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弁護士コラム

2022年04月18日
  • 財産事件
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窃盗罪の実刑判決に不服。 控訴するにはどうしたらいい?

窃盗罪の実刑判決に不服。 控訴するにはどうしたらいい?
窃盗罪の実刑判決に不服。 控訴するにはどうしたらいい?

わが国でもっとも多く発生している犯罪が「窃盗罪」ということをご存じでしょうか。

令和3年版の犯罪白書によると、令和2年中に全国で認知された刑法犯の件数は61万4231件でしたが、窃盗事件の認知件数は41万7291件で、全刑法犯の67.9%を占めています。

窃盗罪の容疑をかけられると、刑務所に収監される実刑判決を言い渡されることがありますが、判決に不服がある際は「控訴」することも可能です。本コラムでは、窃盗罪で有罪判決を言い渡されたときに下される刑罰の内容に触れたうえで、窃盗事件における「控訴」の効果や流れなどを解説します。

1、窃盗罪の罰則内容

控訴を検討するにあたり、まずは「窃盗罪」の罰則内容を改めて確認しておきましょう。

窃盗罪は刑法第235条に規定されている犯罪です。条文では他人の財物を窃取したものを罰する旨が明記されているとおり『盗む』という行為が処罰の対象になります。

  1. (1)窃盗罪にあたる行為

    窃盗罪の条文に示されている「窃取」とは、本来は『ひそかに盗む』という意味をもっています。
    店員のすきをみて商品を盗む『万引き』や留守宅に侵入して金品を盗む『空き巣』、持ち主が置き忘れた金品を盗む『置き引き』、駐輪中の自転車やバイクを盗む『自転車盗』や『オートバイ盗』は、窃盗罪にあたる典型的な行為です。

    一方で、ひそかに盗むという本来の意味とは異なるものの、手荷物を奪い取る『ひったくり』も窃盗の手口のひとつと考えられます。

    また、窃盗の対象となる財物は基本的には有体物を指すとされています。現金や宝石などの形ある有体物のほか、気体や液体も含まれます。なお、電気については、刑法第245条により特別に「財物とみなす」と規定されており、他人の住居から無断で電気を盗む行為も窃盗罪によって処罰されます。

  2. (2)未遂でも処罰される

    窃盗罪は未遂でも処罰されます。
    商品を盗もうとしたところ店員に発見された、留守宅に侵入して物色していたところ家人が帰ってきたなどの理由で目的を達成できなかった場合は「障害未遂」です。障害未遂の場合は、単に犯行が成功しなかっただけなので、既遂と同じように処罰されます。

    なお、自ら思いとどまって窃盗をやめた場合も刑法の考え方としては未遂に含まれますが、刑法第43条後段の規定によって、刑が減軽・免除されます。このような未遂を「中止未遂」と言います。

  3. (3)窃盗罪の刑罰

    窃盗罪の罰則は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。多額の被害が発生している、窃盗罪の前科があるといったケースでは、裁判官は厳しい量刑を下す可能性があります。

    量刑は逮捕の有無に関係なく判断されるので、たとえば逮捕されず任意の在宅事件として処理された場合でも、裁判官の判断によって実刑判決を受けることがあります。

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2、控訴とは

窃盗の容疑をかけられて所定の刑事手続きが進むと、刑事裁判が開かれます。1回目の刑事裁判で有罪となり、執行猶予もつかない「実刑判決」が言い渡されると、刑務所に収監されて服役しなくてはなりません。

ただし、わが国の司法制度では、1回目の裁判結果に対する不服申立制度として「控訴」が用意されています。

  1. (1)控訴の概要

    日本国憲法は、すべての刑事事件における被告人に公平な裁判を受ける権利を保障し、正しい手続きを経ない限り、刑罰を科せられることはないと定めています。そして、刑罰を決する刑事裁判においては、誰もが3回の裁判を受ける権利が約束されています。これが「三審制」と呼ばれる制度です。

    控訴とは、三審制の2回目にあたる部分の手続きで、第一審裁判所の判決に不服がある場合に、さらに上級の裁判所での審理・判決を求めることを意味します。刑事事件における第一審は地方裁判所か簡易裁判所が担当しますが、控訴を担当するのは高等裁判所です。

    なお、三審制の3回目にあたる部分の手続きは「上告」と言います。
    上告を担当するのは、わが国の司法機関の頂点である最高裁判所で、最高裁判所が下した判断は原則として覆りません。

  2. (2)控訴には理由が必要

    控訴は、刑事事件の被告人に広く認められた権利です。ただし、控訴の申し立てには理由が必要で、法定の控訴理由に該当しない場合は控訴できません。

    法定の控訴理由は、刑事訴訟法に明記されています。

    まず、訴訟手続に重大な法令違反があった場合(たとえば、裁判所の管轄違いなど)は、必ず控訴が認められなければなりません(刑事訴訟法第377条、378条)。これを「絶対的控訴理由」と言います。ただし、裁判所が手続きにおいて重大なミスをするおそれは低いため、適用されるケースは極めて限定的と考えられます。

    訴訟手続に法令違反があったものの、絶対的控訴理由にはあたらない場合は、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に限って控訴が認められます(刑事訴訟法第379条)。これを「相対的控訴理由」と言います。

    また、刑事訴訟法で定められている次の要件に該当する場合も、控訴が認められます。

    ● 法令の適用に誤りがある(刑事訴訟法第380条)
    第一審の判決に、法律の解釈・適用の誤りがあり、明らかに判決に影響を及ぼす場合

    ● 量刑が不当(刑事訴訟法第381条)
    第一審で言い渡された量刑が不当に重い、あるいは不当に軽い場合

    ● 事実認定に誤りがある(刑事訴訟法第382条)
    第一審が誤った事実認定によって判決を下している場合

    ● 再審事由がある、刑が廃止された(刑事訴訟法第383条)
    採用された証拠や証言に虚偽があった場合や新たな証拠が発見された場合など
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3、控訴までの流れ

第一審の判決が言い渡されてから、控訴審が開かれるまでの流れを確認しておきましょう。

  1. (1)第一審の判決が言い渡される

    控訴は、第一審の判決を経ないと申し立てできません。最初から上級の裁判所で審理してもらいたいと望んでも、第一審は必ず地方裁判所・簡易裁判所で開かれます。

  2. (2)第一審裁判所への控訴申立て

    控訴の申立ては、第一審の判決を受けた日の翌日から起算して14日以内に「控訴申立書」を提出することでおこないます。控訴申立書の提出先は第一審裁判所であり、高等裁判所ではありません。

  3. (3)控訴趣意書の提出

    控訴を申し立てると、高等裁判所から「控訴趣意書」を提出するよう通知を受けます。
    これは、控訴理由の主張と控訴審で争う内容を明らかにする書面で、控訴の可否を決定するうえで極めて重要な役割を果たすものです。
    作成には高い専門性と控訴審に対する深い理解・経験が必要なので、被告人自身が作成するのはほぼ不可能だと考えておきましょう。

    控訴趣意書の提出期限は、提出を求められた日からおおむね1か月後です。控訴理由の整理や問題点の整理などに多大な労力を要するため、1か月でも十分な時間があるとは言えません。

  4. (4)控訴審

    高等裁判所が控訴の理由を認めた場合は、控訴審が開かれます。ただし、控訴審では『第一審が正しい判決を下しているのか?』という点が注目されるので、事件自体を改めて審理するわけではありません。

    控訴審において、第一審の判決に誤りがあるとされた場合は、判決は「破棄」されます。
    そのうえで、第一審裁判所において再審理させる「差し戻し」や別の裁判所に審理させる「移送」、差し戻しをせずに高等裁判所が自ら判決を下す「自判」といった処分を下します。

    なお、控訴を申し立てても、申し立ての方法や手続きに方式的な不備があるなどの場合は「決定」によって控訴が棄却されます。また、控訴趣意書による主張からみても控訴の理由に該当しないと判断される場合は法廷での審理を経て「判決」によって控訴が棄却されます。

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4、控訴するべきか悩んでいるなら弁護士に相談を

窃盗事件を起こして第一審で実刑判決を受けた場合でも、控訴審によって判決が覆り、執行猶予つきの判決や無罪判決が下される可能性があります。ただし、控訴理由の検討や控訴申立てにかかる手続きを被告人が個人で進めるのは困難です。

控訴をするべきか悩んでいる、あるいは控訴したいという意向が決まっている場合は、弁護士に相談しましょう。

  1. (1)控訴審は第一審とは異なる対応が必要

    控訴審は、地方裁判所や簡易裁判所で開かれた第一審のように、いちから証拠を取り調べて事実認定をおこなう場ではありません。第一審の判決の正当性を審査する役割を担うという難しい立場であり、控訴理由に該当するかといった検討を一個人が判断するのは難しく、弁護士のサポートが必要となるのは言うまでもありません。

    第一審とはまったく異なる対応が必要となるので、控訴審の知識や経験が豊富な弁護士に相談したうえで対応を任せることが必要です。

  2. (2)控訴趣意書が控訴の可否を決める

    控訴の可否は「控訴趣意書」の仕上がりによって決まるとも言えます。
    控訴の理由を正しく指摘しており、なぜ控訴審が開かれるべきなのかを具体的に主張している内容になっていなければ、控訴審が開かれないまま棄却されてしまいます。

    控訴趣意書の作成にも、弁護士の高い経験値が求められます。刑事事件を取り扱っているだけでなく、控訴審の経験も豊富な弁護士に対応を依頼することをおすすめします。

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5、まとめ

窃盗事件の被告人として実刑判決を言い渡されても「控訴」することで第一審の判決が見直され、執行猶予つきの判決や無罪が言い渡される可能性があります。ただし、控訴理由の検討や控訴趣意書の作成など、第一審の対応とは異なる点も多いため、経験豊富な弁護士のサポートは必須です。

窃盗事件で実刑判決を言い渡されたものの控訴を検討されている方は、刑事事件の対応実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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監修者
萩原 達也
弁護士会:
第一東京弁護士会
登録番号:
29985

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※本コラムは公開日当時の内容です。
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