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盗撮事件で被害届を出さないようにしてもらう方法はある? 弁護士が解説
盗撮をしてしまい相手に気づかれてしまったとき、まず心配になるのは「被害者は被害届を出すのだろうか?」ということかもしれません。もし、その場で「被害届を出す」と言われてしまえば、なんとかして被害届の提出をやめてもらいたいと考えるはずです。
逮捕され、有罪になった場合の刑罰や前科も心配になるでしょう。被害届を出されてしまえば、どのような展開が待っているのでしょうか?
盗撮が発覚したのち、被害届を出さないようにしてもらうためには、どのように対応したらよいのか、弁護士が解説します。
盗撮行為は令和5年7月13日に新設された「撮影罪(性的姿態等撮影罪)」によって処罰の対象となります。
1、盗撮の被害届を出されてしまったらどうなるのか?
盗撮事件を起こして被害届を出されてしまうと、どのような事態になるのでしょうか?
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(1)警察での取り調べ
被害届を受理した警察は、捜査を始めます。わざわざ「これからあなたを対象に捜査を始めます」という連絡などはありません。基本的には秘密のうちに捜査が進められるため、盗撮の加害者は、逮捕や取り調べのための呼び出しによって初めて自らが捜査対象になっていることを知ることになります。捜査対象として刑事事件化すると、被疑者としてさらなる取り調べが続けられます。
もし逮捕された場合の警察による取り調べ期間は、逮捕直後の48時間以内です。その後、検察へ事件や身柄に送られると、勾留と呼ばれる身柄の拘束を行ったまま取り調べを行う措置がとる必要があるかが、検察への送致から24時間以内に検討されます。この、逮捕から勾留の有無が決定するまでの最長72時間は、警察署の留置場に収容されたうえで、外部との連絡を取ることや家族と面会することなどが制限されます。
逮捕されず在宅事件扱いとなった場合は、取り調べの都度、呼び出しを受けます。正当な理由なく呼び出しを拒む、無視するといった対応をとると逮捕されるおそれがあるので注意してください。もし取り調べのために出頭することが不安であれば、弁護士に同行してもらうことをおすすめします。 -
(2)検察官による取り調べ
逮捕された場合は送致後の24時間以内と勾留期間中、検察官による取り調べを受けることになります。
逮捕後の取り調べは、検察官が起訴・不起訴を下すための重要な意味を持ちます。取り調べの結果、身柄拘束の必要がないと判断されれば即日で釈放されるでしょう。任意の在宅捜査であれば、やはり必要に応じて検察庁に呼び出されることになるので、素直に応じるのが賢明です。もちろん予定は調整できるので都度相談してください。 -
(3)処罰の決定
検察官が起訴した場合、刑事裁判が開かれます。勾留を受けている場合は、保釈が認められない限り被告人として引き続き身柄拘束を受けるため、長く社会生活から隔離されることになるでしょう。
2、盗撮で被害届を出されなければ前科は付かない?
「盗撮したが、相手には気づかれていないようだ」
「盗撮して気づかれたが、一目散に逃げたので被害届は出されていないはず」
このようなケースでは、盗撮の被害者が「被害届を出したのか?」が非常に気になるところでしょう。被害者が被害届を提出していなければ、前科が付かないのでしょうか?
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(1)被害届とは
被害届とは、犯罪被害が発生したことを警察に申告する届出書を指します。犯罪の被害者が警察で被害を申告した場合、一般的には被害届を提出することになります。
被害届と似たもので「告訴」が挙げられますが、告訴と被害届は目的においてまったく違うものです。告訴は、刑事訴訟法で定められた手続きで、被害者などの告訴権者が、捜査機関に対して犯人の処罰を求める行為であり、厳格な手続きが求められます。 -
(2)被害届を出されなければ前科が付かない?
被害届は「捜査の端緒(たんちょ)」として扱われます。端緒とは「きっかけ」という意味で、つまり被害届の提出がないと警察は事件の発生を認知することさえできません。被害届が提出されれば、警察は事件の発生を認知して被疑者を特定しますが、言いかえれば被害届さえ提出されなければ、逮捕されることも、起訴されて前科が付くことも原則としてありません。
ただし、被害届の有無は検察官が起訴・不起訴を判断するうえでの絶対条件にはなりません。また、捜査や公判が被害者に二次被害を与えやすい親告罪では告訴が起訴の要件となりますが、盗撮事件は非親告罪なので、告訴が起訴の必要条件となるわけではありません。
警察には、被害届がなくても独自に認知した事件を捜査する権限があります。つまり、被害者が被害届を出さなかった場合でも、悪質な犯行であれば捜査対象となり、逮捕・起訴されて、懲役刑や罰金刑などの前科が付いてしまうおそれがあるわけです。前科が付くと職場など日常生活への影響が考えられます。
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3、被害届を出さないよう被害者と交渉するには
盗撮事件を起こした末、逮捕されてしまったり前科が付いてしまったりする事態を避けるためにも、被害届を出さないように被害者と交渉することをおすすめします。では、どのように交渉を進めれば被害届の提出を防げるのでしょうか?
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(1)示談を成立させる
刑事事件における示談とは、被害者に対して真摯な謝罪を伝え、慰謝料を含めた示談金を支払うことで、刑事手続きの外でトラブルを解決するものです。
示談交渉において、被害届や告訴を出さないように依頼する、または受理後であれば取り下げをお願いして同意が得られれば、前科が付く事態や職場などに対する影響の回避が期待できます。
ただし、謝罪して示談金を支払っても、必ず被害届・告訴が取り下げられるわけではありません。この場合、示談交渉を進めることが無駄に感じるかもしれませんが、刑事裁判では情状酌量の理由になり得ます。
あきらめずに交渉を進めて示談成立を目指しましょう。 -
(2)加害者や家族による直接交渉は避ける
被害者に「被害届は出さないでほしい」または「被害届を取り下げてほしい」との交渉をする際は、加害者本人やその家族による直接交渉を避けましょう。
盗撮事件の被害者は、加害者に対して強い拒絶を感じています。もし、加害者本人やその家族が示談交渉を持ちかけても、許しを得るどころか被害者の心理を逆なでしてしまうケースが少なくありません。それだけでなく、被害届の取り下げをしつこく交渉していると、被害者の受け止め方次第では脅迫罪・強要罪などの犯罪に問われるおそれがあります。
4、盗撮で逮捕されてしまったら早急に弁護士に依頼を
盗撮事件を起こして逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士に相談してサポートを依頼しましょう。
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(1)逮捕されると外部との連絡はできない
盗撮事件に限らず、被疑者として逮捕されてしまうと自由な行動が制限されてしまいます。外出はもちろん、たとえ家族が相手でも外部との連絡は一切できません。特に、逮捕直後から勾留が決定されるまでの72時間は家族でも面会ができず、接見禁止が付されればその後も面会が禁止されます。
逮捕された加害者が自由に会うことができるのは弁護士だけです。弁護士への依頼は、加害者本人かその家族が行ったほうがスムーズです。外部との連絡が取れない加害者本人に代わって、家族が最適な弁護士を探し弁護を依頼してください。
ただし、ほとんどのケースで逮捕地は被害届が出された場所になります。居住地が逮捕地から遠い場合、居住地付近の弁護士に依頼すると日当や交通費、移動時間などが多くかかってしまうことになります。全国にオフィスがある法律事務所であれば、居住地近くのオフィスから逮捕地の近隣にあるオフィスに所属する弁護士に相談し、接見などのために足を運ぶなどの役割分担が可能です。 -
(2)依頼を受けた弁護士が行う活動
弁護士に依頼すれば、加害者の代理人として、前科を付けないために必要な示談交渉を進めてもらうことができます。弁護士が代理人となることで、法外な慰謝料請求を受けても過去の事例に照らした適切な金額での決着も期待できるでしょう。示談交渉は、弁護士が行う有効な弁護活動のひとつです。
もし、刑事事件として立件されてしまえば、警察に逮捕されて取り調べを受けるリスクが生じます。弁護士に依頼すれば、逃亡・証拠隠滅のおそれを否定して逮捕の回避や早期釈放が期待できます。たとえ起訴されて刑事裁判に発展しても、徹底した弁護活動で刑罰の減軽を目指した活動を展開します。
逮捕の回避、早期釈放、刑の減軽を目指すのであれば、早急に弁護士に相談し、弁護活動を依頼しましょう。
5、まとめ
盗撮事件を起こしてしまったとしても、被害届を出さないように示談交渉すれば逮捕や刑罰、前科が付く事態は避けられる可能性が出てきます。ただし、加害者本人やその家族が直接交渉に臨めば、被害者の感情を逆なですることになり、事態がさらに悪化するおそれがあることは否定できません。そもそも、相手方と面識がなければ示談交渉すらすることはできないでしょう。
被害者感情を考慮したうえで適切な示談交渉を進めるためには、弁護士にサポートを求めたほうがよいでしょう。ベリーベスト法律事務所では、盗撮容疑で「被害届を出さないようにしてもらいたい」と考えている方のサポートを行います。まずはお気軽にご相談ください。
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
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※本コラムは公開日当時の内容です。
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