、どのような行為が窃盗罪にあたるのかについて解説します。あわせて、不起訴処分の獲得や実刑判決の回避のためにはどうすればよいのかについても確認しましょう。
1、窃盗罪とは?
窃盗罪が成立する要件と、刑罰の内容について説明します。
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(1)窃盗罪の構成要件
窃盗罪は、他人の財産的価値のある物を、その人の意思に反して自分の物とする犯罪です(刑法第235条)。
窃盗罪の構成要件は、次の3つです。● 他人の占有する財物であること
財物とは、基本的には有体物を指すとされています。現金や宝石などの形ある有体物のほか、気体や液体も含まれます。なお、電気については、刑法第245条により特別に「財物とみなす」と規定されています。
占有とは、財物を事実上支配している状態のことです。なお、自分の財物であっても、他人に貸した財物や預けている財物などは他人の占有する財物とみなされます(刑法第242条)。
● 不法領得の意思があること
不法領得の意思とは、権利者を排除して、他人の財物を自分の物として自由に使ったり、処分したりする意思があることです。
自分の物であると勘違いして持って行った、一時的に使って返すつもりだったといった場合には、不法領得の意思がないため窃盗罪が成立しない可能性があります。
● 窃取の事実があること
窃取とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させることをいいます。窃取の本来の意味は『こっそり盗み取る』ですが、ひったくりなど強引に財物を奪い去る行為も、これに含まれます。 -
(2)窃盗罪の刑罰とは?
窃盗罪の刑罰は、刑法第235条において『10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する』と定められています。
平成18年の刑法改正によって罰金刑が加えられたため、万引きといった軽微な窃盗事件でも前科が付くおそれがあります。 -
(3)窃盗罪の時効年数
時効には、刑事事件の時効と民事事件の時効があります。
刑事事件の時効とは、一定の期間が経過することで検察官が起訴できなくなる公訴時効のことを指すのが一般的です。窃盗罪の公訴時効は7年です(刑事訴訟法250条2項4号)。
一方、窃盗によって生じた損害について、損害賠償請求をされたような場合は、民事事件となります。民事事件の時効は民法第724条で定められている「損害賠償請求権の消滅時効」のことを指します。
被害者または法定代理人が損害および加害者を知った日から3年、または、犯人が特定できない場合には、犯罪行為から20年で消滅時効が成立します。 -
(4)初犯の場合は?
初犯であり、被害額が小さく窃盗行為に悪質性がないなどの事情が加われば、不起訴となる可能性もあるでしょう。また、懲役刑を言い渡されても執行猶予が付くといった可能性もありえます。
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(5)未遂の場合でも罰せられる?
窃盗罪は、未遂の場合でも罰せられます。
未遂は、自分の意思で窃盗行為を止めた場合(中止未遂)と、警備員に見つかるなどの外的要因によって窃盗行為を中断した場合(障害未遂)に分けられます。
中止未遂であると認められれば、刑は減軽または免除されます(刑法第43条)。一方で、障害未遂の場合は、自分の意思ではなく単純に犯行が成功しなかっただけなので、基本的には既遂と同様の刑罰に処されます。
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2、窃盗罪で逮捕された後の流れ
窃盗罪で逮捕された場合、裁判まではどのように進むのでしょうか。流れを確認していきましょう。
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(1)逮捕
逮捕は、現行犯逮捕と通常逮捕、緊急逮捕の3つに分類されますが、窃盗罪で逮捕される場合は、通常逮捕または現行犯逮捕が多いと考えられます。
では、通常逮捕と現行犯逮捕では、どのような違いがあるのかを確認していきましょう。● 通常逮捕
通常逮捕は、被疑者に逮捕状を示して身柄を拘束することで、後日逮捕ともいいます。
通常逮捕は、捜査によって被疑者と特定された場合に行われます。ただし、軽微な窃盗事件であり、証拠隠滅や逃亡のおそれがなく逮捕の必要性が認められない場合には、逮捕はされず在宅事件となる可能性もあります。
● 現行犯逮捕
現行犯逮捕は、窃盗中や窃盗直後、盗品を所持して逃げているときになどに身柄を拘束されることです。
刑事訴訟法213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と定めており、警察官や検察官だけでなく、被害者や目撃者、店員、警備員などの私人でも逮捕することができます。
逮捕されると、身柄を拘束されたうえで警察官の取り調べを受けます。警察は48時間以内に、被疑者を検察官に送致するか、微罪処分として釈放するかを決定します。
微罪処分で釈放された場合、事件は終了となるため、それ以上の捜査は行われません。 -
(2)送致・勾留
送致とは、事件を警察から検察官に引き渡すことです。ニュースなどでは送検と表現されることもあります。
検察官は送致後24時間以内(逮捕から72時間以内)に、勾留請求をするかを判断します。
被疑者の身柄を拘束して、引き続き取り調べをする必要があると判断した場合は、裁判官に勾留請求を行います。
勾留請求が認められると10日間勾留されることになりますが、延長が認められると、さらに10日間、つまり最大で20日間にわたり勾留されることになります。
勾留の必要がないと判断された場合や勾留請求が認められなかった場合は釈放され、起訴・不起訴が決まるまで在宅事件として扱われます。 -
(3)起訴・不起訴
検察官は、勾留期限までに起訴・不起訴を判断します。
起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事事件の審判を求める意思表示です。
一方、検察官が起訴をしないと決定した処分を不起訴といいます。不起訴処分に付するとき区分は20種類ありますが、主要となるのは次の4つです(事件事務規定75条2項)。- 罪とならず
- 嫌疑なし
- 嫌疑不十分
- 起訴猶予
このうち起訴猶予は、犯人の性格、年齢および境遇、犯罪の軽重および情状ならびに犯罪後の状況により訴追を必要としないときに認められます。
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(4)略式裁判
略式裁判とは、公開の正式裁判を行わずに、検察官が提出した書類のみに基づいて審理する裁判手続です。簡易裁判所の管轄に属する(事案が明白で簡易な事件)100万円以下の罰金・科料に相当する事件で、被疑者が同意している場合に対象となります。
簡易裁判所は、検察官の提出書類を検討したうえで、罰金の支払いを命じる略式命令を被告人に発令します。略式命令であっても罰金刑であることに変わりはないため、前科が付くことになります。
窃盗事件では、被疑者が容疑を認めている場合や被害額が小さい事件の場合などは略式裁判となる可能性があります。一方、容疑を否認している場合や被害額が大きく悪質な事件の場合は、起訴され公開の法廷で審理されることになります。
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3、窃盗罪が成立する行為
窃盗罪は、具体的にはどのような行為で成立するのでしょうか。
窃盗にはさまざまな手口がありますが、大きくは『侵入窃盗』『乗り物盗』『非侵入盗』の3つに分類されます。
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(1)侵入窃盗
侵入窃盗とは、住居などへの不法な侵入を伴う窃盗です。侵入窃盗には、次のような手口があります。
● 空き巣
家人の留守中に侵入して、金品などを盗む行為です。夜間に家人が就寝中に侵入して金品などを盗む行為は忍び込み、昼間に家人の在宅中に隙を見計らって金品などを盗む行為は居空きといいます。
● 出店(でみせ)荒らし
閉店中の店舗に侵入して、金品などを盗む行為です。その他、事務所荒らし、病院荒らし、金庫破り、ATM破りなどの手口があります。 -
(2)乗り物盗
乗り物盗は、自動車やオートバイ、自転車などの乗り物を盗む行為です。
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(3)非侵入窃盗
非侵入窃盗とは、住居などへの不法な侵入を伴わない窃盗です。非侵入窃盗には次のような手口があります。
● 万引き
スーパーやコンビニなど店舗の陳列棚から商品を盗む行為です。万引きを軽く捉える人も多いですが、窃盗罪に該当する犯罪行為であり、実刑判決が下されることもあり得ます。
● 車上荒らし(車上ねらい)
駐車中の自動車やトラックから金品や積み荷などを盗んだり、駐輪中の自転車カゴから荷物などを盗んだりする行為です。ナンバープレートやタイヤなど、自動車などに取り付けられている部品やパーツを盗む行為は部品ねらいといいます。
● 置き引き
ベンチなどに置いてある荷物などを、所有者が目を離した隙に盗む行為を置き引きといいます。
ただし、所有者が置き忘れた財布などを盗んだケースでは、窃盗罪ではなく占有離脱物横領罪が問題になると考えられます。窃盗罪か占有離脱物横領罪のどちらに問われるかは、事件の様態によって判断されます。
● ひったくり
歩行者が持っている財布やバッグ、自転車カゴの荷物などを、通りすがりや追い越しざまに奪い取って逃げる行為です。奪い取る際に被害者を引きずったり、殴るなどの暴行を加えたりした場合には、強盗罪(刑法第236条)や強盗致死傷(刑法第240条)に問われる可能性があります。
● 払出盗
不正に取得、または不正に作成したキャッシュカードなどを使用して、ATMから現金を引き出す行為です。
● 色情ねらい(下着泥棒)
他人の家に干してある下着や衣類などを盗む行為です。
● パチンコ店でのゴト行為
パチンコ店で、不正な方法によって出玉を獲得する行為です。ゴト行為は、不正な目的での入店であり、店舗管理者の意思に反する立ち入りなので、建造物侵入罪(刑法130条)にも問われるおそれがあります。
● 電気窃盗(盗電)
施設管理者の許可がないのに勝手にスマートフォンの充電をしたり、共同住宅の共用コンセントを使用してテレビを見たりする行為のことです。電気は有体物ではありませんが、刑法第245条は、窃盗および強盗罪においては、「電気は財物とみなす」と定めているので、罪に問われる可能性がある行為です。
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4、刑罰を軽くするためにはどうしたらよい?
窃盗事件を起こし逮捕されてしまった場合に、不起訴処分や執行猶予付き判決、刑の減軽を目指すためには、どうすればいいのでしょうか。
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(1)捜査に協力する
反省の意思が認められれば、不起訴処分が下される可能性や、起訴されたとしても略式裁判による罰金刑で済まされる可能性があります。
まずは、素直に罪を認めて捜査に積極的に協力する、反省文を提出するなど、真摯(しんし)に反省していることを示すことが大切です。 -
(2)示談を成立させる
被害者との示談成立は、被害者が加害者を許し、処罰感情がないとみなさるため、起訴・不起訴や量刑が判断される際に有利に働きます。
被害額が小さな事件や悪質性が高くない事件の場合、示談が成立すれば不起訴処分となる可能性があるでしょう。また、実刑判決が免れないような状況の場合も、示談が成立していれば刑の軽減が期待できます。 -
(3)身元引受人を確保する
家族や身内、勤務先の上司など、釈放後の身元引受人を確保することも有効です。
身元引受人がいることで、証拠隠滅や逃亡のおそれがないとして、早期に身柄が解放される可能性があります。
また、裁判になった場合は、情状証人として出廷してもらい、身元引受人として継続的にサポートすることなどを証言してもらえれば、執行猶予付き判決や減軽にも期待できるでしょう。
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5、窃盗罪で逮捕されてしまったら弁護士へ相談を
窃盗罪で逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談しましょう。弁護士は、早期の身柄解放や不起訴処分の獲得、減軽のために、弁護活動を行うことができます。
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(1)接見
逮捕後72時間の間に、被疑者と接見できるのは弁護士のみです。弁護士が早期に被疑者と接見して取り調べに対するアドバイスを与えることで、不利な供述調書が作成されるのを防ぎます。
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(2)示談交渉
弁護士が被害者感情に配慮しつつ、適正な示談金額を提示することで、スムーズな示談成立が期待できます。早期に示談が成立していれば、勾留の回避や不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
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(3)勾留阻止・不起訴処分の獲得
送致された場合は、勾留の阻止および不起訴処分の獲得に向けて弁護活動を行います。具体的には、弁護士の意見書や被疑者本人の反省文、身元引受人の誓約書、示談書などを提出し、勾留や起訴をする必要性がないことを主張・立証します。
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(4)実刑の回避
刑事裁判となった場合には、実刑の回避や刑の減軽のために活動します。陳述書の提出や尋問に対するアドバイスを与えるなど、最後まで力を尽くします。
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6、まとめ
本コラムでは、窃盗罪の概要や逮捕後の流れ、刑罰を軽くするために何をするべきかについて解説しました。
窃盗事件を起こしてしまった、家族が逮捕されてしまったなどの状況下にいる方は、すみやかにベリーベスト法律事務所までご連絡ください。
刑事事件は、初動がその後の流れを左右するといっても過言ではありません。刑事事件の実績豊富な弁護士が早期の身柄解放や不起訴処分の獲得、実刑回避に向けて全力でサポートします。ぜひ、ご相談ください。
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