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強制わいせつの被害者となってしまったらどうする? 示談や裁判について解説
本人が同意しないままにわいせつな行為を受けた場合、わいせつ行為をしてきた相手には刑法上の強制わいせつ罪が成立します。強制わいせつ罪の成立が見込まれる場合、加害者側は被害者に対して示談交渉を持ちかけてくる可能性が高いと言えます。
一般的に、示談交渉とは加害者が被害者に反省の意を示し、金銭による損害賠償を行うための話し合いを指します。しかし、反省したからではなく、単に罪を軽くしたいがために交渉をしてくる加害者もいます。被害者側としては、加害者の意思がどうであれ示談に応じるつもりはまったくないという場合もあるでしょう。
そこで今回は、強制わいせつ罪に関して加害者から示談交渉の打診があった場合に、被害者が取ることのできる対応について、弁護士が解説します。
1、強制わいせつの被害に遭ってしまった場合
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(1)強制わいせつに当たる行為
わいせつ行為とは、幅広い行為態様を含む概念です。代表的な行為としては、胸や陰部などに触れるといったものが挙げられますが、これらの行為に相手方の同意がなければ強制わいせつ行為となります。他にも、無理やり服を脱がしたりする行為などは、強制わいせつに当たる可能性が高いです。また、キスやハグ(抱きつき)も同意がなければ強制わいせつ行為となり得ます。
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(2)強制わいせつ行為の被害に遭ったら
強制わいせつ行為の被害に遭ってしまった場合、心身ともに大きなダメージを負うことになります。まずは、身体や心のケアを優先させましょう。身体のケアとしては医療機関で怪我の治療や感染症などの検査を受けることとなります。また心のケアとしては、休養をしっかり取り、生活のリズムを整え、カウンセラーや支援センターなどに相談するといった選択肢があります。
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(3)法的な対処について
ご自身の被害の回復の他に、加害者に対する法的・社会的な責任追及も考えられます。具体的には警察への被害届の提出や、弁護士への相談です。被害者として刑事裁判に関わったり、民事訴訟を提起したりする道もありますし、加害者と示談交渉をして慰謝料を受け取るという方法もあります。いずれを選ぶにしても、裁判や交渉では証拠が重要になるので、被害に遭った証拠があれば確保しておくようにしましょう。
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2、強制わいせつ事件の刑事手続きの流れと被害者の関わりについて
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(1)捜査から刑事裁判まで
被害届が受理されると、警察が事件の捜査を行います。加害者は容疑者として取り調べを受け、場合によっては逮捕されることになります。加害者が逮捕された場合、ほとんどは検察へ事件が送致され、その後最大20日間勾留されます。その間に検察官によって起訴するかどうかの検討がなされます。検察官によって起訴されれば1ヶ月ほどで刑事裁判となり、証拠調べ手続き等を経て裁判官が有罪・無罪の判決を下します。
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(2)被害者の関わり
捜査から刑事裁判までの一連の流れにおいて、被害者が関わりを持つ機会が何度かあります。まず、被害者が警察や検察から事情聴取を受けることがあります。加害者の言い分が正しいのか、どんな被害を受けたのかといった点を明らかにするためです。
また、裁判が始まれば、傍聴人として裁判を見ることができます。更に、強制わいせつ事件では被害者として裁判に参加し、検察官に意見を述べたり、証人尋問や被告人への質問をしたりすることも可能です。 -
(3)加害者が有罪となった場合
強制わいせつ罪の刑の範囲は、刑法で6月以上10年以下の懲役と定められています。行為態様の悪質さや被害者の処罰感情の強さなどに応じ、刑罰の重さが決まります。
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3、加害者から示談の打診があったら、どう対応するのか。
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(1)示談のタイミングと目的
検察官が起訴するまでに加害者から示談の打診がされることが多いです。加害者本人が身柄拘束をされている場合は、直接被害者と連絡を取り合うことはありません。加害者の弁護士が警察又は検察官に加害者に示談の意思があることを伝え、検察官が被害者に対し示談に応じる意思があるかを確認し、被害者が承諾すれば、検察官が弁護士に被害者の連絡先を伝えるという流れです。
示談の目的は被害を償い反省の意を示すというものですが、加害者の罪を軽くするためでもあります。被害者と加害者の間で示談がまとまれば、不起訴処分となったり、起訴されても罪が減軽されたり、執行猶予がついたりする可能性が高くなるのです。 -
(2)示談に応じる場合、断る場合
示談の目的を踏まえて、被害者は示談に応じることも断ることもできます。示談に応じる場合、たとえば一定距離以内への接近禁止といった再犯防止のための条件を付けられるほか、慰謝料(示談金)も受け取ることができます。ただ、具体的な金額は相手の反省度合いや犯行の内容、資産状況などによってもさまざまですので、一概には決まりません。
また、示談はあくまでも和解の提案ですから断ることも可能です。もっとも、示談を断ったとしても必ず加害者が起訴され、重い刑罰が科されるとは限りません。 -
(3)示談と被害者の情報
示談に応じる場合、気になるのは自分の連絡先などの個人情報が加害者に伝わるのではないかということでしょう。この懸念については、あくまでも加害者の弁護士のみに連絡先を伝えるという条件を付すことで対処可能です。特に強制わいせつのような性犯罪では、被害者に配慮して加害者への情報漏えいを避けるよう配慮してもらえます。
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(4)示談の打診がない場合
加害者から示談の打診がない場合もあります。その場合でも慰謝料がもらえないということはなく、民事訴訟で損害賠償請求を行うことは可能です。とは言え、被害者個人で裁判を起こすのは大変なので、さまざまなメリットがある弁護士への相談をおすすめします。
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4、強制わいせつの被害に遭った際に弁護士に依頼するメリット
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(1)加害者側との直接連絡の回避
一般的に、加害者側は弁護士を付けるものですが、加害者本人ではなかったとしても、事件について相手方と交渉するのは被害者にとって大きな精神的負担となるでしょう。弁護士に依頼すると、弁護士が窓口になってくれるので、示談交渉の際の精神的なストレスが軽減されます。
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(2)適切な額の示談金の交渉
示談金の額について、被害者だけではいくらが適切なのかという判断が困難でしょう。弁護士なら、事件の内容を踏まえ、相場や前例に基づいた適切な金額が得られるように交渉することが可能です。特に、加害者側にとっては起訴前に示談を成立させたいところですので、弁護士ならこのことを踏まえより良い条件を引き出すように加害者側と交渉ができるでしょう。
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(3)事情聴取の際のサポート
警察や検察で事情聴取を受ける際、経験豊富な弁護士のサポートを受けることができます。事実をありのままに伝えるのは案外難しいものです。特に加害者側が虚偽の証言をしていたり、被害者と加害者の間で生じた食い違いが被害者にとって不利となっていたりするような場合には、弁護士がサポートすることで捜査機関にきちんと事実を伝えられます。
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(4)裁判の際のサポート
弁護士に依頼すれば、裁判になったとしても、どういう形で関わればよいのかについてのアドバイスが得られます。強制わいせつ事件の場合、被害者参加制度において、代理で弁護士に法廷へ立ってもらうことも可能です。被害者として直接裁判所に出向くのは苦しいという場合でも、弁護士を通すことで心理的な負担を軽くすることができるのです。
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5、まとめ
強制わいせつ行為は、加害者にとっては気軽に、あるいは欲望のままになされたことなのかもしれません。しかし、被害者にとっては、加害者のみならずあらゆる異性に対する不信感や恐怖感を植え付けかねないという意味で、非常に悪質な行為です。このような悪質な行為をした加害者に対しては適切な責任を負わせなければなりません。このサポートを適切かつ確実に行うことができるのは弁護士です。
もし強制わいせつの被害に遭ってしまったら、できるだけ早く、性犯罪事件の解決に関する実績と知識が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士までご相談ください。加害者との示談交渉や事情聴取、裁判へのサポートなど、あらゆる場面において親身に対応をいたします。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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